レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2013/02訪問 2013/02/15
冷たい雨が降る中を鎌倉駅から鎌倉宮方面に歩いて20分ほど。
小町通りは平日にもかかわらず修学旅行と思しき一団や外人観光客等で結構な賑わいを見せていた。
今回お邪魔した千花庵さんは八幡宮から鎌倉宮方面に進んだ住宅地の中にひっそりと佇んでいる。
小学校の裏手にあたり、近くには頼朝公の墓所もある。
開店から間もない時間帯のせいか、それとも雨の影響か他のお客様は1組だけだった。
店内は入って正面が厨房になっていて、右手と左手が客席になっている。
空いていたせいもありますが、静かにフュージョン系の音楽が流れる店内はなかなか落ち着ける空間です。
今回お願いしたのは、2種盛りと追加で野菜天ぷらの盛り合わせ。
2種盛りは、普通のせいろ蕎麦と田舎蕎麦の両方がセットになったもの。
厨房は見えませんが作業する音は良く聞こえてくる。
そんな音を聞きながら待っていると、最初に普通のせいろ蕎麦が運ばれて来た。
麺線は1.5mm弱の細打ち。
生粉打ちとの事だがしっかりと繋がっている。
庖丁は見事なまでの出来栄えで、細打ちでここまで延し厚、切り幅が正確に揃った蕎麦は久々に見ました。
何より驚いたのは、ふくよかな香りと風味の素晴らしさ。
細打ちの割には水切りもまずまずで、しっかりとしたコシと喉ごしの良さも味わえました。
続いて2枚目の田舎蕎麦が運ばれて来た。
こちらも麺線は細打ちに仕立てられている。
全体的に透明感があり、外皮の星が美しく散りばめられている。
こちらは更に強い風味が押し寄せる。
そのまま、辛汁、塩等を試したが、結果的に塩でいただくのが最も良かった。
庖丁の正確さは同様で、繋がり状態も文句なしの仕上がりです。
最後に追加でいただいた野菜天ぷらですが、こちらも良かった。
内容も、ブロッコリー、蕪、ラディッシュ等の珍しいものが含まれている。
第一に素材の下処理や包丁目がとても丁寧だ。
全体的に薄衣でさっくりと揚がっていて、見た目、味共に大満足です。
蕎麦に付く山葵、天ぷらに付く大根下ろし。
いずれも提供直前にすり下ろされていました。(音で判断)
この様な丁寧な仕事ぶりにも脱帽です。
玄蕎麦の産地は季節によって変わっているようですが、今回はせいろが会津産、田舎が長野産とのこと。
特に驚くような産地ではありませんが、その品質は驚くべきグレードの高さで常に最良の素材を求める探求心と確かな技術に裏打ちされた蕎麦は至福の時間をもたらしてくれました。
何も言うことはありません。
ごちそう様でした。
2位
1回
2013/07訪問 2025/02/05
2014年10月 再訪 手本となる蕎麦
蕎麦職人の世界では「一鉢、二延し、三庖丁」という言葉がある。
これは蕎麦打ち技術の難しさを表したもので、一番難しいのが最初の工程の木鉢での作業とされている。
木鉢の作業は蕎麦の繋がりに影響し、延しと庖丁は麺線の正確さに直結する。
この中で2番目の延しの作業だが、予め決められた厚さに均一に延ばすのはとても難しい作業だ。
実際にプロの職人さんでもこの部分の作業が完璧に出来るのは、今まで回ったお蕎麦屋さんの中でも
一握りしかいない。
そんな観点からすると、こちらの蕎麦は手本となるような見事なものだ。
繋がり状態はもちろん素晴らしく、麺線の正確さは延し厚と庖丁の切り幅がぴたりと合い、
断面は正確な四角形を形成している。
この美しい蕎麦を写真でお伝え出来ないのは残念だが、蕎麦好きの方は是非一度は見ていただきたい。
今回は約1年ぶりの訪問でしたが、常陸秋を使った蕎麦は香り、風味共に申し分無く
十分楽しませていただきました。
相変わらず全てが整った素晴らしい蕎麦です。
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2013年7月 再訪
関東地方でも梅雨明けして一気に夏に突入した感じです。
今日はまた快晴で気温は35℃近くはあるのではないでしょうか。
麺類が大好きな私ですが暑くなって来るとラーメンよりも蕎麦に惹かれます。
そんな訳で約2年ぶりにすぎはらさんにお邪魔しました。
前回は夜だったので建物や庭の様子が良く分かりませんでしたが、昼間に見ると前庭が思ったよりも広く、植栽の緑が目に染み込むようです。
入口は少し素っ気ない感じではありますが一歩店内に踏み込むと、高めの天井と落ち着いた内装でコンパクトな部屋ながら独特の雰囲気があります。各テーブルもぶ厚い木材の天板と金属の脚を組み合わせた特注品と思われる物でセンスの良さを感じさせます。
