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子羊の岩塩包み焼き
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ツブ貝のマリネ ヴィネグレットソース
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マッシュルームのポタージュ
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ウニのコンソメゼリー カリフラワーソース
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牡蠣 からすみ添え
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セップ茸 ボルドー風ソテー
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フォアグラのポワレ とうもろこしのガレット トリュフ添え
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マナガツオ
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イチボ肉のステーキ
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子羊の岩塩包み焼き
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ラムの香草焼き
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チョコレートのフランボワーズ入りタルト
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クレームブリュレ
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フランス産栗のモンブラン アイスクリーム添え
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クレームキャラメル
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プチフール(3人分)
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スイカ
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おまかせワインのスパークリングワイン
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おまかせワインの白ワイン
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おまかせワインの赤ワイン
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紅茶
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フレンチらしからぬ店名、『北島亭』。
黄色いオーニングの古びれ具合もフレンチらしからぬ雰囲気を醸し出しています。
オーニングをくぐっても直ぐに店の出入り口があるわけでなく、地下に延びる階段脇をすり抜けた奥がこの店の入り口。
普段はあまり訪問の機会がないフレンチ。
ポツポツとフレンチを訪問するに従って、フレンチの魅力に少しずつ目覚めつつあるような気もします。
いつも手配してくれるマイレビュアー様には感謝しないといけません。
ちなみに今回は一人12,000円のコースとスペシャリテを予約いただきました。
年季の入った建物の奥に進むと、そこにはまるで洋食屋かと思うような店内。
飾り気のない椅子やテーブル、部屋の片隅に積まれた食器類が並んでいます。
ホールスタッフは若いながらにこやかに説明してくれます。
当然ドレスコードなどあるはずもなく、金額の制約はあるにせよ万人が分け隔てなくフレンチを楽しめるわけです。
こういう形式に囚われないところにシェフの実(じつ)をとる賢明さを見る気がします。
北島シェフを支えるのはスーシェフの大石さん。
主にお客さんの前に出て来られるのは大石さんですが、若くて快活、気取らず豪快。
壮年にさしかかった北島シェフを支えるにはもってこいの方かもしれません。
【おまかせワイン】
名称はうろ覚えですが、ワインをお店にお任せして選択してくれるシステムのようです。
詳しくないところなのでこういうシステムはありがたい。
スパークリングに始まり、白、赤と料理にあわせて提供してくれました。
【ツブ貝のマリネ】
最初はツブ貝から。
素材を大きくいじった感じはしない料理ですが、逆に質の良さを生かした料理ということでしょう。
シンプルながら貝の風味が生きていて美味しいです。
【マッシュルームのポタージュ】
マッシュルームの風味が素晴らしく映える一品。
マッシュルームはあの形と食感あってこそと思っていましたが、スープになってキノコ特有の癖も抑えられて更に良さが増幅しているように思います。
【生うにのコンソメゼリー カリフラワーソース】(スペシャリテ)
長年こちらのスペシャリテとして多くの人に食されてきたメニューのようです。
縁はカリフラワーのソースを配しているようで、見た目だけでなく風味にも彩が添えられて、テンションが上がります。
生うには素材を大きく変えることなく風味を活かしていて、それをコンソメゼリーが下支えしている印象。
ゼリーもトロトロという表現の方が適切なくらい柔らかいので、過度な主張がなく文字通りウニの引き立て役ですね。
ウニ自体のクオリティは良質な寿司屋などで使われるものほどではないものの、素材を単体で使うことの少ないフレンチにあっては他の素材との相性もあるのでしょう。
カリフラワーソースがあることで風味に華やかさが加わるような気がして、フレンチらしく単調にならない工夫が施されているように思います。
【牡蠣のからすみ添え】
牡蠣がとてもクリーミー。
軽くて爽やかなソースが牡蠣の風味を引き立てます。
旬に入り始めた牡蠣の濃厚な旨味が十二分に活きています。
これに贅沢にも自家製のからすみが加わっていますが、このコントラストは見事。
【セップ茸のボルドー風ソテー】
フレンチに詳しくない私は個人的には初めて聞くキノコでしたが、知識豊富なマイレビュアーさまからポルチーニのことと教えていただきました。
