2回
2023/07 訪問
名古屋・フレンチ「レミニセンス」グランメゾンを目指し移転リニューアル〜コース料理編〜
日本フレンチレストラン界の二大巨頭である東の「Quintessence(カンテサンス)」、西の「HAJIME(ハジメ)」と、フランス料理の名店で研鑽を積み、名古屋で自身の誕生日でもある2015年7月23日に独立した「Reminiscence(レミニセンス)」の葛原将季(Masaki Kuzuhara)シェフが開業8周年となり、9周年目を迎えた今、新たなステージに挑戦するために、車道へ移転し、グランメゾンを目指しリニューアルオープン致しました。
前回の記事は、店舗内容が伝わる〜新店舗編〜となり、今回の記事は、キッチン内で熱く繰り広げられるチームワークの様子とフルコースのディナーメニューを紹介する〜コース料理編〜となります。
【名古屋・フレンチ「レミニセンス」グランメゾンを目指し移転リニューアル〜新店舗編〜】
祝い花の胡蝶蘭で華やぐメインダイニング。白銀の世界を彷彿とさせる白を基調に、柔らかな光でゲストを心地好く出迎えています。飛騨高山の北欧家具メーカー「Kitani(キタニ)」特注のダイニングテーブルに「Jacob Kjær(ヤコブ・ケア)」の代表作であるJK-03をヤマザクラでしつらえ、葛原シェフのフルコース料理と向き合うためのお出迎えを。
ランチ・ディナー共にフルコース料理は、旧店舗同様に、¥19,800(税込¥21,780)に別途サービス料10%となり、料理とデザートで14皿程度、食後のドリンクを用意。所要時間としては3時間程度を予定すると良いでしょう。
第一章の〜余韻〜からスタートし、新店舗にて新たに追加した第二章の〜創造〜のテーマ、第三章に〜記憶〜、第四章に〜安堵〜、そして終章の〜追憶〜を用意し、それぞれのテーマに合わせた五部構成で仕上げています。
特別にキッチン内の見学を許されると、”余韻”の一皿目に取り掛かっており、厳選食材との真っ向勝負で、向き合う瞬間に立ち会います。現在のキッチンスタッフは6名在籍しており、炭をおこす熱気や行き交う掛け声から、一分一秒を無駄にできない様子が伺えます。
ワインはフルコース料理に合わせたペアリングを、Standard(7glass)¥13,750、半量となるHalf(7glass)¥10,450、Short(3glass)¥7,920の3コースから用意しており、Sommelierの高鍬未翔(Misho Takakuwa)さんによる料理に寄り添った絶妙なマリアージュが味わえます。高鍬さんは、第4回「J.S.A.ソムリエ・スカラシップ」の優秀賞を受賞されており、名古屋の老舗フレンチレストラン「Les Mirepoix(レ・ミルポア)」をご実家に持つサラブレッド。ご実家にてキャリアをスタートさせた後、「マンダリン オリエンタル 東京」ではザ・セラー ソムリエ スーパーバイザーとして活躍。ソフトでスマートなホスピタリティ溢れる接客でありながらも、時折見せる笑顔がとてもキュートでお茶目なお人柄も好感が持てます。そんな彼に信頼を置く葛原シェフは、「前任から引き継いだワインを土台に、高鍬色を入れながら日本一の品揃えで価格も良心的と言われる日を目指します」と宣言されるほど。
Champagne「アンリオ ブラン・ド・ブラン NV(
Henriot Blanc de Blancs NV)」
繊細さと優雅さを兼ね備えた200年の歴史を持つアンリオ。きめ細やかな泡立ちに白い花やレモン、ペストリーやフレッシュバターなどの複雑なアロマ。滑らかな口当たりで気品に溢れ、シャルドネのエレガントさを楽しめる一杯。
この日は、京都からの慌ただしい移動で夜に名古屋入りし、レミニセンスの開店祝いに駆け付けフルコースディナー。うだる暑さの中を凌ぎ、乾いた喉を潤すこの一杯に心が解れていく想いです。
第一章〜余韻〜「雲丹」、「キャビア」
一皿目の「雲丹」は、旧店舗をご存知の方であれば周知の同じ仕立てとなります。葛原シェフが食材の中で一番余韻が心地良いと感じる食材であり、これは新店舗でも変わりなく提供していくとのこと。佐賀の有田焼「カマチ陶舗(Kamachi Toho)」のドーム型の真っ白な陶器に添えられた最初の一品。葛粉とアオサのチップクルトン、エシャロットのピクルス 仕上げに佐賀の海苔を添えて。一口でいただくフィンガーフードで、様々な食感や味のアクセントに、雲丹の余韻をより引き立たせる海苔の磯の香りが心地良く感じられ、まさに〜余韻〜のテーマに相応しい一口。また、雲丹は、橘水産の3番札を意図して使われており、”三つ星”とかかって縁起が良いと思いませんか。今回は愛知県師崎港からの生雲丹と北海道産の生雲丹が2種類入荷していたため、特別に2種のブレンドで提供してくれています。異なる特徴を持った雲丹×雲丹が織り成す味の奥行きは余韻そのもの。
二皿目の「キャビア」は、天然酵母を使った食パンを小さな丸でくり抜き揚げ、ケンサキイカとキャビアを乗せ、花穂紫蘇とライムのパウダー、食感のアクセントに千切りした玉葱のフリットを添えた一品。ねっとりとした甘みの強いケンサキイカの中に、プチッと弾けるキャビア特有の濃厚な旨みが広がります。
阿吽の呼吸で仕上がっていく料理たち。葛原シェフが想いを込めた序章コンセプトからも伝わるように、食の豊かさや食の楽しさを感じてもらうことで、人生がより豊かになることを願い、一皿ひとさらに魂を注いでいるよう。
第一章〜余韻〜「フォアグラ」、「地魚」
次なる料理には面白い取り組みがプラスされ、「左手のフォアグラ・テリーヌをお召し上がりいただいてから、45秒に合わせた砂時計を立て、砂が落ち切ってから地魚(刺身)をお召し上がりいただくことで、その余韻をより楽しんでいただけます」との説明が。添えられた砂時計は、「東京硝子工芸」が手掛ける90秒の砂時計で、煎茶等を淹れたりする際に使われるSサイズの小振りなもの。90秒の半分である45秒に設定し横にして提供。余韻を追求するがゆえに取り入れた趣向ですが、様々な秒数での余韻を試されているため、70秒提供も視野に入れられているようで、新たな秒数の砂時計を製作中!