この日は平日でしたが昼時だったため結構混んでいて、私が入店した段階で4人用のテーブルが一つだけ空いていました。
私の直ぐ後に3人連れのお客様が見えたのですが待たされていました。
相席はさせないシステムのようです。
さて久々に伺ってみて残念だったのは挽きぐるみの手挽き蕎麦が無くなっていた事。
季節的な意味合いで中断していると思われますが、今の時期は丸抜きを電動の石臼で製粉した普通のせいろ蕎麦のみ。
玄蕎麦は茨城県産との事ですので、いわゆる常陸秋そばですね。
割は5分(5%)ということで、ほとんど生粉打ちに近い感じでしょうか。
今回は天せいろ+お代わり1枚でお願いしました。
程なく天ぷら、せいろの順で運ばれて来ました。
蕎麦は極細打ちで相変わらず麺線がきれいです。
1.2mm前後の切り幅で延し厚ともぴったり合っている。
繋がり状態は文句の付けようがありません。
今の季節は蕎麦にとって最も厳しい頃ですが、その割には雑味の無い上品な香りが漂い、常陸秋そば独特の甘みも感じられます。
美味しいです。
せいろ一枚の量は50gくらいでしょうか。
2枚食べて丁度良い感じです。
前にも感じた事ですがお店全体のスタイルが静岡の薮蕎麦 宮本さんに良く似ていて、自家製粉という点を始め、蕎麦の姿や器等でも共通項が見られるのが興味深いところです。(ついでに写真撮影禁止も同じです)
最寄りの橋本駅からも遠く、訪れるには少々不便な立地ではありますが、神奈川県では屈指のお蕎麦屋さんと言えそうです。
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2011年3月 初訪
最近でこそ、石臼挽き自家製粉の店は増えてきましたが、その中でも原材料(玄蕎麦)の吟味と保管にまで気を使っている店となると数が限られてきます。
石臼製粉は挽く時に熱が発生しにくく、粉の劣化を防ぐ事ができます。
さらにその工程を手挽きで行うと、玄蕎麦、丸抜きの投入量や回転スピードを理想的に調整でき、現段階では究極の製粉方法と言えるでしょう。
だだその一方で、作業効率の点から見ると電動の石臼と比べ劣っています。
1時間当たりに取れる粉の量がはるかに少なくなるのです。
そんな手間と時間がかかる製粉方法で、香り高い蕎麦を提供しているのが、こちらの「蕎竹庵・すぎはら」さんです。
ラストオーダー時間の15分前の、ぎりぎりのタイミングでお邪魔しました。
お店は幹線道路から細い路地を入った住宅街の閑静な環境にあり、看板も控えめな灯りで夜間は見つけづらいかもしれません。
風雅な植栽を施したアプローチを経て店内に入ると明るく柔らかい光に包まれます。
席数は14席と少なめですが、高めの天井と広く取られたレイアウトで落ち着いた空間が保たれていました。
注文は、にしん棒、玉子焼き(2人前)、天ぷらせいろ、にしん蕎麦、蕎麦掻きをお願いしました。
肝心の蕎麦ですが、茨城県産の玄蕎麦を使用した生粉打ちで、麺線は1mm程度の細打ちです。
まず繋がり具合に驚かされました。
細かく切れた部分がほとんど無く、完璧に繋がっています。
包丁もきれいで、伸し幅、切り幅が正確に揃っていました。
石臼を3回通し、甘皮部分まで挽き込まれた蕎麦粉は、ふくよかな香りを漂わせ鼻腔をくすぐります。
細打ちのため喉ごしも良く、久々に完成された蕎麦を味わう事ができました。
辛汁は、藪系本来の濃度を保ち、だしもしっかりと利いていて申し分なし。
6日間かけて作られるにしん棒も仕上がりが素晴らしく、皮目もきれいに残っていて、丁寧な仕事ぶりが伺えました。
藪御三家、池之端藪蕎麦の流れをくむ店は、柏の「竹やぶ」さん、静岡県島田市の「藪蕎麦・宮本」さん等が有名ですが、こちらのお店も蕎麦に対するストイックな姿勢が感じられ、特にその仕事ぶりや提供方法等で「藪蕎麦・宮本」さんとの共通項が見られました。
藪蕎麦・宮本さんもそうですが、こちらのお店の蕎麦の量も少ないです。
CPの点から言うと高いと思う人がいるかもしれませんが、要は蕎麦に対して何を求めるかということではないでしょうか。
単に食事の一環としてとらえれば、それは高価な食べ物になってしまいます。
一方で、目に見えない舞台裏を理解し、純粋に蕎麦の味を追求される方にとっては納得の価格となるでしょう。
今回は、思いがけず素晴らしい蕎麦に出会うことができ、その余韻を楽しみながら店を後にしました。
※ 残念ですが、店内撮影禁止のため、外観のみの写真となりました。
3位
1回
2012/12訪問 2012/12/28
クリスマスに金沢までやって来ました。
ところが出発地の羽田空港でいきなりハプニング。
大雪のため乗る予定だった便が欠航になってしまいました。
