レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2011/09訪問 2012/01/29
2011年12月 再訪
一杯のラーメンで幸せを感じる
2011年年末の北海道は寒波が押し寄せ、厳しい気候です。
前回9月にお邪魔して以来3ヶ月ぶりの訪問となりました。
降りしきる雪の中を平和駅から歩きましたが、街路樹のナナカマドはすっかり葉を落とし、残った赤い実が一面の雪景色の中で目に染みるようです。
広い幹線道路に出るとさすがに交通量は多くなりますが、歩いている人はほとんどいませんね。
我々はよっぽどの物好きという事になるのでしょうか。
さて今回も雪の中での行列を覚悟して行ったのですが、何とラッキーな事に行列はありませんでした。
と言っても店内は満員で、店の中で少しは待ちました。
今回いただいたのは名古屋コーチンの塩味。
スープは名古屋コーチンから取られた清湯で綺麗に澄んでいます。
鶏の深い旨みが広がり、仄かに魚介がサポートしています。
塩味は、塩が入っているのを忘れさせるほど馴染んでいますね。
相変わらず素晴らしい完成度です。
寒い中をはるばる歩いて来た甲斐がありました。
札幌に来たら必ず味わいたい一杯です。
余談
店主の方が従業員に丼の洗い直しを指示していましたが、怒るという口調ではなく、静かに諭すように話されていました。
仕事に対する厳しい姿勢を持ちながら、一方で店の雰囲気作りを考慮した真にプロフェッショナルな仕事ぶりでした。
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2011年9月 初訪
地元レビュアーの方も絶賛されている菜々兵衛さんに、ようやく訪問できました。
札幌駅から千歳線の普通列車に乗り、平和駅で降ります。
駅からは徒歩でお店を目指しますが、大体20分くらいでしょうか。
気温は23℃前後で暑くも無く、寒くも無く、丁度よい感じで、歩いていても快適です。
少し色づいたナナカマドの実がいかにも北海道にいることを実感させてくれます。
お店に到着したのは開店時間を30分過ぎた11時30分。
すでに10名ほどの方々が並んでいました。
行列必至の人気店に行く時の必須アイテムである文庫本を読みながら待っていると意外に早く、20分ほどで入店できました。
外から見ると小さなお店に見えましたが、中に入ってみると意外に広く、厨房前のカウンター席の他に小上がりのお座敷が結構広いです。
注文は券売機では無く、並んでいる時に注文を聞かれます。
そんな訳で席に着けばあまり待たずに出てきます。
今回いただいたのは、鶏白湯・塩の大盛り。
先ずビジュアルが素晴らしい。
トッピングは、大ぶりの肩ロースチャーシュー、穂先メンマ、青ネギの3品ですが丼の半分以上を覆っているチャーシューは迫力があります。
いつものようにスープからいただきました。
第一印象は、くせの無いさっぱりとした感じ。
次に仄かな魚介の風味を感じ、中心素材である鶏は非常に熟れていて表面的には主張してきません。
しかしながら、高い次元でそれらの素材が融合し、何とも言えない奥深い味わいを形成している。
素晴らしい完成度です。
塩分濃度も、最初の熱々の状態から食べ終わり直前くらいの時間を想定した計算しつくされたもので、真に技を感じました。
麺は中細のストレートですが風味、喉ごし共に秀逸です。
茹で加減も完璧で強いコシが楽しめました。
トッピングの具は少ない方ですが、それぞれの完成度は非凡なものを感じさせます。
特にチャーシューは、スープの味を邪魔しない上品な味付けでながら複雑な旨みがぎゅっと詰まった感じ。
長めの穂先メンマもスープに溶け込んでいる。
スープ、麺、具のバランスが取れた至高の一杯でした。