水の中に浸して丁寧に血抜きをした後、スチームオーブンで芯温を計りながら低温で火入れをし、上質な脂を残してしっとりと仕上げたフォアグラに、下にジャガイモのチップを敷きフォワグラを乗せ、黒胡椒、ヘーゼルナッツ、マンゴー、カカオニブ、ディル、エストラゴンに、最後に上から玉葱のチップとパウダーを散らして完成。個性の強いもの同士のように思える素材の掛け合わせが複雑味を生みながらも、感じられる一体感が流石の一言。
この日の地魚は「真鯛」。地元の愛知県師崎港で採れた鮮魚を丁寧に寝かせ、フレンチレストランではありますが、刺身で提供するという試み。山葵、胡麻だれ、オーリブオイルをごく僅かに使用し調味してあります。砂時計の砂が落ち切り、45秒経過し、食べ切ったフォアグラ・テリーヌの余韻を残しつつも口に運ぶ真鯛。同時に口にするよりも遥かに、真鯛の甘みと香りを楽しむことができました。
「ドメーヌ ド ボールナール シャトーヌフ デュ パプ ブラン 2021
(Chateauneuf du Pape Blanc Domaine de Beaurenard)」
鮮やかで輝くような金の色合いと薄緑が絡み合う夏に駆ける美しさ、アプリコットを想わせる豊かなアロマに、洋梨や桃の風味、ジャスミンの花が感じられ、フレッシュでミネラル感が楽しめつつ口当たりは滑らかで肉厚な印象を受けるオーガニック認証のワイン。次なる料理のレモンの爽やかさに合わせ、絶妙なペアリング。
第二章〜創造〜「鱧 レモン」
お次の〜創造〜は、新たな試みで、シェフが組み合わせたことのない食材を用いて仕上げています。夏らしく、澄んだブルーの器にレモンイエローがとても映え、涼しげな演出の「鱧」。骨切りした鱧をフリットにし、それに合わせてレモンを使い、酸味を効かせたものとバターや卵黄で炊いてまろやかに仕上げた2種類のクリームを合わせていただきます。北欧スウェーデン原産の西洋カブの一種であるルタバガという野菜を使ったピューレや様々なアクセントのハーブで楽しみます。フリットの香ばしさをレモンの爽やかさでまとめた渾身の一皿。フリットから感じる熱量はこの上なく、中の鱧からは湯気が昇ります!
Reminiscenc × Train Bleu「あられ」
岐阜・飛騨高山の「TRAIN BLEU(トラン・ブルー)」の成瀬正(Tadashi Naruse)さんが、レミニセンスの料理に寄り添うパンを焼いています。コース料理の合間合間に3種類提供され、8〜9割方仕上げてあるパンをオーブンで焼き上げ提供。米から作られるあられを同じ穀物同士の小麦パンと合わせることで、それぞれが主張する食感と香り、味わいを楽しむ一品。以前より、柔らかい食感にするために改良されており、もっちり感がより強調されたように感じます。
「レ・ボア・ブラン ソーミュール・シャンピニー 2015
(Les Bois Blanc Saumur Champigny 2015)」
チャレンジングなペアリングとなり、ロワールのカベルネ・フランと。2015年と少し熟成感の中に土っぽいニュアンスを感じるため、鮎の独特な苦味と合わせて。美しいルビー色。ブラックチェリーのアロマにスパイシーな香り、樽熟成による味わいには調和と果実味の凝縮感を楽しめ、繊細なタンニンが心地良く感じるワイン。
第二章〜創造〜「和良鮎 トリュフ」
岐阜県和良川で採れた「天然の鮎」。炭焼きの黒、肝ソースの黒、トリュフの黒に合わせ、富山八尾の木工作家ユニット「Shimoo Design(下尾デザイン)」の黒浮様 銀の鎹(kasugai)オーバルでクールな装い。鮎を三枚に下ろして、海苔の佃煮を使ったパートフィロ生地で巻き、枝豆とモッツァレラチーズを忍ばせ、香ばしくソテー した和良鮎。下ろした際に出る肝もソースとして使用し、味に深みをプラス。郡上で採れたお米を炊き、蓼酢を合わせたピューレやジャガイモのピューレ、エシャロットのレディクション(煮詰めたもの)、マデラ酒を煮詰めた甘めのソース、スライスしたトリュフやトリュフのヴィネグレットソースを添えて。手前には「鮎は塩焼きが一番美味しい」という葛原シェフの想いから、琵琶湖で漁れ指定したサイズ感の活け鮎を直前で串に刺し塩焼きにして添えているため、2種の鮎を楽しめます。鮎に合わせるワインの難易度は計り知れませんが、誇張し過ぎずに、パーフェクトに寄り添うワインと言えるでしょう。
