『私の医院でロサンゼルスで歯内療法専門医として開業の清水先生の講演と実習』腹ぺこ歯医者さんの日記

レビュアーのカバー画像

腹ぺこ歯医者のレストランガイド

メッセージを送る

腹ぺこ歯医者 (60代後半・男性・愛知県) 認証済

日記詳細

日本に住んでいるとピンと来ないが、外国から見ると私達は優秀な健康保険システムの下で安くて高度な医療を受けていることを知ることとなる。しかし、世の中には安くて良いものというのは何処か無理がある訳で、歯科の分野において言うと、日本の歯科治療は世界的に見ると「そんなこと許されるのか!」と外人歯科医師を驚かせることが多い。まず、日本の健康保険で認められてる歯冠補綴材料はパラジウムが入った金属だが、このパラジウムというのはアレルギーなどの多くの問題を引き起こすので、海外では使用が許可されていない材料だ。

もう一つ、大きなシステムの違いとしては、日本でも眼科医が産婦人科内容の治療をするということは無い。僻地などで医療環境が悪い場合は一般医にておおよその診断をつけ、しかるべき科に紹介されるというのが通例だ。ところが日本に於いては歯科医師というライセンスで親知らずを抜いたり、歯の神経を処置したり、入れ歯を造ったり、まあ、何でも屋だ。強いて言うと矯正歯科だけは専門に開業して居るケースがあるが、矯正歯科は基本的には健康保険が効かない治療だ。

アメリカでも一般歯科医師が神経の治療をしたり、入れ歯をつくることが有るにはあるが、歯を抜くのは口腔外科医で、歯の神経を治療するのは歯内療法医で、歯に被せものをしたり、義歯を作るのは補綴医という専門の先生だ。高度な治療を受けたいのであれば専門の先生にしかるべき治療費を支払い治療を受けることになる。

日本においては神経の治療が健康保険で認められている。しかし、その治療に支払われる料金はアメリカの専門医の10分の1~30分の1だ。健康保険に入っているということは健康保険医を辞退しなければ自由に料金を決めることはできない。しかし、現在の日本で歯の神経の治療を健康保険を使用せずにアメリカと同じような料金で治療する医院を開業するという地盤が日本には無いのだ!

清水先生はアメリカの大学院で歯の神経を治療することを学んだが、その高度な技術を発揮する場所が日本には無いのでアメリカで開業せざるを得なかったという事情がある。しかし、今や日本も世界標準の治療費を支払っても良い治療を受けたいというニーズは国民の中で高まってきている。

昨日は日本の歯科大学の歯内療法科で治療している先生達や、世界レベルの治療をマスターしようとする先生が私の歯科医院に集まって来た。清水先生の教えを受ける為だ。私の医院にはアメリカの歯内療法専門医のオフィスと同じ設備があるので実習場所としては最適なのだ。

昨日の講演と実習には私の医院のスタッフを始めとして大分から埼玉まで全国から一流の歯内療法専門医を目指す若い歯科医師が集まって来た。彼らは「世界レベルの治療を行わなければ未来は無い」ことを既に感じ取っている優秀な先生方だ。とにかく、世界レベルを意識して目指すことが日本の歯科界は急務だと思う。
ページの先頭へ