今回の北海道旅行は、この一杯を味わっただけで十分な価値がありました。
2位
1回
2013/07訪問 2025/02/05
2014年10月 再訪 手本となる蕎麦
蕎麦職人の世界では「一鉢、二延し、三庖丁」という言葉がある。
これは蕎麦打ち技術の難しさを表したもので、一番難しいのが最初の工程の木鉢での作業とされている。
木鉢の作業は蕎麦の繋がりに影響し、延しと庖丁は麺線の正確さに直結する。
この中で2番目の延しの作業だが、予め決められた厚さに均一に延ばすのはとても難しい作業だ。
実際にプロの職人さんでもこの部分の作業が完璧に出来るのは、今まで回ったお蕎麦屋さんの中でも
一握りしかいない。
そんな観点からすると、こちらの蕎麦は手本となるような見事なものだ。
繋がり状態はもちろん素晴らしく、麺線の正確さは延し厚と庖丁の切り幅がぴたりと合い、
断面は正確な四角形を形成している。
この美しい蕎麦を写真でお伝え出来ないのは残念だが、蕎麦好きの方は是非一度は見ていただきたい。
今回は約1年ぶりの訪問でしたが、常陸秋を使った蕎麦は香り、風味共に申し分無く
十分楽しませていただきました。
相変わらず全てが整った素晴らしい蕎麦です。
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2013年7月 再訪
関東地方でも梅雨明けして一気に夏に突入した感じです。
今日はまた快晴で気温は35℃近くはあるのではないでしょうか。
麺類が大好きな私ですが暑くなって来るとラーメンよりも蕎麦に惹かれます。
そんな訳で約2年ぶりにすぎはらさんにお邪魔しました。
前回は夜だったので建物や庭の様子が良く分かりませんでしたが、昼間に見ると前庭が思ったよりも広く、植栽の緑が目に染み込むようです。
入口は少し素っ気ない感じではありますが一歩店内に踏み込むと、高めの天井と落ち着いた内装でコンパクトな部屋ながら独特の雰囲気があります。各テーブルもぶ厚い木材の天板と金属の脚を組み合わせた特注品と思われる物でセンスの良さを感じさせます。
この日は平日でしたが昼時だったため結構混んでいて、私が入店した段階で4人用のテーブルが一つだけ空いていました。
私の直ぐ後に3人連れのお客様が見えたのですが待たされていました。
相席はさせないシステムのようです。
さて久々に伺ってみて残念だったのは挽きぐるみの手挽き蕎麦が無くなっていた事。
季節的な意味合いで中断していると思われますが、今の時期は丸抜きを電動の石臼で製粉した普通のせいろ蕎麦のみ。
玄蕎麦は茨城県産との事ですので、いわゆる常陸秋そばですね。
割は5分(5%)ということで、ほとんど生粉打ちに近い感じでしょうか。
今回は天せいろ+お代わり1枚でお願いしました。
程なく天ぷら、せいろの順で運ばれて来ました。
蕎麦は極細打ちで相変わらず麺線がきれいです。
1.2mm前後の切り幅で延し厚ともぴったり合っている。
繋がり状態は文句の付けようがありません。
今の季節は蕎麦にとって最も厳しい頃ですが、その割には雑味の無い上品な香りが漂い、常陸秋そば独特の甘みも感じられます。
美味しいです。
せいろ一枚の量は50gくらいでしょうか。
2枚食べて丁度良い感じです。
前にも感じた事ですがお店全体のスタイルが静岡の薮蕎麦 宮本さんに良く似ていて、自家製粉という点を始め、蕎麦の姿や器等でも共通項が見られるのが興味深いところです。(ついでに写真撮影禁止も同じです)
最寄りの橋本駅からも遠く、訪れるには少々不便な立地ではありますが、神奈川県では屈指のお蕎麦屋さんと言えそうです。
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2011年3月 初訪