「フランソワ・カリヨン サン・トーバン
1er ミュルジェ・デ・ダン・ド・シアン ブラン 2018
(FRANCOIS CARILLON SAINT AUBIN LES PITANGERETS 2018)」
ルイ・カリヨンといえば、ルフレーヴやソゼと並ぶピュリニィ・モンラッシェ屈指の造り手で、ブドウ栽培農家としての歴史は1632年と由緒正しき家柄。先代ルイの引退に伴い、2010年にドメーヌは兄弟二人で分割され、弟フランソワは、レ・ペリエールやシャン・ガン等の銘醸プルミエ・クリュを含む約5.4haの畑を継承し、兄のジャックが継いだドメーヌからは独立して、新ドメーヌ「フランソワ・カリヨン」を設立。2014年には「La Revue du Vin de France」にて、ブルゴーニュで最も偉大な50ドメーヌに選出され、注目を集めています。2013年にフランソワが購入したミュルジェ・デ・ダン・ド・シアンの畑は、ル・モンラッシェの丘を上がったところにある区画で、ピュリニィ・モンラッシェの1級畑シャン・ガンと隣接。リッチな果実の凝縮感が感じられ、ミネラルを伴う深みある味わいが楽しめるシャルドネ。
第二章〜創造〜「サスエ 緑菜」
焼津で創業60年の老舗鮮魚店「サスエ前田魚店」。5代目の前田尚毅(Naoki Maeda)さんは、魚の目利きの他にも、独自で考案した脱水締めと冷やしの技術を武器に、「魚の仕立て屋」として、今や国内に留まらず、2023年6月7日放送の「プロフェッショナル仕事の流儀」にも取り上げられたばかりで、世界のサスエとして国内外のグランメゾンから注目される魚屋の店主です。そんなサスエから仕入れる鮮魚を用いて究極の魚料理へと仕上げています。
この日の鮮魚は「金目鯛」で、鱗を付けたままカリカリの鱗焼きで仕上げています。皮面の香ばしさが伝わる鱗の立ち具合と、緑菜のタイトルに相応しい見目麗しい鮮やかなグリーンが西陣織を模した白い器に良く映えます。下には、オクラや新生姜を細かく切って合わせたものや明日葉のピューレ、シブレットと新生姜のオイルを盛り込み、焼き上げた金目鯛を乗せ、上から明日葉ソテー 、フリット、乾燥させたチップと様々な仕立てで食感を楽しみます。鶏と貝出汁をベースにバターや生クリームで繋いだソースは別添えで用意され、テーブル上で注ぎ入れ提供。ザクッ、サクサクッと異なる食感が生み出す心地良い咀嚼音が脳裏に響き、とろみのある食材とのまろやかさが相まった一皿。
Reminiscenc × Train Bleu「揚げぱん」
鰻の皿や魚の皿に合わせ、オリーブオイルで揚げた小さな丸パン。生地にフェンネルを練り込み、特有の香りを放ちます。
コースは第三章に突入し、お次も旧店舗時代から提供している「天岩戸」。葛原シェフが尊敬する和食屋の大将が「京都は水がとにかくいい」と話されていたことを機に、東海地方の湧水に興味を持ち、調べ上げたところ、伊勢の御神水の存在を知ります。環境省選定の名水百選にも選出されている伊勢志摩の国立公園の御神水「恵利原の水穴(天の岩戸)」の許可を取り、月に一、二度汲みに出向かれています。日本神話の中でも有名な一節「天照大神」の岩戸隠れの神話に登場する神秘的な洞窟。金沢の「secca(雪花)」にて、御神水の湧水をイメージし、神の盃として作られた器に洞窟岩を模した土台をオーダー製作し、装い新たに登場です!
