1回
2019/06 訪問
魚の極致を追及する若き新鋭フレンチ
アミューズ
ほや
鱸
Joachim Flick Hochheimer Königin Victoriaberg Riesling Trocken (Deutch)
雲丹
Ottocento Bijeli (Croatia)
雲丹アップ
ソリチュード(余市)
鮎とグズベリー
鱧
新政 ヴィリジアン
真蛸
Meursault Butterfield (France)
白海老
Agnès et René Mosse Anjou Blanc (France)
白海老アップ
蝦夷鮑
tsolikouri (Georgia)
Chambolle-Musigny (France)
真魚鰹
青梅
バナナ
2021/01/28 更新
遅めの当方の誕生日を祝ってくれるとのことで、パートナーがお母さんから聞きつけたこの店をチョイス。カンテサンスの話をしていたら、その経験者の方がシェフをされている店が出来たということで。お店は土地勘がなければ入口が解りづらいかも知れない。隣に手打ち蕎麦屋さんがあるところが入口になる。
入店すると、ちょうど水族館のような暗さの店内、テーブル席がいくつかあるが、奥の厨房がぼうっとライトアップされており、2~30代と思われる若い調理人が勢ぞろいし、お客の視線を浴びながら調理を進める。「アビス」と言われると、英語で地獄を連想して凄い店名だと思っていたが、緑と深海をイメージしてとのこと。お手拭きからはなるほど、ヒノキの香りがする。
連れが妊娠中であったため、念の為そのことを伝える。魚の店なので、さすがに少々戸惑われたが、極力火を通し、無理そうなものは当方がヘルプするということで合意に至った。
コースとともに、お勧めのワイン等がアカンパニーされるペアリングを選択。ハーフサイズでも、すべての料理にお酒が付いてくるので、ワイン1本分は超えるとのこと。ハーフで正解だった。
アミューズにあたるのは、イカ墨のサブレにキャビアが載ったもの。連れは妊婦ながら、キャビアを食べたがり、半分こにした。
1. パッションフルーツの皮の中にあるのは、何と「ほや」。それにパッションフルーツの実、コリアンダーの花、周りはマリーゴールドで飾られている。
シャンパン(写真不鮮明)は、樹齢50年以上の樹を使用した実質ヴィンテージのものとのこと。発酵がさっぱりしている。
2. すずきの昆布じめ、代官山で醸造されているというビールをクリーム状にし、アイスパウダー化させたものがかかっている。それに枝豆が含まれ、人気のつまみを一緒くたにしたような感じ。
ペアリングのドイツワインはリースリングながら、強めに感じる。
3. ばふんウニ。つるむらさき(東南アジアのほうれん草)に、からすみ風にした「鮎」の卵巣。連れにはウニの代わりにカサゴを出していただいきました。ウニは文句なしに美味。
ペアリングはクロアチアの有名ワインメーカーのワイン、ロゼのような色合いでオーガニックな野菜味を感じる。
*パンが登場。黒いオイルは何かと聞くと、ヘンプオイルと言うオメガ3豊富なものを主体とし、黒にんにくオイル等とブレンドしたものとのこと。
4.鮎の皮目焼き。西洋すぐり(グズベリー)は、故郷の北海道で子供の頃食べたことがあり、急に懐かしくなった。当時から「ぐずべりー」と呼んでました。
ワインは、和風に余市平川のソリチュード。ライム、シークァーサー、パッションフルーツの香ということで、鮎と良く合う。
5. 鱧のスープ、島らっきょう、唐辛子。うまみはどうかな?
日本酒が登場。新政酒造のヴィリジアンというシリーズ、秋田の純米酒で、すっと消えるクリアな味わいで余韻も良し。もっと飲みたい。
6. 真蛸、じゃがいもピューレ、ウォッシュチーズとモッツァレラチーズ。チーズ旨し、絡ませて食べる。
ワインはブルゴーニュのシャルドネ(Meursault Butterfield)。少しスモーキーな感じ。
7. 富山白えび、ゴールドラッシュ、カリカリなひよこ豆。この間富山に行っていたので白海老の美味しさもひとしお。トウモロコシがとても甘く、柔らかな白海老に対しひよこ豆の食感が楽しい。
フランスのAnjou村というところのシュナン・ブラン(Agnès et René Mosse Anjou Blanc)。アプリコットのような香。
8. 蝦夷鮑、原木シイタケを低音の油で戻し旨みを閉じ込めたもの、ポルチーニソースで香り最高。
ツォリコウリという、ジョージアの、伝統的な方法で発酵させたクラシカルなグルジアワイン。とてもとろみがあってタンニンを感じる。
9. マナガツオ、バルサミコ酢、うこぎ。うこぎは先日山形の山菜宿で食べたので記憶が蘇る。
ブルゴーニュのピノノワール。酸味を強めに感じる。鰹の脂にやはり良く合う。
デザートは、蜂蜜・梅とオゼイユというハーブのソースがかかったパンナコッタ風のもの、次にフィナンシェ(焼酎風味)にバナナ・チップ、最後にエスプレッソをいただきながらトリュフ(周りにトンカ豆)。
深海と森のテーマの中、一つの壮大なストーリーを一通り味わいつくしたような満足感。
接客してくれた方も感じよく、知識豊富で、説明の時はゆっくり・はっきりと話してくださったため料理の理解が深まった。そして、厨房の中は全員若いのに、無駄な動きなく真剣に調理に向き合っているのに妙に感動してしまった。日本の未来は安泰だ!