イタリア料理ではたまに見かけるものですが、フランス料理だと全く違う名前になるんですね。
勉強になりました。
食感としてはかなり肉厚な感じ。
言われなければキノコだと気づかないかもしれません。
ボルドー風というところからして赤ワインなどでソテーされているのかと思われますが、この風味も相俟ってまるで肉でも食べているかのような満足感。
同時にサーブされたフォアグラのポワレも素晴らしい料理ですが、それと見た目も変わらずまるで同等の品と思えるくらいの味わいでした。
【フォアグラのポワレ とうもろこしのガレット トリュフ添え】
フォアグラの下にはとうもろこしのガレットが敷かれています。
この料理はもちろんフォアグラがメインではあるのでしょうけど、年齢的なものなのか個人的にはガレットがツボ。
とうもろこしがたっぷり入ったガレットは柔らかくてとても美味しい。
【マナガツオ】
皮目がパリッと焼かれて出てきました。
こちらのお店に訪問させていただいたのに合わせて、いろいろとネットでお店のことを調べていると、こちらではなんとオーブンはかなり昔に撤去されているそうで、ほぼ全ての品をフライパンやサラマンダーなどで調理されるらしい。
このマナガツオがどう調理されたのかはフレンチに詳しくない私では推測もつきませんが、ところどころにクミンをまとっていて風味も秀逸。
周囲はパリッとしながら身もふっくらした見事な焼き具合であったことは言うまでもありません。
付け合せのアスパラもあれだけ太いのに食感のちゃんと楽しめる柔らかさ。
万願寺とうがらしもフレッシュな風味の残ったもので、つけ合わせも手を抜いていません。
【イチボ肉のステーキ】
見るからにボテッとした肉の感じが魅力的なイチボ肉。
サシも見事で相当柔らかい肉であることは容易に想像がつきます。
ナイフを入れると手に感じる感触だけでもう既に『美味しい!』と感じてしまうような生々しい肉質。
口に頬張ると柔らかい赤身部分とサラッと溶けていく脂部分が感動的な美味しさ。
脂も軽いので見た目ほどに重く感じません。
肉を食べてきた歴史のせいか、つくづく肉の扱いにかけてはフレンチの奥の深さを思い知らされます。
【子羊の岩塩包み焼き】(スペシャリテ)
サーブされる前に、網脂で覆ってクレープ生地から取り出すところを持ってきてくれました。
これもまたレアのように見えますが、中までしっかり温かい。
イチボ肉とは違って脂身も少ないですが、やはりラムとあってとても柔らかい。
絶妙な柔らかさと、じわっと染み出す旨味のおかげで、口に入れるほどに食が進みます。
【ラムの香草焼き】
アバラの部分であるのか、脂の多い骨付きの部位。
香草は何が使ってあるのかよくわかりませんが、量もあるのに適度な風味で決してうるさくありません。
ナイフとフォークでは食べにくいので手づかみで食べます。
全く臭みを感じないラムの脂は、香草のおかげもあってか全く重く感じません。
コースのピークをやや過ぎて満腹になり始めているにも関わらず、骨についた脂までこそげ取りながらあっさり完食。
【飲み物】
恐らくコースの一環かと思いますが、各自飲みものを選択できます。
今回は紅茶を選びました。
【スイーツ各種】
最初にスイカがでてきました。
これはコースの一環かと思いますが、ここであっさりした果物は嬉しい。
6種類あるスイーツメニューから5種類選択してシェアすることになりました。
・クレームキャラメル
オーソドックスだけど、これが一番好み。
・チョコレートのフランボワーズ入りタルト
ほぼホールの1/4で出てきました(笑)。
この心意気が嬉しい。
濃厚なチョコレートとフランボワーズの酸味の組み合わせが実に大胆で豪快。
・フランス産栗のモンブラン
これも見た目豪快な一品。
スイーツに至っては特にそうですが、繊細さはあまり感じませんね(笑)。
それだけに味と量で勝負というところに潔さを感じます。
・紅茶のブラマンジェ
写真を撮り忘れたようです。
ミルクティの味わいが見事なブラマンジェでした。
・クレームブリュレ
これはどのお店でも大差ないものですが、美味しいブリュレでした。
そしてプチフール。
これはホールスタッフも出勤してから手伝って作るものだそうですが、3人分でこの量。
もうさすがにこの時点で全員満腹なので、少しいただいて後はお持ち帰りにしていただきました。
持ち帰っても翌朝はさすがに食べられないだろうな、と思ってましたが、食べ始めたら止まることなく完食。
朝から豪華で量も充分な食事になりました。
そう考えると、今回の食事は2食分ですね(笑)。
そして帰りがけにみかんを一つずつ。
大石シェフ曰く、「北島亭と言えばコレ」なんて言って渡してくれましたが、こういう追い討ちは嬉しいものです。
【全体を通して】
一品一品のポーションがものすごいボリュームなので、後で写真を見直したら意外と品数食べてないな、というのが正直なところ。
料金構成はコース(12,000円)+ワイン(6,000円)+消費税、サービス料で一人当たり21,000円ほどですが、この内容にしてこの値段は個人的には安いと感じました。
と言うより、終始コストを感じさせないような満足のいく内容であったというのが正しいのかもしれません。
全体のポーションも最後のプチフールに至るまでかなりの量ですが、まるで『満足させるまで帰さん!』というくらい気迫を感じるものでした(笑)。
それだけに中途半端な気持ちで行ってしまうとこのお店の良さを十二分に理解できないまま終わってしまうだろうな、と思うお店でもあり、本当にこちらの真髄を堪能されたいと思って訪問される方は是非お腹を空かせて『満足するまで帰らん!』という気迫でもって、シェフと真剣勝負をするつもりでの訪問をお薦めしたいと思います。
味にしても良い素材にこだわり、必要以上に手を加えない。
味付けもしっかりしているのに決してしょっぱいわけではなく、料理を力強く支える塩加減。
格式にこだわるような難解なフレンチが多い中、どれも明快かつ小細工を感じない力強い料理の数々。
こういう実を追求する硬骨なフレンチに出会えたのは嬉しい限りです。
決して繊細ではありませんが、それはお店によっても目指すところが違うだけで、こちらは目指したい方向で一生懸命にそれを極めようとされておられるだけに過ぎませんから、人による好みの違いはあれどそれをとやかく言ってはいけませんね。
今回は期待を遥かに上回る食事となりました。
加えてフレンチとは薄味で難解なもの、という否定的な先入観のあった私に対して、フレンチに対する見方を大きく覆してくれるお店であったと思います。
通えば通うほどにシェフやホールスタッフとも息の合った楽しい食事ができそうですね。
また機会を見つけて訪問してみたいと思います。
ごちそうさまでした。
またご一緒させていただきました皆さん、ありがとうございました。