余談ですが、レミニセンスの総支配人(Director)として従事されている髙橋直也(Naoya Takahashi)さんは、サービスマンとしての経歴が14年と長く、フレンチ、イタリアン、スペイン、和食と様々な業態でキャリアを積みながら培ったハートフルなホスピタリティ精神でお客様満足度の高いジェントルマン。その内面に見合うかのように「TOM FORD(トム・フォード)」のスーツに身を包み、「Christian Louboutin(クリスチャン・ルブタン)」の靴を履きこなして、レミニセンスの格上げにも貢献されています。
第三章〜記憶〜「天岩戸」
「天岩戸の御神水」を用いて名古屋コーチンと昆布と塩のみで作られ、塩分濃度は0.9%に下げた身体喜ぶ渾身のスープ。神の水の如く澄んだ印象を持つスープに癒され、喉に、胃に、肌に、深くコックリと沁み渡る命の水のよう。
「シャトー・デ・サラン・ロゼ・スクレ 2018/シャトー・デ・サラン
(Chateau des Sarrins Rose Secret Cotes de Provence 2018
/ Chateau des Sarrins) 」
クリスタルのような透明感を備えた輝きのある淡い色合い。木の樽で熟成させた香りは表現豊かで厚みを持ち、鰻の旨みに負けない辛口に仕上がっており、トーストしたアーモンドや砂糖漬けのオレンジを想わせます。まろやかなバランスのとれた味わいで、軽やかで滑らかなタンニン。渋みを全く感じさせない心地良く豊満で余韻の長い後味が広がるプロヴァンスのロゼをスペシャリテの鰻に合わせて。
第三章〜記憶〜「鰻」
養鰻100年を超える歴史の「三河一色」の「鰻」を炭火で焼き、胡麻で風味付けしたマグロのネギトロと鰻の肝を揚げたものを下に添え、酸味を効かせた海苔の佃煮や赤ワインのソースを添えて。炭火で香ばしく仕上げ、身はふんわりと柔らかく、あっさりとした脂が上質さを物語り、口福を感じる名古屋のレミニセンスだからこそのスペシャリテ。
器は同じく金沢の「secca(雪花)」で、矢作川の清流水で育った鰻を提供すべく、清流をイメージしオーダー製作。静と動を感じる器に鰻の焼き色が見事に映える装い。
「アルボワ ピノ・ノワール 1985/ドメーヌ・ロレ
(ARBOIS PINOT NOIR 1985/DOMAINE ROLET)」
お気付きの方もいらっしゃるでしょうが、[1985] のヴィンテージワイン。葛原シェフの生まれ年のピノ・ノワールのマグナムを贅沢にも御相伴させていただき、オープンとバースデーを重ねての祝杯!
スイス国境に程近いジュラ地方は、黄ワインや藁ワインといった個性溢れるワインが生み出される個性的な産地。ドメーヌ・ロレは、この地方の中でも特に優れたワインが出来上がる地域の一つで、アルボワに居を構える生産者。古樹のピノ・ノワールは、華やかで甘みを感じる可憐な紅茶のような香りも魅力の一つ。熟成を経て淡い色合いでたおやか、野性的なベリーの風味に土系スパイスを思わせる独特の風味、繊細さと大地の力を感じる滋味深い味わいと余韻の世界。
メインの肉料理用に仕上げたテーブルナイフは日本刀をイメージし、岐阜県「刃物屋三秀 関刃物ミュージアム」からの紹介で、日本刀を製作している鍛治職人が刃を担当し、美しいカーブを描いたハンドル部を「Shimoo Design(下尾デザイン)」が担った匠の合わせ技。美しい刃文が見られ、驚くほどに鋭い切れ味を持ち、僅かな反りをエッジに持たせ手に馴染む木製のハンドルで、力を加えずとも軽く手を添えた一太刀で、肉厚な断面美と出会えます。カトラリーレストも西陣織の華やかさを模して製作しており、凛とした佇まい。
第三章〜記憶〜「肉」
お肉は仕入れ次第で代わりますが、この日は「松坂牛」の内腿柔らかい赤身の部位シンシンを用意し、温蔵庫で3時間ほどかけてじっくりと火入れを行い、肉のポテンシャルを高めています。きめの細やかな肉質、上質な脂、色が濃く、旨みが凝縮された赤身。和牛香と呼ばれるに相応しい甘く深みを感じる上品な香りが鼻腔を抜け、香り立ちます。ソースは肉の出汁を煮詰めたもの、爽やかなフロマージュブランにレーズンやスパイス、緑色は柚子と酢橘を合わせたものを添え、味のアクセントを変えながら楽しめます。
第三章〜記憶〜「農福」
付け合わせでありながらも一皿の料理として提供される「農福」は、名古屋で障がい者の就労支援を行う「愛ふぁーむ」の野菜たち。”農業”と”福祉”と”飲食”を掛け合わせ、障がい者が大切に育てた農作物を料理人が美味しく調理し、そしてそのお店を訪れた人が美味しくいただくことで、売上の一部が障がい者の労働賃金に還元される「愛ふぁーむプロジェクト」の取り組みに賛同しているレミニセンス。愛情込めて大切に育てられた旬の野菜を、茹でたり、フリットにしたり、グリルやセミドライなど、様々な調理法で下処理し、野菜の香りや食感を最大限に引き出しています。ソースは、蛤出汁に生クリーム、バター、仕上げにコンテチーズを合わせたスープに、シェリーヴィネガーや焦バターソースを足らして仕上げ、広島県のハーブ農園の二代目・梶谷譲(Yuzuru Kajiya)さんが手掛ける「梶谷農園」のハーブを彩り、見目も楽しめるカラフルな色合いで提供。器は富山岩瀬の陶芸作家「釋永岳(Gaku Shakunaga)」のáge平鉢に盛り込まれ、大地の力強さをより感じる仕上がりに。
敢えて同時に提供せず、二口ほど肉をいただいてから出される野菜たち。絶妙な火入れで野菜の旨みを活かしつつも、食感をきちんと楽しめる仕上がりに、思わず付け合わせという存在を忘れてしまうほど!