最近でこそ、石臼挽き自家製粉の店は増えてきましたが、その中でも原材料(玄蕎麦)の吟味と保管にまで気を使っている店となると数が限られてきます。
石臼製粉は挽く時に熱が発生しにくく、粉の劣化を防ぐ事ができます。
さらにその工程を手挽きで行うと、玄蕎麦、丸抜きの投入量や回転スピードを理想的に調整でき、現段階では究極の製粉方法と言えるでしょう。
だだその一方で、作業効率の点から見ると電動の石臼と比べ劣っています。
1時間当たりに取れる粉の量がはるかに少なくなるのです。
そんな手間と時間がかかる製粉方法で、香り高い蕎麦を提供しているのが、こちらの「蕎竹庵・すぎはら」さんです。
ラストオーダー時間の15分前の、ぎりぎりのタイミングでお邪魔しました。
お店は幹線道路から細い路地を入った住宅街の閑静な環境にあり、看板も控えめな灯りで夜間は見つけづらいかもしれません。
風雅な植栽を施したアプローチを経て店内に入ると明るく柔らかい光に包まれます。
席数は14席と少なめですが、高めの天井と広く取られたレイアウトで落ち着いた空間が保たれていました。
注文は、にしん棒、玉子焼き(2人前)、天ぷらせいろ、にしん蕎麦、蕎麦掻きをお願いしました。
肝心の蕎麦ですが、茨城県産の玄蕎麦を使用した生粉打ちで、麺線は1mm程度の細打ちです。
まず繋がり具合に驚かされました。
細かく切れた部分がほとんど無く、完璧に繋がっています。
包丁もきれいで、伸し幅、切り幅が正確に揃っていました。
石臼を3回通し、甘皮部分まで挽き込まれた蕎麦粉は、ふくよかな香りを漂わせ鼻腔をくすぐります。
細打ちのため喉ごしも良く、久々に完成された蕎麦を味わう事ができました。
辛汁は、藪系本来の濃度を保ち、だしもしっかりと利いていて申し分なし。
6日間かけて作られるにしん棒も仕上がりが素晴らしく、皮目もきれいに残っていて、丁寧な仕事ぶりが伺えました。
藪御三家、池之端藪蕎麦の流れをくむ店は、柏の「竹やぶ」さん、静岡県島田市の「藪蕎麦・宮本」さん等が有名ですが、こちらのお店も蕎麦に対するストイックな姿勢が感じられ、特にその仕事ぶりや提供方法等で「藪蕎麦・宮本」さんとの共通項が見られました。
藪蕎麦・宮本さんもそうですが、こちらのお店の蕎麦の量も少ないです。
CPの点から言うと高いと思う人がいるかもしれませんが、要は蕎麦に対して何を求めるかということではないでしょうか。
単に食事の一環としてとらえれば、それは高価な食べ物になってしまいます。
一方で、目に見えない舞台裏を理解し、純粋に蕎麦の味を追求される方にとっては納得の価格となるでしょう。
今回は、思いがけず素晴らしい蕎麦に出会うことができ、その余韻を楽しみながら店を後にしました。
※ 残念ですが、店内撮影禁止のため、外観のみの写真となりました。
3位
1回
2011/03訪問 2011/03/09
3月に入ったとはいえ、夜ともなるとまだまだ冷え込みます。
冷たい小雨の降る中、今回はマイレビュアー様の情報によりお伺いしました。
場所は、オークラフロンティアホテル海老名より程近い交差点の側に在ります。
海老名駅から歩くと12〜3分はかかるでしょうか。
遠目からはもちろん、近づいてもお店の存在は分かりにくく、僅かに窓に書かれた「地中海料理」の表記がお店の存在を主張しています。
店内は14席ほどのコンパクトな造りながら各テーブルには小さな花が飾られ、さらに予約席にはキャンドルが置かれていて、落ち着いた和みの空間が演出されていました。
今回お願いしたのは、飛騨牛の煮込みのコース、アカザ海老のコースの2点。
両コースともメインディッシュが違うだけで、その他の料理は共通でした。
以下はコースの内容です。
アペリティフ(たらば蟹とコンソメジュレ)
ダブルコンソメと思われるジュレは口の中で溶け、深い旨みが広がります。たらば蟹のほぐし身とのバランスも良く、生クリームが全体をマイルドにまとめていました。