急遽東京駅まで出て、新幹線、北陸本線経由で何とかたどり着きましたが結局到着したのは午後4時頃。
約半日無駄になってしまいましたが自然相手ではどうにもなりません。
それにしても冬の金沢は寒いです。
夕方になると路面も凍って、つるつると滑り歩き難い。
ところで今日はクリスマスイブですが金沢の街はしっとりと落ち着いています。
関東方面の商店街で見られるような華やかで浮ついたような雰囲気は無く、伝統文化に支えられた重みの様なものを感じますね。
さて今回の目的地は武蔵辻、近江町市場から近い「つる幸」さんです。
この辺りは比較的に閑静な一画でお店もそれに溶け込んでいる。また雪吊りされた植栽が金沢らしい雰囲気を演出しています。
入口に近づくとお迎えの仲居さんが出て来ます。
今回は予約してあったテーブル席の個室に案内されました。
入口に近いコンパクトな部屋ですが雪見障子越しに外も見えて落ち着ける環境です。
お料理の方ですが、いただいたのは鶴というコース。
一応季節によって内容は決まっているようですが、事前にメールのやりとりで好みの料理を希望したり、苦手な料理を変更したりといった柔軟な対応をしていただきました。
今回の内容は以下の通りです。
前菜:鱈子付け・白子ポン酢、南京有馬煮、もって菊
鱈のフィレに鱈子をまぶしたものを白子ポン酢でいただきます。
九谷の器に白身の魚が映えます。
白子ポン酢はまったりとした上品な味わい。
八寸:蒸し蟹、白子いしる焼き、切り干し大根とパセリの白和え、能登牛網焼き、蕗このわた掛け、衣かつぎアンチョビ射込み等
バラエティに富んだ八寸で、どの料理も郷土色が出た完成度の高いもの。
一方でアンチョビ等の食材を使った遊び心も楽しい。
椀代わり:香箱蟹茶碗蒸し・蟹味噌ソルベ乗せ
地元の人に愛される香箱(甲箱)蟹を使った茶碗蒸しですが、上に蟹味噌を凍らせたものを乗せている。
熱い、冷たいを同時に味わえる素晴らしい一品。
出汁も極上で、食べ進める内に蟹味噌が溶けて来て微妙な味の変化も楽しめる。
造り:鬼柚子盛り 河豚、皮の湯引き、マグロ大トロ、ガス海老、アオリイカ
鬼柚子の上部をカットして器にしている。
河豚、ガス海老が特に美味で全て鮮度は申し分無し。
下に敷かれた葉蘭の下にも大根のけんが隠れていて、それには柚子の風味が移り何とも言えぬ味わい。大根自体も甘いです。
焼物:鰤塩焼、あん肝・ドライマンゴー、唐墨、フィンガーライム
鰤は綺麗に飾り庖丁が入り、焼き方も完璧。上品な塩加減で唐墨とも好相性。
珍しいのがフレンチレストランで多用されるフィンガーライム(ブッシュキャビア)
赤、緑等の粒が入っている筒状の植物ですが爽やかな酸味が特徴的です。
鰤と交互に食べるとバランスが取れるように計算されている。
焚合:本鴨治部煮・加賀源助大根釜、すだれ麩、梅麩、菜花、白髪葱
地元の源助大根をくり抜き器にしている。
しっかりした出汁と上品な味付け。鴨肉も十分柔らかい。
鍋:スッポン、鮑、蕪、苞豆腐、エリンギ、下仁田葱
伊賀焼と思われる厚手の鍋で供される。
食べ終わるまで熱々が続いて良いですね。
スープはスッポンの出汁でしっかりしている。
食事:フカヒレ天麩羅そば、香の物
手打ち蕎麦に温かい汁が張られ、別添えでフカヒレ唐揚げ、海苔天ぷら、山菜天ぷらが付く。
蕎麦は田舎蕎麦風でちょっと太め。
出汁は昆布、鰹節で、こちらはやや濃いめの味になっている。
面白いアイデアだと思うがフカヒレの使い方等で多少改善の余地はありそうだ。
果物:フルーツミックスゼリー
フルーツは、柿、メロン、洋梨、苺で丸くくり抜かれている。
ゼリーは蜂蜜、コアントロー等の風味で甘さ控えめで柔らかさも丁度良い。
菓子・抹茶
濃いめの抹茶と上品な生菓子で締めくくりです
すべていただくと、かなりのボリュームで十分満腹です。
金沢らしい料理をと希望を出しましたが、まったくその通りの内容で、地元感、季節感共に十分表現されていました。
また老舗料亭では珍しいイタリアン、フレンチ等の食材も取り入れた新たな試みも垣間見えて、伝統を守るだけでなく新しい境地を切り拓く意欲が感じられました。
進化過程での若干のちぐはぐさは有りましたが、総合的には良質な食材を使った十分吟味された料理の数々で楽しませていただきました。
4位
1回
2013/08訪問 2019/01/25
箱根仙石原の小高い森の中に建つこちらの施設。
付近に建つ建物も少なくとても閑静な環境です。
施設は森の中で、必要最小限の木を伐採して建てられた感じで自然環境がそのまま味わえる。
建物は大きく二つに分かれていて、一つはフロント、ロビー、レストラン等が集まった建物。
もう一つが3階建ての宿泊スペースだ。
客室は全部で11部屋しかなく、各部屋の収容人数も2〜3名で全体でも20数名の収容人数になっている。
質の高い料理とサービスを提供するオーベルジュとしては理想的な規模ですね。
今回泊まった客室は3階のラージツインタイプ(38.8㎡)。
室内はマッサージチェアの置かれたリビング、ベッドルーム、洗面台・トイレ・シャワールームが集められたスペースの三つで構成されている。
大きな窓からは遠く大涌谷方面の山々が望まれ、また眼前の森には野鳥の姿も見られます。
食べログレビュアーには必須のインターネット接続環境が整っているのも嬉しいところです。
大浴場は宿泊スペースの1階にある。
大涌谷から引いた源泉掛け流しで、硫黄成分のためか少し白濁している。
内風呂と最近増築した露天風呂があり、どちらも収容人数を考えると十分な広さがあります。
特に露天風呂は森林浴をしながら入浴も楽しめるという大変贅沢なもので、至福のひとときを過ごす事ができました。
ディナーは本館2階のレストランへ。
各お客様は多少のずれはありますが、30分以内には満席になりました。
ディナーの構成は一般的なフレンチレストランとほぼ同様で、アミューズ、前菜、魚料理、口直し、肉料理、デザート、飲物、プティフールという内容。少し面白いのがデザートが一皿目〜二皿目と2回出て来るところでしょうか。
前菜、魚料理、肉料理、デザートは、それぞれ2〜6種類あるバリエーションの中から選ぶスタイル。
一部追加料金のメニューもありますが、どの料理も魅力的で選ぶのに迷ってしまいます。
今回いただいた料理の詳細は長くなるので割愛させていただきますが、どの料理も厳選された地元中心の食材を使い調理も丁寧さが伺えました。食材に合わせた巧みなソース使い、素材の味を最大限に引き出す火入れや調理技術。素晴らしいです。
特に今回一番感動したのは、魚料理の一皿。
生海苔のリゾットに乗せた活アワビのムニエル・焦がしバター醤油とノイリーソース
新鮮なアワビは適度な歯ごたえを残し、食感が素晴らしい。
生海苔のリゾットも風味、米のアルデンテ具合共に文句なしの仕上がり。
アワビの主食である海藻類を組み合わせたところにシェフのセンスを感じますね。
焦がしバター、醤油、ノイリー・プラットを使ったソースも絶妙の相性です。
一口目〜二口目と食べ進む内に複合的な旨みが後から後から押し寄せる感じで、それらのハーモニーが堪りません。
絶品の一皿でした。
朝食も同じレストランでいただきましたが、内容がフレッシュジュース、本日のスープ、パン、自家製ハム&ソーセージ、サラダ類、メイン料理、デザート、食後の飲物となっていて、ジュース類、サラダ、メイン料理は3〜4種類の中から選べる。
とても朝食とは思えない充実した内容でボリュームも十分です。
サラダの写真を見ていただけば分かると思いますが、朝採れの野菜は驚くほどの新鮮さで食材の調達システムもしっかり確立されているようです。
本格的なオーベルジュに泊まったのは久々でしたが、期待に違わぬハイレベルな料理と一流ホテル並の洗練されたサービスで充実した時間を過ごさせていただきました。
看板犬のリン君、カリンちゃんも可愛かったです。
また季節が変わったら是非お邪魔してみたいですね。
5位
1回
2013/10訪問 2014/05/27
2014年5月 再訪
約半年ぶりになりますが、今度はランチタイムにお邪魔しました。
前回は夜で建物や庭の様子が良く見えなかったのですが、改めて見てみると広大な敷地に点々と建つ建物群は何とも言えぬ風情が
あります。それぞれの建物も新緑に囲まれ、大変落ち着きのある申し分無い環境です。
今回いただいたのは、平日限定の「昼膳」というコース(4.650円)
先付から前菜、造り、焼肴、煮物、追肴、食事、水菓子といった内容。
筍の季節が終わってしまい、鮎も解禁前という事でタイミング的には難しい時期でしたが
各料理は、まずまずの内容で丁寧に作られていました。
今回は5人のグループで伺いましたが、広めの個室で気兼ね無く楽しむ事ができました。
サービス体制も相変わらず素晴らしいです。
次回は紅葉の時期あたりが良いかもしれません。
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2013年10月 初訪
八王子から国道20号を高尾方面へ。
圏央道・高尾山ICを過ぎた辺りから国道は山路の上りになる。
しばらく走ると左手にお店へのアプローチの細い道が現れるが、信号も無く目立たない道で注意していないと通り過ぎてしまいそう。
お店はここから300mほど入った所にあるのだが、そこに至るまでは車のすれ違いが困難なほど道が狭く、本当にこんな所にお店があるのかと一瞬不安になる。
辺りは典型的な山里で人家も疎らな一帯。
そんな閑静な一帯に突然風雅な建物群が出現する。
純和風の建物で、そのほとんどが平屋造りだ。多くの緑に囲まれ付近一帯の風景に違和感なく溶け込んでいる。
夜の訪問だったので敷地の全貌や建物の詳細は良く分かりませんでしたが、自然のままの広大な傾斜地を巧に利用したお店造りは、都市部では不可能な贅沢さで、大変素晴らしい施設です。
生憎訪れた日は台風26号が接近中で強い風雨の真っ最中でしたが、案内係の人が駐車場で待機されていて、車を降りると傘まで差し掛けてくれます。この辺のサービス体制はさすがという感じですね。
お店は受付のある母屋を始め、比較的に大きな建物がいくつかあり、それぞれ独立した形になっている。
今回案内されたのは母屋から100mほど離れた建物で、途中綺麗に管理された庭や別の建物の中を通って移動します。
雨が降っていたので傘を差したり、たたんだりするのが面倒でしたが天気さえ良ければ風雅な建物や美しい庭をゆっくりと観賞出来そうです。
通された部屋は8畳ほどの広さの個室。
奥は大きなガラス戸越しに庭が観賞出来るようになっている。
また部屋には静かに箏曲が流れ、雰囲気は申し分ありません。
今回いただいたのは、竹亭懐石・秋のお献立というコース。
全8品のコースでボリューム的にも丁度良さそうです。
内容は以下の通りです。
先付:小蕪の含め煮
上品な出汁で煮含められた小蕪に鰹+海老の出汁のジュレが掛かっている。
前菜:鯖寿司、月見芋、鮎共和え、錦秋和え(菊花の和え物)、あみ茸紅葉あえ
月見芋は下味を含ませた里芋にあられを付けて揚げた物。これとあみ茸の紅葉和えが特に良かった。
椀替わり:鱧・松茸鍋
一番出汁に松茸の風味が加わり極上の味わい。出汁そのものも問題なし。
お造り:平目薄造り・ポン酢ジュレ添え、カンパチ
フグ刺しのように平目で分葱、紅葉下ろし等を巻いていただきました。美味しいです。
焼肴:かます杉板焼き、原木椎茸白和え
かますは両妻串で焼かれ、幽庵地で味付けされているようです。
杉の風味はそれ程移ってはいませんでしたが、魚自体に脂が乗っていて美味しくいただきました。
強肴:うかい牛すき鍋(サーロイン、ヒレ、クレソン、マイタケ)
オリジナルブランドのうかい牛は文句なし。特にヒレ肉の柔らかさは歯がいらないほど。
少し変わっていたのが付けダレでコンソメを煮詰めた物。
このコンソメが和辛子と不思議に好相性でした。
食事:五郎兵衛米の釜炊き御飯、うかい牛時雨煮、香の物、特製スープ
五郎兵衛米は創業者の出身地長野県小諸のお米との事。
やや小粒だが独特の粘りと甘みがあり、なかなか美味しい。
最初に普通に食べて、2杯目は特製スープを掛けてお茶漬け風にいただいた。
素晴らしい締めです。
水菓子:巨峰と赤ワインのソルベ、梨の杏ソース
巨峰と赤ワイン。ぶどうの親子丼のようなもので相性は最高です。
伺ったこの日は雨でコンディションは悪かったが、うかいグループらしい丁寧で安定した接客で快適な食事となりました。
料理全般では丁寧な仕事をしながらも効率を考えた工夫が見られました。
また既成の枠に囚われない新たな試みも見られ大変参考になりました。
次回は天気の良い昼間にお邪魔して、福井県の永平寺から移築したという建物や綺麗な庭をじっくりと観賞したいと思います。
大変優雅で贅沢な時間を過ごさせていただきました。
6位
1回
2013/08訪問 2013/08/28
小樽市の北西部に位置する幸(さいわい)地区。
観光地とはかけ離れている典型的な住宅地だ。
そんな住宅地の中にぽつんとあるこちらのお店にお邪魔しました。
小樽駅からはタクシーで実質6〜7分でしょうか。
しかしタクシーの運転手さんもお店が分からず、途中で道を聞きながら、やっと到着しました。
お店は一般住宅を改装した様な外観で、飾り気の無いシンプルな様子。
店内へは入口で靴を脱いで上がります。
フローリングの店内は普通の家のリビングのような感じですね。
客席は奥に向かって長い造りで左手に打ち場、電動石臼等があり、厨房は奥になっている。
メニューは適度に絞り込まれていて期待感を抱かせます。
今回は野菜の天せいろ、連れがとりせいろをオーダー。
こちらの蕎麦ですが、玄蕎麦は網走に近い美幌町のキタワセと道南部・黒松内町の奈川在来を使っているとのこと。
それぞれの地域に契約農家さんがあって、そこから直接入れているようです。
割は外一(10:1)。
そんな説明書きを読んでいると蕎麦が出て来ました。
まず最初に気付いたのが麺線の綺麗さ、正確さ。
切りべら20(1.5mm前後)で綺麗に揃っている。
延し厚、切り幅がぴたりと合い、ここまで綺麗な蕎麦は久々に見ました。
蕎麦を光にかざしてみると粒の粗い甘皮部分の粒が混じっているのが分かる。
電動石臼で微粉を取り、手動の石臼で粗挽き粉を取って、それを混ぜていると思われます。
次に驚いたのが香りと風味。
今日の玄蕎麦がどちらなのか聞きそびれましたが、とにかく文句なしの仕上がりでした。
麺線が揃っているので喉ごしは言うまでもありません。
美味しいです。
辛汁も標準的濃度で、ダシ、返し共に丁寧な仕事を感じます。
野菜のかき揚げは、衣の色、衣の濃度、エッジの立った衣の形、油の温度、火の入り具合等でほぼ完璧な仕上がり。
天ぷら屋さんのレベルですね。
ちなみに連れの食べた「とりせいろ」ですが、冷たい蕎麦を温かい汁に付けて食べるタイプです。
知床地鶏を使った肉は驚くほど軟らかく、その脂が滲みだした汁は格別の味わいだったとか。
珍しく目を輝かせながら絶賛していました。
北海道に着いていきなり観光客は行かないようなマニアックなお店に来てしまいましたが、そのレベルの高さには驚きました。
北海道は日本一の蕎麦産地ですが、その割には拘りの蕎麦屋さんが少ない。
そんな中でこちらは貴重なお店と言えるでしょう。
7位
1回
2013/01訪問 2013/01/28
下北沢駅から南口商店街を抜けて南に進みます。
駅周辺は小さな商店が軒を連ね平日でも結構賑わっている。
そんな一帯を過ぎると商店の数も疎らになり、比較的閑静な住宅地へと変わって行く。
駅から10数分も歩いただろうか。森巖寺というお寺さんの前にあるこちらのお店に無事到着しました。
お店は緑の植栽に囲まれていて静謐な空気が流れ、何とも趣のある佇まいです。
今回は開店時間に合わせて伺ったのですが、何と一番乗りでした。
店内は和風でありながらスタイリッシュさも併せ持つ大変に居心地の良さそうな空間が広がっている。
BGMが無いのも良いですね。
入口側の庭に向かっては大きなガラス窓、反対側の中庭に向かっては雪見窓になっていて採光も十分です。
今回は誰も居ない事もあり、庭に面した明るい席に一人で陣取らせていただきました。
蕎麦の種類は原則的に2種類。
茨城産の粉で打った常陸秋そばと、福井産の粉で打った挽きぐるみ(田舎そばタイプ)です。
その他に土日限定の手挽きそばもあるようです。
今回は、上記2種類の蕎麦とだし巻き玉子をいただきました。
だし巻きは、柔らかい仕上がりで、ふわふわの食感が秀逸。
味も少量の塩、味醂で調味されているようで卵本来の味が楽しめる上品な味わい。
出汁も程良い具合に利いていて美味しくいただきました。
蕎麦は最初に常陸秋そばが出てきました。
麺線は1.4〜5mm程度の標準的な太さで、綺麗に揃っている。
器は備前の特注品のようで、直径20cm前後の大きさ。
その焼き締めの器に直接盛られている。
粗い粉も混ぜられているようで表面には若干の凹凸が見られます。
香り、風味ともに十分で、久々に全ての条件を満たした蕎麦に出会えました。
続いて追加でお願いした挽きぐるみが運ばれてきました。
こちらは2.5mm前後の太打ちです。
色味は黒っぽく、しっかりと締められているようで強いコシが楽しめました。
風味は野性的とも言えるほど力強く、七割近く何も付けないで食べてしまいました。
そのくらい味のある蕎麦で、一瞬岐阜の胡蝶庵 仙波さんの田舎蕎麦を思い浮かべました。
蕎麦はどちらも、庖丁技術、繋がり状態、茹で加減、水切り等で文句ない仕上がりで、十分に楽しませていただきました。
辛汁も江戸前タイプでしっかり仕事されていました。
細やかで丁寧な接客も心地良かったです。
また蕎麦前の一品料理も充実して、蕎麦屋酒を楽しむにも最適ではないでしょうか。
静謐で落ち着いた環境も最高ですね。
定期的に通いたくなるお店です。
8位
1回
2013/04訪問 2013/04/08
日本中を吹き荒れた春の嵐が去って、今日は気持ちの良い快晴となった。
その穏やかな気候に誘われるように今回は千葉県の柏市までやって来ました。
柏駅からはタクシーで10分足らずで到着する。
目の前は手賀沼に隣接する柏ふるさと公園で、お店はそれを見下ろすような高台に位置している。
付近の桜はほとんど散っていましたが手賀沼を渡って来る穏やかな風が心地良い。
お店に到着したのは開店時間の11:45ぴったりで、丁度店員さんが暖簾を掛けに出てこられました。
これは一番乗りかと思いながら風情の有る入口から店内へ入ると、すでに2組ほどのお客様がいました。
どうやら予約客で早めに入店されたようです。
店内は入って右手に小上がりの席、左手にテーブル席があり、その奥は厨房になっている。
外観もそうですが店内も独特の雰囲気で、テーブルを始め照明器具、数々のオブジェ、食器類に至るまで独自の世界観が表現されているようだ。
今回いただいたのは「そば三昧」という簡単なコース料理。
内容は、蕎麦掻き、せいろまたは田舎蕎麦、にしん蕎麦、甘味となっている。
料理は順番通りにタイミング良く運ばれて来ましたが、何と言ってもこちらのせいろ蕎麦は素晴らしいです。
香り、風味共に十分で、細かい粉でここまで香りが良い蕎麦はなかなかありませんね。
箱根店でも感じましたが黒姫産の玄蕎麦は非常に安定しているようです。
温かいにしん蕎麦は、もう何年も食べていなかったので新鮮でした。
かけ用の蕎麦は少し太めの2mm前後で打たれていて、驚いた事にこの蕎麦もしっかりと香ります。
温かい蕎麦では滅多に感じた事が無いので驚きました。
甘汁は江戸前らしい鰹出汁がしっかりと利いた馴染み深いもの。
鰊も丁寧に仕事されていました。
甘味の水小豆は羊羹を柔らかくしたようなものですが、穏やかな甘みと滑らかな舌触りで良く出来ていました。
食後は公園側に広がる庭を小道沿いにゆっくりと散策し、阿部ワールドを十分堪能させていただきました。
なお公園側の敷地内の一角に、これまたシブイ喫茶店があって、そちらで香り高いコーヒーをいただきました。
お話を伺うと阿部一族では無く他人のようですが、ジャンルは違っても求める方向性に共感されたのか、同じ敷地内でお店を始められたようです。
そんな訳で出てきたコーヒーは深煎りの豆を使った少し苦みの立ったものでしたが、その苦みが舌に残らないすっきりとした風味で美味しくいただきました。
美味しい蕎麦と香り高いコーヒー。
有意義な小旅行となりました。
9位
1回
2013/01訪問 2013/01/12
京都麺紀行・その1
近鉄京都線・新田辺駅よりバスに揺られて25分ほど。
城陽市の郊外にある「あっぱれ屋」さんにお邪魔しました。
こちらは最寄り駅からも遠く、交通の便が悪い所にあり、しかも営業時間が午前11:30から午後2:30までの3時間だけという
なかなかハードルの高いお店です。
近隣の方なら車で問題なく行けるのでしょうが、遠方から訪れる場合は路線バスかタクシーを利用することになります。
こちら方面へのバスは1時間に1本だけで、今回はその時刻に合わせて自宅からの出発時間を決めました。
到着したのは開店時間を10分ほど過ぎた時間帯。
外から見たら行列が無かったのでラッキーと思い店内に入ると席はもちろんいっぱいで、その他に店内で待っている人が18人!
さすがの人気店ですね。
店内は入口右手に製麺室、正面に厨房を囲むようにL字型のカウンター席が18ほど並んでいる。
また壁際にはウエイティング用の小さな椅子もあります。
店主は髪を金色に染めた一見強面の印象ですが、真剣に仕事に取り組んでいる印象で、黙々と作業されていました。
接客は奥様でしょうか。女性の方で、スタッフはこれで全員です。
ご主人はラーメン作りに専念していますので、他の配膳、会計、食器の片付け、お客様の整理等は女性スタッフ一人で対応されていました。
そのため非常に忙しく、使用済みの食器を洗う暇は無いようです。
そんな心配をしながらご主人の方に視線を向けると、新しい食器が山の様に積み上げられていました。
これは営業時間中食器を洗わなくても良いように計算されているようですね。
さて今回いただいたのは、こくまろ塩ラーメンの大盛りです。(大盛り無料)
待っている間に何気なくご主人の作業を眺めていたのですが、麺の湯切りに特徴がありました。
麺が茹で上がると振り笊を茹で釜の上にあるフックに掛けて自然に湯切りされていました。
振り笊を大きく振ることは無く、非常に面白い湯切りです。
肝心のラーメンですが、鶏+豚の白湯スープで白っぽく濁っている。
トッピングは低温調理のチャーシュー、太めのメンマ、味玉、青ネギといったところ。
スープは動物系の旨みが十分に出た奥深い味わいで、タイトル通りとにかく円やかです。
塩ダレも角は一切無く、塩分濃度もどちらかと言えば控えめ。
非常にバランスの良い完成されたスープだと思います。
麺は自家製の中太平打ちで、もちもちの食感が秀逸です。
喉ごしも良好で、スープも良く絡みます。
トッピングの中ではレアチャーシューとメンマが秀逸。
チャーシューは上品な味付けで、肉の旨みが引き出された柔らかい仕上がり。
メンマは乾燥タイプを戻したものと思われる存在感ある一品で、こちらも上品な味付けと食感が素晴らしい。
スープ、麺、具材共にハイレベルで京都まで来た甲斐がありました。
店内は大混雑でしたが、ご主人は元より、女性スタッフの方も非常に落ち着いていて特に慌てる様な事も無くスムーズに仕事をこなされていました。
不利な立地、短い営業時間、平日中心の営業という条件の中で、これだけの大繁盛は素晴らしいですね。
それだけ実力を持ったお店と言えそうです。
ちなみに、限定食の「スーパーつけめん」は待っている間に売り切れました。
つけめんを食べたい方は開店前から並ばないと無理かもしれません。
10位
1回
2012/12訪問 2013/01/02
静岡、浜松方面への旅行でいつも利用している旅館で、今回で6〜7回目になるでしょうか。
浜名湖北部の舘山寺温泉。東名高速道路の直ぐ南側に位置し、湖に向かって半島の様に突き出た一帯に旅館が集まっている。
こちらの旅館はその半島の中でも少し高い位置にあり、四季折々の浜名湖を一望できる環境にある。
経営母体は遠州鉄道で、地上10階建て、客室86室、収容487名の大型旅館です。
今回は大晦日も近い年末に利用させていただきました。
入口から館内に入ると天井の高い広々としたロビーが現れ、右手にフロント、正面には茶室、浮き舞台等の施設もある。
フロントのあるこのフロアは2階になっていて、他には料亭、売店、大浴場等の施設が集まっている。
3〜4階はレストラン、大小の宴会場になっていて、5階以上が客室になっている。
今回は8階の客室に案内されました。
客室からの眺めは相変わらず素晴らしい。
静かな湖と大草山が目の前に迫り、湖面で遊ぶ水鳥が心を和ませるようだ。
ところでこちらの旅館では宿泊客が無料で利用出来る「浜名湖サンセットクルーズ」というサービスがあるのだが、今回初めてそれを利用してみました。こちらにはホテル専用の桟橋があり、遊覧船はそこから出航します。
約20分程の短いクルージングですが、浜名湖が汽水湖になった経緯等の説明を聞きながらの夕暮れ迫るひとときは印象的な体験でした。
さて夕食ですが、場所は館内2Fにある汽水亭という料亭でいただきました。
夕食のコースは何種類かに分かれていて、活き造り会席、四季会席、ふぐ会席等があり、これは予約の段階で決める。
今回いただいたのは、浜名湖四季会席・雅というコース。
細かい内容については長くなるので割愛させていただきますが、特徴としては以下の様な事が伺えます。
1. ほとんどの食材が地元産の安心出来る良質なものを使っている。
2. 大型旅館とは思えないような内容で、一品一品の完成度が高く丁寧に作り込まれている。
3. 基本的には和食だが、洋食の要素を取り入れた創作性や江戸時代の地元料理を再現する等の工夫がみられる。
お品書きには、すべて産地が表示され、そのほとんどが地元静岡県産のもので、それぞれの品質も素晴らしい。
面白かったのが江戸時代の袋井宿で食べられていたという「たまごふわふわ」という料理。
小鍋に当たりを付けた出汁を張り、具は細かく切られた鰻、ゴボウ等が入り、上に泡立てた全卵を乗せて蒸してある。
これを食べる直前にコンロで再加熱していただくのだが、名前の通り卵のふわふわの食感が楽しめた。
もちろん江戸時代のレシピそのままでは無く、料理長のアレンジを加えたものだろうが発想が秀逸ですね。
後、料理全般で目立ったのが前菜の充実ぶりです。
バラエティに富んでいて、旬の食材を使った丁寧な仕事が光ります。
締めの「三ヶ日みかんご飯」も良かった。
みかん果汁で炊かれたご飯は、薄い黄色の見栄えで、ほんのり甘く良い香りが立ち上る。
上に乗せられた、ニンニク、ゴマ、鰹節、醤油等で作られたと思われる「さくさく醤油」も良いアクセントになっていました。
食べログに載せる関係上、料理中心の内容のレビューにしましたが、それ以外の要素も十分に満足出来ます。
ロケーション、施設等は言うまでも無く充実していて、大浴場はホテル独自の源泉を持っている。
お風呂の種類も豊富で、湖を見ながらのんびりと入浴を楽しめる。
サービス、接客全般は一応マニュアルはあるのだろうが、それに縛られないその一歩先を行く丁寧なもの。
もてなしの心が感じられ快適です。
もう何回もお邪魔していますが、毎回満足させていただいています。
浜松方面への旅行では欠かせない旅館です。
2013年も多くのレビュアー様のお陰で多くの優良店に出会う事ができました。
今年度は130件ほどのお店を回りましたが、特に上位のお店はそれぞれ印象深く貴重な体験をさせていただきました。
食べログに寄稿することを目的にお店を回っている訳ではありませんので、最近は行きたい新規のお店が少なくなってきました。個人的食の嗜好で料理のジャンルも絞られるので、余計に対象店舗は限られてしまいます。
それでも先行レビュアー様の貴重な情報を頼りに、今後もできる限り続けて行けたらと思っています。
それにしても、あっという間の1年間でした。
来年も良いお店に巡り会う事を夢見て・・。