Reminiscenc × Train Bleu「ヴァン(ワイン)」
新作パンの「ヴァン(ワイン)」はその名の通り、赤ワインに柑橘やスパイスの香りを移し、それを用いた生地を小さな双子に見立てて焼き上げています。一口頬張ると、芳醇なワイン香が仄かに楽しめます。
私たちが応援し葛原シェフに紹介した浜松の宝「天使音マスクメロン」は、今も健在で提供してくれており、ゲストにも好評とのこと。今までにない芳醇な香りを放ち、これほどまでにシルキーな舌触りがある天使音の果肉の場合、本来は生で食べた方が美味しいとされること、また、もともとメロンという食材をデサートに仕上げるのは極めて困難だと、各方面のシェフ達から断念されることも多かったのですが、諦めることなく何度も何度も試作をしてくれ、完成させた逸品。こちらは、2021年4月からレミニセンスのコースメニューに時折、登場しています。生産者の想いも汲んでくれる葛原シェフには本当に感謝しています。
第四章〜安堵〜「天使音メロン」
丸くくり抜いたメロンボールの上には、パウダースノーのように削った凍らせたメロンで口溶けを楽しめ、エディブルフラワーやミントの香り、トニックジュレが涼しげに添えられた爽やかなテイスト、黒糖クッキーの食感と共にコクと甘味の余韻の世界、程好く酸味を利かせたライムクリームとのタッチでは、天使音マスクメロンの甘味をより楽しませてくれるという粋な組み合わせ。微かに鼻をくすぐる品のある抹茶の香りと共に滑らかなチョコクリームメロンが軽やかに足並みを揃えて口福気分に。一口食べ進む毎に異なる味わいが重なり無限の美味しさが広がる面白い仕掛けがあり、天使音マスクメロンの本来の味を活かしながらも様々な顔が楽しめるこの一皿は至極の一品です。
「ホルフェ・オルドネス・マラガ・NO.2
ヴィクトリア・セレクシオン・エスペシアル・モスカテル・ドルチェ
(Malaga Victoria Moscatel Dulce Jorge Ordonez D.O Malaga)」
スペインはアンダルシアの地中海に面したマラガワインの歴史は、紀元前600年とギリシャ時代まで遡り、1500年代にイザベラ王女とフェルディナンド王によって愛されていた歴史がありますが、その後、オルドネス家やオーストリアのクラッハーが革命的なワインを造るまでは、その名を轟かせることはありませんでした。2004年に初ヴィンテージを生み出した後、2012年にストックホルムで開催されたノーベル賞晩餐会で、2010ヴィクトリアがデザート・ワインとしてサーブされ、復活の時を迎えています。樹齢50年以上のブドウで造られた凝縮感のある芳醇なワイン。良く冷やしていただくと夏の一夜のデザートワインとしても楽しめます。
デザート担当のシェフ・パティシエとして活躍される江藤勇太(Yuta Eto)くん。3年と3ヶ月の間、東京の老舗グランメゾン「Chez Inno(シェ・イノ)」の古賀純二(Junji Koga)さんのもとで修行された後、2021年からレミニセンスのチームに加わっており、細やかな気配りができ、サポート役としても柔軟に動かれ、頼り甲斐のある若者です。
第四章〜安堵〜「白桃」
山梨県のブランド桃「一宮プレミアム」は、糖度13度以上で、桃の姿形が整っており、美しい赤さで色付いたものだけをプレミアムとしています。メレンゲの半球カップにヘーゼルナッツのクッキーや桃のアイス、マスカルポーネチーズと桃を合わせたムースを詰め、上からスライスした桃を添えて。ルイボスティーのジュレやアーモンドのゼリー、ホワイトチョコパウダーをあしらい、旬の桃をふんだんに味わえる一品。
終章〜追憶〜
新たに始めたワゴンデセールの登場で歓喜の声が上がります。こちらは、葛原シェフが子供の頃に好きだったお菓子を再現し、お茶菓子として提供。今回は「雪見だいふく、ピノ、きのこの山、パイの実、ヤングドーナツ、カントリーマアム、ラムネ、ガトーショコラ、チーズケーキ、プッチンプリン、綿菓子」と、懐かしいお菓子が勢揃いし、11種類を用意。食後のドリンクと共に、この中から好きなものを4種類選ぶことができるのですが、どれも選び難く迷ってしまいます。
「雪見だいふく、ピノ」
雪国である金沢の冬支度として施される「雪吊り」を模して、「secca(雪花)」で製作した美しい冬景色の中には、雪見だいふくとアイスのピノが並びます。
「チーズケーキ」
「綿菓子」
「カントリーマアム、ヤングドーナツ」
「パイの実、ガトーショコラ」
「ラムネ」
「プッチンプリン」
「きのこの山」
デザート担当の江藤勇太(Yuta Eto)くん自らがサーブしてくれるお茶菓子たち。綿菓子片手に照れながらも、まるで縁日ではしゃぐ子供のような良い笑顔です♪
1人4種類ずつ選べるため、私たちは夫婦でそれぞれ4種類ずつチョイスし、合わせて8種類の盛り込みでオーダー。
目の前にお茶菓子が広がると、学校帰りに駄菓子屋に立ち寄った記憶や、家で祖父母と一緒にお菓子を頬張った記憶が、心地良く思い出されます。まさにその人それぞれの〜追憶〜がここに生まれます。
奥から、ちょっと大きめに作られたピノ、口溶けの良いラムネ、プティサイズのカントリーマアム、4個入りが懐かしいヤングドーナツ、とそれぞれに再現力があり、とてもユニークです。