前菜(天然海老のグリル・バジルソース、活きオマールのミニサラダ、地中海マグロのカルパッチョ、イベリコ豚のサラミ、生ハム、
フォアグラのパテ)
海老を除いて、それぞれ少量ですが使われている食材は錚々たるもの。
食材の良さを生かしながら、ストレートに表現するような非常に満足度の高い一皿でした。
パスタ(モッツァレラとパルミジャーノのトマトソース)
大ぶりのモッツァレラがごろごろ入っている。
パスタはアルデンテでマイルドなトマトソースが全体をまとめている。
メイン(飛騨牛の赤ワイン煮)
肉は軽くナイフを上に置いただけで崩れるほど柔らかく、長時間煮込まれた赤ワインのコク、微かな酸味が加わり、奥深い味わいでした。肉の下に敷かれたほうれん草のバターソテーとも好相性です。
メイン(アカザ海老のグリル)
海老の産地は伺いませんでしたが関東近郊では駿河湾沖で獲れる物が一般的です。漁獲量が少ないため一般の店頭では滅多にお目にかかれません。
そんな貴重な海老を使った料理ですが、とにかく鮮度が良く、ぷりぷりの身は一口噛めば甘さと旨みが広がります。
ソースの味は控えめで、脇役に徹している感じでした。
デザート(苺のショートケーキ、カボチャのプリン、フランボワーズのソルベ)
ショートケーキやプリンは比較的に手間のかかる仕事ですが、それぞれ丁寧に作られていました。
総体的に、使われている食材等を考えると非常にリーズナブルと言える値段設定で満足度はかなり高いです。
予約専門のお店ですが、ご夫婦二人という最小人数で、しかもレベルの高い料理を提供するためには当然の帰結かもしれません。
ちなみに、この日は、他に予約されていたお客様が都合でキャンセルされたため貸し切り状態での食事となりました。
お陰様で、贅沢な環境で楽しいひとときを過ごす事ができました。
アットホームな暖かみのある接客も心に残ります。
ごちそう様でした。
4位
1回
2011/07訪問 2011/07/26
マイレビュアー様の情報によりお邪魔しました。
平塚駅南口より徒歩5分ほどでしょうか。
入口は広い通りから少し右に入ったところにあり、あまり目立たない感じです。
にっぽん料理nononaの看板を確認して2階に上がります。
今日のランチはどうやら貸し切りのようです。
ランチタイムの料理はお任せのみで2コース(3600円、5250円)あり、今回は5250円のコースをお願いしました。
炊き合わせ:南京、茄子、空心菜、モロヘイヤ
素材の味を生かす上品な味で、炊き合わせに葉物の野菜は珍しい。
椀物:焼きトウモロコシ真薯椀、赤オクラ
真薯地にはたっぷりの焼きトウモロコシが混ぜられていて、何とも香ばしい。
お造り:金目鯛、真蛸、湯葉
焼き締めの器にシンプルに盛られています。
金目鯛は脂が乗っていて美味でした。
揚げ物:鰺、ドライトマト、ポン酢
鰺の鮮度がわかる柔らかい揚げ上がりでマイルドなポン酢でさっぱりといただきました。
付け合わせのドライトマトも味が凝縮されていてすばらしかった。
冷製茄子のスープ
炊いた茄子をピュレ状にしてダシで伸ばしたと思われるが、茄子がしっかりと主張していました。
焼き物:地鶏、揚げ人参、揚げ新ジャガイモ
鶏肉は外側がカリカリで香ばしく、内側は柔らかくジューシー。
素揚げの野菜も甘さが引き立ち、美味しくいtだきました。
酢の物:もずく酢
味、食感共に申し分なし。
食事:ご飯、香の物、じゃこ山椒、赤だし
ご飯は専用の鍋で炊きたてを提供してくれます。
そんなご飯は粒立ちも良く、ふっくらとした炊きあがりで最高の贅沢ですね。お焦げもすばらしいです。
またこちらのちりめん山椒は塩味で仕上げた珍しい物。
白いご飯に良く合います。
総合的に感じたのは、潔いほど簡素な盛りつけですが、その一皿一皿からパワーを感じるような気がいたしました。
