*そば粉とつなぎ
蕎麦を蕎麦粉100%で打つ場合は蕎麦粉に含まれる蛋白質の粘性を利用して打つわけだが、この蛋白質は水溶性で茹でると湯に溶け出してしまいます。
そのため生粉打ちの蕎麦は茹でた後に特に切れやすくなります。
そんなこともあり、蕎麦粉には「つなぎ」を加えて打つのが一般的です。
「つなぎ」には小麦粉が多く使われていますが、地方によっては卵、山芋、海藻等が使われる場合もあるようです。
蕎麦粉に加える小麦粉のことを「割り粉」と呼びます。
そして蕎麦粉と割り粉の割合を「割り」と呼び、蕎麦粉8割、割り粉2割は「二八蕎麦」になります。
この「割り」に対して藪系と一茶庵系では解釈が違い、藪系では粉の総重量を8:2で計算するのに対して、一茶庵系では蕎麦粉の重量の20%を割り粉の重量として計算しています。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、一茶庵系の方が割り粉の量は少なくなります。
蕎麦粉80g:小麦粉20g・・・藪系の二八
蕎麦粉80g:小麦粉16g・・・一茶庵系の二八(藪系の外二)
一つ興味深い実験データが有るのですが、同じ量の蕎麦粉と小麦粉双方に同じ量の水を同時に加えて放置するというものです。
蕎麦粉の方は水に触れた一部分が直ぐに水を取り込み、そのまま時間が経っても変化が見られないのに対して、小麦粉は時間をかけてゆっくりと粉全体に浸潤してゆくというものです。
この事から分かるのは、簡単に言うと蕎麦粉は水と均一に混ざりにくく、小麦粉は適当に混ぜても時間が経つと全体にしっかりと混ざるということです。
うどんは製麺の課程で寝かせる工程がありますが、それもこの小麦粉の特性を考えての合理的な手法です。