手前から、本家本元よりも美味しいパイの実、葛原シェフの好きだった濃厚でクリーミィーなベイクドチーズケーキ。
本家本元と同じ花型で作る「プッチンプリン」は、甘さこそ控え目に感じますが、ぷるんと揺れる様子まで酷似しています。
「コーヒー」
食後のコーヒーは、名古屋市中川区にありますコーヒー豆専門店「JIMLAN COFFEE(ジムランコーヒー)」の西川賢志さんが、丁寧に焙煎したエチオピアのイルガチェフェ地区で栽培された豆を使用し、ジムランコーヒーで提供している技法と同じように、丁寧にハンドメイドのネルフィルターで淹れています。ローズを思わせる華やかな香りで柔らかな口当たりとフルーティーな甘味、心地良い酸がバランス良く感じられます。レミニセンスのコンセプトである「余韻と記憶」に相応しい、コーヒー本来の豆の香りやすっきりとした味わいと深い余韻が楽しめ、身体にスッと馴染む味わいの一杯。
全てのゲストを見送った後の静まり返ったレミニセンス・メインダイニング。まだ第三章は始まったばかりではありますが、オープン当初から見守ってきたレストランだけに、今回の移転を機に感じている進化に喜びを感じずにはいられません。
葛原シェフのもとには、オープン直後の一番大変な時期からずっとレミニセンスの司令塔として支えている古株のマネージャー榊原晃志(Koushi Sakakibara)くんを筆頭に、優秀なメンバーが揃い、最強のチームでグランメゾンの名に恥じないレストランへと駆け上がる、この10名の自信と希望に満ち溢れた勇姿を目の当たりにした夜。今後も足を運びたいレストランとして成長し続けるレミニセンスを応援していきたいと思います。
レミニセンス第三章の始まり。
移転オープン、そしてお誕生日おめでとうございます!
2023/08/02 更新
日本フレンチレストラン界の二大巨頭である東の「Quintessence(カンテサンス)」、西の「HAJIME(ハジメ)」と、フランス料理の名店で研鑽を積み、名古屋で自身の誕生日でもある2015年7月23日に独立した「Reminiscence(レミニセンス)」の葛原将季(Masaki Kuzuhara)シェフが開業8周年となり、9周年目を迎えた今、新たなステージに挑戦するために、車道へ移転し、グランメゾンを目指しリニューアルオープン致しました。
新しいステージとして選んだ場所は名古屋・車道。かつて尾張藩の別宅としてあった御下屋敷の建設のため石材を車で曳いて運んでいたことがこの町名の由来。このエリアは一部開発は進んではいるものの、昔ながらの住宅やマンションが今でも残る住宅街。細長くクランクした土地に建てられた店舗はメイン道路からも路地裏からもアクセスができ、レストランのメインエントランスはあえて狭い路地裏を選択。そこはまるで、幼少期に登下校するときに近道として使っていた路地裏のようで、古くからある家の軒下には洗濯物が掛けられ、おばあちゃんが登下校する子供たちを温かく見守っているような情景が目に浮かびます。
「Reminiscenc/レミニセンス」は、過去を偲ぶ「追憶」という意味を持ち、オーナーシェフ葛原将季(Masaki Kuzuhara)は、人生を豊かにするために最も大切なものは「思い出」であり、それこそが本当の豊かさであると考えています。この店名を掲げ、自身のレストランで過ごす時間は、ただお腹を満たすためだけの場所としてではなく、その瞬間を良き思い出として記憶に残せるよう、料理やサービスのみならず、ここでしか得ることのできない唯一無二の体験とは何なのか自問自答を繰り返してきました。まさに、この新店舗はレミニセンスの哲学を究極まで推し進め具現化したものです。
そんな昔の記憶に浸りながら、裏路地を進んだその先に伺える新たな扉。それは現在と過去の記憶を繋ぐタイムゲート。その扉をゆっくり開けると、夢の中に迷い込んだような白い別世界が現れます。その空間で目を瞑り、心を落ち着け、過去の記憶を思い出してみてください。記憶を辿りながらアプローチを進むと、その先には窓から光が差し込み、明確なビジョンが脳内に広がっていくのを感じられることでしょう。
白を基調としたこの空間は、シェフが幼少期に雪遊びをした北国の記憶や、料理に対する哲学、自然の摂理といった、形を持たない”イデア”を造形化。ゴツゴツした力強い造型と、不規則な曲面と流線的なカーブという、ある種相反する不調和で空間は、おぼろげな遠い記憶を辿ろうとしている脳内のイメージを表現しています。
新店舗の構想段階から携わっていたこともあり、待ちに待ったオープン日。葛原シェフの人望を表すかのように、友人知人仲間たちからのお祝いに溢れ彩られるエントランス。私たちもディナータイムでお祝いに駆け付けることができました。ウェイティングブースでは、「Louis Poulsen(ルイス・ポールセン)」Wohlert(ウォラート)のペンダントライトから注がれる柔らかな灯りでお出迎え。
「Nanna Ditzel(ナナ・ディッツェル)」のソファND-02、ND-01は、1952年にデザインされたもので、こちらは近年、飛騨高山の北欧家具メーカー「Kitani(キタニ)」によって復刻されたモデル。座面の生地は、葛原シェフ自らが厳選した京都の西陣織りを「HOSOO(細尾)」にて張り替え。サイドテーブルも同じく「Kitani(キタニ)」で、岩倉 榮利(Eiri Iwakura)デザインの脚線美を持つローテーブルIE-06ST、IE-07STの有機的な変形三角天版とサークル天板を組み合わせることで、動きを出しています。