素材の力、料理人の感性を十分に感じることができ、久々に非日常の世界を堪能させていただきました。
5位
1回
2011/06訪問 2011/06/14
前から行きたかった静岡県富士市の「こばやし」さんにようやくお邪魔することができました。
ナビの案内で東名富士インターより7〜8分も走ったでしょうか。
ナビは目的地に到着したと告げているのですがお店が見つかりません。
最終的には車を駐めて、徒歩で付近を探索した結果、細い路地の奥にやっとお店を発見しました。
緑の木立に囲まれて、ひっそりと佇むその姿はなかなか風情があります。
時刻は開店時間の午前11時をわずかに過ぎた頃で、先客は3組のみで、すんなりと入店できました。
店内は厨房に沿ってカウンター席が5席、小上がりに16席ほどあり、カウンターの端に小型の電動石臼、手挽き用の石臼が置かれていました。
小上がり席の方は外に向かって大きなガラス窓になっていて、新緑を眺めながら清々しい気分で食事が楽しめそうです。
メニューは冷たい蕎麦、温かい蕎麦、一品料理、それぞれ適度に絞り込まれていて、上質な蕎麦を提供したいというお店の志向を伺うことができます。
その傾向を顕著に感じさせるのが限定の蕎麦4種類です。
「香味」、「風味」、「雅」、「吟醸黒」と命名された蕎麦は自家製粉、手打ち蕎麦の長所を最大限に生かした、オリジナリティあふれるラインアップになっている。
香味は石臼の手挽きで製粉された粉を使用しているが、粉と言うより粒と言った方が適切なほど粗い蕎麦粉を使ったもので、太打ちで提供されているようです。
風味は香味よりは少し細かいが、20メッシュで篩われた粗挽きで、一般的な粗挽きよりも粒が大きくなっている。
雅は一番粉(蕎麦の実の中心部分の粉)を中心に使った蕎麦で一般的には更科蕎麦に近い感じです。
吟醸黒とは外皮ごと挽きぐるみにした、いわゆる田舎蕎麦のようです。
今回頂いたのは、風味と雅。
風味は麺線が1.5mm程度のやや太めの仕上がりで、この時期なので香りこそ弱めだがその名のとおり風味が素晴らしい。
蕎麦を近くで見ると目の粗い粒が混じっているのが良く分かる。
雅は一番粉独特の透明感がある仕上がりで、滑らかで喉ごしは抜群です。
蕎麦の実は外皮に近いほど香りが強く、逆に実の中心部分はほとんど香りがありません。
そんなわけで甘皮部分までしっかり取り込んだ粗挽き蕎麦の香りや風味は格別のものがあります。
特にこちらのお店のような超粗挽き蕎麦をいただいたのは初めてです。
手の空いた時にご主人と少し話させていただきましたが、これだけの粗挽き蕎麦を提供しているところは全国的にも僅かとのこと。
高度な技術が要求される超粗挽きの蕎麦を提供し続ける熱意と努力に脱帽です。
ただ一つ心配なのがご主人の健康状態です。
カウンター越しに仕事を拝見していましたが腰を悪くされているような様子で、手打ち蕎麦屋さんの職業病ともいえる腰痛に悩まされているようです。
手挽きの石臼製粉、木鉢の作業等で腰への負担は相当なものになると思いますが、せいぜいご自愛されて、これからも無理の無い範囲で頑張っていただきたいと思います。
大変貴重な蕎麦を味わう事ができました。
秋の新蕎麦の時期には是非再訪したいと思います。
ごちそう様でした。
6位
1回
2011/10訪問 2011/11/02
間もなく11月。
国内各地の新蕎麦も大体出揃ってきて、
一年の内で一番蕎麦の美味しい季節になりました。
そんな訳で今回は立川まで遠征し、前から気になっていた無庵さんにお邪魔しました。
最寄り駅は多摩モノレールの立川北駅ですが、JRの立川駅からでも歩いて5〜6分でしょうか。
駅からは結構近いのですが、お店の在る場所は狭い路地を入った所にあり、広い通り側から見ると、とてもお店があるとは思えない雰囲気です。
それでも意を決して入って行くと左手に古民家の風雅な建物が出現します。
その静寂感を纏ったような佇まいは、まるで異空間に迷い込んだような錯覚を起こさせるようです。
白い暖簾をくぐり店内に入ると絞られた照明の中に木のテーブルが広い間隔でセットされています。結構広いですね。
店内には静かにジャズが流れていて、なかなか落ち着いた良い雰囲気です。
メニューにはコース料理も有りましたが、時間が無かったので今回はせいろ蕎麦とだし巻き卵をお願いしました。
今日は平日で、しかもお昼の時間帯は大分過ぎているせいか店内は60%ほどの入りでしょうか。
JBLのスピーカーから流れるジャズを聴きながら待っていると、だし巻き卵から運ばれてきました。
結構ボリュームがありますね。付け合わせにズイキの白煮が付いている。
ダシは蕎麦用のダシとは別に引いているようです。
箸でやっと持てるくらいの柔らかい食感がたまりません。
甘さは控えめで上品ながら、しっかりとダシの利いた素晴らしい一品です。
続いて蕎麦が運ばれてきました。
二八で打たれた蕎麦は透明感があり、粗挽き粉特有の甘皮部分が混じった黒っぽい仕上がりです。
麺線は1.4〜5mmで標準的な太さできれいに揃っています。
今の時期は去年の蕎麦粉と新蕎麦をブレンドして打っているようですが香りと風味はしっかり感じますね。
いわゆる味のある蕎麦と言いましょうか、汁を付けずに食べてみると良く分かります。
ちなみに正月過ぎからは新蕎麦100%で提供されるようです。
薬味はネギと山葵。薬味のネギを見ればその店の仕事ぶりが伺えます。
繊細で丁寧な仕事をされていました。
辛汁のかえしはやや若めながら尖った所は無く、良くまとまっています。
ダシもしっかりと利いていて、野性的な蕎麦とも好相性です。
ところで接客担当のスタッフの方たちは揃いの黒いエプロン姿で洗練された感じです。
新しさと古さが同居したような不思議な空間でしたが、違和感なく寛ぐことができました。
機会があれば、予約をしてコース料理も味わってみたい。
そんな想いを胸に店を後にしました。
ごちそう様でした。
7位
1回
2011/10訪問 2013/09/26
十数年ぶりに高はしさんにお邪魔しました。
荻窪駅から昔の記憶を頼りに歩きます。
商店街を抜けて、とりあえず環八まで出れば後は道沿いに少し進むだけですが12〜3分はかかるでしょうか。
お店は昔来た時と同じ佇まいで、懐かしさと同時に何かほっとするような気分になりました。
今回は他の用事が意外にかかってしまい、お店に着いたのが閉店時間の10分前でしたが快く受け入れてくださいました。
店内はコンパクトながら相変わらず落ち着いた雰囲気が漂っています。
今回は時間も無いので「せいろ」のみをお願いしました。
蕎麦は同じ荻窪の本むら庵さんに良く似ています。1.2mm程度の細打ちで、庖丁もきれいに揃っています。
少し透明感がある蕎麦は粗挽き粉と思われるもので甘皮部分も挽き込まれ風味が素晴らしい。
自家製粉の良さが十分に出ていました。
ただ細打ちのせいもありますが、水切りはやや甘めでした。
辛汁は十分に熟成された「かえし」と安定感のあるダシとで円やかさは申し分無し。
蕎麦湯で延ばしても、しっかりとダシを感じます。
薬味は辛味大根が良いですね。
蕎麦と一緒にいただくと山葵とは違った風味が味わえます。
短い訪問時間でしたが、久々に堪能させていただきました。
味の余韻を楽しみながら駅へと向かいました。
8位
1回
2011/08訪問 2011/09/02
8月ももうすぐ終わりです。
今回は山梨県の小淵沢にある井筒屋さんまで遠征してきました。
車で家を午前8時に出発し、相模湖インターから中央高速で小淵沢インターまで進みます。