光に反射し、神秘的な雪国のような存在感がある上質な生地は、滑らかな肌触りで身体を優しく包んでくれます。
オープンに贈呈した私たちからの開店祝い「Eilersen IW2 CHAIR(アイラーセン)」も華やかに祝い花に囲まれ誇らし気。
「Eilersen IW2 CHAIR(アイラーセン)」
IW2 CHEAR / この椅子はデンマークで1895年創業の高級ソファブランド「eilersen」の120周年を記念して2015年に国内限定100脚のみ復刻されました。ミッドセンチュリー期のデンマークを代表するデザイナーのクリスチャン・イルム・ヴィッケルソーによるデザインで、1958年に発売された椅子を忠実に再現しています。背もたれのスポークと重なりあった座面から前方へ伸びるアームの有機的なラインが美しく、置いてあるだけでも絵になるデザインです。こちらはレミニセンスの移転オープンのお祝いとして贈られたものです。この椅子が選ばれた理由はレミニセンスがオープンした同年である2015年に製造され、同じ年月を歩んできたからです。そしてこの椅子は経年変化に伴い傷や塗装にひびが入っていますが、敢えてそのままの状態にしてあります。それはレミニセンスでの素晴らしい体験が多くの人の心に刻まれてきたことと同じだと考えているからです。今回のインスタレーションによって、レミニセンスの料理の味や盛り付けなどの見た目を超えた葛原将季シェフの料理に込めた本質的な哲学を感じ取って頂きたいと思います。このインスタレーションからは「過去」、「現在」、「未来」の三つの要素を感じることができます。また椅子は人々が「座る」ことによって、身体を「リラックス」させるものでもあり、心と魂を「解放」するために作られたものでもあります。この椅子を通じてレミニセンスの葛原将季シェフの料理に込めた「スタイル」、「哲学」、「コンセプト」を感じてください。
Joseph Kosuth, One and Three Chairs, 1965. Courtesy the artist and Sean Kelly Gallery New York
今回のIW2チェアのインスタレーションは、「ジョセフ・コスース(Joseph Kosuth)」の作品である「one and three chairs」をオマージュしています。実際の椅子、椅子の写真、椅子の説明の3つで構成することに意味があり、そこにメッセージが込められています。アートとは、ただ綺麗に書くだけ、作品を制作するだけという表面的なものでよいのかというアンチテーゼから、彼らが新しい表現の一つとして生み出したコンセプチュアルアートです。
これらはレストラン業界にも置き換えて考えることができます。世界のレストランのトレンドや存在意義そのものが大きく変わろうとする中、ベストレストランで1位になった南米ペルーの「Central(セントラル)」がそれを象徴しており、これらの現代アートから今後のレストラン業界について考え直してもらえるきっかけになればと。アートもビジネスも、そしてレストランも基本は同じであり、それらにそもそも境界線はないと考えます。経済学者のシュンペーターの「新結合」の理論も、デュシャンの「レディメイド」の作品もその根本は同じであり、どちらも物事に対して固定概念とは異なる違った見方をし、様々なことを「考える」ことから、「新しい価値を創造する」ことの重要性を示しています。
これはまさに哲学であり、ソクラテスの「フィロソフィア」そのものです。フィロソフィアは日本語で表現すると「知を愛する」となり、様々なことに対して「考えることへの探求心」こそが重要であると説いています。いつも思うことですが、「愛知」というエリアはまさにフィロソフィアを象徴するような地名であり、そのような場所にあるレミニセンスは何か運命的なものを感じます。
今回、なぜお祝いにアートを題材にしたインスタレーションにしたかというと、ここに書かれていること以外メッセージが組み込まれており、それは既に葛原シェフに伝えてあります。アートに対する考え方・捉え方は人それぞれですので、このインスタレーションをご覧になった方が、それぞれ何らかを感じ取ってくだされば幸いです。
今回、店舗デザインを担当された「Design plus alpha(デザイン プラス アルファ)」の建築デザイナー:西村武史(Takeshi Nishimura)さんが、葛原シェフの理想とする創造の世界をイメージして創り上げています。コンセプトに沿った白を基調としシンプルモダンに仕上がったメインダイニング。
神秘的なアプローチでメインダイニングへと向かう長い廊下をゆっくりと歩き進めると、それは「追憶」のステージをさらに進めていくための重要なプロセスであり、この空間で様々な記憶が脳内を駆け抜けます。辿り着いた記憶のその先には、”かまくら”を彷彿させるアーチが見え、アーチをくぐると、そこには白と光で演出された神秘的なメインダイニングへと広がっていきます。
その空間はまるで、”かまくら”の中で揺らめくロウソクのように、伝統文様があしらわれた大円形のライトから柔らかな光が降り注ぎ、希成に彩られた「Jacob Kjær(ヤコブケア)」の椅子に照らし出され、訪れるゲストを優しく包み込むように。メインダイニングに身を置いた瞬間、この先にある未知なる体験に期待感と緊張感が一気に高まっていきます。
この空間で五感を満たす体験が脳内を駆け巡り、新たな記憶として刻まれ、感動をシナプスのように繋いでゆく。レミニセンスはまさに未来における「追憶」を生み出すシステムそのものであると言えます。
席数4名〜6名対応できる二つの個室を繋げることで、10名ほどまで対応可能となり、プライベート感が保てる個室。同じく「Kitani(キタニ)」の「Jacob Kjær(ヤコブケア)」JK-02を、こちらも「HOSOO(細尾)」の京都西陣織りに張り替えています。
白で統一された店内に合わせ、階段もホワイト仕様に仕上げ、階段の踊り場左手には、2階のワインセラー入り口と、右手にはVIP専用の個室を用意。
2階VIPルーム
ゆったりと6名ほどで利用可能となるVIP専用の個室には、「Kitani(キタニ)」で特注した長テーブルと背中をすっぽりと包み込み、安らぎを感じるJacob Kjær 1948 JK-05が配され、コンテンポラリースタイルのテラスを設けており、屋外テラスの雰囲気も楽しめます。
”かまくら”の雪を模したワインセラーは、1階〜2階にかけて、天高くズラリと2,000本に及ぶ厳選ワインたちを収蔵。
ワインはブルゴーニュを中心にセレクトおり、通常手に入らない希少価値の高いボトルも多数保有。 ペアリングではリストに載っていてもなかなか頼まないような、けれど美味しいアイテムを提供し、ワインの楽しさを感じていただけるようなセレクトを心がげられているとのこと。必ず正規品しか購入しないことをこだわりとしているため品質には自信があると伺っています。ワインセラー内の至るところに温度計を設置し、徹底した温度管理により、ワインにとって適正な熟成で保管され、クオリティを損なうことなく提供しています。
北口にはレストラン併設の「Wine Bar K」の入り口を用意。まるで自邸に帰ってきたかのような入りやすさがあり、気軽に足を運べます。
営業時間は、夜19:00〜0:00の営業となるため、ディナー前のアペリティフに、またはディナー後の一杯、もしくはBar使いのみとしても対応可能。
「レミニセンス」とは異なり、やや柔らかな印象を放つシャネルベージュを基調とした店内には、レストランの待合同様の「Louis Poulsen(ルイス・ポールセン)」Wohlert(ウォラート)のペンダントライトが柔らかな光を届け、天窓から注がれる月明かりが楽しめる神秘的な空間に。こちらでも”かまくら”を彷彿とさせるアーチトップのバックバー、アフリカ産のベリー木材をベースに、パティーヌ染色を施した風合いのあるレザーを用いたカウンターの天板、レストラン同様にしつらえた「Kitani(キタニ)」の「Jacob Kjær(ヤコブケア)」JK-05を温かみのある赤茶で仕上げ、優しく体にフィットし居心地の良い空間に。
山口華央里(Kaori Yamaguchi)
岐阜県瑞穂市生まれ。大学卒業後は急性期病院で約5年看護師を務め、所属は、循環器、呼吸器、消化器の混合病棟を担当。コロナ初期からコロナ病棟へ配属。患者様の一番辛い時に寄り添う看護師と言う職業に、誇りとやりがいを感じつつも、コロナ病棟で働き患者様と関わる中、人生にはいつ何が起こるか分からないということを強く痛感し、一度きりの人生に後悔のないように選択しようと決意。「看護師が嫌で辞めたの?」とお客様や周りから聞かれることが多いのですが、看護師という職業は今でも本当に尊敬しておりますし大好きで、看護師として働いた経験は大きな財産となっています。コロナ第3波が落ち着いたタイミングで「レミニセンス」を訪れた際、お客様の笑顔が溢れ、お客様に幸せな瞬間を提供する素晴らしい職業に感銘を受け、飲食業界に憧れを抱きます。もともとワインに興味があり、葛原シェフの助言もあったことから、資格取得を目指し、看護師とワインスクールを両立させながら、2022年に資格を取得。その後、恩師である「セッタンタ」のソムリエ成瀬がオーナーのワインバー「ドンナルーチェ」にて7ヶ月間修行した後、「レミニセンス」に併設する「Wine Bar K」へ移り現在に至ります。
レミニセンス共有のワインを嗜むことができるワインバー。現在、Foodは季節のフルーツやチーズなどをワインの当てに用意しており、今後は高級食材を用いたキッシュやパスタなどのメニューを徐々に充実させていく予定。ショーケースに飾られた「Baccarat(バカラ)」マッセナ ワイングラスの輝きがミラー越しに幾重にも重なり、千客万来を願っております。
レミニセンス第三章の始まり。移転オープンおめでとうございます!
グランメゾンへと成長する次ステージへ向けたコンセプトと、店舗内容が伝わる〜新店舗編〜のお次は、キッチン内で熱く繰り広げられるチームワークの様子とフルコースのディナーメニューを紹介する〜コース料理編〜となります。