小淵沢インターからはJRの小淵沢駅を目指し5分程走れば着きます。
開店時間の午前11時までは15分程余裕を持っての到着でした。
駐車場はお店の近辺に30台くらいは駐められます。
事前に予約したのですが、ランチタイムの予約は午前11時限定のようです。
この日は平日だったせいか予約のお客様は15名程度で、その後飛び込みで来た人たちも1巡目で入店できたようです。
結果的に店内はほぼ満席です。
さて今回は4人でお邪魔したのですが、それぞれ別のものを注文してみました。
うな箱・一のう、うな箱・二のう、かめ塩のうなぎ、白焼丼、以上の4点です。
こちらのお店では「うな重」のことを「うな箱」と呼び、商標登録までされているようです。
「一のう」、「二のう」、「三のう」とは、「一のう」が普通のうな重で、「二のう」が蒲焼きと白焼きの二色重、「三のう」は蒲焼き、白焼き、薄焼き卵で包んだ鰻の三種類が入ったものとなります。
待っている間店内にはタレの焼ける香ばしい香りが漂い、空腹感maxレベルのお腹を刺激しまくります。
注文してから40分ほど待ったでしょうか。ようやくうな重様の御出座です。
鰻は養殖物ですが国産のものを使用しているようです。
(ちなみに国産の天然鰻もあるようですが、メニューによると1匹1万円程度の値段でした。)
大きさは、やや小ぶりでしょうか。
30分程蒸してから丁寧に焼いているようで、身質はとても柔らかい食感です。
蒸された効果で適度に脂が抜け、しつこさは微塵もありません。
この食感は小田原の「友栄」さんと共通するものがありますね。
タレは甘さを抑えた、きりりと引き締まったもので、最後まで美味しくいただけました。
その他の物は一口しか食べていないので詳しい事は書けませんが、身質の食感は同様に柔らかく、白焼きの焼き加減は絶妙です。
特に特製の山椒塩を掛けていただく「かめ塩のうなぎ」は通好みの一品と言えるでしょう。
ご飯の量は上品な盛り方でボリュームはありませんが、丁度良い炊き加減で問題なし。
吸い物は肝は入っていませんが、ダシ、塩分濃度とも上々の仕上がりです。
ところで地元の方に伺った話によると、数年前は天ぷらもやっていたとのこと。
その天ぷらが味、ボリューム共に素晴らしく、名物になっていたようですが残念な事に今は鰻一本に絞られてしまったようです。
休日やその前日は数時間待ちの行列ができる人気店となったからには、それも仕方の無いことかもしれませんね。
9位
1回
2011/06訪問 2011/06/21
町田市近郊の蕎麦屋さん巡り3店舗目になります。
お店は駅周辺の繁華街から少し外れた比較的閑静な場所にあります。
それでも駅から歩いて5〜6分もあれば着くでしょう。
雰囲気を感じさせる白い暖簾を潜り、一歩店内に入ると蕎麦粉の良い香りが漂っていました。
自分で蕎麦を打った事が有る方ならお分かりいただけると思いますが、蕎麦粉は粉の状態ではそれ程香らず、木鉢で水と合わせた時に、一気に香りが立ち上がります。
その香りが店内に漂っていて、非常に期待感が高まりました。
そんな先入観もあって、シンプルにせいろ蕎麦をお願いしました。
程なく出てきた蕎麦ですが、陶器の丸い器にうず高く盛られています。
色はやや黒っぽく、手挽きの段階で外皮も挽き込まれているようです。
香りは予想通り、しっかりと香っていて、今の時季外れともいえる時にこの香りは素晴らしいです。
麺線は極細ではなく標準的な1.3〜1.5mm程度。
庖丁も正確で、強いコシと良好な喉ごしも楽しめました。
もう一つ驚いたのが水きれの良さです。
蕎麦を食べ終わった皿を見ても、ほとんど水が残っていません。
これだけ水切りが完璧だと、陶器の皿に直接盛っても問題ないと思われます。
辛汁は、かえし、ダシ共に丁寧に仕事されていて、香り高い蕎麦に負けていません。
濃厚タイプのそば湯で延ばしても、しっかりとダシを感じる事ができました。
せいろ蕎麦は945円で他の手打ち蕎麦店と比べて、やや高めの設定になっていますが原材料の吟味や丁寧な手仕事、またその出来栄えを考えると十分に納得させられました。
普通は新蕎麦の時期にまた伺いたいと言うところですが、逆に蕎麦にとって一番厳しい8月頃にまたお邪魔したいと思います。
時季外れに、ここまで香り高い蕎麦は長野県の「ふじおか」さん以来です。
大変美味しくいただきました。
10位
1回
2010/12訪問 2014/08/06
2014年7月 再訪
初訪から約4年ぶり、久々です。
前回は冬でしたが、今回は夏で行列は辛いなあと考えていたのですが
何と行列は無し。
お昼のピーク時間帯は過ぎていましたが、とてもラッキーでした。
とは言うものの店内は満席で多少は待ちましたが、比較的にスムーズに店内へ。
メニューは以前と変わりなく、中華そば、特製中華そばの2種類だけ。
たったこれだけのメニューで長い間人気を保っているわけですから
お店の実力が証明されていると言えるでしょう。
今回も特製中華そば(800円)をいただきました。
値段は前より50円高くなっていますが、それでも同様の他店と比べると大分安いと思われます。
スープは相変わらず円やかで、とにかく全体のバランスが素晴らしい。
体に染み込む様な味わいで本当に美味しいの一言。
府中方面では、こちらといつみ屋さんは外せませんね。
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2010年12月 初訪
JR南武線「分倍河原駅」より15分ほど歩きました。
甲州街道の一本奥の道沿いにあります。
開店時間の午前11時30分過ぎに到着しましたが、すでに10程の行列が。
でも回転が意外と早く、10分程で席に着けました。
店内には鶏のダシの香りが漂っていて、期待感がふくらみます。
メニューは潔いほど少なく、基本的に麺×2種類、ご飯類×2種類のみ。(大盛りもありますが)
値段も中華そばが550円と安めの設定になっています。
とりあえず、特製中華そばと豚まぶしご飯をお願いしました。
スープは鶏ベースの懐かしさを感じるような味ですが、その完成度が素晴らしい。
バランスの良いダシに、すっかりと角の取れた醤油だれが合わさり、見事に調和しています。
麺は細めのストレートで、コシがあり喉ごしも良く、スープにベストマッチしている。
具は厚めのチャーシュー3枚、煮卵、メンマ、生海苔、ネギですが、どの具も丁寧に作られているようです。
生海苔が良いアクセントになっていました。これで750円とは、かなり安いと思います。
豚まぶしご飯は、ご飯の上に刻んだチャーシュー、ごま油、塩、醤油で和えたネギ、刻み海苔が乗っている。
ごま油のコクとネギの甘さが引き立って美味しくいただきました。
中華そばは久々にスープまで完食しました。
そして、また直ぐに食べたくなるような味でした。
ごちそう様でした。素直に美味しかったです。
2011年も余すところ2ヶ月ほどになりました。
今年は東北地方を襲った東日本大震災という未曾有の災害が起こってしまいました。
この災害で亡くなられた多くの方々のご冥福を祈ると共に、被災地の一日も早い復興を祈念いたします。
さて食べログの方ですが、今年は100件以上のいろいろなお店を訪問させていただきました。
それぞれ独自の長所を持った多くのお店の中からランキングを付けることは大変難しいですが、自分なりの基準でお気に入りのお店を選んでみました。
また新規のお店を訪問するにあたり、多くの貴重な情報を提供していただいたレビュアーの皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました。