©Loroさんのマイ★ベストレストラン 2012

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Loro piana。の食べ歩る記 備忘録

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マイ★ベストレストラン

レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!

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『ベストレストラン2012』を決めるに辺り規定により"レビューを投稿していない店は選定出来ない"というルールに沿って選定させて戴きました。

最近めっきりレビュー投稿が億劫になり 2012年に伺った店のレビューは1月~4月分までしか投稿していなかったので選択肢の幅は例年の
1/3程度の中から選んだ店である。ということを御理解戴ければ幸甚であります。

マイ★ベストレストラン

1位

徳うち山 (東銀座、新富町、築地 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.2
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.2 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 ¥8,000~¥9,999

2014/09訪問 2014/12/09

銀座での生涯行きつけの店にしたい … 『徳うち山』。

銀座界隈で最も好きな店が當店"徳うち山"さん。僭越ながら『loropiana。の神出鬼没の食べ歩る記』10傑の
中の1軒であり足を運ぶ度に何らかの感動を与えてくれる店です。 店主の『工藤淳也』さんと店主を支える
『栗原大輔』さんのぴったり息の合った絶妙コンビが繰り出す料理は自分の嗜好と方向性がどんぴしゃり。
懐石料理の流れを踏襲しつつ時流に合ったエッセンスを加え供される料理は単に美味しい料理に舌鼓を打つ
ばかりではなく自分への御褒美や癒しといった要素もありますからエンターテインメント性も不可欠なもの。
割烹料理店の醍醐味は料理人との言葉の掛け合いや調理模様が伝わるライブ感等も重要なファクターの一つ
であるのでそれらが体感できるカウンター席が自分にとっての特等席。當日も定位置の席に陣取り至極の宴
の時間を存分に愉しませて戴きました。先ずは生ビールで喉を潤します。サーバーの洗浄は完璧であることは
云うまでもありませんが薄くて軽いグラスに注がれ供されるので唇のあたりが最高です。さて、料理は丁寧に
裏漉しされた『南瓜のすり流し』から秋の味覚の秋刀魚のつみれを嫁に喰わせちゃあかん焼茄子の上に鎮座
かと思いきやその中に『松茸』を薄切りにされたものが挟まれ上から柑橘系のジュレを掛けた目と舌に晩秋
を感じさせてくれる料理でした。薬味の針生姜と芽葱がなかなかの役回りを演じていました。次に供された皿
には御馴染の焼き胡麻豆腐に無花果のコンポート添え。濃厚な味わいの定評の胡麻豆腐にコクのある胡麻ダレ
の組合せは思わず皿ごと嘗め回したい衝動に駆られるほど。そしてコース料理の最大の見せ場であり料理人の
技量があらわれる椀物は『牡丹鱧と松茸の椀』名残りの鱧は葛粉が打たれ見事な『牡丹鱧』に。出逢いものの
『松茸』との相性の良さは云うまでもなく。昆布を気持ち強めに効かせた吸い地に振り柚子が加わえられ椀に
口をつけると鼻腔を通じ松茸と柚子の香がすっーと駆け上がってきます。あまりの牡丹鱧の美しさに思わず箸
を入れるのを躊躇してしまう程。造りは二段構えで前半には天然モノのマツカワ鰈の造りと香ばしい鱧の焼霜、
後半に鮑の柔らか煮と墨烏賊に海胆の三点盛。養殖モノとは月と鼈の繊細で上品なマツカワの味にうっとりと
しつつ焼霜造りの鱧に酔う。旬の墨烏賊と北海道産の甘く濃厚な味わいのバフン海胆、大原の黒鮑の柔らか煮と
半端なく上質な素材使いが視覚からも充分に伝わってくるのは勿論のことその味わいに口福感もひとしおです。
思わず日本酒が進みますが更にこの後の皿には立派な『鮑の肝』に『ばちこ』に新いくらと酒盃の速度を加速
させるような怒涛の珍味に酒のメーターは上がりっぱなしで思わずトランス状態に陥る寸前で我に返ると目の
前にはコースの佳境を知らせる焼物の皿、迸る脂からも美味しさが伝わる鴨ロースは山椒で〆られ滅多に口に
することのない『本九絵』を木の芽焼にし大粒の藤九郎を添えた贅沢な内容です。九絵は造りや鍋として戴く
ことは今までありましたが焼物として味わったのは初めてかもしれませんが此れは美味。その味わいの余韻を
しばし愉しんでいると目の前にセットされた小鍋で米沢牛のしゃぶしゃぶの演舞。そして〆の食事は『松茸』
と太刀魚の炊き込みごはん。松茸がコレデモか?と云わんばかり使われており贅沢の極み。松茸の香に包まれ
つつ炊き立てを味わい残りはいつもの如くオミヤにして戴き翌朝の愉しみに(笑)。食後の水菓子は和歌山産の
『黄桃』にピオーネ、和栗のアイスクリームに定番の黒糖プリンを戴き恐悦至極の濃密な時間を相方と二人で
満喫させて戴きました。そして家路についてオミヤの折を仕舞おうとした相方から驚嘆の声が、、。どうしたの
と覗きこむと其処には大好きな"徳うち山"さんの『鯛茶のたれ』が瓶に収められているではありませんか(嬉)
いやぁ~至れり尽くせりの心遣いに感無量。

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2012/03のレビュー
都内には魅力的な日本料理店が数多あり中でも新橋から東銀座の間には無数の店が軒を連ねられているのは
ご存知の通り。その数は定かではありませんが激戦区の銀座界隈で最も好きな店が當店"徳うち山"さんです。
この日は昼餉の時間帯に寄せて戴き『鯛茶漬』目当てに訪れられたマダム連に囲まれた中で昼餉のコースの
料理を堪能させて戴きました。

料理は『豌豆のすり流しに車海老と海胆』のジュレがけのとても優美なひと皿から次いで『焼き胡麻豆腐』、
焼き胡麻豆腐と云えば"うち山"さんが"あさみ"さんで修行時代に残った胡麻豆腐を焼いて食べてみたところ
美味しかったことから生み出された料理という嘘のような秘話もありますが、それ以来多くの料理店でこの
料理が供されていることは云うまでもありませんが個人的には"うち山"さん、"朱雀"さんと"徳うち山"さん
で供されるものが好きです。共通して云えることは胡麻豆腐は焙煎強めの胡麻で作られておりそのまま口に
運んでもコクのある濃厚な味わいと絶妙な弾力が愉しめること。更に胡麻だれは洗練された上品な味わいで
他店にて供されるモノとはひと味違うものであり円やかさと滋味をまったり味わえる一品です。

コース料理の華でもあり料理人の腕の見せどころである椀物は『ぐじ(甘鯛)』の桜蒸しの椀。吸い地は清汁
仕立てではなく旨味と滋味がたっぷりと味わえるもの天盛にされた卸したて山葵が堪りません。
造りは『鯛の腹身』一品という潔さ。脊髄〆にされ河岸へ運ばれた鯛は活かった弾力とダルンダルンとした
食感が愉しめるもの。あれこれと嵩増しのものをつけず『鯛』単品で供される辺りがとても好ましい。
焼物には『鱒の木の芽焼』にたらの芽の天ぷらを添えて。料理の合間に繋ぎの箸休めに供された『蛍烏賊と
味噌のミンチがけ』、『毛蟹』の剥き身と脚肉に蟹みそから作られた濃厚ソースに香り高き浅草のりの味の
余韻に浸っていると『稚鮎』を軽く湯引きし梅肉ソースでさっぱり味わう料理で口内をリセット、炊き合せ
は筍に菜花に『浅蜊』の剥き身に平貝にパン粉を塗して揚げたもの。〆の食事は『米沢牛とうるい』の炊き
込みごはんでこれは絶妙な味わいてでした。"徳うち山"さんの昼餉と云ったら忘れてはならぬのが『鯛茶漬』
先の炊き込みごはんはオミヤとして包んでもらい『鯛茶漬』を追加で供して戴いた。鯛の身自体も美味しい
ものが使われていますが鯛茶漬の『胡麻だれ』の味が最高に美味です。例によって一杯目は『鯛のづけ丼』
として二杯目は茶碗の淵から静かに出汁を流し入れ鯛茶として堪能。食後の水菓子は『桜のジェラート』に
イチゴ、『黒糖プリン』の三段構えと今回も身も心も充分に満たされました。
銀座界隈で今最も大好きな店"徳うち山"さん。生涯行きつけの店にしたいと思わせる店が此処にもあります。
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2011/12のレビュー
當店"徳うち山"さんも現時点で自分の都内でのお気に入りの日本料理店の五傑の中の一軒に数えられる店。
料理の味は勿論ですが店主の工藤さんとの相性が良いということもその理由のひとつではありますが二番手
として店を支えられている栗原さんもなかなか素晴らしい気遣いをされる方で気持ち良くして返してくれる
からついつい此処に足が向いてしまんです。目下のところ銀座界隈の日本料理店では當店が一番好きです。
今回も旬の素材を使った料理で目と舌を存分に楽しませてくれました。先付は湯ぶり仕立て熱々の『くもこ』
をロール仕立ての白菜の御浸しの上にのせ『あおさ』のジュレをかけた一品で温と冷の異なる温度帯の素材
をシャキシャキと濃厚でトロける正反対の異なる組み合わせで愉しませてくれるという如何にも店主らしい
一品から始まり定番の『焼き胡麻豆腐』。都内の料理店では"くろぎ"さんをはじめ焼き胡麻豆腐という料理は
さして珍しいものでは
ありませんが自分の舌には當店のものと"朱雀"さんの焼き胡麻豆腐が嗜好にあったもので良く馴染む味です。
手間隙惜しまず綺麗に剥かれた『香箱がに』は旬の味覚であり次いで供された椀物は京の雑煮を髣髴させる
白味噌仕立、椀種には弾けぬばかりにぷっくりと膨らんだ海のミルクの異名を持つ超大粒の『牡蠣』。造りは
『河豚』と『めじ鮪のトロ』の炙りの二段構え。焼物は『真名鰹』の上にたっぷりの海胆をのせたものに生と
炙りの二種類の『からすみ』の味比べに柿を添えたもの。そして陸のトロとも称される『松坂牛』のA5クラス
の肉を軽く炙った牛肉の炙り、そして絶妙な出汁感だった『金目鯛』と茸の小鍋立と続き〆の食事は炭火で焼
いて余分な脂を落とされた『鰤』と『いくら』の炊き込みごはん。箸休めに『ちりめん山椒』、軽く焼きを入れ
たお揚げさんと三つ葉の赤だし椀、香の物は青菜漬に温海蕪といった店主の故郷 山形の味が添え供されました。
そして食後の水菓子は三段構えの充実もの『紫芋のアイス』に『プリン』にほのかな酸味を感じる林檎という
ように今回もたっぷりの海の幸と山の幸を満喫させて戴きました。炊き込みごはんの残りは翌朝、寝城での朝餉
用にと詰めて戴き持ち帰りさせて戴きました。冷めた炊き込みごはんは味が良く浸み込み馴染んでおり温かい
時のものとはまた違った美味しさであり一度で二度楽しませて戴きました。
"徳うち山"さんは味良し、サーヴィス良し、雰囲気良し、気遣い良し、値段良し、気分良し。と六拍子揃った東銀座
の佳店です。
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2011/10のレビュー
新たに東銀座に店を構えらた"徳うち山"さん。その店名からお察し戴けると思いますが店主の『工藤淳也』氏は
は"うち山"さんの二番手として長らく店を支えられていた方であると同時に実に興味深い経歴の持ち主でドイツ
の日本大使館の料理長としての海外での経験も持たれた方で形にとらわれぬ柔軟な発想から作り出される料理は
かねてより定評があり自分自身も注目していた一軒でした。初訪は既に馴染客となっている友人に予約を入れて
もらい昼のピーク時間を避け午後一時から通常メニューとは異なる『昼懐石コース+α』のアレンヂした内容の
料理を供して戴きました。料理は湯葉豆腐の下に海胆ソース、湯葉豆腐の上に『生海胆』と山のキャビアとも称さ
れる『とんぶり』をのせ海胆ソースが添えられたミルフィーユ仕立ての濃厚な味わいが舌の感度を優しく目覚め
させてくれる一品からはじまりました。次いで供された料理は"うち山"さん仕込の噂の『焼き胡麻豆腐』です。
焼き胡麻豆腐は都内の何処の店で供されるものより上品な味わいで自分好み。"くろぎ"さんのインパクトのある
ある焼き胡麻豆腐ともふた味違うものであり修行先である"うち山"さんのものを更に洗練させた味わいは称賛に
値する味わいでした。そもそも焼き胡麻豆腐とは内山さんが"あさみ"さんで働かれていた頃に残ってしまった
胡麻豆腐を有効活用するため生み出された料理と云われており京都の"じき宮ざわ"さんもそれを模したとされて
いる料理の一品で最近、若手の料理人の店へ行くと必ずといって良い程お目にかかる料理ですが、その味わいには
店々の特徴があって個性を感じる一品です。味覚の分かれ目は添えられた胡麻ベースのタレの味にもよって大きく
左右されますが當店のものは醤油の角を殆ど感じぬ円やかな味わいであり完成度の極めて高いものでした。
懐石料理の華であり料理人の腕のみせどころである椀物には直前に目の前で骨切りされた『鱧』と出逢いものの
『松茸』を使った椀が供されましたが吸い地の味は京都の料理店のソレと比較すると確信犯的に昆布出汁を強め
に効かされたものでしたが見た目とは打って変った優しい味わいの吸い地は程良い甘みと振り柚子の香味が気分
をホッと緩めてくれる美味しい椀でした。造りは二段構えで藁焼きで薫香がつけられた鰹に肉厚の甲烏賊、〆鯖の
三点盛と『鱧の落とし』の二皿であり、いづれも上質な素材が使われておりましたが特筆すべきは鱧の落としに
添えられたタレ。一般的には『梅肉』だれを添えられるのでしょうが、これは何と『トマトベース』のタレで卸し
たての本山葵とともに味わうと今まで味わったことのある鱧の落としとはひと味もふた味も違う味わいに驚きを
覚えました。八寸には菊花、青菜、えのき茸の煮浸しに『ぐじ(甘鯛)』の西京焼、青銀杏にばちこ、大原産の極上の
『鮑』と鮑の肝という隙のない陣容。『ぐじ』も美味しかったのですが特筆すべきは『鮑』の出色の味わいです。
蓋ものは薩摩芋で作られた真丈に茄子の揚げだしとしめじ、出汁の味がとても優しいもので胃の中にすんなりと
収まりました。コースの食事は本来は『炊き込みごはん』のようでしたが當方のリクエストで昼に當店で供され
人気の『鯛茶漬』を先にひと口、戴きました。この『鯛茶漬』も銀座界隈では"あさみ"さんや"うち山"さんのもの
などが特に有名ですが鯛の質では全く引けをとらず。むしろ胡麻だれの味では先の胡麻豆腐同様に當店のものが
自分の嗜好する味に最も近いもののように感じた次第です。そして『焼き秋刀魚』のほぐし身に『いくら』を加
えた『炊き込みごはん』が炊き上がりお目見え、秋刀魚出汁によって炊きあげられたごはんがこれまた滅法美味。
『いくら』も脂がのったものが使われており上品な味付、茶碗を思わず抱えて夢中になって戴きましたが木耳と
筍の食感が良いアクセントとなっておりとても美味しいものでした。赤だしの椀種はお揚げさんでしたが此れも
単に刻んだ揚げを使っているのではなく一度焼きを入れて香味と食感を引き出すという細やかな仕事が施された
ものでしたし香の物も手抜かりのないもので程良い酸味の山形の温海蕪にシャキシャキとした食感の山形の芭蕉
菜に炊いた昆布と箸休めには余りあるものでした。口直しの水菓子も二段構えで『南瓜のアイス』と沖縄の黒糖
で作られた『プリン』でいづれも美味しいものでした。都内には雨後の筍の如く新しい料理店が次から次と出来て
おりますが久しぶりに今後益々期待の出来る店に出逢うことが出来たように思います。こんな気持ちになったのは
久しぶりのことであり京都の"光安"さんや浜松の"いっ木"さんで感じた以来のこと。そんなこともあって総合評価
は初訪ながら異例の★★★★☆(4.5)とさせて戴きました。
『鱧の落とし』に『トマトベース』のソースを合わせるというような斬新なアイデアから作られる料理は創作色
が一見強いように感じられる方も居られると思いますが基本がしっかりと出来ていての変化球ゆえこれはこれで
面白いものと思いますし店主の感性の豊かさは計り知れず。東銀座での行きつけの店にしたい一軒であり既に年末
の予約と年明け一月の予約を済ませ店を後にしたのでありました(笑)

  • つきだし。
  • 生ビール。
  • 南瓜のすり流し。

もっと見る

2位

車力門 ちゃわんぶ (四谷三丁目、曙橋、四ツ谷 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2012/03訪問 2012/09/14

荒木町 車力門通りの隠れ家です … 『ちゃわんぶ』。

塩竃の"千松しま"さんにて心づくしの昼餉のコース料理を堪能させて戴いた後、新幹線にて東京の寝城へと移動。
先祖の墓参りを済ませた後の夜の食事は荒木町の隠れ家であり大好きな"ちゃわんぶ"さんで友人と戴くことに…。

この日は型にはまったコース料理ではなく本来の割烹の醍醐味が愉しむことが出来る変則的な組立て、要するに
美味けりゃいいやん』方式(笑)

先付けはには好物である『鯖ずし』。鯖と舎利の比率は1:1の極めつけの黄金比、絶妙な〆加減で仕上げられた
鯖の味は勿論のこと舎利の一体感も申し分のないもの。久しぶりに美味しいと心から云える『鯖ずし』を口にする
ことが出来感無量。都内でこれ程まで完成度の高い『鯖ずし』を供される店はなかなか見当たらないと思う次第。

生誕記念日ということもあり蒸したて熱々の『赤飯』が供された直後の蓋物の中身は『鮑』の白味噌仕立の椀物。
』は大原産の『黒鮑』とのことで"千松しま"さんで昼餉に供された鮑の酒蒸しにも優るとも劣らない立派なもの。
口の中で程良い弾力といい昆布出汁主体の白味噌の味との相性も絶妙、天盛りにされた肝の磯の香りも味わい
の良きアクセント。箸休めには早春の味わいの『蕗の薹』、ほのかな苦さが何とも云えません。次の料理の合間に
酒肴として供されたのが『蛍いかの沖漬』、つるしこの食感が堪らない一品。

続いて供された『造り』の盛合せは『海胆』に『』に『初鰹』の三点盛、『初鰹』は敢えて『へぎ造り』と『平造り』という
二つの異なる切り方で供される辺りが『武澤』ちゃんの感性の高さ(笑)。同じ魚でも包丁の入れ方ひとつでこんなに
味覚の印象が異なるということを実践で楽しませてくれるのですから。真っ赤っかの『』の色合いを見れば鮮度の
高さは一目瞭然のことと思います。『』は適度に寝かせ熟成させられたもので旨味が頂点まで引き出されたもの。
口の中でダルンダルンと跳ね回る活かった鯛の食感も好きですがちょうど食べ頃を迎えた鯛の食感も堪りません。
海胆』は北方四島産の上質な『バフン海胆』の板うにでしたが口の中に広がる甘みは塩水海胆の比にあらず…。

造りで供された初鰹の腹須の部分は香ばしく焼かれ酒肴に早代わり、適度にのった脂の旨味と鉄味のバランスが
とれており酒が思わず進みます。魚の焼物はこれを入れて三タテの猛攻、食べ応えのある肉厚の『黒睦』の塩焼き
に好物でもある『本もろこ』と魚好きには堪えられぬ予想外の展開に…(笑)
この時期、京都の割烹や料亭では『本もろこ』を供されることは珍しいことではありませんが都内の料理店でまさか
味わうひとが出来るとは…。自分には不要ではありましたが添えられた『蓼酢』の出来栄えも上々のものでした。

続いて供された料理は今日は目出度い日ということで造りで使われた鯛の腹須の部分で作られた『鯛の潮汁』。
出汁の利かせ加減、塩加減の塩梅、吸い地のキレの良さは滋味優先の京都の椀に通じるもの。炊き合せは宮崎産
の『』と京都産の白子『』の味くらべ。香りでは宮崎、味では京都。食べくらべることで味の違いが判ります。

楽しい時間はあっという間に過ぎるもの香の物と具だくさんの味噌汁が供され、ドンピシャのタイミングで炊き上がっ
たばかりの銀舎利が茶碗によそわれます。今宵のごはんの友はサーロインのブロック肉から切り出した肉を炙った
和風ステーキ』といつもの『ビフカツ』の二種。炊きたて熱々の銀舎利の上に和風ステーキの肉を移動させ即興で
ステーキ小丼』の出来上がり。表面を軽く炙っただけの肉は勿論ミディアムレア、口に運ぶと肉の旨味と脂の甘み
が渾然一体となり得も云えぬ美味しさ。この日の牛肉は佐賀牛でしたが勿論、産経の無い『雌牛』の肉、黒毛和牛を
十把一絡げに考える方も居られるが雌牛と雄牛では肉質も味わいも大きく異なりますしましてや産経の無い雌牛
の肉は融点も低くトロケルように美味。これではごはんが進むのも無理はありません。食後の水菓子は牛肉の産地
と同じ佐賀の『さがほのか』、途中から荒木町の名物流しの新太郎氏が登場し生誕記念日を祝し一曲、 BIRTHDAY
ケーキのサプライズもあり愉しい宴も宴たけなわ。一度や二度の訪問だけでは當店の本当の良さは判らないかも。
通えば通うほどに引き出しの多さを体感することが出来る店が"ちゃわんぶ"さんの最大の魅力なのです。
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2012/01のレビュー
ひとつの節目となるレビューに合わせて今回レイティングさせて戴く店は数多ある都内の料理店り中でも東銀座の
"徳うち山"さん同様、何度も足を運ばせて戴いているお気に入りの一軒、車力門通に店を構える"ちゃわんぶ"さん。

本来は自分の隠れ家としてそっとしておきたい一軒でしたが相次いでレビューがアップされるや全国的に一躍注目
を浴びる店となってしまった以上、もう隠す意味も無くなってしまいましたので1,800軒目のレビューに當店のレビュー
をアップさせて戴くことに相成った次第です。

余りにも古い画像を用いても何ですから先ず今年の一月の最終日に供された料理画像をアップさせて戴きました。

この時点では未だ無印に近い店でありましたが供された料理画像の内容を良く見て戴ければ判る方には何を意味
しているかご理解戴けることと思います。

店主である『武澤剛志』は十八歳で"京味"さんへ弟子入りされた後、紆余曲折を経て西麻布の某料理店の料理長
として迎えられ再び板場に立たれ多くの馴染客の舌を呻らせました。その後、ひと悶着があり独立することを決意し
昭和の香りが微かに残る車力門に"ちゃわんぶ"という店名にて自身の店を構えられました。

"ちゃわんぶ"という店名の由来は『ぶっちゃん』という愛称で馴染客や料理界の先輩や同僚から呼ばれていたこと
から文字列を少し変えて"ちゃわんぶ"と命名、新旧の店が多く軒を連ねる車力門通にあって今や各方面から熱い
眼差しを浴びているホットスポットです。

當日の料理は一月最終日ということもあり先ずは身体の心から温まる『かぶら蒸し』の先付から。すりおろした蕪の
上には菊菜と生姜が天盛りにされ蕪の中には鯛、海老、百合根、木耳などを混ぜ合わせ蒸しあげたものの上から、
とろみのついたたっぷりの『銀餡』がかけられ熱々のものをフウフウ、ハフハフ云いながら食べる冬場には欠かせら
れぬ一品。山葵ではなく『生姜』で食べさせる辺りが如何にも武澤流、口の中で淡雪の如く消えて行く『かぶら蒸し
は身体の芯からポカポカと温めてくれました。続いて供された八寸には千両なす土佐酢漬け、『生からすみ』に菜花、
そして味比べで添えられた出来立ての『からすみ』。舌にねっとりと絡みつく『生からすみ』は消しゴムのようにぶ厚く
切り分けられており『たらこ』のように美しい色合いを放つ、口に含むと塩加減はギリギリまで抑えられており兎に角、
美味しい。味比べに添えられた出来立ての『からすみ』も適度にウエット感が残っておりこちらもまた旨し。隠し包丁
を入れ煮浸しにして冷やした酢漬けの千両なすとともに口に運ぶと更に味わいは広がった。何とかのひとつ覚えの
ように『からすみ』=『大根』の組合せではないところも粋さを感じます。

造りは二段構えで先ずは神経〆にされ活かった食感が愉しめる『』。これも上身の部分は『へぎ切り』にし腹身の
部分は故意犯的に『平切り』で供し、おそらくこれ以上はないであろう最高の食感を愉しませてくれます。上身の部分
は歯を跳ね返すような弾力があり腹身の部分は噛み締めて溢れ出る脂の旨さを満喫されてくれました。割り醤油と
おろしポン酢の二つの味で食べさせてくれる辺りもうれしい配慮。更には後出しにて『』と『皮ぎし』の部分も味わい
鯛の美味しさを余すところ無く味わい尽くします。もうひとつの造りは『きずし(〆鯖)』に『海胆』、『浅草のり』というもの
海胆』と少量の山葵を『浅草のり』で巻き口に運ぶと海苔の香りが口の中にパッと広がり鼻腔から抜けて行きます。
その後から後追いしてくる海胆の甘みと山葵の辛味が渾然一体となり得も云えぬ口福感で満たされます。口溶けの
良さは上質な海苔の証。『きずし』はレア気味に浅く〆られたもの。皮の輝きが鮮度の高さを物語っていますが絶妙
な塩加減が鯖の持ち味を最大限に引き出していました。

椀物は『穴子』と大根の椀。椀に張られた吸い地は椀種の『穴子』に負けぬよう鰹を強めに効かせた出汁でひと口め
から美味しさを感じさせてくれるもの。食べ終える辺りに味のトーンを持ってくる滋味優先の京都の吸い地とは対極の
吸い地ですがこれはしみじみと美味しいのです。椀の主役の『穴子』はふわっとろの一歩手前で寸止めされたもので
柔らかさの中にもわずかな食感を愉しませてくれるニクイ配慮です。確かにこれ以上、煮込まれたら食べている間に
椀が濁ってしまうでしょうから…。

蒸し物は『鯛のかま骨蒸し』。鯛の目や口の周りのデロデロとしたゼラチン質や程良く締まり脂ののったカマの部分は
鯛の美味しさがギューッと凝縮されており食べ応えも充分。たっぷり添えられた『九条ねぎ』のシャキシャキとした食感
が良いアクセントになってました。勿論すべて綺麗にしゃぶり尽くし、お約束の『鯛の鯛』をゲット(笑)

炊き合わせは『海老芋と菊菜』。隠し味に『干し海老』が使われているのが肝です。肌理が細かくねっとりと柔らかい
海老芋』にはたっぷりと出汁が含まれており仕上げにかけられた『ふり柚子』の香りが堪りません。

そして"ちゃわんぶ"さんの『名物料理』にもなりつつある『ビフカツ』。牛肉の産地はその時どきで異なりますが信頼の
できる肉屋さんから三歳未満の雌牛の肉だけに拘ってブロック肉の状態で仕入、食べ頃になるまで店の冷蔵庫の中で
じっくりとエージングされた肉で作られる一品。

この日供された肉は『伊賀牛』。サーロインの部分を切り出し脂の部分を除去して作られた『ビフカツ』は肉の肌理が
細かく甘みが感じられるメチャメチャ美味。都内でも『ビフカツ』を味わさせてくれる店は数多あってもこれ程美味しい
ものは滅多に口にすることは出来ないと思います。ビフカツの本場の京都で供される"はふう"さんの五千円のビフカツ
にも匹敵する肉質のものであり"安参"の裏メニューで供された『ビフカツ』以来の感激ものでした。

香の物が供され、いよいよ〆の食事。この日の炊き込みごはんは贅沢にも見事な大きさの外房大原産の『真高鮑』を
二個も使った『鮑の炊き込みこはん』。大胆に切り分けられた『』がこれでもかと云わんばかりにゴロゴロと入って
おりました。おかわりでひとり一個分の『』を腹の中に収めた計算になります(笑) 『肝』は香の物とともに供され食事
の合間に味わうと美味しさ×2。

忘れてはならぬのが三種類の味噌をブレンドして作られた『味噌汁』の美味しさ。麦味噌の甘みがやや強めに感じる
味噌汁ですが食事の〆にこの微妙な甘みが堪りません。

これだけの料理が供され料理代が壱萬円は破格過ぎますが、この日も予約を入れた時点で既に『武澤』さんの体内
にスイッチが入ってしまったようで大盤振る舞いの内容となりましたが経木に書かれた本日の品書きの内容を見ますと
初めから企てておられたことが判りました(笑)。

自分の贔屓にしている店が脚光を浴びるのはある意味うれしくもあり悲しくもあり何はともあれ店が繁盛してくれれば
1ファンとしてはうれしいのですが心情は微妙です。ただ供される料理を口にするとそんな鬱憤は晴れてしまいますが。

  • 鯖ずし。鯖と舎利は贅沢にも1:1の黄金比。
  • 生誕記念日にと御祝いの赤飯が供されました。
  • シャンパン代わりに発泡濁りの日本酒でゆるゆると…

もっと見る

3位

千松しま (本塩釜、東塩釜、西塩釜 / 日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 5.0

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 ¥8,000~¥9,999

2017/11訪問 2017/12/30

塩竃おもてなし料理の味に舌鼓…『千松しま』

塩竈の高台に佇む赤本の宮城2017特別版にて⭐︎(ひとつぼし)に輝いた『千松しま』さん。今回は色川店主に無理を申し上げてのカウンター席にひとり陣取り『北大路魯山人』と室町三井家に伝わる『江戸時代の器と酒器』を使わせて戴き亭主 色川さんならではの『塩竈おもてなし料理』を堪能させて戴きました。全ての料理が美味しかったことは言うまでもありませんが懐石料理の華であり料理人の腕の見せどころでもある椀物。直前に削られた節で引かれた出汁は銘店『招福楼』系譜の実に素晴らしく清らかな吸い地。椀種には『アコウ(荒神目抜け)』と『粟餅』と菊花。口に含むとふっと鼻腔から抜ける削りたての節と羅臼昆布の上品な旨味は秀逸。向付は二段構えで前半は地物の『塩竈ひがしもの』と称されるメバチ鮪の赤身、中トロ、トロの三種味比べとアオリ烏賊、後半は通称『白川』とも呼ばれる幻級の『白甘鯛』の造りを漁師風の厚切りにて。舌にねっとりと絡みつく『白川』には卸たての山葵を載せ『岩塩』で味わいます。口に運ぶと凝縮された旨味で得も言われぬ口福感で満たされます。そして箸休めの酒肴『鱗煎餅』はやはり『招福楼』さん譲りの鱗を立てぬ若狭焼の焼き方でパリッパリに。『鯨』は自家製のベーコンにして実山椒とともに閖上の本玉の『赤貝』は肝まで味わい『牡蠣』は〆の食事の吸物や自家製の牡蠣豆腐にまでも使われ『秋刀魚』は凌ぎの飯蒸しと言ったように地の旬の食材と所縁の食材をフルに使いつつ食べ手の肩肘の力を自然に抜いてゆく酸いも甘いも知り尽くした色川亭主の料理に改めて魅せられた至福な夜でありました。
今年の生誕記念日の昼餉は東北六県に数多ある料理店の中でも全国の食道楽の方々から注目を集めている
塩竃の"千松しま"さんにて店主である"色川御夫妻"や友人に祝って戴いての思い出深い宴を催して戴きました。

"千松しま"さんの魅力につきましては既に語り尽くされている感もありますので割愛させて戴きますが料理の味
も宛ら『塩竃流のおもてなし』に訪れられた多くの方が感銘されリピーターとなっている東北屈指の料理店である
ということは疑う余地はなく個人的には郡山に店を構えられている"らん亭"さんと當店の二軒は東北では別格の
立ち位置にある料亭であると思います。

この日の料理は『先付』の三種から…、生誕日を祝って供された『赤飯』には贅沢にも『生口子』が添えられ店主
の言葉が添えられた蓋付の器の中には大きな黒鮑を使って作られた『鮑の酒蒸し』と生松藻、他に『蛸の桜煮』。

椀物は『玉子豆腐と蓴菜』を椀種に使い紅白の寄せものが添えられた椀。吸い地の味は従来、當店で供される
ものとは故意犯的に変えられており滋味優先の味わい。

塩竃流の『造りの盛込み』には漁師風に厚めに切り分けられた塩竃ヒガシモノと呼ばれるブランドものの鉢鮪に
金華山沖で水揚げされた金華鮃、太平洋の赤いダイヤ『喜知次』の湯霜造り、水蛸料理に定番料理の饅和え等。
中でも特筆すべきは『喜知次の湯霜造り』、脂ののりは申し分なく特に皮目の部分から溢れ出る旨味と脂、正に
口福』の瞬間が訪れます。焼物は『鴨ロース』に『筍の木の芽焼』、炊き合せ代わりに喉の部分が黒いことから
ご當地では"のどぐろ"と称されている『赤めばる』系の煮魚、味は『喜知次』と『めばる』を足して二で割った
ような感じ、箸休めに麹と無花果のゼリー寄せが供された後、『ぼたん海老の真丈揚げ』に同鬼殻焼と料理が続き
〆の食事は『鮑と鮭と若布の雑炊』、存在感のある『黒鮑』がゴロゴロと入った贅沢な雑炊を余すことなく堪能。
水菓子はイラ粉で作られた和菓子と桜餅を『お薄』とともに味わい今回の昼餉のコース料理はひと通りです。

心からのおもてなしを受け一品入魂の美味しい料理に舌鼓、京都や東京のソレとは異なる『塩竃おもてなし料理』。
一年前の大津波がまるで夢の様な静かな千賀ノ浦の湾を遠くに臨みゆっくり寛いで愉しませて戴いた極上のひと時、
三陸塩竃に"千松しま"という名店ありにけり。

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2011/08のレビュー
昼餉は"たまき庵"さんで蕎麦とうどん三昧、そして夜の食事は今や東北を代表する料理店であり全国区的の
知名度を誇る"千松しま"さんへ。3.11の震災以来、畏友とともに當店を訪れるたのは今回が二度目のこと。

あの日から既に五ヶ月の月日が経ったとはいうものの被災地の石巻は復旧すらままならず市街地の信号機の
灯りは消えたままであり各交差点に立たれた警察官の手旗信号の誘導で未だに車が往来しているという現実。

塩竃エリアは街を見たかぎりでは復興が進み以前の状況に戻りつつあるようにも見えるものの未だ厳しい状況。
いかに魚貝類の宝庫といえども市場が正常に稼動されていないので食材の調達もかなり制約があり難儀な筈、
そんな中でも店主の色川氏は『』や『海鞘』、『喜知次』に『金次郎鰈』(目板鰈)、『鱶鰭』、『牡蠣』、『秋刀魚』と
塩竃ひがしもの』と称される『鉢鮪』など前浜で水揚げされたものを集めて我々一行を歓待してくださいました。

料理は涼しげな『車海老と鯛のゼリー寄せ』からはじまり淡雪の如く口の中で消えて行く〆の『鯊の天丼』まで
一品入魂の渾身の料理、個人的に粽の『喜知次のすし』と今から四年前に初めて當店へ伺った際に供された
毛蟹の甲羅揚げ』が強く印象に残った料理、特に『毛蟹』は三陸産のものではなく北海道雄武産の1㌔アップ
の最高のものが用意されており脚肉の味、かにみその濃厚な味ともに身体が思わず仰け反る美味しさに言葉
を失い無我夢中で味わいました(笑)

當店の魅力を語るにあたり、これ以上、単に賛辞の言葉だけをならびたてても仕方のないことでしょう。

"千松しま"さんの塩竃流の『おもてなし料理』と女将さんのまごころのこもったおもてなしに触れられると、きっと
福沢諭吉』さん一枚の価値観が変わることと思います。後はご自身の五感でそれを味わってみてください。
            
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2011/06のレビュー
突然ですが…と日本テレビの製作担当者の方から"mixi"のメッセージを通じてアプローチがありました。

その内容はといいますと"Tabelog"に掲載している画像の借用許可と東日本大震災の復興の一助として
青森~盛岡~仙台~福島の東北太平洋エリアでグルメ番組の収録をするにあたり『地産地消』をひとつ
のキーワードとして、お奨めの料理店を何軒かピックアップして欲しいという内容のメッセージでした。

仙台では一期一会の"陸女鮨"さんに、塩竃おもてなし料理の當店"千松しま"さん、前浜のひがしものと
呼ばれる鮪を味わえる"すし哲"さんに天ぷらの"水谷"さんと絶対外せない"萬み高橋"さんの五軒をお奨
めさせて戴ききました(笑)

放送は今月の七月三十日(日)の午後2時30分~3時55分の一時間半番組、日本テレビ系列の福島
中央テレビの製作番組~東北グルメの今を調査せよ~日本テレビ系列局全国22局でオンエアとなります。 

そんなことで仙台編では當店"千松しま"さんでの八時間にも及ぶ収録が無事に終了された模様です(笑)

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2011/05のレビュー
震災から早二ヶ月が経った、五月のと或る日に塩竃にある"千松しま"さんへ畏友とお見舞いに伺ってみた。

店は高台にあることから無事ではあったものの店内の壁に入ったヒビなどが揺れの大きさを物語っていた。

現在、店は休業中ではあるが今月中旬より営業再会の模様、休業中は色川店主の味を"お取り寄せ"にて
味わうことが出来るという明るいニュースを耳にし早速にオーダーして家路に、数日後に届いた品物が画像
のもの、四千円の詰合せを送って戴いたのですが紐解いて驚愕『鮑の磯煮』、『牡蠣の燻製』、『鰻の山椒煮
というリッチな内容であり、これで本当に四千円でいいのですか?と正直思いました。

鮑の磯煮』は別名『甲州煮貝』とも呼ばれる鮑の柔らか煮、醤油ベースで味付けされた鮑はうま味たっぷり、
これに臍と呼ばれる貝殻との接合部分と肝も添えられており、これ一品だけでも三千円の価値はあると思う。
国産の鮑の持つ豊潤な肉質と口の中に広がる磯の香りと肝独特の舌触りとほろ苦さは輸入物の安価な鮑
モドキのロコ貝ではこうはいきません。
付け合せに『くきわかめ』と『昆布』が添えられていますが、この二品は『鮑の煮汁』で炊かれたものであり
佃煮屋の甘ったるいソレとは一線を画す味です。鮑は海の中で海藻を食べているので理に適った付け合せ
といえるでしょう。

牡蠣の燻製』は仙台味噌を使い一度、味噌漬けにした牡蠣を桜のチップでスモークしたものを濾した梅干で
酸味を加えるという非常に手の込んだもの。単なる燻製で終わらないところが如何にも色川さんらしい一品。
口に含んだ瞬間に薫香が広がり歯を立てると味噌の香味が更に重なり喉を過ぎてから梅の清涼感が後追い
してくるという完成度の高い一品で箸が止まらなくなってしまう程に後を惹く味。

そして當店の『鰻の山椒煮』は何度が戴いており既にレイティングもしているので細々とした説明は割愛させて
戴くが安定感のある一品、炊き立ての白いごはんの上にのっけて食べても良し出汁をかけて茶漬けとして味わ
っても良し、色目からは濃ゆい味付と思われる向きも居られるかもしれないが、ごはんの友にはもってこいの味、
滋味溢れる美味しさが愉しめます。

四千円で名店"千松しま"の味を試すことが出来るこのチャンスをお見逃しなく…、自宅用として買い求めるのも
勿論のこと来る『父の日のプレゼント用』として送られるのもきっと悦ばれること間違いなしかと…。

商品代金は仕入れ状況によって多少の変動はあるようですが、この内容で品代が五千円以下となれば買わぬ
手はないでしょう。詳しくはこちらを… http://o.tabelog.com/rvwdtl/70732/

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2010/12のレビュー
東北エリアにも個人的に大好きな料理店や割烹、鮨店が何軒かありますが料理店では文句なしに一番好きな
"千松しま"さん。御縁とは摩訶不思議なもので店主の色川氏より千賀の浦産の天然鰻が手に入ったという
吉報の電話を戴いたのですが実にタイミングが良いことに自分は仙台に居たのであります。
これってほんとうに不思議ですよね。都内より友人一行が食べ歩きの旅に来た際には仕込みや準備の関係で
五名が限度と云われ自分は友人達と一緒に食事をすることができなかった。
已むを得なく自分達は近くの"きくち"さんという料理店で別個に食事をし"水菓子"だけを"千松しま"さんで
皆と一緒に戴いた時以来のこと…。あの時、友人達に供された料理もとても美味しそうだった。

その際、店主より『千賀の浦産の天然鰻』の話を少しだけ伺っていたのですがまさかこのタイミングで連絡を
戴けるなどとは努々思いもよらぬこと、きっと何かが袖を惹き合ったのでしょうね。

電話口で前ゞ夜に"銀たなべ"さんで天ぷらを戴いたけれど""も"銀宝"も食べることが出来ずに残念
だったという話をしたところ昼過ぎまでに用意してくださるとのこと、えっ、それって冗談でしょうと思いながらも
色川さんのこと、きっとどうにかされるんだろう~と期待をして再訪、カウンター席に腰を下ろすや否や厨房より
仕込みを終えたばかりの"銀宝"と""を手にした店主が顔を出された。

何とかこれだけですが用意させて戴きましたよ…。これだけって? いやー凄い、感謝感激雨霰です。
ということで"天ぷら"とビールで半分、残りを"天丼"で全て綺麗に胃袋に収めさせて戴きました。

銀宝を食べずして天ぷらを語る無かれ』という格言がありますが正にそのとおり、"銀宝"といえば夏場が
旬と思っていましたが當地では十月~十二月まで味わうことが出来ることにも二度驚きです。

""の天ぷらは口の中で淡雪の如く消え去り"銀宝"の天ぷらは穴子よりも淡泊な味わいですが旨みという
点では比較にならぬほど上を行く美味しさ、『借金をしてでも銀宝の天ぷらは喰え』という諺も食べてみれば納得
というもの。

""、"銀宝"の天ぷらを存分に満喫し身も心も腹も満足となったところで別腹で絶妙な塩加減の"塩辛"で
即興の"塩辛ごはん"を戴き至福の食事は終了となった。

八寸等にも使われる"田螺"は店主自らが採りに行かれているものだと知りまたまた驚き… 超稀少な天然鰻は
山椒煮にされたものを寝城に持ち帰り後日少しづつ味わせて戴きましたが絶品でありました。
何っといっても""がゴリッパであり言葉では云い表されぬほど美味しかったです。

大好きですね"千松しま"さん、自分の中で★★★★☆(4.5)という評価にしておく意味がなくなりました。
レビューの更新とともに評価を★★★★★(5.0)に上方修正させて戴きます。

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2008/07のレビュー
京都から盛岡に戻り一番最初に伺ったのは塩竈にある當店【千松しま】さんであります。
ご存知の方も多いと思いますが【紫式部】が書き綴った【源氏物語】から今年は千年目の年と云われ京の都では
【源氏物語千年紀】のさまざまなイベントで盛り上がりを見せています。

【源氏物語】の主人公は【光源氏】で、光源氏のモデルは嵯峨天皇の第12皇子【源融(ミナモトノ トオル)】と語り継がれ
ている。

それがどうした【塩竈】と何の関係があるんだ~と云う声もどこからともなく飛んできそうでありますが…

京都に御住まいの方々や土地勘のある方々であれば御理解戴けることと思いますが【五条大橋】の先に下京区
【本塩竈町】と【塩竈町】と云う町名が京都の街に現存しており、これが何を意味するか?

【光源氏】のモデル【源融】は現在の宮城県塩竈市融ヶ岡に邸宅を構え国府【多賀城】で東北を監視する要職の
【陸奥出羽按察使】で赴任されていたと云伝えられており【光源氏】のモデルの主は【塩竈の千賀ノ浦】の風景を
忘れることができず帰京後に六条の辺りに【塩竃の千賀ノ浦】を模した大庭園を築かせたのだそうであり、これが
現在の五条大橋から烏丸通に向う手前の五条通を挟み【本塩竈町】と【塩竈町】という町名として現存していると
いう事実。

【京都に移された塩竈】、【平安ロマンの縁】で繋がっている…という嘘のような本当の話なのです。

(閑話休題)

今回の再訪では【千賀ノ浦】という【光源氏】がこよなく愛した眺めを明るい時間に一望したいという思いから昼の
時間に伺い前回同様に料理は壱万円也のものを戴きました。

先附の【仙台七夕】と【お月見】をイメージして作られたという茗荷、蓮芋、御芋、小豆を使い出汁のジュレがかけ
られた料理からはじまり、大皿に四人分盛り込まれた【粽】と一見【鱧】と思いきや何と【海蛸 (ほや)の寿司】。
個人的に【海蛸(ほや)】を好んで食べることはなませんが口に入れ噛みしめ喉を越えた後から独特の甘みと清涼
感が後追いしてくる感じがなんともいい感じでした。

【粽】は笹をほどいてみますと中は【ぐじ(甘鯛)】の寿司で、この【ぐじ】の寿司が美味いのなんのって…。

店主の色川さんは名門【招福楼】さんの流れを汲む祇園の老舗割烹【味舌】さんで磨かれた確かな
腕前で美味しい料理を舌を楽しませてくれます。

そしてこの日のサプライズ第一弾は、こんなに立派で大きな牡蠣が存在するのだろうかと目を疑う【八年もの】の
天然もの牡蠣』、画像では上手く牡蠣の大きさが伝わらないと思いますが長さ25㌢幅が15㌢程のデカくて、
ぶ厚い牡蠣ながら大味ではなく濃厚な海のミルクがギュッーと濃縮された滋味溢れる味、これを特製の薬味と
ともに戴くと思わず口元が緩んでしまいました。

【椀物】は鯒、水茄子、粟餅、茗荷の吸物ですが素晴しい吸い地であります。

【鯨と山葵菜】の小鉢、蔓紫、長茄子、牛蒡、昆布、笹に包まれたものが大皿に盛込まれて登場。
笹の葉に包まれたものは【鯊の蒸し寿司】、炙られた笹の香ばしさが加味されてとても美味でした。

【牡丹海老と西貝】の小鉢は八角の風味が印象的、西貝とは螺貝やばい貝、九州の赤西貝の仲間なのでしょうが
コリコリとした食感は小気味良いものの味は和の粋を越え大陸的な味わいでした。

【造り】は【がぜ海栗】と【金次郎鰈(目板鰈)】、【鮪】、【海老ともずく】の酢の物と定番の【鯊のぬた】。

そして、この日のサプライズ第二段は【がぜ海胆】と呼ばれる殻に入った【ムラサキ海胆】であり【ムラサキ海胆】が
また尋常な大きさのものではなく海胆の身の一片の大きさが小振の握り鮨程の大きさがありましたが【千賀ノ浦】
で極少量獲れるとても稀少なものらしく【ムラサキ海胆】と云っても味は濃厚であり口の中に甘みを残しすっーと
消えて行きました。

今回、思わず呻った料理は【海蛸(ほや)の揚物】。
【海蛸(ほや)】を大葉と穴子で包んで揚げたもので口中に磯の香りがパァーと広がり後から不思議な甘みが押寄せ
てきます…。まるで【千賀ノ浦】に寄せては消える波の如し…。

そして食事は【鯊と冬瓜の雑炊】、香の物と【海蛸(ほや)の珍味】とともに戴きました。

【水菓子】を戴き、ほうじ茶を戴いて、ふう~。今回も食べに食べたり。【抹茶】を戴き御馳走さま。

【京都】と【塩竈】は平安の時代から【平成の時代】に時は移っても、やはりしっかりと繋がっていた。

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2007/12のレビュー
Tabelogの東北六県の全エリア、全部門で最上位評価の店であり敬愛するウィーンの森の物語氏に奨められて
いた料理店であり年内訪問を目標に掲げていた店でありましたが二名~の完全予約制の店ということと立地が
立地だけに色々とハードルが高く誘う相手選びにも難航し今の今まで未訪となっておりましたが、年の瀬となった
と或る日に東京と盛岡の友人達が加わり夜の部に初訪問することが出来ました。

JR本塩竈駅よりタクシーで3メーター程の距離 "塩竈神社"の更に高台の塩竈の港内を一望できる最高の眺望
ロケーションの臨める住宅地の中にひっそり佇むように店が構えられておりました。

店名の【千松しま】の由来は以前、店を構えられていた【松島】に由来するそうであり【松尾芭蕉】もその景観に
感動したという【松島】に立つ【千本の松】を謳った【朝霧や跡より恋の千松しま】と謳われた【千松しま】から名付けら
れたのだということを女将さんから伺いました。

そして戴きましたのは 壱萬円のおまかせ料理であり供された順に記すと下記のとおりとなりますが料理の画像は
掲載可能枚数に制限がある為に一部分を抜粋しております。

【供された料理】
・めじ鮪のカマトロの炙りと酒蒸し鮑の薬味のせ、・数の子と山牛蒡、・牡蠣、・じゃこと青唐辛子、・焼魚、・生海苔を
炊いたん、・つと豆腐と粟饅頭の汁物、・水蛸、石なぎ、めじ鮪、岩牡蠣、鯊のぬた。
大皿に焼いた石が敷かれ朴葉の香りづけがされた野趣溢れる料理と・鯨の山椒醤油づけ、つとで包まれ蒸された
おこわ、・牡蠣と鯊の天ぷら、・毛がに甲羅揚げ風の揚げ物、・なます風の酢の物、・焼穴子、・喜知次(きちじ)、里芋、
水菜の炊き合わせ。・花無花果、蕪、胡瓜の香の物、・鰻のしぐれ煮ごはん。
口直しに百合の根を飾った麦香煎を固めた手造り羊羹風の寄せ物と抹茶。

料理の味が旨かったのは云うまでもありませんが椀物に使われた藁で包んで作られた【つと豆腐】や麦こうせんを
固めて羊羹にも見間違える和菓子まで全て店主ひとりで作られていることに驚きと感動を覚えました。
それぞれの料理は一見、地味に見えますが惜しみない手間がかけられ作られているということは云うに及ばず…。

前菜で供されました【カマトロの炙り】と酒蒸にした【鮑】は絶妙の味でしたし、【カマトロ】の薬味には香味野菜や旨味
を凝縮させゼリー状に固められた出汁の固形物がのせられており仏蘭西料理にも通じるような味わいに仕上げられ
ておりました。

他にも【鯊のぬた】風の料理や毛蟹の甲の中に蟹味噌とたっぷりの毛蟹のほぐし身、歯応えのある椎茸など毛蟹の
旨みが封じ込まれ【毛がにの甲羅揚げ】はいい味してました。

前浜である【千賀ノ浦】の新鮮な海の幸を店主である【色川秀行】氏の【京都】の某割烹仕込みの技と業、料理に
込められた【一期一会】のもてなしの心で口福な料理が昇華し完成されている。

供された料理は品数も多かったのですが、それぞれの素材の持ち味を最大限引き出され味の濃淡や抑揚のつけ方
は流石に京都仕込であり最後の一品まで口飽することなく戴くことができたことと女将さんの最高のおもてなしの応対
にふれることが出来、噂に違わぬ素晴しい店でありました。

當店より優れた料理店は全国に数多くあることは充分に承知しておりますが【壱萬円】で、こんなにも手のかかった
料理を供して戴ける店はそうそうはないと思います。

【千賀ノ浦】を臨む洋風のテーブルが置かれた個室と、ゆったりと寛げる和室が各一部屋づつ用意されています。

【一日二組】までの塩竃流の心のこもったおもてなし、総合評価は初訪問につき★★★★☆(4.5)とさせて戴きましたが
気持ち的には★★★★★(5.0)に相当するほどの感動を受けた店であります。

  • 白川(白甘鯛)の造り
  • 塩竃ひがしもの味比べ
  • 鱗煎餅

もっと見る

4位

大神 (祇園四条、三条京阪、三条 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 3.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥15,000~¥19,999 -

2012/01訪問 2012/04/27

大神さんのコース料理は驚愕かつ圧巻です … 『大神』。

実に三年ぶりのレビュー更新となりますが、その間の2010年の1月と8月、2011年の1月と計三度伺っておりますが
2010年の画像は某寿司店で湯呑みの中にデジカメを水没させてしまい消失、そして昨年の画像は収めた盛岡の
寝城に置いていたノートPCが先の大震災で転倒したテレビの下敷きとなり無残にも壊れてしまいデーターの復旧も
出来ずと不可抗力が重なって更新することが叶わぬ状況に陥っておりました。

初レビューから四年連続で毎年『一月二日』に伺っているということもあり"大神"さんからは『一月二日の男』と
呼ばれるようになってしまいました(笑)

満を持しての今回の更新レビューは今年の一月二日に伺った時のもの、毎年同じ日に伺っているからこそ感じる
ことなのですが正月に供される料理内容には大きな違いはないものの豪華な食材を惜しげもなく大胆に使い供さ
れるスタイルは四年前も今も同じ。

今年の料理もいつもの如く壱の膳から食事の八の膳まで圧巻の料理の数々、特に印象に残った料理は弐の膳の
河豚の白子焼とからすみ』を組合わせた妙に尿酸チックなひと皿と正月期間にも関わらず素晴らしい弾力のある
真鯛』が用意されておりこれを何と『キャビア』と海苔佃煮で味わうという斬新な食べ方で戴いた二つの料理です。

他にも飛龍頭の上にこれでもかと云わんばかりに半端できない量の『生海胆』が乗せられた料理や『近江牛』の
A5クラスの肉を使って供された小鍋立ての『すき焼き鍋』等も舌の味蕾と脳裏に強く印象に残った料理です。

〆の食事には今回は『牡蠣』の炊き込みごはんをチョイス、それは昨年の未曾有の大震災と津波によって三陸産
の養殖がきが壊滅的被害を受け殆ど牡蠣を口にすることが出来なかったことから敢えて選んだ訳ですが使われて
いた牡蠣は小ぶりな広島産の牡蠣ですが味は濃密、いつものことながらオコゲを多めに作って戴き都合二杯味わ
い食べきれなかった分は寝城へのオミヤとして持ち帰らせて戴きました。

壱萬壱千円という予算で『河豚』に『』、『』に『近江牛』とこれ程まで高級食材をオンパレードで供される店も滅多
にないことでしょう。まして祇園でこれをやられる訳ですから凄過ぎるの一言に尽きます。

都内で確固たる地位を築かれた湯島の"くろぎ"さんの料理の供され方は何となく"大神"さんのスタイルに似ている
と感じるのはおそらく自分だけではないでしょう。

ようけ食べさせてしまってすみません』の言葉を地で行く"大神"さんの圧倒的なコース料理の組立ては日本広しと
いえども唯一無二ではないでしょうか?

来年の一月二日もきっと此処で酒盃を傾けていることでしょう~(爆)
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2009/01のレビュー
正月ということもあり昼餉は"阿じろ"さんで『精進料理』に舌鼓、夕餉は人気割烹ゆえ座席確保の競争率が高く
最近では希望日に予約を取ることは先ず無理と云われている祇園の"大神"さんへと寄せて戴きました。

元旦から営業されている"大神"さんもある意味、商魂逞しいとも思いますが當方の上洛日に合わせタイミング
良く予約を入れ席を確保しておいてくれていた友人のV君に心より感謝です。

當店の魅力については既に先行レビュアーの方々の数多のレビューで語り尽くされている感もありますが今回、
足を運んでみて感じたことは料理の味、質、値に関して界隈では『一頭地を抜いている』と云うことは紛れも無い
事実であるように思います。

店主を個性的とも称される方も少なくありませんが接客についても決して異質な訳ではなく我々にはむしろ好意
的に接して戴いたという好印象を受けました。

供される料理に関しましては一品ゞ丁寧に説明をして下さりましたが店主の間合いで話をされるので不慣れな方
は多少違和感を感じてしまうのやもしれません。

そんなことからゆっくりとした口調で柔らかな語り口で話される方の多い京都の割烹店の店主の中ではやや異質
で闊達な存在と思い込まれてしまうのも理解できます(笑)

店内に一歩足を踏み入れると奥に向かい横一線に伸びた厚みのある白木のカウンターが目に飛び込んできます。
席に着きますと白木のカウンターは良く手入れが行き届いていることが判りますし総座席数10席はカウンター割烹
としては理想に近い席数であるように感じられました。

店主の『大神 淳』氏の他に男女各ひとりづつの御弟子さんが向かい側に立たれ當日は三名で店を切盛りされて
いました。

とりあえず瓶ビールで乾ききった喉を潤しひと息ついたタイミングで店主の酌により一献の食前酒が振舞われた後
料理は一品ごと供されるのではなく御膳に二~三皿の料理がのせられ御膳単位で供されましたが、一つの皿の中
に色々な素材を使った料理が少しずつ盛り込まれているので品数以上の満足感が得られるというのも當店の特徴
のひとつでしょう。供された料理は下記の通り。

一の膳』は正月らしく御節の縁起ものの、ごまめ、牛蒡、車海老、真魚鰹焼、もろこ、黒豆、ちょろぎ、柚子釜の中
には炙った貝柱と菜花、そして別皿で数の子が供されました。

弐の膳』の『』は『ぐじ』と『からすみ』の飯蒸し、『』には湯葉のすり流し揚げ蓮根のせ。『飯蒸し』は上品な出汁
に豪華な食材の取り合わせで美味。

参の膳』は造りと椀物。『造り』は新年を祝い紅白二種類の海胆を使い分け目出度さを演出した『鯛の海胆巻』と
シビのトロ』の二点盛、『椀物』は『焼鰆と胡麻豆腐の吸物』。造りには余分な手を加えず素材の良さを全面に出し
口福をもたらしてくれるものでシビのトロの上にのせられた薬味のジュレの味が絶品でした。
椀物』の吸い地は京都の料理店としてはやや出汁が濃いめに感じましたが『焼鰆』と『胡麻豆腐』という椀種には
これぐらい輪郭がしっかりした吸い地を合わせないと逆に味がボヤケテしまうかもしれぬので敢えて濃い目にされ
ているのでしょう。

ここで『大神』氏のパフォーマンス、『大神劇場』の開演です(笑) 活きた『伊勢海老』を手づかみで持ちあげて一度、
我々にその活きの良さを披露した後に出刃を使いガリッ、バキッ、バリッという豪快な音を響かせながら目の前で
伊勢海老を捌きはじめ臨場感を楽しませてくれます。

茹で上げられた『ずわい蟹』へも同様に包丁が入れられ瞬く間に次々と皿に盛られていく様は圧巻そのものです。
大神さんにその『』は『間人の蟹』ですか?と敢えて尋ねてみたところ『高い蟹はうちでは使えません。北海道産
のずわい蟹を使わせて戴いてます
』という返答が返されました。

四の膳』は先ほど目の前で豪快に捌かれた『伊勢海老の鬼殻焼』と茹で揚げられた『ずわい蟹』が鬼の面のよう
にも見える鬼面型の陶器で供されましたが『伊勢海老の鬼殻焼』はガスバーナーで炙られたものでほんのりと磯の
香りが身から溢れ出る旨味と味噌が絡みあう野趣味が楽しめる一品。『ずわい蟹』の身は甘く身入りも上々、間人
や越前の蟹と比べれば味の濃厚さは劣るものの充分に蟹を味わっているという満足感が得られるものでした。

五の膳』は伊勢海老の形をした器に『干し柿の白和え』、蒸し物は『かぶら蒸し』、隠元、たらこ、慈姑、人参などの
炊き合せと『いくら』。寒い京都の冬の夜に味わう『かぶら蒸し』は格別です。

六の膳』はグツグツと煮立ったコラーゲンたっぷりの『』をたっぷり使った小鍋立の『○鍋』。好物の『○鍋』で身も
心もポッカポカとなり幸せ気分も絶頂です。

七の膳』は『河豚づくし』の膳。『河豚の唐揚』に『てっさ』、『河豚のヒレ』を使った鰭酒ならぬ『河豚ヒレ入りスープ』。
てっさ』を『梅肉』で食べさせるというのが"大神"さんのスタイル、河豚に梅肉?の組合せ。と頭の中では疑問符が
浮かび上がっていましたがいざ戴いてみるとこれは驚き。コリコリとした河豚に梅肉を合わせる。この食べ方は充分
にアリです。

しかし次から次へと入れ替わり立ち代り御膳が出てくる出てくる。 色んなものを少しづつ供して戴くことは個人的に、
とってもうれしいことだが一体どんだけ食べさせるつもりなのだろう~(笑) と頭を過ぎったところで店主より後は食事
の準備をさせて戴きます
。との言葉。 食事は炊き込みごはんとなりまして鯛、蛸、穴子、百合根に… と例の間合い
で釜めしの種類を説明してくれました(笑)

鯛の炊きこみごはんも捨て難いし穴子の炊きこみごはんも魅力的でしたが今回は『明石の蛸の炊きこみごはん』を
炊いて戴きました。

二十分程で炊き上げられた『蛸の炊きこみごはん』に香の物、『伊勢海老の味噌汁』が『八の膳』として供されました。
蛸の炊きこみごはんは『オコゲ』をたっぷり入れて…と當方が所望したこともあり画像は『オコゲ』が沢山入っている
ものをアップしておりますが當然オコゲ抜きで供して戴くことも可能ですが釜炊きの醍醐味は香ばしいオコゲの味を
愉しめることもひとつであると思いますのであとは好みの問題かと…。『伊勢海老の味噌汁』は伊勢海老の旨みが、
たっぷりの贅沢な超濃厚海老出汁味噌汁。きっとこれ以上に濃厚な海老出汁の味噌汁は世の中には存在しないで
しょうと思われる程の濃密な味わい。香の物もしっかり手抜かり無く作られたもので料理は総じて美味しく戴きました。

食後に『林檎ゼリー』と『ココナッツとレモンのシャーベット』が水菓子として供され今宵のコース料理はひととおり終了。

料理を食べ終えての感想は料理の美味しさも然ることながら使われている器がまた素晴しいということ。『魯山人』を
はじめとして名立たる作家ものの器が何気に使われておりビールグラスにも『バカラ』のアンティークものが使われて
いるなど器に対する店主の強い拘りがひしひしと感じられました。

雑居ビルの一階という立地であり箱庭の景色を眺めながら…という料亭のような風情こそありませんが器と料理が
目と五感を存分に愉しませてくれます。

しかし何と云っても恐れ入ったのは當店の驚異的なCPの高さ。壱萬壱千円という予算でこれだけの質の高い料理を
祇園で供されるとは驚きのひと言です。『ようけ食べさせてしまってすみません』の言葉は伊達ではありません(笑)

自分が知るかぎり"大神"さんは祇園の中で最も費用対満足度の高い一軒であると思います。此処はお奨め店です。

  • 壱の膳。
  • 鯛と貝柱の椀。
  • 蓋も素晴らし

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5位

千陽 本店 (本八戸 / 日本料理、海鮮)

16回

  • 夜の点数: 4.6

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 昼の点数: 4.9

    • [ 料理・味 5.0
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 5.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥20,000~¥29,999 ¥20,000~¥29,999

2024/07訪問 2024/08/14

贅沢の極みウニとアワビと天然うなぎに幸神メヌケ…『千陽』

『完全予約制』イチゲンサマオコトワリへと原点回帰された『千陽』さん。従来の電話番号をもわざわざ変えられ開店當初から御贔屓にされている限られた御客様にだけに案内された模様です。幸い自分にも幸運の案内が届きました。そんなことからTabelogでは現在『掲載保留』となってますが『千陽』さんは今まで以上にパワーアップされ数寄屋造りの新店舗でしっかりと営業されて居られます。店主である原 泰典氏は板前割烹を日本で初めて生み出し彼(カ)の北大路魯山人(キタオウジロサンジン)をして「うまいものを食うなら浜作へ行け」と言わしめた八坂神社の鳥居のすぐ近くに約百年に亘り本店を構えられていたカウンター割烹の魁(サキガケ)『浜作本店』さんにて七年間研鑽を積まれた方であり独自の料理感で視覚と味蕾を魅了され続けて居られます。今回は原店主より「八戸の海胆(ウニ)と鮑(アワビ)が絶好調なので食べにいらしてください」とお誘いをいただき久しぶりに再訪させていただきました。ギン冷えのブルックリンラガーで渇いた喉を潤します。料理は早速、八戸産の『蝦夷鮑(エゾアワビ)』の水貝(ミズガイ)と八戸産の『キタムラサキ海胆(ウニ)』の刺身からスタートです。鮑(アワビ)の水貝(ミズガイ)は活の蝦夷鮑(エゾアワビ)の身を大き目の角切りにして海水程度の塩水に浮かべられた数ある鮑(アワビ)料理の中でも夏場に最も適した調理法と個人的に思っております。彩添えには三陸産の若芽(ワカメ)と茗荷(ミョウガ)が添えられての登場です。外側はコリっとした歯応えが愉しめ内側は程良い咀嚼感も楽しめる柔らかさ。一方のそしてキタムラサキ海胆(ウニ)は當日の朝に獲られたものとのことでしたが身が大きくしっかりしていて甘みのある味わいでした。続いて供された料理は八戸産の朝獲れの天然物の『海鞘(ホヤ)』は八戸の在来野菜の胡瓜(キュウリ)の『糠塚(ヌカヅカ)きゅうり』の組合せ。海のパイナップルとも称される喉元を過ぎてから甘みが後追いしてくる天然物の海鞘(ホヤ)と仄かな苦みを感じる地物の胡瓜(キュウリ)と数ある高級魚のなかでもトップクラスの高級魚である『幸神目抜(コウジンメヌケ)』の造りです。太平洋の赤いダイヤモンドとも称される喜知次(キチジ)も幸甚目抜(コウジンメヌケ)の前では赤子(アカゴ)の如し。九州の九絵(クエ)と比べても全く引けを取らぬ8㌕の見事な魚体。脂がのった濃厚な味わいの白身を厚切りにし卸し立ての本山葵(ホンワサビ)といただくという贅沢さ。続いて供されたクリスタルの皿の中には八戸近郊の小川原湖産の幻の『天然鰻(テンネンウナギ)』を使った鰻冊(ウザク)です。超稀少な天然鰻(テンネンウナギ)を炭火で白焼(シラヤキ)にされシャキシャキの糠塚(ヌカヅカ)きゅうりとの組合せです。天然鰻(テンネンウナギ)は変な癖はなく肉厚で外はパリッと中はふんわり柔らかで濃厚にして上品な脂と旨味が感動ものでした。次の大皿には油焼した『賀茂茄子(カモナス)』に八丁味噌(ハッチョウミソ)に天然鰻(テンネンウナギ)の肝(キモ)を加えた味噌(ミソ)で味わう田楽(デンガク)と『幸神目抜(コウジンメヌケ)』の南蛮漬(ナンバンヅケ)に『生海胆(ナマウニ)』をトッピングした焼物と油物の高級なハイブリット料理。〆の食事には『キタムラサキ海胆(ウニ)』が丼の表面を覆いつくした『うに丼』に八戸の郷土料理『海胆(ウニ)』と『鮑(アワビ)』の潮汁(ウシオジル)の『いちご煮』と郷土料理の紫蘇巻味噌(シソマキミソ)と大根(ダイコン)人参(ニンジン)胡瓜(キュウリ)の糠漬(ヌカヅケ)とともにいただきました。『いちご煮』と『うに丼』は筆舌に尽くし難い美味しさであったことは言うに及ばず。目は口ほどにモノを言うということで想像の翼を広げご覧ください。料理に合わせて佐賀の『光栄菊』ハルジオン純米生原酒、オール京都産の素材で醸された『十石』祝 純米吟醸、爽やかでやや甘さを感じる吟醸香とチリチリと細かな酸味が支える青森の地酒『田酒』純米吟醸彗星に焼酎マニア垂涎ものの超レアな長芋焼酎 六趣(ROKUSHU) 五年のロックとともに愉しませていただきました。


金曜日の夜は盛岡を離れ八戸へ。八戸駅で友人と合流し中心街の定宿のひとつである『ホテル』へチェックイン。そして向かった先は八戸の日本料理界で確固たる地位を築かれ数多の和食料理人に大きな影響を与えられる味小経『千陽』さんへと再訪させていただきました。店主である原 泰典氏は日本に於けるカウンター割烹の先駆者とも称される京都祇園の『浜作本店』さんにて研鑽を積まれた方であり独自の料理感で視覚と味蕾を魅了されています。先ずはギン冷えのブルックリンラガーで乾杯し渇いた喉を潤します。料理は隠し包丁を施し軽く湯霜にされた八戸産『槍烏賊(ヤリイカ)』と若芽(ワカメ)と雪ノ下浅葱(ユキノシタアサツキ)の胃壁と食欲中枢を刺激する酢の物からスタート。続いて供された料理は東北では滅多に口にする機会の無い天然『真魚鰹(マナガツオ)』の衣揚げと筍(タケノコ)、蕗の薹(フキノトウ)、楤ノ芽(タラノメ)の素揚げを軽い藻塩(モシオ)で味わい向付には北海道産の『バフン海胆(ウニ)』に青森大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』のトロ、太平洋産の赤いダイヤモンドとも称される八戸産の『喜知次(キチジ)』の焼霜、青森深浦産の活けの『ボタン海老(エビ)』、八戸の隣町 青森三沢産の『北寄貝(ホッキガイ)』の豪華な造りの盛合せに舌鼓を打った後は身は甘く蟹みそが絶品な八戸産の『毛蟹(ケガニ)』の甲羅盛(コウラモリ)、と鹿児島産の早掘り筍(タケノコ)と『桜鱒(サクラマス)』のにぎりの後は『やまつ辻田』さんの朝倉粉山椒(アサクラコナサンショウ)とともに味わう青森県産のブランド黒毛和牛の『十和田湖牛(トワダコギュウ)』のランプ肉と芹(セリ)と独活(ウド)とともに愉しみました。『千陽』さんの烏賊(イカ)の腑腸和え(フワタアエ)は数多の八戸の料理店さんが真似しコースの凌ぎでの『にぎりずし』も殆どの料理店が右習えというのもの影響力の大きさを感じます。締めの食事は早掘り筍(タケノコ)に和布蕪(メカブ)と北海道産の『バフン海胆(ウニ)』を惜しげもなく使った宮内庁御用達の稲庭素麺(イナニワソウメン)を使った温麺を箸休めの香の物とともに味わい八戸産の『いちご』と自家製の羊羹(ヨウカン)にて〆られたのでありました。料理に合わせていただいた日本酒は京都の神蔵 純米大吟醸 無濾過生酒からはじまり八戸の陸奥男山 裏男山 超辛純米 無濾過生原酒と陸奥八仙 裏八仙 純米大吟醸 華想い 無濾過生原酒、佐賀の光栄菊 ハルジオン 無濾過生原酒、京都の十石 祝 純米吟醸と京都にはじまり〆も京都の日本酒を料理に合わせて雅な気分を楽しませていただきました。
金曜日の夜は盛岡を離れ八戸へ。八戸駅で友人と合流し中心街の定宿のひとつである『ホテル』へチェックイン。そして向かった先は味小経『千陽』さんへ。店主である原 泰典氏は日本に於けるカウンター割烹の先駆者とも称される京都祇園の『浜作本店』さんにて研鑽を積まれた方であり独自の料理感で視覚と味蕾を魅了されています。二階に席をいただき先ずはブルックリンラガーで乾杯。料理は青森県産の海鼠(ナマコ)を『やまつ辻田』さんの堺 鷹の爪(タカノツメ)の唐辛子(トウガラシ)を加えられた霙卸し(ミゾレオロシ)と小口切りされたたっぷりの分葱(ワケギ)と菊花(キッカ)とともに味わう胃壁と食欲中枢を刺激する一品からスタート。更には身の厚みで一目瞭然の深浦産の天然ものの『鮑(アワビ)』と真鱈(マダラ)の『白子(シラコ)』の揚物を鮑(アワビ)の肝(キモ)に南蛮(ナンバン)みそと言われる八戸のソウルフードのピリ辛の調理みそを合わせたソースとともに味わいます。噛み込んだ歯を押し返すような『鮑(アワビ)の』弾力が何とも言えません。そして深浦産の天然の『藤壺(フジツボ)』を溶き卵(トキタマゴ)のスープで味わいます。卵スープに藤壺(フジツボ)のエキスが加わり美味なるスープ、見た目はグロイのですが海胆(ウニ)と若芽(ワカメ)を同時に口に入れたような味わいが愉しめます。向付には青森 大間産の天然ものの『本鮪(ホンマグロ)』のトロに陸奥湾産の活の『真鯛(マダイ)』の焼霜(ヤキシモ)造り、八戸産の『鯣烏賊(スルメイカ)』を使った烏賊(イカ)の腑腸和え(フワタ)、凌ぎ代わりには梅雨時期の脂乗りの良い入梅鰯(ツユイワシ)を凌ぐ脂のりの『鰯(イワシ)』と鮮度抜群な『鮟鱇(アンコウ)』と『鮟鱇の肝(アンコウノキモ)』のにぎりと鮟鱇の肝(アンコウノキモ)。焼物には青森県産の『短角牛(タンカクギュウ)』と岩手北上産の二子芋(フタゴイモ)を『やまつ辻田』さんの朝倉粉山椒(アサクラコナサンショウ)とともに愉しみました。『千陽』さんの烏賊(イカ)の腑腸和え(フワタアエ)は数多の八戸の料理店さんが真似しコースの凌ぎでの『にぎりずし』も殆どの料理店が右習えというのも八戸の日本料理界での原さんの影響力の大きさを感じます。そして青森の『短角牛(タンカクギュウ)』の味は既に岩手の山形短角牛(ヤマガタタンカクギュウ)や岩泉産の短角牛(タンカクギュウ)の上を行っています。正直言って青森の短角牛(タンカクギュウ)の方が味と旨味が濃いことは疑う余地なしかと。補助金をぶらさげて米を沢山与える給餌の問題の影響が少なくないと思います。炊合せ代わりに供されたのが八戸前沖の1.3㌕の立派な『銀鯖(ギンサバ)』と京都産の正真正銘の九条葱(クジョウネギ)を使った『鯖(サバ)しゃぶ』、締めの食事は真鱈(マダラ)の『白子(シラコ)』を裏漉しした汁に稲庭饂飩(イナニワウドン)を合わせた超濃厚で激ウマな『白子饂飩(シラコウドン)』を味わい〆られた口福な時間。
今回の週末土曜日の八戸遠征の目的は遠方より八戸に来られた友人達の再会とアテンドにありました。宿泊先のホテルで合流後に総勢五名で向かったのは日本に於けるカウンター割烹の先駆者とも称される『浜作本店』さんにて研鑽を積まれ八戸の日本料理界の若手から中堅の料理人の方々に大きな影響を与えられる原 泰典店主が腕を揮われる味小径『千陽』さんです。二階の席をいただき青森県産の海の幸を惜しげもなく使った海鮮料理に舌鼓を打たせていただきました。五人での訪問でしたので料理は三人盛と二人盛に分けて供されました。先付には宿戸産の殻付きの『生海胆(ナマウニ)』からスタート。良質な昆布(コブ)を沢山食べた海栗(ウニ)は甘くて素晴らしい身質と身入りで「うわぁー凄い」と歓喜の声が上がりました。向付には皮目を湯霜造りにされた絶品の『幸神目抜(コウジンメヌケ)』に海のパイナップルとも呼称される八戸八木産の天然物の『海鞘(ホヤ)』に岩手野田産の活けの『帆立貝柱(ホタテカイバシラ)』、『鯨(クジラ)』の尾の身(オノミ)。喉元を過ぎてから清涼感が後追いしてくる『海鞘(ホヤ)』は天然物ならではのもの。『幸神目抜(コウジンメヌケ)』の弾力と旨味は筆舌に尽くし難き美味しさ。そして凌ぎには青森 大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』のカマトロ、『皮剥(カワハギ)』の肝(キモ)載せ、春の訪れを告げる『桜鱒(サクラマス)』の海胆(ウニ)載せの三種のにぎり、そして10kgアップの正真正銘の『幸神目抜(コウジンメヌケ)』のカマを使った南蛮漬(ナンバンヅケ)へと繋がれました。噛み込んだ歯を押し返すような弾力に一同悶絶です。焼物には十和田『短角牛(タンカクギュウ)』のトモサンカクの炭火焼を『やまつ辻田』さんの山椒(サンショウ)とともに味わい〆の食事には八戸産の毛蟹(ケガニ)の近親種の『とげ栗蟹(クリガニ)』とたっぷりの『生海胆(ナマウニ)』の炊込みごはんを『桜鱒(サクラマス)』と筍(タケノコ)の鍋を汁物にして香の物とともに味わい水菓子代わりの『鳳梨(パイン)』と鳳梨(パイン)ゼリーをいただき料理はひと通りとなりました。料理に合せていただいたアルコールはブルックリンブルワリーのクラフトビールでの乾杯からはじまり『紗利』五割諸白 純米大吟醸、『英君』miss Cherry、『天寶一』韋駄天しぼりたて生、『二兎』純米大吟醸 愛山四十八に絶品のハイボールでペロンペロンに気持ち良くしていただき友人達も大満足。無事にアテンダント役の任務を完了したのでありました。
板前割烹を日本で初めて生み出し彼の魯山人をして「うまいものを食うなら浜作へ行け」と言わしめた八坂神社の鳥居のすぐ近くに約百年に亘り本店を構えられていたカウンター割烹の魁(サキガケ) 祇園『浜作本店』さんで七年間研鑽を積まれた原 泰典店主が腕を揮われる味小径『千陽』さんへ友人二人とともに再訪させていただきました。先ずはクラフトビールの『BROOKLYN BREWERY』で再会を祝し乾杯。料理は『海鼠(ナマコ)』の茶ぶりと海藻(カイソウ)のアカハタ、そしてそのアカハタから造られるプルプルモチモチの八戸のソウルフード『アカハタモチ』と八戸の冬の味覚『鮟鱇(アンコウ)』の唐揚げと銀杏(ギンナン)の素揚げの先付二品からスタート。向付には前浜で揚がった鮮度抜群の『曹以(ソイ)』に大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』のトロ、今が旬の三沢産の『北寄貝(ホッキガイ)』、凌ぎにはハシリの『桜鱒(サクラマス)』に大間産の『本鮪(ホンマグロ)』のトロ、春の訪れを告げる『鰊(ニシン)』のにぎりに『柳蛸(ヤナギタコ)』の桜煮(サクラニ)、焼物には十和田産の『短角牛(タンカクギュウ)』の炭火焼を『ヤマツ辻田』さんの山椒(サンショウ)とともに味わい箸休めには陸奥湾産の『帆立(ホタテ)』と菜花(ナバナ)とキウイの黄身酢(キミズ)掛けで口内をフラットにし炊合せ代わりに『幸神目抜(コウジンメヌケ)』と秋田三関産の根付の『芹(セリ)』との鍋を味わい、締めの食事には鍋の出汁を使い加えられた『蝦夷鮑(エゾアワビ)』と稲庭饂飩(イナニワウドン)の煮麺(ニュウメン)を香の物とともにいただき水菓子には『いちご』と『羊羹』で締められた口福な時間。使われている皿と盛付で目を楽しませ料理の味で味蕾を魅了する原さんの料理の数々。レアで稀少な日本酒とともに堪能させていただきました。
週末の土曜日の夜は郡山を後にして東北新幹線にて盛岡へ。更に車にて東北自動車経由で八戸自動車道を北上し八戸へ。宿泊先のホテルにチェックインを済ませ暫し部屋で休息。友人二人と合流後に向かった先は八戸の数多の日本料理店の店主の方々に今も尚、料理スタイルや器に酒類まで全般にわたり大きな影響を与え続ける原 泰典店主が腕を揮われる『味小径 千陽』さんへ久しぶりに寄せていただきました。席はいつもの二階の個室。席に着き先ずはスプリングバレーの生ビールで再会を祝し乾杯。料理は『甘鯛(アマダイ)』の鱗揚げ(ウロコアゲ)、極小サイズの『鰙(ワカサギ)』の素揚げ、『銀杏(ギンナン)』焼に『里芋(サトイモ)』のチップスの先付三種盛からスタート。そして八戸の数多の店が真似をして供されている元祖『千陽スタイル』の『烏賊(イカ)』の腑腸和え(フワタアエ)と続き焼物には25㌢もの超特大サイズの天然物の『車海老(クルマエビ)』。凌ぎには赤酢(アカズ)使いの舎利(シャリ)と香り高い青飛び海苔(ノリ)で味わう『鮑(アワビ)』の磯辺巻(イソベマキ)、炊合せ代わりには特大サイズの『牡蠣(カキ)』と『鮑(アワビ)』の卵とじ。向付には大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』のトロに三沢産の『鮃(ヒラメ)』、活の『毛蟹(ケガニ)』は氷水にさらし身を締め花を咲かせた洗いで味わい『真鱈(マダラ)』の雲子(クモコ)はポン酢とともに。更には大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』の大トロのにぎり、赤身肉の『短角牛(タンカクギュウ)』は陶板で焼きで『短角牛(タンカクギュウ)』の稀少なレバー焼とともに『やまつ辻田』さんの山椒(サンショウ)を塗し味わい素朴な地物の『栗(クリ)』の味を愉しみ、『真鯛(マダイ)』と天然の『滑子茸(ナメコ)』の煮物椀、締めの食事は『毛蟹(ケガニ)』と山の鱶鰭(フカヒレ)とも称される『平茸(ヒラタケ)』のおじやをサラサラと流し込み水菓子代わりにはシャインマスカットに金柑(キンカン)、ゼネラルレクラークに林檎(リンゴ)をいただき締めた口福な時間。気の置けない友人達とともに酒を酌み交わし大いに笑い楽しませていただきました。
四月最初の週末の土曜日は盛岡を離れ三週連続の八戸。周囲からは「そろそろ八戸に引越しされた方が良いんぢゃないですか?」と揶揄をされ確かに宿泊代や移動時間等のことを考えたらそれも一理あるよな。と考える今日この頃。そして久しぶりに再会する友人のアテンドで向かった先は日本国内でのカウンター割烹の先駆けと伝えられる京都『浜作本店』さんで六年半の研鑽を積まれた後に故郷である八戸の地に誰にも影響を受けず独創的な料理で今も八戸の中堅、若手の料理人の方々に大きな影響を与え続けられる原 泰典店主が腕を揮われる『味小径 千陽』さんです。先ずは『Brooklyn Brewery』のラガービールで乾杯し渇いた喉を潤し料理はコーン感が堪らない北九州合馬産の『筍(タケノコ)』の蒸し焼と薇(ゼンマイ)と雪の下の千本葱(センボンネギ)先付からスタート。そして有明産の歯切れの良い海苔(ノリ)を使い鮪(マグロ)の中落ちを使ったネギトロならぬ『桜鱒(サクラマス)』の最も脂ののった腹身(ハラミ)の部分を叩いた『マストロ』と刻んだ柴漬(シバヅケ)を海苔(ノリ)で包んでいただきました。椀物代わりの種市産の立派な『シューリ貝』は溶き卵ととれたての海藻とともに味わい向付には八戸産の活けの『毛蟹(ケガニ)』のあらいに青森 大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』のトロ、岩手 野田産の『帆立貝柱(ホタテカイバシラ)』に八戸産の『桜鱒(サクラマス)』に筍(タケノコ)、北海道産の『北海縞海老(ホッカイシマエビ)』の造り。中でも甘みが強い『北海縞海老(ホッカイシマエビ)』と活蟹(カツガニ)ゆえ味わうことが出きる『毛蟹(ケガニ)』のあらいは白眉の味わいでした。凌ぎには長尺の皿で供された『にぎり鮨』。寝かせて旨味を最大限に凝縮させた『鮃(ヒラメ)』に『槍烏賊(ヤリイカ)』の糸造りを三重にも重ねたにぎりに皮岸から溢れ出る脂が悶絶ものの『のどぐろ』の炙りに鮑(アワビ)の肝(キモ)とともに味わう『あわび』のにぎり。焼物には十和田産の『短角牛(タンカクギュウ)』のシャトーブリアンとレバーの炭火焼をヤマツ辻田さんの和歌山産の『葡萄山椒(サンショウ)』と天城産の『本山葵(ホンワサビ)』とともにいただきました。滅多に口にすることが出来ぬ短角牛(タンカクギュウ)の『レバー』の炭火焼は屠畜後1時間で肉とともに十和田から届けられた鮮度抜群の一品とのこと美味しくいただきました。煮物代わりには『桜鱒(サクラマス)』の粗(アラ)から引いた出汁(ダシ)で味わう『桜鱒(サクラマス)』のしゃぶしゃぶ。今の時期にしか味わうことが出来ぬ『生松藻(ナママツモ)』のシャキシャキとした食感がふわとろの桜鱒(サクラマス)の佳きアクセント。酢の物代わりには『毛蟹(ケガニ)』脚肉(キャクニク)の剥き身、そして締めの食事は『毛蟹(ケガニ)』と『蟹味噌(カニミソ)』のおじやをサラサラと胃袋に流し込み食後の水菓子には『青梅(アオウメ)』の甘露煮(カンロニ)と八戸産の『苺(イチゴ)』、そして茶で締められた口福な時間。旬の食材を惜しげもなく使い振舞われた五味五感を刺激し眼と味蕾を楽しませてくれた料理の数々。やはり八戸に移り住むべきであろうか?と本気で考えつつも結論は役職定年となる三年先まで取り敢えず持越しに。

10月最初の週末の土曜日はランチは盛岡のオトナの隠れ家的イタリア料理店『filo』さんでPranzoのコース料理に舌鼓を打たせていただきました。そして夜は盛岡を離れ愛車を駆って一路、八戸へ。宿泊先のホテルにチェック・インをして小休止。友人二名と合流し向かった先は八戸の日本料理界に革命を齎し多くの若手から中堅の人気店の料理人さん達に今も影響を与え続けられている大胆な器使いと京都『浜作』さん仕込みの包丁さばきで五味五感を魅了し続ける原 泰典店主が腕を揮われる『千陽』さんです。緊急事態宣言の全国一斉の解除を受け久しぶりに再会する友人達とテーブルを囲ませていただきました。友人二人は生ビール、Surgical Operationを控えアルコールを呑むことが出来ぬポンコツの自分はノンアルコールビールで再会を祝し乾杯。料理は大好物の『鮑(アワビ)』の煮貝と大和薯(ヤマトイモ)の摺流し(スリナガシ)の先付。続いて供された皿の上には直径20㌢超の超特大サイズの『あわび』の貝殻が横たわりその周囲を鮑(アワビ)の肝(キモ)ソース。貝殻の中には海水の塩度に合わせた塩水に浸け騙し切りにされた水貝(ミズガイ)のような食感が楽しめる『活あわび』の薄造り、そして皿に端に添えられた酢飯(スメシ)の舎利玉(シャリダマ)とスタートから悶絶級のあわび料理が供されたのでありました。向付には函館産の『松皮鰈(マツカワカレイ)』に支笏湖の姫鱒(ヒメマス)にルーツを持つ十和田湖産の『姫鱒(ヒメマス)』に野田産の4㌢程の厚みがある肉厚の『帆立貝柱(ホタテカイバシラ)』の造りです。松皮鰈(マツカワカレイ)は『王鰈(オオカレイ)』と称される40㌢近い大きさの釣りの天然もので身の弾力や旨味は三陸産の養殖ものとは美味しさが段違いに違います。姫鱒(ヒメマス)はギトギト過ぎぬ適度な脂の甘みが感じられ帆立(ホタテ)は北海道産の直播きの帆立(ホタテ)にも引けを取らぬ立派なサイズの貝柱を『のだ塩』とともにいただくことで美味しさと甘みが更に高みへと感じられました。凌ぎには日本海のダイヤモンド能登産の『ノドグロ』のにぎりに今時分が美味しい『鯵(アジ)』のにぎりをいただきました。鯵(アジ)には浅葱(アサツキ)と生姜(ショウガ)の薬味、皮目を炙り旨味と甘みが増したノドグロには食用の菊花(キッカ)とともに味わいました。焼物と煮物代わりには十和田産の『短角牛(タンカクギュウ)』と岩手県産の『松茸(マッタケ)』とねっとりと舌に絡みくつ『二子里芋(フタゴサトイモ)』とピリッと辛い『青南蛮(アオナンバン)』、短角牛(タンカクギュウ)は石焼にし『やまつ辻田』さんの『山椒』とともに味わい、松茸(マッタケ)は鋤焼(スキヤキ)にして味わいました。強肴には活けものの『伊勢海老(イセエビ)』と『ノドグロ』の贅沢な海鮮鍋。ノドグロと伊勢海老(イセエビ)という共に主演級の饗演は伊勢海老(イセエビ)の具足煮(グソクニ)+ノドグロ鍋の1+1=2ではなく3とも4ともに美味さが増幅。更にはノドグロと伊勢海老(イセエビ)の出汁に更に『あわび』と『大和蜆(ヤマトシジミ)』と『うに』を惜しげもなく加えられ味わう八戸の郷土料理の『いちご煮』風の煮込み素麺(ソウメン)を箸休めの香の物とともにいただき口直しの水菓子に林檎(リンゴ)と青梅(アオウメ)の蜜煮(ミツニ)で〆た御馳走の波状口劇に友人達も目をシロクロ、「都内で同じものをいただいたとしたらきっと五万円ぐらいするんぢゃないの?」の言葉が飛びだす程とても素晴らしい神無月のお任せ料理に合わせて自分は八戸、三戸、五戸産の3種類のリンゴジュースの味比べとともに楽しませていただいた至福で口福な時間に感謝。
八戸の地でイチゲンサンオコトワリ完全紹介制の先駆け店であり多くの日本料理界の料理人の方々に多大なる影響を与えつつ独創的な器使いと盛付けで多くの客を魅了し続けられている原 泰典店主が腕を揮われる日本料理店『味小径 千陽』さんへ友人のアテンド役にて再訪させていただきました。先ずはクラフト生ビールで乾杯し楽しき宴のはじまりです。料理はオトナの拳大の『鮟鱇(アンコウ)の唐揚げ』を鮟鱇の肝ソースで味わう鮟鱇の料理から順に凌ぎ代わりに供された『桜鱒(サクラマス)のにぎり』に『蛸(タコ)の桜煮(サクラニ)』、向付には超特大サイズの『ボタン海老(エビ)』を中心に『金目鯛(キンメダイ)』、大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』中トロ、『海鼠(ホヤ)』に『蛸(タコ)』の盛込み。焼物は『やまつ辻田』さんの『朝倉粉山椒』で味わう『十和田短角牛(トワダタンカクギュウ)』のランプ肉のつけ焼とねっとりと舌に絡み付く海老芋(エビイモ)、煮物代わりに『鮟鱇汁(アンコウジル)』、締めの食事は自家製の香の物と『ずわいがに』の圧巻の『蟹(カニ)めし』です。たっぷりの蟹の身とカニミソとともに味わう絶品の一品に一同悶絶。食後の水菓子には大粒のイチゴと酸味と甘味のバランスが秀逸な八戸産のリンゴにて締められた独創的なコース料理に舌鼓を打たせていただきました。
北日本屈指の口福フレンチレストランPetit Restaurant『Bouquet de France』さんにてSpécialitéの料理の数々を満喫させていただき青森を後にして向かった先は八戸です。そして友人夫妻と合流し向かった店が日本で最初のカウンター割烹と言い伝えられる京都 祇園の『浜作』本店さんで六年余りの研鑽を積まれた後に地元 八戸に店を構えらた原 泰典さんと御母様が切盛りされる味小径『千陽』さんです。八戸の日本料理界の若手や中堅料理人の多くが原さんの提供される料理スタイルを完全に真似ていることからもその影響力はかなりのものと推測されます。器使いで魅せ料理の味で更に魅せる五感を存分に楽しませてくれる料理の数々に今回も味蕾は悦びぱなし。先ずはハイネケンの生ビールで渇いた喉を潤し料理は鱗をキッチリと立てて揚げられた『甘鯛(アマダイ)』の若狭揚げ(ワカサアゲ)に『海胆(ウニ)』をのせて焼いたものに『富有柿(フユウガキ)』と『菠薐草(ホウレンソウ)』の白和え『海老芋(エビイモ)』のチップスの先付からスタート。そして八戸の多くの料理人が、その供し方を完全に真似られている『千陽STYLE の烏賊(イカ)の腑腸和え(フワタアエ)』、向付には『柳の舞(ヤナギノマイ)』の姿造りに大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』のカマトロ、八戸前沖産の650㌘超の銀鯖(ギンサバ)と呼称される『真鯖(マサバ)』の炙りに『河豚(フグ)』と思いきや『鮟鱇(アンコウ)』の造り。焼物には青森が誇る黒毛和牛種の最高峰『倉石牛(クライシギュウ)』のヒレ肉の炭火焼に『フォアグラ』に見間違えた『鮟鱇(アンコウ)の肝(キモ)』のロースト、『海老芋(エビイモ)』の素揚げに『和栗(ワグリ)』を八丁味噌(ハッチョウミソ)で味わう田楽仕立(デンガクシタテ)、更に『倉石牛(クライシギュウ)』は堺の『やまつ辻田』さんの『麻倉粉山椒(アサクラコナサンショウ)』とともに味わい心地良い刺激で五味を楽しみ椀物代わりに八戸では『金サガ』と呼称される8㌕超の高級魚の『幸神目抜(コウジンメヌケ)』と『海鼠(ナマコ)』のしゃぶしゃぶを『根付き(ネツキ)の芹(セリ)』とともに楽しみ更には『幸神目抜(ヒウジンメヌケ)』の旨味がたっぷりの出汁に青森屈指のブランド米の『青天の霹靂(セイテンノヘキレキ)』のオジヤに山芋(ヤマイモ)の『ネバリスター』の摺り流しと味変の薬味に『鮑(アワビ)の青南蛮漬(アオナンバンヅケ)』とともにお腹に収め水菓子代わりに八戸産の二種類の林檎(リンゴ)をいただきひと通りです。全てが計算し尽くされた味の積算の料理であり五味五感を存分に魅了し愉しませていただき感無量となった八戸『千陽』さんでの口福な時間。
12月14日。今も広く語り継がれる忠臣蔵 赤穂浪士討入りの日。2019年、年内最後のレビューの投稿をさせていただく店は日本で最初のカウンター割烹 京都祇園の『浜作』本店さんで六年余りの研鑽を積まれた後に地元 八戸に店を構えらた原 泰典さんと御母様がお二人で切盛りされている『完全予約制』イチゲンサマオコトワリの味小径『千陽』さんです。八戸の若手、中堅料理人の多くが原さんの供される料理スタイルを完全に真似ていることからも八戸の和食店の料理人さんへの影響力は計り知れません。器使いで魅せ料理の味で更に魅せる五味五感を存分に愉しませてくれる料理の数々に今回も味蕾は悦びぱなしでした。先ずはハイネケンの生ビールで渇いた喉を潤します。料理は大好物の『黒鮑(クロアワビ)』のバター焼が何と一人に一個付の大盤振舞いにもうスタートからテンションが上がりました。『あわびのバター焼』とともに供されたのは一見、河豚(フグ)の唐揚げ?と見間違えた『鮟鱇(アンコウ)の唐揚げ』です。唐揚げには『芹(セリ)の白和え(シラアエ)』が添えられ供されましたが口にした瞬間に『とら河豚(フグ)』の唐揚げにも勝るとも劣らない『鮟鱇(アンコウ)』の唐揚げの味わいと身の弾力、更にはワザありの『芹(セリ)の白和え(シラアエ)』の味重ねに魅せられたのでありました。そして八戸の多くの料理人が供し方を完全にパクっている『千陽』さんSTYLEの『烏賊(イカ)の腑腸和え(フワタアエ)』が続きます。十二月に入りやっと烏賊(イカ)の腑腸(フワタ)も大きくなってきて美味しさが増してきました。思わず炊きたてのごはんの上にコレを載せていただきたいという衝動に駆られたほど。向付には八戸前沖産の一尾800㌘程の立派なサイズの『真鯖(マサバ)』の軽い焼霜(ヤキシモ)造りに大間産の一本釣りの天然『本鮪(ホンマグロ)』の稀少部位の『カマトロ』に『河豚(フグ)』と思いきや『鮟鱇(アンコウ)』の身と皮のポン酢和え。焼物にはブランド牛の『倉石牛(クライシギュウ)』のシャトーブリアンの炭火焼に『栗(クリ)』と『海老芋(エビイモ)』の素揚げを『八丁味噌(ハッチョウミソ)』とともに味わう田楽(デンガク)仕立。煮物代わりには八戸では『金サガ』と呼称されている8㌕超の高級魚の『幸神目抜(コウジンメヌケ)』と『根付きの芹(セリ)』の煮物椀、〆の食事は最近注目されている『フジツボ』の出汁の出汁に真鱈(マダラ)の白子(シラコ)『くもこ』と青森屈指のブランド米『青天の霹靂』を使い造られた絶品の『白子(シラコ)ぞうすい』を味変の薬味と香の物とともにお腹に収めてひと通りです。全てが経験から裏打ちされた味の積算と引き算の料理であり五味五感を存分に愉しませていただいた師走の八戸での口福の時間を愉しませていただき感無量です。
イチゲンサンオコトワリ完全紹介制のの原 泰典さんが腕を揮われる『千陽本店』さん。店主である原 泰典さんは日本のカウンター割烹の先駆けである京都 祇園の『浜作』さんで八年間研鑽を積まれた方であり確かな日本料理の技術の上に独自のスタイルで大胆な器使いと器あしらいそして独創的な発想から生み出される唯一無二の創作料理で目と舌を魅了させてくれます。地元の和食店への影響力は物凄く強く何度と無く『千陽』さんへ足を運ばれては酒の仕入先から器や器使いに料理の盛付けや接客等に至るまで総てを学ばれていかれた店が数多あることは八戸ジモティの食通の方々の間では実に有名な話ということを複数の友人より異口同音なれど耳に胼胝(タコ)ができる程、何度となく聞かされております。それらの店々も現在では八戸では結構な人気を博す店となっているようですが人真似(ヒトマネ)とパクリではオリジナルを超えることは先ず出来ないのではないでしょうか?話は横道に逸れてしまいましたが今回は八戸ジモティの友人との新年会を兼ねて寄せていただきました。今回供された『厳選素材(ゲンセンソザイ)』は小川原湖産の『公魚(ワカサギ)』の稚魚に八戸産の『鮑(アワビ)』、下関産の天然『とら河豚(フグ)』、三沢産の『北寄貝(ホッキガイ)』に青森大間産の天然『本鮪(ホンマグロ)』、青森県産黒毛和牛『倉石牛(クライシギュウ)』、京丹後産の『海老芋(エビイモ)』、秋田三関産『根付きの芹(セリ)』、八戸産『幸神目抜(コウジンメヌケ)』に『海鼠(ナマコ)』に昆布森産『生海胆(ナマウニ)』を使い作られた唯一無二の創作料理に舌鼓を打たせていただいた口福な時間。どんなに賛美の言葉を並べたてようとどんなに蘊蓄の言葉を書き綴ろうともやはり目は口ほどに物を言います。画像をご覧いただき想像の翼を広げていただいた方が自分が受けた感動に近いものを感じられるのではないかと思われます。今回もいただいた料理は総べて素晴らしいものであったことは言うまでもありませんが中でも味蕾と記憶に強く残った料理は『幸神目抜(コウジンメヌケ)』と根付きの芹の鍋と青森県産黒毛和牛『倉石牛(クライシギュウ)』に『鮟鱇(アンコウ)の肝(キモ)』と『焼海胆(ヤキウニ)』のミルフィーユ仕立の炭火焼の美味しさに思わず悶絶し身体を仰け反らせた次第です。料理に合わせていただいた酒はTap Marchéのクラフトビールでの乾杯からレアな日本酒の『田酒 純米吟醸 百四拾』に『作田 純米吟醸 よっきりの会』、幸神目抜に秋田三関産の根付きの芹の鍋には秋田の門外不出の『不惜身命』とマニア垂涎ものの日本酒を合せて堪能させていただきました。
5月のG.Wの連休期間は帰省せずに八戸の街でゆっくり過ごせていただきました。三日目の夜は完全紹介予約制、イチゲンサンオコトワリの『千陽』さんヘ。八戸の三十代〜四十代の和食店の料理人さんには未だに影響を与え続けられている『千陽』さん。店主の『原 泰典』さんは京都 祇園で誕生した日本で最初の板前割烹として創業以来 八十有余年の歴史を誇る名門『浜作』さんにて約八年の研鑽を積まれた後に故郷である八戸に和食店を開業された方であり素材の持味を最大限引き出し日本料理に軸足を置きつつも独創的で唯一無二の創作和食を愉しませてくれます。その魅力は味ばかりではなく器使いや器あしらい、そして大胆な盛付で目と舌を愉しませてくれます。いつもの二階席を使わせていただき八戸へと転勤となった気の置けない友人との再会の場所として今回は利用させていただきました。先ずはビールで乾杯。とメニューに目を向けますと生ビールのラインナップが全4種のクラフトビールにハイネケンの生ビールと大幅に増えているではありませんか。完全予約制の店で5種類もの樽詰めビールを扱い、それを回しきれていることにも驚かされますが一体、何を頼むのがベストなのか?としばし頭をひねり今回は柚子の香りに山椒のアロマが加味された和食に良く合うクラフトビールからスタート。つきだしには前述した通り多くの店に強い影響を与え良くあちこちの店でも同じような形で供される千陽さん流のオリジナルの『烏賊の塩辛』に旬の山菜の『薇(ゼンマイ)』と『九条ねぎ』を加えた小鉢から。造りは青森産の『幸神目抜(コウジンメヌケ)』に『生海胆(ナマウニ)』、焼物には旬の『筍(タケノコ)』と青森県産の『黒毛和牛(クロゲワギュウ)』の炭火焼に叩き牛蒡、煮物代わりに超特大サイズの八戸産の『シューリ貝』に『幸神目抜(コウジンメヌケ)』、油物には子持ちの『白ボタン海老』の二度揚げしたものに『鮟鱇(アンコウ)』の頬っぺたの唐揚げに『アンキモ』のソース、酢の物代わりに天然物の『海鞘(ホヤ)』をすりおろし胡瓜(キュウリ)が作家物の見応えのある大きな器に盛付けられるのが開店以来のスタイル。そして締めの食事は『鮑(アワビ)』と『海胆(ウニ)』とごはんを土鍋で軽く焼いた後に『幸神目抜(メヌケ)』と十二湖産の『大和蜆(ヤマトシジミ)』の出汁を加えた『海胆(ウニ)』と『鮑(アワビ)』の『いちご煮ぞうすい』を香の物の盛合せとともに味わい水菓子代わりに柏餅風の一品、中の餡が小豆を炊いたものではなく西京味噌ベースの餡でこれが絶品の味わい。画像は消失してしまいましたが薄茶にてひと通りです。料理に合わせて稀少な『裏 陸奥八仙』と『六根』をいただきました。素材の持ち味を最大限に引き出された滋味ある味わいの料理を今回も愉しませていただきましたが連休最終日であり時化で全く揃わなかった八戸でこれだけの御馳走を振舞っていただいたことに感謝です。
今年 最も足を運んだ街である八戸の市街地に店を構えられる完全予約制イチゲンさんオコトワリの『千陽(せんよう)』さんに約四ヶ月振りの再訪。毎年恒例の『千陽』さんでの年末の宴。生ビールで乾杯後に前菜で供された超特大サイズの子持ちの『白ボタン海老』の素揚げに海老芋のチップスに一同驚愕の声が上がり宴の開始。続いて供された向付には幻の魚とも呼称される天然ものの『王鰈(マツカワガレイ)』に程良い脂の旨味が味わえる『ヨコワ』の腹身、氷水で締め花を咲かせた『生たらばがに』の造りに鬼柚子の中に収められた今が旬の『くもこ(真鱈の白子)』の豪華な魚介類に舌鼓を打ち焼物には絶品な火入れで仕上げられた青森県が誇るブランド黒毛和牛種の『十和田湖和牛』の炭火焼をたっぷりの辛味大根とともに味わい鍋物には8㌕超の『幸神目抜け(コウジンメヌケ)』の出汁で『生たらばがに』と秋田 三関の根付きの芹とメヌケの身を自家製の柑橘ポン酢とともに味わう一度で二度美味しい鍋。締めの食事には甲羅に『H』の紋様があることから個人的に『エルメスガニ』と読んでいる『ひらがに』の土鍋ごはん。カニみそと丁寧に剥かれた蟹の身を大胆に混ぜ和えていただく豪快な『蟹めし』をいただき汁物代わりに供された『焼たらば』のエキスたっぷりの温製の稲庭饂飩、水菓子にはイチゴと稀少な妙丹柿、料理に合わせて戴いた酒は薄濁りでシュワシュワ感が心地良い『ゆきの美人』に『益荒男』の山廃純米吟醸酒に名工杜氏の『農口尚彦』氏が最後に醸した五年古酒の益荒男の山廃純米酒の『極』を差しつ差されつの四時間半超の年末恒例の楽しき宴の時間。京都の『浜作』さんで腕を磨かれたイケメン店主『原 泰典』氏の供される料理は器づかいで見せ場を作り彩りや香りで華やかな味わいを愉しませる等、味の抑揚と緩急をつけられた料理。素材に手を掛け過ぎることなく素材本来の持ち味を最大限に活かす『引き算の料理』を満喫、堪能させていただきました。
完全紹介制でイチゲンサマ御断りの八戸が誇る郷土料理の店『千陽本店』さんへ久々に寄せていただきました。今回、公開させていただいた料理画像は一部を抜粋したものですが山菜名人が採って来られたという天然物のコゴミ、シドケ、たらの芽、ワラビ、アイコ等の山菜に『倉石牛』や『筍』等の山の幸と『幸神メヌケ』にフジツボ、超特大サイズの『ボタン海老』に『槍烏賊』に明礬を使わぬ塩水漬の『海胆』。那智勝浦産の『本鮪』のハラカミに『八角』に『海鞘』の造りに『ノドグロ』を贅沢にも軽く焼霜にしたものを煮浸しで山菜とともに味わう海の幸を地酒『陸奥八仙』の稀少な『裏八仙』の純米大吟醸酒の口開けを皮切りに地酒の『桃川』の玉松蔵No.960に福島の『会津中将』、『飛露喜』等の酒とともに種々愉しませていただきました。余談とはなりますが八戸市の観光部からの要請で長い間、日中に営業されていた八戸市水産科学館 『マリエント』へ出店されていた店舗につきましては遠方から楽しみに定期的に足を延ばされていたツーリスト客や地元の常連さんに惜しまれつつ諸事情により十年間の契約期間を二年ほど残し今年の三月三十一日を持って閉店されました。今後は本店だけでの営業となり以前にも増してクオリティの高い料理を戴くことが出来ることは嬉しいことですが蕪島神社や恵比須浜漁港を望むあのマリエント店の夕日が沈む前の美しい光景を二度と見ることができぬのは残念でなりません。
八戸には大好きな店が余りにも多く有り過ぎて二泊三日や三泊四日程度の小旅ではなかなか回ることが出来ぬのが実情です。お気に入りの店への再訪を優先させてしまいますと新規開拓はなかなか出来ないという表裏一体の時間的制約にいつも頭を悩ませる有様。そんな中『和食』という括りの中では最も大好きな店であり外すことの出来ぬ店が當店『千陽』さんです。伺う度に何かしらの感動を必ず与えてくれる期待を決して裏切らぬ佳店です。料理の基本は日本最古の『カウンター割烹』の店と称される京の都の『浜作』さん仕込みの確かな目利きと技術の礎の上に店主である『原』さんのひとつの形に捕らわれぬ感性が加味されて作り供される料理の数々。器あしらいは勿論のこと器の使い方や盛込みもも美しく目と舌を毎回愉しませてくれます。インターネットの普及により人気店で供される料理画像は実際、店に足を運ばなくても誰しもが見れる時代、八戸の同業の店で供された料理を見てアレ?ということになることもしばしば。しかし、そんなことなどケセラセラと全く気にも留めず常に一歩先を進むのが『千陽』の『原』さんの度量の広いところ。『ハートランド』の生ビールも八戸では『千陽』さんが先駆けでしたが他店でも相次いで供するようになってからは違うビールに切り替える等、兎にも角にも八戸の同業者さんは右向け右となる存在(苦笑) 久しぶりのレビューの更新ではありますが個々の料理の説明は敢えて割愛させていただきますが『画像は口ほどに物を言う』。追加アップさせていただいた料理画像をご覧戴ければ一目瞭然、御理解戴けることかと思います。全国各地から旬の食材をいち早く仕入れ供されるのも仕入先とのパイプの太さを裏付けています。例えば一尾ウン萬円の値が付く築地市場でも引手数多の『幸神目抜け』や今や玉不足で高値安定のブランド牛の『倉石牛』は常に供される昼獲れの『烏賊』とともに『千陽』さんのテッパンの食材であり、これに季節の厳選素材が加えられ供されます。或る時には超特大サイズの『活あわび』であったり、また或る時には900㌘超の活の『毛蟹』であったり八戸前置の定置網に入り下関の南風泊のセリ場に送られても高値で売買される特大サイズの天然物の『とら河豚』であったりと。新年早々に供された初物の国産の『筍』や『稚鮎』等、一般的なハシリの時期の前のハシリの素材が何気に供されることにも驚かされます。また、同じ素材を使いつつも都度、味付に微妙な変化をつけ供されるので同じ料理に見えても味は前回と全くかぶらず。そんなことから口飽するなどということはなく寧ろ食べ手側がその引き出しの多さに常々感心させられてしまいます。〆の食事も當店での楽しみのひとつであり花見時期の卵を抱いた『トゲクリ蟹』を使った絶品の『栗蟹のぴらふ』であったり『海胆』と『鮑』を贅沢に使った『鮑と海胆のぱえりあ』であったり『焼うに』で作ったおにぎりの上に更に『生海胆』を載せパリッパリの上質な『浅草のり』で包みいただく『うにぎり』だったりと常に驚きと感動を与えてくれます。八戸には本当に好きな店が沢山有過ぎて正直困ってしまいます。いっそのこと2~3年の間、試しに八戸に住んで見ようかと真面目に考える今日この頃。海の幸、山の幸に恵まれた八戸、此処を永住の地とするのも案外悪くはないかもしれません。
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2012/01のレビュー
今回の八戸遠征の最大の目的は『みなと食堂』さんの元祖漁師めし『ひらめの漬丼』と『いちご煮』ではなく八戸の地にありながら完全予約制『イチゲンサマオコトワリ』を頑なに貫かれている『千陽本店』さんへ伺うことにありました。『千陽』さんというと鮫町にあるマリエントの四階にある太平洋を臨む『千陽』さんを思い浮かべられる方が多いと思われますが両店ともに腕を揮われているのは店主である『原 泰典』氏であり客席全般を見て居られるのが店主の実母である『原 佑子』さんです。マリエントの『千陽』さんは11:30~15:00迄の営業でどなたでも手軽に利用できるカジュアル店舗ですが此方の『本店』さんは18:30~スタートの『完全予約制』の料理店です。元々の『本店』は現在、『焚久味』さんという店が営業されている場所にあった訳ですから新たにという表現より再びという表現の方が適切でしょうか。寄せていただいたのは京都の寝城から盛岡へと移動した一月中旬の土曜日のこと。久しぶりに味わう原さんの創られる料理を楽しみにして寄せて戴いた次第です。今回は二階に或る知る人ぞ知る『プライベートルーム』での利用、先ずはハートランドの生ビールで喉を潤し料理は、その日の昼獲りされた『活いか』を使った名物料理の『千陽流いか腑腸和え』から。平たく言えば『いかの塩辛』風の料理ですがその辺りの居酒屋で供されるものとはモノが違います。最も活かった食感を愉しむことが出来る耳の部分と弾力のある身の部分は糸造りにされ中央部に鎮座、その周りを細かく刻まれて腑腸を和えられた下足が囲んでいます。これを混ぜ合えて戴くのですが濃厚な腑腸の味を纏った『耳』のパリパリ感と身の部分のモッチリ感、細かく刻まれた下足のプチプチとした食感がアクセントとなり単なる塩辛とは一線を画す立派な一品料理に昇華させられているのです。烏賊の箸置きも確信犯的に使われている辺りも流石です(笑)二品目は氷を敷き詰めた器に、ひと足早い春の息吹を感じる『筍の造り』に粟麩とマイクロトマト、筍と言えば四月頃が本格的な収穫時期となる食べ物ですが南国 鹿児島産の宮内庁御用達の業者より直接仕入れられたという『筍』を一月中旬に八戸で味わうことが出来る幸せ。筍は小ぶりで灰汁がなく造りとして戴くには最適なもの。自然の甘みが口中に広がり早春の香りが鼻腔から抜けるこの感覚は正に春の訪れを感じさせてくれる一品であり思わず頬が緩みます。湯剥きにされたマイクロトマトは酸味と甘味のバランスが秀逸。もっちりとした食感が味わえる『粟麩』には勿論、おろしたての『本山葵』。三品目の料理は『造りの盛合せ』。造りと言えば東北の地に店を構えながらも紅白の色採りで鮪や『鯛』を兎角、使いたがる料理店もありますが残念ながら東北では本当美味しい『鯛』を味わうことが出来ません。山形や秋田でも確かに鯛は上がりますが能登沖以北の鯛は猫も跨ぐと言われますし稀に三陸沖でも水揚げされる鯛に至っては更に大味であり天然モノとは言っても残念ながら『明石の鯛』のような旨味のあるソレとは全くの別物。京都の老舗割烹で修業をされてこられた店主は本当に美味しい鯛の味を知っているので紅白の色採りを『鱒の介』と天然ものの『とら河豚』で現しての登場です。『鱒の介』とは『キングサーモン』のこと。適度に脂ののった身は口の中でとろけます。そして『とら河豚』は対極の歯応えを楽しめるようにと『河豚ブツ』に近い厚切りというように食感の強弱まで全て計算されている辺りが流石の一言。四品目には『伊賀牛の網焼』と『海老芋の田楽仕立』の『焼物』。『伊賀牛の網焼』は表面を岩塩とブラックペッパーを効かせパリッとした食感で中は綺麗なピンク色、肉は店主の拘りで若い雌牛が使われています。雌牛の脂は雄牛や去勢された牛の脂に比べ融点が低いということは賢者の方であればお判り戴けると思います。肉の美味しさは本来の味を愉しむのならば赤身の部位が良いのでしょうが一般的には溶けた脂が肉のエキスと舌の上で一体化することで美味しいと感じる筈、脂は口内の温度で溶け出し口福な気分にしてくれる予想通りの美味しい肉でした。一方の『海老芋』は舌にねっとりと絡みつく美味しさで田楽みその中には隠し味にバルサミコ酢が使われているように感じました。続いて供された料理は『椀物』代わりの『鍋』。鍋の種ものは造りでも味わった『鱒の介』に菊菜、湯葉に焼き豆腐。昆布出汁が張られた鍋の中には予め若芽が入れられており、こんな感じで召し上がってくたさいナ。と女将さんからレクチャーを受けて味わうと造りで味わった『鱒の介』とはひと味もふた味も違う美味過ぎる味わいを楽しむことが出来ましたが鍋に『鱒の介』を使うとは何とも贅沢なかぎり。そして〆の『食事』は熱せられた南部鉄器の中には鮑の肝を和えられた『肝バターライス』。その上に活の『鮑』と『海胆』と刻んだ青菜。これを女将さんが杓文字で一気に混ぜあえて仕上げ供してくれました。女将さんにこの料理は何というの?と問いますと何かいい名前をつけてくださいナということで『いちご煮ぱえりあ』と勝手に命名させて戴きました(笑)『鮑』と『海胆』と肝が混ぜられたバターライスの組合せ、想像しただけでも涎垂ものです。いゃぁ~本当に美味しい一品でした。『香の物』は酒粕に漬け込まれた胡瓜の古漬けと茗荷、白菜の浅漬けに柚子香る大根とどれもが『いちご煮ぱえりあ』の味を引き立ててくれる名脇役。食後の水菓子代わりの果物、一見ただの林檎とミニトマトと思われる方も居られるでしょうが林檎は皇室献上林檎の『金星』でありミニトマトは『ピッコロカナリア』です。『金星』はゴールデンデリシャスと国光の掛け合わせで甘味が強く薫り高き林檎であり『ピッコロカナリア』はオレンヂ色をしたミニトマトであり、これもほんのりとした甘味が楽しめるトマト。素材に拘られている店主ならのセレクトです。素材に拘られ器にも拘られる、部屋の設えも拘られ用意された日本酒も限定酒やレアものだけという物凄い拘りと今回も至れり尽くせりの最高のおもてなしに感無量。京都の老舗『浜作』さんで磨かれた確かな腕で目と舌と心を存分に愉しませてくれる『千陽本店』さん。みちのく八戸で雅やかなかほりを満喫できる素晴らしき料理店です。

  • 八戸産 蝦夷鮑の水貝
  • バフン海胆、天然本鮪のトロ、喜知次の焼霜、ボタン海老、北寄貝
  • 朝獲れのキタムラサキ海胆の造り

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6位

丸太町十二段家 (丸太町(京都市営)、烏丸御池、二条城前 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.5
    • | サービス 5.0
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 5.0
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 3.5
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥5,000~¥5,999

2015/09訪問 2015/10/08

器で目を料理で味蕾を愉しませてくれる … 『丸太町十二段家』。

定期的に寄せていただいている"十二段家"さん。既に訪問回数は両手両足の指の数では収まらず(笑)久しぶりに画像
の追加アップとともにレビューの更新をさせていただきました。"瓢亭"OBの『秋道』さんの料理の真骨頂を楽しむ
のであれば旬の素材を使った一品料理が味わえる『菜の花』を頼むべき。外さんは宿泊先のホテルで供される朝餉で
お腹は満たされているので昼餉はお茶漬けだけで軽く済まそうとされる気持ちも決して解らぬ訳ではありませんが、
茶漬けだけの『すずしろ』では勿体ないです。時間と事情が許されるのであれば昼のピーク時間を外し一献傾けつつ
京の本質の料理の味を楽しんで欲しいもの。折角の旅行であるのだから、、、。
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2012/01のレビュー
久しぶりにレビューの更新をさせて戴きます。勿論『通常利用』でのレビューではありますが今回と同じ料理が
供されることはたぶんないと思いますので『通常利用外』のレビューにチェックを入れさせて戴きました(笑)
當日は京阪神エリアで御交誼戴いておりますレビュアーさん五名でのプチ新年会、供された料理は正月期間
ということもあり『御節料理』+『菜の花』の茶漬のコースという変則的な内容。
この『御節料理』は本来、馴染さんの予約分のみが作られるものであり滅多に口にすることは出来ぬものです。
最も豪華なスペシャリテの三段重の御節は確か五萬円だったと思いますが今回はその中の一部の料理を特別
に振舞って戴きました。
どの料理も美味しかったのは云うまでもありませんが超特大サイズの『子持ち鮎の有馬煮』は圧巻、"瓢亭"さん
のソレを凌ぐ味と云っても過言ではないでしょうか?そして京都の正月らしく『餅花仕立て』で供された料理の
中の『卵黄の味噌漬』の味と完成度の高さは"光安"さんのソレを軽く上回る美味しさ。『有精卵』を使って作られた
と思われる『卵黄の味噌漬』はねっとりと舌に絡みつく半熟加減といい粘度といい味といい自分が今まで口した
どの店のソレよりも美味しいものでしたし、たっぷりの『銀餡』で味わう『かぶら蒸し』も絶妙な味わいでした。
料理の味もさることながら使われていた『』がこれまた凄く見る方が見ればお判り戴けることでしょう『造り
に使われていた『鶴皿』などは一枚○萬円の器、料理で舌を楽しませてくださり器で目を愉しませてくれる粋なる
計らいにも感銘を受けた次第です。
語り合い酒を酌み交わし料理を存分に堪能させて戴いた口福な時間、店主の『秋道』さんはじめ奥様、御子息
さま楽しい場を遅くまで提供してくださり本当に有難うございました。この場をお借りして御礼申し上げます。
余談ですが数日前のTVに店主の"秋道 賢司"氏が出演さられておられましたが折角、京まで足を延ばされるの
でしたなら番組内で紹介されていた『すずしろ』より絶対に『菜の花』を頼まれることをお奨めします。
特に関西エリア以外から訪れられるツーリストの方々にはぜひとも『鯛の造り』を味わって戴きたいものです。
活かった『天然もの』の『』がついてくる『菜の花』のコースを口にされたらその意味がお解り戴けるかと。
東北や北海道では先ず口にすることの出来ぬ本当に美味しい『鯛の造り』、この時期はこれが狙い目なんです。
きっと『鯛の造り』の虜となることでしょう(笑)
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2009/07のレビュー
前回戴くことができなかった『近江牛のすてーき』を戴くために再訪させて戴きました。
今回のつきだしは椎茸のどんこと胡瓜を練りゴマで和えた『どんこ椎茸と胡瓜の胡麻和え』、涼しげな『氷鉢』の
中には『』、『鱧のおとし』、『鱚の昆布〆』の造りの三点盛を梅肉だれと割り醤油を好みで使い分け戴きます。
山葵は勿論、卸したての『本山葵』が添えられていたことは云うまでもありません。
古伊万里』の器で供されたものは、すりおろした山芋に出汁を加えた『山芋のすり流し』、とてもなめらかな口
あたりであり出汁は料理屋さんらしく上品なものでした。
京都の夏の寿司と云えば『鱧寿司』でしょう~そして京の寿司の代名詞でもあり忘れちゃならない『鯖寿司』。
この時期でこれ程に身厚な鯖に出逢えたことに先ずは驚き更に『』と『舎利』との『黄金比』に驚嘆。
賀茂茄子の煮浸し』には賀茂茄子の揚げたしの他に『煎り穴子』と『獅子唐』、大根卸しが添えられ削りたての
鰹節と針茗荷が天盛りされたものに仕上げに振り柚子。   
鯛と京夏野菜の冷製仕立』は衣揚げにした鯛の酢漬けに山芋に万願寺唐辛子の和風の野菜とズッキーニに
トマトと云う洋伝来の野菜とのコラボで和出汁+トマトのジュレがけの和洋折衷の創作料理であり暑い京都では
程良い酸味に身体が悦びそうです。
そして今回のお目あての『近江牛のすてーき』はロース肉の中でも最高級品で肉の旨味と肉の柔らかさが絶品
といわれる稀少部位の『本ロース』が使われグリーンアスパラのソテーがつけあわせに、ごはんのおかずに良く
合うようにと溜り醤油ベースのたれで焼かれておりとても香ばしいものでした。
このステーキとアスパラを茶碗のごはんの上にオンザライスで自作で『特注のすてーき丼』を作ってみました(笑)
ちりめん山椒』のじゃこは柔らかくしっとりと炊かれておりましたし出汁巻き玉子、香の物、赤出汁は前回同様
とっても美味しいものでした。
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2009/03 のレビュー
今回の上洛では絶対に伺ってみたいと思っていた"丸太町十二段家"さん。
人気店ゆえ當日は万難を排し開店 30分前に店前に着いたのですが既に先客が三名程並ばれておりました。
開店前に店前にならぶのは都内にある人気ラーメン店"麺屋 吉左右"さん以来のことですが美味しいものを戴く
ためとあらば全く苦にはならぬもの。
今回こちらの店にはじめて伺うにあたり知人より、ある程度の予備知識を得てから伺ったのですが當店三代目の
店主の『秋道 賢司』氏は、かの"瓢亭"さん出の方であるということ。
日本料理好きの賢者の方々であれば、このことで何を云わんとしているのか大凡お察し戴けるものと思いますが
誰しも京都の"瓢亭"という店名ぐらいは一度や二度は耳にされたことがある筈であり當店の店主の供する料理は
単なるお茶漬屋さんの料理ではないということは御理解戴けることと思います。
もうひとつは御茶漬屋さんと呼ばれるようになった由来は"御茶漬でも如何がどすかぁ~"と店先で先々代の女将
さんが、お客さんに声掛けられていたことから"丸太町十二段家"さんは美味しい『御茶漬』を供してくれる店であると
いう噂が人づてに広がっていったのと同時に『お茶漬屋』さん="丸太町十二段家"さんと云われるようになり落語の
京の茶漬』の噺のモデルにもなったという真の話なそうです。
それが現在にも引継がれ一般的には『御茶漬』がウリの店と思われているのだと思うのですが『鴨まんじゅう』や
賀茂茄子の揚げだし』など季節の一品料理も味わえる料理店でもあり要事前予約で近江牛の『しゃぶしゃぶ』や
近江牛のすてーき』なども味わうことの出来る店であるということです。
昼餉のメニューは『御茶漬』で〆る基本の『すずしろ』千五十円をはじめ千八百九十円也の『水菜』、弐千八百
三十五円也の『菜の花』と名づけられた三つのコースで『出汁巻き』と『漬物』がそれぞれ共通して付いてきます。
値段の差は『季節の一品料理』と『造りの盛合せ』がつくか否かがその価格差のようです。
今回は店主と親しい知人からの紹介を戴いたこともあり『季節の一品料理』を織り交ぜ特別にミニ懐石風のコース
仕立の料理を供して戴きました。
ということで普段は『今回と同じ内容の料理はない』ということを予め御了承ください(笑)
一品めに供された料理は春を感じさせる『』と『うるい』を使った『蛤とうるいの霙煮』。つきだしの一品が
目の前に現われ口に蛤を含んだ瞬間に思わずニンマリ。それはこの蛤が俗に云う『地蛤』と呼ばれるものであり輸入
ものの安価な蛤とは、そもそも風味と食感がまるで違うものであり寸止め半生の火の通し具合といい身の中に含まれた
旨みと『出汁』の味加減といい料亭で供されるソレとなんら遜色のないものであり店主の料理の確かな腕をほんの
少し垣間見れた気がしました。
二品めは琵琶湖で揚がった『もろこの南蛮漬』。『もろこ』とひと言で云っても琵琶湖産の『本もろこ』と養殖
された『もろこ』があり巷に溢れている『もろこ』は養殖ものか甘露煮などにして売られている『田もろこ』と
呼ばれる代用品が大半であろう~と思われますが當店で供された『もろこ』は正真正銘の『本もろこ』で、その中でも
最も珍重されている『子持ちのもろこ』でした。
時期的に、これが今年最後に口にすることになるであろう名残りの『子持ちのもろこ』。揚げてあるので頭から
ガブリとかぶりつき、ふっくらとした食感と南蛮漬の程良い辛味と酸味が酒呑みにはたまらなく酒盃を傾ける速度
が思わず速まってしまいました。
三品めに
供された『造りの盛合せ』は『金目鯛の昆布〆』、『』、『』、『海胆』の盛合せ。魚の質は総じて高いもの
が使われておりそこそこの割烹でもこれと同等のものを供するとなるとそう簡単なことではないだろう~と思います。
割烹や料理屋さんで供される刺身類には大変失礼ながらそもそも余り大きな期待などしてはおらず旨い魚は鮨屋で
喰らうものに勝るものはなし。と勝手に思い込んでいるのですがそんな中で供された刺身の質は不意打ちを喰らった
ようなクオリティの高いものでした。
金目鯛の昆布〆』の昆布〆は金目鯛の身に昆布の香りと旨みが程良く浸み込んだもので活〆された『』は勿論、
天然ものでコリコリとした活かった食感と脂身の旨みが味わえる『腹身』の部分が供されるなど、その味には迂闊に
油断した所為ではなく本当に美味しさに完全にヤラレてしまいましたし『海胆』や『よこわ』も時期的に相当質の高かい
ものが供されたと思います。
四品めに供された『鰆の海老芋素麺蒸し』でアルことを確信しました。『』に『』と書いて『さわら』であるというのは
皆さん御存知の通り、『秋口』の鰆は脂がのり美味しいけれど『春先』の鰆は何となく味気なく感じるものですが昆布と
塩の旨みが程良くのせられたこの鰆はそんな概念をあっさりと覆してしまうものでした。
海老芋』を素麺仕立にして『』との密着度は一層高められており、たっぷりとかけられた『銀餡』の味も絶妙な味で
したが『』と『海老芋そうめん』の異なる二つの食感のものをこの『銀餡』が、しっかりとつなぎ合わせたこれぞ料亭の
味わいでした。
そして五品めに供された料理が『お茶漬け』のコースに必ず付いてくる『出汁巻き玉子』。たっぷりの出汁が使われて
おり焼き上がり後、瞬く間に玉子より出汁が溢れでてくる。
ひとりにひと皿この『出汁巻き玉子』が付けられるそうですが作り置きした出汁巻きなどではなく都度、焼き上げられる
出汁巻きは熱々で、ふんわりとした口あたりが味わえるものでした。
これひとつでおそらく玉子は三個ほど使われているのではないでしょうか?ボリュームもありますが、これを来店客分、
毎日焼き続けられる作業も考えてみれば大変な労でしょう。
六品めに供されたのが鴨好きにはうれしい『鴨ロース』。鴨肉はジューシーであり色、艶、香、味とも何ひとつも申し分
なくこれまたとても美味しいものでした。
そして、この後に食事、『お茶漬け』のコースに必ず供されるという自家製の『香の物の盛合せ』が供された後に御櫃に
入った『ごはん』と『赤出汁』の椀、そして熱々の『京ほうじ茶』。
香の物の盛合せ』は自家製の御漬物なそうですが色とりどりでボリュームもかなりあるものでしたが美味しいので結局、
残さず全て戴いてしまいました。
ごはん』と『漬物』、『味噌汁』のマリアージュこそ『和食の根幹』、ごはんの炊き上げが柔らかめであるとか、ごはんの
品種が云々とか申される方も居られるようですが自分に供された『ごはん』に関しては何ら不満のないものでした。
一膳めはごはんと漬物で戴き、二膳めには『柴葉漬』をオン・ザ・ライス、そう上から熱い『ほうじ茶』を注ぎサラサラと
胃袋の中に収めました。
若い女性スタッフの方は作務衣着用で機敏に動かれ応対振りもとても良く好感がもてましたし開店三十分前から並ん
でも伺って良かったと心から思いました。
京都の料理屋さんは奥が深く感動させられる店がそこかしこにありますが思っていた通り"丸太町十二段家"さんも単なる
御茶漬屋さんなどではなく魅力的な『料理屋』さんでありました。
折角、伺われるのであれば一杯の御茶代を削ってでも『季節の一品料理』と『造りの盛合せ』が味わえる『菜の花』の
コース料理以上のものを戴かれることをオススメします。
次回は『近江牛のすてーき』を戴きに必ずや再訪したいと思います。
京都御所の桜もちょうど見頃の時期、腹こなしと酔い醒ましを兼ねて咲きはじめた桜の花と名残りの梅の花を同時に
愛でながら御所内を端から端まで歩き廻り夜の宴に備えることにするのでありました(笑) 

  • (説明なし)
  • 鯛、白烏賊、ツバス。
  • 造り三点盛。

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7位

松もと (盛岡 / 日本料理、日本酒バー、焼酎バー)

3回

  • 夜の点数: 4.2

    • [ 料理・味 4.2
    • | サービス 4.8
    • | 雰囲気 3.9
    • | CP 3.9
    • | 酒・ドリンク 3.9 ]
  • 昼の点数: -

    • [ 料理・味 -
    • | サービス -
    • | 雰囲気 -
    • | CP -
    • | 酒・ドリンク - ]
  • 使った金額(1人)
    ¥10,000~¥14,999 -

2018/06訪問 2018/07/22

イチゲンサンオコトワリのオトナの隠れ家…『松もと』

盛岡にて唯一無二のイチゲンサンオコトワリの店『松もと』さん。日本料理の聖地 京都『たん熊』北店にて花板を務められていた経験を持たれる松ちゃんこと松本久生氏。来月で古希を迎えるという松ちゃんですが未だ新たなる夢を追い続けられておりイブシギンの輝きは失われて居らず。往時、松ちゃんの下で椀方に煮方や焼方、揚げ場で働かれていた職人さん達もその後、独立され京阪神エリアで今では赤本⭐️(ひとつぼし)や⭐️⭐️(ふたつぼし)の星付の店主や料理人として人気の店ばかりですから往時の松ちゃんのその力量たるや物凄かったことでしょう。料理は『浅蜊(アサリ)』と水菜のお浸しから順に茶ぶりにした『赤海鼠(アカナマコ)』の『海鼠子(コノワタ)』がけ、向付には珍しく『鮪(マグロ)』の赤身、中トロ、トロの磯辺巻。何故に『鮪(マグロ)』なの?と問うと二~三日前に来られた馴染みさんのたってのリクエストで仕入れられたもののオコボレらしい。次に供された『黒メバル』の煮魚が白眉の味。久しぶりに煮魚が美味しいと思ったのはいつ振りだろうか?そして大好きな『鮑(フワビ)』の柔らか煮は丸々一個を『蕗(フキ)』とともに味わった後、此処から先は自分のリクエストで『たん熊』仕込みの『◯鍋(スッポンナベ)』に好物のザンギいやもとい『河豚(フグ)の唐揚げ』をヱビスのスタウト、『夢胡蝶』=『ゆめごこち』で繋いで正に夢心地。

遠路遥々みちのくの小京都と称される盛岡まで足を延ばしてくれた友人達をおもてなしするには、やはり此処しか無いでしょう。盛岡で唯一無二のイチゲンサンオコトワリの店『松もと』さんです。前日に予約の電話を入れたところ水戸へ遠征されていた松ちゃんこと店主の松本さんから『型の良い鮟鱇を一本買ってきたりでソレを食べていただきましょう』との有難い言葉。自分は『鮟鱇(アンコウ)』は勿論、好きですが『○鍋(スッポンナベ)』と『河豚(フグ)の唐揚げ』も食べたい旨を伝えた上、予約時間に店を訪れたのでありました。當日の昼餉には盛岡人(モリオカビト)のソウルフードの代表格である『じゃじゃ麺』を『白龍』さんでいただき更には『盛岡冷麺』の発祥の店である『食道園』さんにて『盛岡冷麺』とどちらかと申しますとB級グルメ的なソウルフードの食事で済まされた友人達。やや草臥れ感を醸した雑居ビルの四階にある當店を果たして悦んでくれるだうか?などと考えつつ店へと向かいました。雑居ビルの四階というロケーション自体には然程、驚きはしなかったものの店のドアを引いて足を一歩踏み入れた瞬間に目に飛び込んで来た店内の雰囲気には多少驚かれた様子。何故なら以前はスナックとして使われていた居抜き物件に少しだけ手を入れただけの簡素さで余り造作には費用を掛けていない店内はどう見ても和食の店というよりはBARかスナックか?といった雰囲気の供される料理と店内の雰囲気のギャップがあるからに他なりません。先ずは三人横並びでいつも席に腰を下ろし先ずはビールで乾杯。料理は身体を優しく内面から温めてくれる春の訪れを口元に運ぶ『若筍と若布の御吸』からいつもの『菊菜と焼椎茸のお浸し』、そして『鮟鱇』の盛込みへと続きます。肉、『肝』、『水袋』、ぬの、ひれ、皮の七つ道具を使った鮟鱇の盛合せです。水袋のコリコリ感と肝の味わいとねっとりと舌に絡みつく感じが秀逸でしたが何よりも自家製のポン酢が美味しいんです。濃厚な味わいを楽しめる鮟鱇のどぶ汁鍋よりも個人的にはこの方が上品であり美味しく味わうことが出来ると思います。そしてリクエストしていた『○鍋(スッポンナベ)』に『河豚(フグ)の唐揚げ』をいただき『蒟蒻の土佐煮』を胃袋に収め和気藹々の中、久々に楽しんだ夜。この日のカウンター席には自分達の他に馴染みの面々が席を共にし楽しい時間を分かち合い愉しませていただきました。この席に座り時間の共有を許されるのは誰でも良し。という訳には行きませんですから。ビールからはじまり日本酒の四合瓶を三人で二本空け更には白州のハイボールのグラスを傾け宴の時間は深夜まで続いたのでありました。
『イチゲンサマオコトワリ』の『松もと』さんは自分にとって盛岡ライフ時のアヂト的存在の店です。供される料理が美味しいことは勿論のことですが駄々をこねるコマッタちゃんや御行儀の悪い方と出くわす確率が極めて低い店でありゆったりとした楽しい時間を過ごすことが出来るのことこそが本当の意味合いでの御馳走なのやもしれません。久しぶりに何枚か画像の追加とレビューの更新をさせていただきます。五月のと或る日のこと、セキヤさんの『夢胡蝶』の四合瓶を目の前に立ててゆるゆるとスタートです。料理はつきだしの『菊菜のお浸し』からはじまり春の息吹を感じる『若筍煮』、天に盛られた木の芽が何とも愛おしく。濃厚な『胡麻豆腐』に甘みたっぷりの『生海胆』に卸したての『山葵』を添えた小鉢に舌鼓を打ち、目を瞠らせる『流氷毛がに』と春の山菜『しどけ』の器。『毛蟹』≒冬場のモノ。という固定観念が頭の中に刷り込まれておりますが冬を越した春先からの『毛蟹』は身入りが良く実はとても美味です。その代表格が北海道の『流氷毛蟹』であり有名です。発色も鮮やかであり香箱がにの如く盛付された身をただつまむだけの極楽気分。油物は『河豚の唐揚げ』と筍の唐揚げ。そして〆は十八番の『○鍋』の小鍋立。一杯、二杯、三杯と○鍋を味わいつつ酒盃を傾ければ気分はいつしか『胡蝶の夢』か夢心地か。いつも満面の笑みで出迎えてくれて気分良く返してくれる店『松もと』さん。此処は盛岡での自分の隠れ家です。
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2014/11のレビュー
はじめに。最近、食べログを見たとかで遠方からの予約や問合せが急に増えたと戸惑う店主の松本さん。その一方でお金を払ってやるんだから。と高飛車で高圧的な駄々をこねるコマッタちゃんも現れる始末。しかし、ちょっと待ってください。遠方からわざわざ此処だけを目指して、、、。という店ではないんです。盛岡に居り時々ちょっと美味しい酒肴で酒盃を傾けたい。という時にこそ本領を発揮するとっておきの店であり自分の五感で目の前に供された皿を愉しむ店なのです。料理の説明が無いから云々とか俺様は客なんだから、、という殿様扱いされることを望む方には不適合な店であり、そういう方は品書きのある食堂や居酒屋へ行かれることをお奨めします。と或る日のこと。度重なる予約日及び予約時間の変更や挙句の果て土壇場での人数の変更と散々、店に迷惑三昧を掛けて措きながら本末転倒なことを唱える常識外れのコマッタ若者が現れ苦慮したという店主。東京からわざわざ食べに行ってやるんだから俺様の都合に合わせて日曜日に店を開けて欲しい。貸切であればという条件付で受けた松本さんであったが実際には何と予約時間より一時間も早く挙句おひとり様でのご来店。料理は予約時間に合わせ當の人数分を仕込んでいたので全て台無しに。尋常な気分じゃ居られないことは誰しもが想像できること。店側からすればとんだありがた迷惑な客である。先ずは自分の非礼を詫びて席に着くことが、ひとりの大人としての最低限の振舞いではなかろうか?そんなことを、ふと考えながら食べログへの投稿自体を自問自答する今日この頃、地方都市のこの手の店には暗黙の了解というものもある。一見客が画像を見せて此れと同じものを、、、と求める客が増発中と最近あちこちの店で良く耳にします。その気持ちは判らない訳ではないけれど定期的に訪れている客と一見さんで同じサーヴィスを求めてもそれにはすべからず無理があろうというもの。何度か足を運び店主とのコミュニケが取れ初めて得られるものも多々あるということを今から世の中を支えていく若い方々には勉強して戴きたいと切に願いつつ、、、。盛岡は初雪が舞い散る日。寒さが肌身に染み込むこの季節は体の芯から温まる『粕汁』でのお出迎え。酢洗いした大粒の生牡蠣に自家製の干し柿の白和え。オトナの料理人の粋な遊び心が詰めこまれた皿。定番の『河豚』は薄造りではなく黒門市場風の食べ応えのある『ブツ』切り。岩手の山海の幸が盛りだくさんの豊楽焼、大好物の河豚の唐揚げ、そしてコラーゲンたっぷりの丸鍋といつもながらの御馳走を肴に酒盃を傾けるひと時、店主 松ちゃんとの会話を楽しみつつ盛岡の夜は深深と更けてゆく、、、。
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2012/09のレビュー
盛岡の寝城に居る時には少なくとも月に一~二回は寄せて戴いている盛岡の隠れ家である『松もと』さん。いつもは数日前に予約の上で寄せていただくのですがこの日は突発的に盛岡に遊びに来た友人夫妻のリクエストで駄目モトでの突発的でイレギュラーなる再訪となりました。そんなことから供された料理の内容は通常のものとは大幅に異なりましたが支払いもそれに準じてひとりあたり料理代で五千円程でしたので初めて當店を訪れた友人夫妻は格安で良い思い出が出来たと悦んでくれたのことで安堵、當初の目的は果たされました。料理は浅蜊と水菜の小鉢からはじまり荏胡麻味噌で味わう蕗とねがまり竹、土鍋で供される熱々の豊楽鍋、揚げ蛸に茄子の素揚げと蓴菜が加えられた酢の物代わり、藁焼きで薫香がつけられた鰹のたたき、そして當店でのイチオシの料理である『○鍋』、〆の食事はお揚げさんとねがまり竹の炊き込みごはん。椀代わりに鼈のエキスが凝縮された『○鍋』のスープで味わい突発的な訪問にて供された料理はひととおり。やはり盛岡で大切な友人のもてなしをするとなると自分的には目下のところ此処『松もと』さんを置いて他はありません。
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2012/03のレビュー
弥生三月も中旬を過ぎ後半に。僭越ながら三月は自分の生誕月であり當日はMY BIRTHDAYのEve Eve(笑) EveEveの夜は幸せなことに盛岡で御交誼を戴いている老若男女四名の方が発起人となってくださり御祝の宴を催してくださいました。『松もと』さんは所謂『イチゲンさんオコトワリ』の店であり『完全紹介制』を原則として居られるので何方でもどうぞ…という訳には行きませんが、それは別に偉ぶっている訳ではなく古くからの馴染さんを大事にされているからのことなので悪しからず。三月ということで料理は『若筍煮』から敢えて少しエグミを残して炊いたという筍と食感を残した三陸産の若布の緑色が余りにも綺麗やったので緑青でも入れて炊いたん?と尋ねると『たん熊』に居った頃にはやったよね。などという会話のキャッチボールを交えゆるゆると。料理は『眞子鰈』の唐墨塗しに烏賊の糸作りの唐墨和え、菊菜の胡麻和えが供された後に松本さんから事前に『何か食べたいものはある?』と問われリクエストをしておいた『河豚の白子焼』。濃厚且つコクのある味わいは正に『口福』のひと言に尽きます。『白子』の味の余韻に酔いしれているとその味を消さぬように次の料理へと繋ぐ。供されたのはほのかな甘みの『蘇』。この辺りのセンスが如何にも松本さんらしいところ。料理は後半戦へと移り『河豚ぶつ』に好物の『河豚の唐揚げ』と続く。個人的に河豚は『てっさ』で戴くよりも『ぶつ』で戴くのが好きです。『ぶつ』の方が河豚をしっかり食べたという気になるからです。今から十数年も前の話ですが大阪の黒門市場の某河豚料理店で『てっさ』を頼んだ時に"あんさん歯が弱いんかい?河豚はなブツで食べていきなはれ…"と言われて以来の『河豚ぶつ』党なんです(笑) 一度『ぶつ』の味を知ってしまうとなかなか『てっさ』には戻れません(笑) 今でも舌と脳裏に確かに記憶が残っている『あと村』さんで供された『河豚のぶつねり』の味は後にも先にも今までの人生の中でも最も記憶に残る一品でしたが…。そして隠し味にニンニクが使われた當店の『河豚の唐揚げ』は絶品です。〆の食事には『筍の炊き込みごはん』、吸物は『海鼠腸』を入れた椀に出汁を注いで作られた即興の『海鼠腸の吸物』と尿酸チックな楽しい宴。歳を重ねることを諸手を挙げて喜べるような年齢では既にありませんが仲間達に囲まれ祝って戴けたことには感謝感激雨霰ナリ。
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2011/12のレビュー
盛岡で真の『御料理』と呼べるものを供してくれるのは當店『松もと』さんを置いて他にはあらず。といっても決して過言ではないでしょう。高級な食材を取り揃え単に切った盛ったという料理店さんや名ばかりは割烹を名乗るものの居酒屋に毛が生えた程度の店は確かに何軒かはありますが(笑)例えば単なる『大根』に見える一皿も『鼈(すっぽん)』の出汁を大根に含ませた『○大根』であり、そして単なる『炊き合わせ』に見えるひと皿は岩手らしさを現したもの。こんなにも『木耳』の食感を愉しませてくれる店も他にはないでしょう。この料理の最大のキモは『鯖のなまり節』を使っているところにあります。濃厚で力強い出汁で炊かれた木耳とねまがり茸の美味しさは文字列では表せません。八寸の中の『蛸の柔らか煮』の絶妙な歯応えと味付も特筆もの。當店の極めつけのひとつの『○鍋』は絶品であり、この日は二種類の『鼈(すっぽん)』を食べ比べ。〆には王道の『○ぞうすい』を戴いて身も心も満足。盛岡に居ながらにして京風の出汁と滋味優先の料理が味わえる店は此処以外には自分が知るかぎりではありません。質より量を求められる方には不向きな店ですが相応の料理を食べ込まれて来られ量より質を求め『滋味』の意味を理解される方にはお奨めしたい一軒です。
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2011/08のレビュー
京都の土産をぶらさげて予約もせずに盛岡の隠れ家『松もと』さんへと訪問。予約なしでの訪問ゆえ材料のあるもので適当に見繕ってもらった料理なので本来の料理とは些か違いますこと先ずもって御理解ください。先ずは瓶ビールで軽く喉を潤した後、この日は京都帰りということもあり『澤屋まつもと』の純米大吟醸本生原酒というちょいと値の張る日本酒を戴くことに。 実に淡麗な呑み口でフルーティーな酒でありいつもにも増してすいすいと杯が進む。料理は前述のとおりで浅利と水菜の煮浸し、若筍煮と二つの小鉢が供された後に蛍烏賊、帆立と炙り〆鯖の冷燻と酒肴に最適なものが少しづつ、鯛の兜をあら炊きにしてもらい〆に『筍の炊き込みごはん』をしっかりと腹に収めてひと通り。京都の土産話に華が咲き楽しいひと時、偶然、店でお会いした三人組の先客さんのおひとりも京都出身の方というでそちらさんともすっかりと意気投合、実は〆の筍の炊き込みごはんはその方々からの御裾分けこれぞ『袖触れ合うも多生の縁』ですね。 
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2011/03のレビュー
盛岡では数少ないお気に入りの店の一軒であり料理の腕前では間違いなくピカイチの『松もと』さん。そんなことから何かにつけて良く利用させている隠れ家ですが流石に三月となると二枚看板の『河豚』も『鼈(すっぽん)』も今期終了、オフシーズンになるとウリの料理がなくなりちょっと寂しくなりますがそれでは終わらないのが料理人の証。枚数制限の関係で全ての画像をアップすることは出来ず残念ですが三月は『鮟鱇』料理。鮟鱇といいますと直ぐに思い浮かぶのが『アンキモ』、そして通称どぶ汁とかどぶ鍋といわれる『鮟鱇鍋』がポピュラーな料理でしょうか?しかし単なる『鮟鱇鍋』では余りにも芸が無いわけで松本さんの手にかかると捨てるところがないと言われる七つ道具を丁寧な仕事ぶりが窺われる『鮟鱇の冷製』として丸ごと味わうことが出来ます。立派な『アンキモ』をはじめ胃袋から腸、皮から上身に至るまで口にして判る本当の美味しさ。単に切った盛ったのママゴト料理とは一線を画す。これぞ料理人の料理であると思わせるオコチャマでは決して判らぬオトナのために昇華された味が盛岡では此処にはあります。
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2010/12のレビュー
料理は年末ということもあり間もなく迎える松の内を感じさせる田芹や氷頭を使った料理に身体の芯から温まる『蕪蒸し』、滋味抜群の三陸産の大粒の牡蠣を使った煮浸し、そして『河豚』と『鼈(すっぽん)』の定番料理という豪華版、『たん熊』仕込みの料理で滋養を補い今年の年の瀬も何とか元気にのり越えられそうです。盛岡にもほんの数軒ですが志の高い真っ当な店があり、その中の一軒が『松もと』さん、スナックのような雰囲気の店でこういう料理を供されるので、そのギャップの大きさに一体この店はナニ?と大概の方は目を白黒させます。その驚く姿が見たくて通っているのも一理アリではありますが(笑)
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2010/10のレビュー
盛岡でこれほど我侭が利いて美味しいと思う料理を戴ける店は他に皆無でありますのでサーヴィスの評価を★★★★☆(4.5)に上方修正させて戴きました(笑)
今宵の厳選素材は"岩手山産の松茸"でございます。と笑みを浮かべて話される店主の松本さん。湯島の『くろぎ』さんで過日『松茸の宴』を満喫したばかりでありますが季節物は旬の時期にがっつり食べ込んでおきませんと(笑)パァーといっちゃいましょうと始まった盛岡の隠れ家での宴、料理は王道の『松茸の土瓶蒸し』から。何処ぞの似非割烹店みたいに嵩増しの、かしわ(鶏肉)や海老なんてものは入れずに中身は『松茸』だけです(笑)次いで『焼き松茸』で味わったのですが何故か画像が消失か撮り忘れしてありませぬ(汗) それだけ『松茸』という食べ物は夢中にさせてくれる茸なんですね。日本酒は純米酒の『大仰天』。そして揚げ物は天ぷらじゃなくて『松茸のフライ』。やっぱり『松茸』は天ぷらとして戴くよりもフライの方が美味しいように思う。土瓶蒸し、焼き松茸、松茸のフライと松茸三昧を満喫した後に『河豚ぶつ』に〆は『○ぞうすい』で今宵も満腹満足。口福で至極のひとときを堪能させて戴きました。
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2010/09のレビュー
雑居ビルの四階に店を構える正に大人の隠れ家であり自分にとっては盛岡のアジト的存在の當店。料理のウリは京都の『たん熊』仕込みの『鼈(すっぽん)』の『○鍋』と関西割烹仕込みの『河豚のぶつ』。翌日から海を渡ることになっていた前夜に急に人恋しい気分となり、ふらり『松もと』さんのドアを開けた。予約ナシでのイレギュラーの訪問ではあったものの店主はいつもと変らず温かく向かい入れてくれた。そんなこともあり料理はあるもので適当に…ということになり普段のスタイルとは異なり複数の小鉢で供される酒肴。とはいっても二枚看板のひとつの『河豚のぶつ』は供されましたし『煮鮑』に『胡麻豆腐』、『天然もののしめじ』に『ただちゃ豆豆腐』、『いくらの醤油漬と山芋』と酒が進む酒肴が目白押し。酒肴に合せて供された酒は『思いの丈』という意味深な吟醸酒。美味しい料理と酒と店主との会話で元気の素を貰い四合瓶を一本開け気分が良くなったところで寝城へと帰城するのでありました。
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2009/12のレビュー
當店は盛岡で自分にとって無くてはならぬ数少ない一軒でありまして週一~月三のペースで利用させて戴いている一軒です。直近で戴きました『河豚の唐揚』 や『幻の茸』と呼ばれる『銀茸』の中でも特に形の揃ったものだけを選び抜いたものや、『新いくら』に『鮟鱇の肝』、『鯖の冷燻』に『鯵のなめう』、『烏賊げその腑腸焼』という絶品のアテや晩秋に戴いた『鱧と松茸』の出逢いものの『土瓶蒸し』まで何枚かの料理画像を追加アップさせて戴きました。字数制限の関係で個々の料理の説明は今回は割愛させて戴きますが料理の味はいづれも納得ものです。奥様と御子息は京の都の留守宅を守り単身で盛岡で孤軍奮闘、ほんまもんの京の香りを感じさせてくれる店であり、それを裏付けかのように京都出身の客人が圧倒的に多いことも特徴です。店内に響く京言葉、何かほっとさせられる店『松もと』さん。
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2009/09のレビュー
最新画像の追加アップと約一年ぶりにレビューの更新をさせて戴きます。盛岡にもほんの数軒ですが『真っ当な料理』 を供してくれる店があります。當店もその中の数少ない一軒であり嗜好する『料理』と呼べる食べ物を供してくれる店です。當店へは週一~月三回程度の頻度で定期的に寄せていただいている店なのですが店の形態は普通の料理屋とは趣が大きく異なり、まさか此処でそんな美味しい料理が戴けるとはジモティの方でも余り知られておらず穴場的要素の強い店でもあります。店主は京都の日本料理の銘店『たん熊』さんで腕を磨かれ花板を務められた後、銀座や都内の割烹等で腕を揮われてきた経験豊富な方であり自分が知るかぎり多分、盛岡一いや岩手県一の料理人ではないかと思われます。素材に手をかけ過ぎることなく素材の持ち味を最大限に引き出す技術は岩手では店主の右にでる料理人は居られぬと思います。河豚の唐揚は揚げる二時間程前からしっかり下味をつけ揚げられたものであり食べ応えはもとよりとってもええ味を出していますし鼈(すっぽん)の○鍋を作ってもらっても『たん熊』仕込みのキレのある味を愉しむことが出来、鮟鱇を調理しても何とかのひとつ覚えで鮟鱇のどぶ鍋一辺倒ということではなく、きちんとした手が加えられ鮟鱇を造りとして美味しく食べさせてくれたりもします。〆の食事に軽く稲庭うどんといっても乾麺をただ茹でて氷水で麺を締めて出来上がりなんて芸のないことはしないのです。料理人としてプライドをかけた丁寧な仕事が、ひとつひとつの料理にきちんと施されており、きちんと料理と呼べるものが供されます。
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2008/10 のレビュー
色々な制約等がある店ゆえにTabelogへのレビューアップを今まで躊躇しておりましたが盛岡にも美味しい料理を供してくれる店は数少ないながらあります。本当は自分だけの内緒の店にしておきたいとも思う反面、今回、本邦初公開させていただく店が『松もと』さんです。當店にはいくつかのハードルがあり先ずは『イチゲンサンオコトワリ』の店であるということ。次に『紹介者同伴』であることの二つをクリアするのはなかなか至難の業であると思いますことから多種多様な人が利用されるグルメサイトに投稿すべきか否かとずっと考えておりました。以上のことを踏まえた上でくれぐれも行間を読み間違われませぬことを先ずもってお願いします。當店は盛岡の歓楽街の中心部の一本裏手の雑居ビルの四階で『スナック』の居抜き物件に『MatsuMoto』という看板を掲げられ営業されています。店主の『松本 久生』氏は京の都の『老舗割烹店』で腕を磨かれた後に京都、銀座、赤坂等の割烹や料亭等で手腕を揮われた方で二年程前までは盛岡で『小鍋立 松もと』という店名にて『河豚料理』や『○鍋』に季節感を感じさせる旬の一品料理を愉しませてくれる店を営まれて居られたのですが、不慮の事故に遭われ他の方に店を譲られて約一年間程、治療、療養に専念され回復後に今の雑居ビルにて店を再開されたそうです。盛岡の料理界で料理のセンス、腕前ともに頭ひとつ以上ふたつ抜きん出ている方やと思います。現在のスナックの居抜き物件風の店構え此処で『河豚』や『鼈(すっぽん)料理』などを戴けるとは努々思わないことでしょう。しかし同時にとっておきのプライベート料理店として隠し玉として使えるという楽しみもあります。今回のレビューではほんのさわりの部分のみ、さっと書き記させていただくこととします。當店のウリのひとつは『河豚料理』です。イチオシは『河豚のぶつ切り』で普通の『てっさ』とは食感と食応えが非なるもの。文字列通り河豚をぶ厚く切り分けた食べ応え充分の河豚刺しです。『ぶつ切り』ならではのコリコリとした食感が楽しめ噛みしめると後から河豚の旨味が追いかけてきます。河豚は勿論、南風泊から仕入れられる『天然物』の『とら河豚』です。 この河豚を使った『河豚の唐揚』もとても美味で自分は好んで良く戴いています。もう一つのウリは『鼈(すっぽん)料理』であり店主ご自慢の『たん熊』仕込みの『○鍋』です。鼈(すっぽん)は京の鼈料理の銘店『大市』さん同様に浜名湖で育てられたものを産地より直送されるものが使われます。カウンター席の目の前で簡易式のガスコンロでコークス鍋が真っ赤になるまで空焼きされ半日程の時間を掛けコトコトと炊いて抽出された滋味溢れる極上スープをベースに作られます。具材は主役の『鼈(すっぽん)』と『焼葱』と最後に焼餅という実にシンプルなもので味付も余計な物を加えずに日本酒と同量の水、そして薄口醤油だけという『たん熊』さんと全く同じレシピ。最後に生姜の搾り汁を少々加え味を調え完成です。余計な具材を投入した寄せ鍋のような○鍋を供される店もありますが極上のスープを味わうにはシンプルな『○鍋』に限ります。仕上げに『焼餅』が投入され鼈エキスを充分に餅に吸わせて戴いたり時には『○ぞうすい』で〆たりとその時の気分次第で楽しませて戴いています。日本酒は大半が『関矢健二』氏のラベルが貼られたオリジナルもの。『しあわせ気分』や『やる気満々』に『気分爽快』とラベルもネーミングも楽しい。供される料理の味とスナックのような店内のギャップがこれまた楽しい大人の隠れ家です。

  • 河豚の唐揚げ
  • 〇鍋
  • 〇鍋

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8位

日本料理 旬菜和田 (遠野 / 日本料理)

1回

  • 昼の点数: 4.5

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 4.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 4.0 ]
  • 使った金額(1人)
    - ¥6,000~¥7,999

2012/02訪問 2012/07/19

いわて孤高の料理人 vol.1 … 日本料理『旬菜 和田』。

遠野には某携帯電話のCMのロケ地となり一躍知名度がアップした"河童淵"と岩手を代表する孤高の料理人の
ひとりである"和田大地"さんが腕を揮われる日本料理店"旬菜和田"さんがあります。

岩手にも御多分に洩れず『日本料理』を看板に謳う店は何軒かありますが、その実態は居酒屋料理にちょっと
毛の生えた料理を供するナンチャッテ日本料理の店が大半です。

日本料理の真髄は料理人の美味へのあくなき挑戦であり一期一会のおもてなしの心、旬の素材で季節感を現し
素材の持ち味を最大限に活かす緻密な計算に基づき作られる『引き算』の料理、決して足し算の料理ではあらず。

コース料理の腕の見せどころはコースの華である『椀物』であり、その『吸い地』の出来栄え如何によってコース
全体の印象も大きく変わてしまう要の料理です
五感を研ぎ澄まし繊細でありながらも奥深い旨味を愉しむということこそ日本料理の真髄てはないでしょうか?

四国四県よりも広大な面積を有す岩手、その中にあって空間の雰囲気、侘び寂びの心、使われる器とその器に映
し出す料理の美しさと安定感の高さでは新旧数多の料理店を見渡しても當店の右に出る店は見当たりません。

今回のレビューは未だ雪が残る二月中旬に伺った時のもの。先付の料理は三つの小鉢。先ず一品は『河豚』の
小鉢で『河豚のてっさ』に鉄皮、ここまでは良くある構成ですが、その上に金沢から仕入れた『河豚の卵巣の糠漬
が手ほぐしで飾られておりました。一見、焼き海胆を解したものと見間違えたものが『河豚の卵巣の糠漬』であり
この塩気を使い混ぜ和え味わうというシンプルながらも計算された一品からおまかせのコースははじまりました。
二つめの小鉢は『鯛の子』を炊いたものに三陸産の生松藻と茎若布の料理、海藻の小気味よい食感が愉しめる
料理で三つ目の小鉢には『蛍烏賊』に寒締のほうれん草に『黄身おぼろ』。というように残雪残る遠野にてやがて
訪れる春を感じさせてくれる料理の三タテ。

その後は『凌ぎ』代わりに供された焼きたて熱々の『出汁巻き』。ほんのり感じる甘味と出汁の塩梅が心をホッと
させられた後に『白魚』の上に湯葉と『生海胆』に蕨の小鉢、コースの華であり店主の腕の見せどころの『椀物』は
鹿島沖の『地蛤』と早獲りの『』を使った清汁仕立、『吸い地』は昆布と鰹の一番だし、表側には菜花に木の芽
に梅を型取った花麩、地蛤の裏側には蛤の出汁、白身魚のすり身、卵白で造られた『蛤真丈』という豪華なる椀。
濃い出汁が好まれる土地で滋味優先で食べ終わる頃に味のトーンをつけられた椀は稀なる味わいで美味ナリ。

造りは赤貝に北寄貝、平貝の炙りに伊佐木、あしらいに浜暴風、次の料理は名物料理の『竹蒸し』ではなく銀餡
がたっぷりとかけられた『玉〆』、焼物には"のどぐら~"が啼いて悦ぶ『のどぐろ焼』、蓋物の器の中には『桜鱒
の揚げ浸し。その上にはたっぷりの大根おろしが天盛りされ彩り豊かなあられが散りばめられ彩添えに獅子唐
とパプリカの素揚げ。一見単なる『桜鱒の揚げ浸し』に見えるこの料理ですが実は中に贅沢にも大葉に包まれた
生海胆』が射込まれていたことには驚かされました。

〆の食事は『穴子の小袖寿司』、香の物には温海蕪と野沢菜漬、椀物は赤だしではなく『穴子の骨』を一度焼き
摂った出汁で作られた味噌汁でメチャウマ、マンゴームースの上にデコレイトされた水菓子を戴き昼のおまかせ
料理はひと通りです。

旬の食材に季節感を感じさせてくれる食材を惜しげもなく使い振舞われた料理は原価度外視の大盤振る舞い。

今回も至福のひと時を過ごさせて戴きました。今回の訪問を経てサーヴィスとCP評点をそれぞれ上方修正し、
総合評価も★★★★☆(4.5)とさせて戴きました。
尚、評価基準につきましてはトップページの自己紹介欄に記載しておりますのでご参照戴けば幸甚です。

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2011/10のレビュー
岩手は松茸や短角牛に鮑や海胆と山海の幸が豊富に揃う食材の宝庫ですが折角の厳選素材を活かしきれる
料理人は極めて少ないということを今まで何度も云ってきました。それは決して料理人ばかりが悪い訳ではなく
質より量を求める食べ手側にも責任があるように思えてなりません。県都である盛岡の地に措いて真に御料理
と呼べるような料理を供してくれるのは"松もと"さんの他には何軒もないというのが現実だと思われます。

岩手県の面積は四国四県よりも広大な土地を有しておりますが人口密度は疎らであり衣食住の中心は盛岡に
アリ。と多くの方が思われているようですが、こと『』に関しては必ずしもそれは当てはまりません。

盛岡以外の地にも日々精進され頑張られている孤高の料理人が自分が知っているだけでも三名程居られます。
本当は内緒にしておきたい店ですが岩手にも頑張っている店があるということを示すため、それらの隠れた店を
いわて孤高の料理人シリーズ』として勝手にレイティングさせて戴くことにしました。

先ず第一弾では民話の故郷『遠野』に店を構えられている『和田 大地』さんが営まれる日本料理店"旬菜和田"
さんです。

當店の店主『和田 大地』さんは秋田県の日本料理界の第一人者である『牧野 誠悦』氏の下に十六年余り主従
され人気料理店"入舟"さんの二番手として牧野氏を支えられて来られた方であり料理の腕前は折り紙つきで鼈
から河豚までひととおりシーズンには味わうことが出来ます。

事前予約の上、久しぶりに遠野まで足を延ばし昼餉に店主『おまかせのコース』料理を味わってきました。

料理は綺麗なピンク色をした『くもこ』と可愛いサイズの岩手産の松茸の『焼き松茸』を使った酢の物からはじまり
八寸は皮目の輝きからも鮮度の高さを窺い知ることの出来る秋刀魚の小袖寿司に新いくらの醤油漬、いか塩辛
天然ものの『あみ茸』おろし、吸い物代わりに『松茸の土瓶蒸し』、そして修行先である"入舟"さんの名物料理の
竹蒸し』と呼ばれる変形茶碗蒸し、造りは二段構えで先ずは鮮度抜群の『活ぼたん海老』に鰹、直前に〆られた
ピチピチの『皮剥』の三点盛、前述の二品は出汁醤油で味わい『皮剥』は濃厚な肝醤油で戴きましたが肝の美味
しさに思わず頬が緩みます。造りというと兎角、鮪や鯛を使いたがる店も多々ありますが個人的には地物の旬の
味を愉しませてくれるこの『皮剥』の薄造りはポイントアップ。そして後出しで茹でたての『毛蟹』、この毛蟹は画像
ではその大きさが良く判りませんが1.5キロ程の雄武産のもの、身の甘みが強くなかなかのものでした。脚肉の影
に隠れていますが小鉢には剥き身も。炊き合わせには釣りモノの『めばる』の酒蒸し、里芋田楽、新銀杏に菊花
かぶの甘酢漬け、彩りの良い香の物が供され食事は『毛蟹のぞうすい』、食後の水菓子は無花果のコンポートを
使ったゼリーでひと通りです。

器あしらい』は完璧に行われていました。『器あしらい』とは温かい料理を盛り付ける器は温めた器を使い冷たい
料理を盛付ける場合には反対に冷やした器を使うということで料理店の基本中の基本のことがらなのですが意外に
も軽視されがちですが先に前述したような居酒屋に毛が生えた程度の料理店ではこれが全く成されておらず冷たい
器に温かい炊き合わせを入れたり造りを食洗機の中から取り出したばかりのような温かい器に平気で盛り付けたり
して供されますが此処ではそういったことは全くなし。

供された料理の出汁の加減や塩加減も気持ち強めの傾向にあり土瓶蒸しには酢橘を添えて供されましたがこれは
柚子じゃないと折角の出汁の味に苦味が出てしまうので柑橘使いはもう少し考えられた方が良いのでは?と思った
こともありましたが総体的には相変わらず費用対満足度の高い内容でした。

當店の料理の味に以上に美味しいものが供されるのは盛岡では"松もと"さん一軒ぐらいしか思い浮かびませんし、
""さんとは内容的にほぼ互角と思われますがこの内容で五千円ですから當店の方に分があるのは間違いなし。

盛岡に店を構えられていたら間違いなく超人気の店となることでしょうが過疎化が進む故郷の遠野で孤軍奮闘され
ている"旬菜和田"さん応援したい一軒です。

  • 河豚のてっさと鉄皮に河豚の卵巣糠漬の手ほぐしがけ。
  • 鯛の子に生松藻、茎若布に三つ葉。
  • 蛍烏賊と寒〆ほうれん草におぼろ玉子。

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9位

千登利亭 (祇園四条、京都河原町、清水五条 / 寿司、日本料理)

2回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.5
    • | サービス 4.0
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.0
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 3.9
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 3.4
    • | CP 4.2
    • | 酒・ドリンク 3.8 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥5,000~¥5,999 ¥2,000~¥2,999

2017/01訪問 2017/08/19

『千登利亭』

『商売繁昌で笹持って来い、、、』。當日は十日戎の日。八坂神社さん、ゑびす神社さんへ『福』を授かりに伺った足で向かった先は久しぶりにレビューの更新をする団栗の『千登利亭』さんへ。レビューの更新こそ久しぶりですが店へは定期的に足を運んでおります。いつものようにカウンター席に陣取り先ずは瓶ビールで喉を潤します。つきだしには、ちょうど『穴子』を炊いたところだと店主の白子さんより寿司種の収められた冷蔵ケース越しに手渡されました。結構、肉厚の『穴子』であり炊いたばかりでほんのり温か。こういうつきだしは大歓迎です。今回の注文は『鯖寿司』×2、『巻寿司』×3、『箱寿司』×2、『ちらし寿司』と『吸物』という色々な味を楽しめる『若狭』という欲ばり且つ漏れなく満腹になる充実の物のセットです。『鯖ずし』の『鯖』と舎利との結着度は見事であり綺麗な『 r 』が描かれており『鯖』と舎利が離れ離れになるようなことはありません。『巻寿司』はシンプルですが伝統の味わいであり『箱寿司』はつけ焼にされた『鱧(ハモ)』を包丁でのしたものが載せられた『鱧の箱寿司』、そして『ちらし寿司』は朱塗りの小丼に敷き詰められた舎利の上に刻み海苔が散りばめられ、その上に錦糸玉子、玉子の上に『烏賊』、『海老』、『穴子』と並べられ椎茸煮と目に鮮やかな桜でんぶが脇を固め鞘豌豆の細切りを天盛にされたものであり創業から百二十年余り名実ともに受け継がれてきた老舗の味です。洛中には大箱店で供される『鯖ずし』や名前や看板先行型の『鯖ずし』等、数多の『鯖ずし』で溢れかえっておりますが、何処の何方が作られたものか全く判らぬような『鯖ずし』に高額な金額を払うよりも『千登利亭』さんや寺町の『末廣』さん等、小体の店ながら歴代の店主の手によって継承されてきた匠の技を楽しみながら戴く『鯖ずし』を個人的に好みます。"最近は誰かさんの御蔭で他所(ヨソ)さんも随分と増えましたなぁ"苦笑される店主の白子さん。老舗の味を次世代に継承し、いつまでも続いて欲しい一軒、団栗の『千登利亭』さん。寒い時期の『蒸し寿司』も実はお奨めです。

洛中には数多の寿司屋さんの『鯖寿司』があれど自分が好きな『鯖寿司』となりますと団栗の"千登利亭"さん、
錦の"さか井"さん、寺町の"末廣"さんの『鯖寿司』がマイベスト3、共通していることは家族経営の小体の店
であるということといづれの店も注文を受けてから作り出し作りたてを味わうことが出来る店であるということ。

鯖寿司』に関しましては必ずしも作り立てがベストとは云えませんが少なくともビックネームの店で供される
いつ、どこで、だれが作ったものかも良く判らぬようなものを高値で供されるてい店のソレと比べたなら雲泥
の差があることは如実です。

高くて美味いは当たり前とも云われますが余りにも高過ぎる『鯖寿司』が幅を効かせている京の町に於いて
使われている『』の品質とその値段を勘案してみますと前述の三軒で供されるものは良心的と云って過言
ではないでしょう。

他にも上鴨の"魚熊"さんや出町柳の"満寿形屋"さん等でもリーズナブルな値段で味わえる佳店がありますし、
料理屋さんのソレでは"食堂おがわ"さんの小ぶりな小袖寿司風の『鯖寿司』を良く好んで戴いています。

そんな中、久しぶりに"千登利亭"さんのレビューを更新させて戴きますが今回ご紹介致しますのは鯖寿司、
巻き寿司、押し寿司、『ちらし寿司』といろいろな味が楽しめる『若狭』と名づけられた欲ばりなセットです。

若狭のセットは千七百八十円で鯖寿司×2切、鱧の箱寿司×2切、巻き寿司×3切に『ちらし寿司』に吸物
付き、鯖ずしの鯖と舎利の結着度は見事であり鯖と舎利が離れ離れになることは先ずありません。

巻き寿司』はシンプルですが完成度は高く、つけ焼にされた鱧を包丁でのした鱧が乗せられた『鱧寿司

舎利の上にきざみ海苔、更に錦糸玉子が敷き詰められ烏賊、海老、鞘豌豆、穴子、椎茸、桜でんぶが散り
ばめられた目にも美しい『ちらし寿司』と創業以来、百十余年の間、歴代の店主によって受け継がれてきた
真の京の老舗の味わいであり費用対満足度の格段に高い『若狭』のセットはイチオシのお奨めです。

洛中に数多の『鯖寿司』あれど本物の味は此処"千登利亭"さんにあります。

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2008/01のレビュー
上洛の際に必ず決まって一度は顔を出す"千登利亭"さん。それは當店の『ほっこり』とした雰囲気が心地良い
からであり尚且つ『鯖寿司』が美味しいからです。

いつもは一人でカウンター席で店主との会話を楽しみながら酒盃を傾けるのが常なのですが今回は突発的な
誘いにも関わらず快く都内より駆けつけてくれた友人と連れ立っての再訪となりました。

遠方より友来る。ということで酒肴の『穴子』はいつもの『地焼き』ではなく関東風の『煮穴子』として供して戴き、
後はいつも通り『鯖寿司』に、きっと友は初めて目にするであろう『雀寿司』を注文、店主が馴染さんから持ち帰り
用で注文を受けていた『鱧寿司』が目に留まり季節はずはありまですが鱧寿司も少々供して戴くことに。

脂のりの良い肉厚の鯖を使って作られる當店の『鯖寿司』は数ある京都の寿司屋さんの鯖寿司の中でも自分的
には一、二を競う好きな味です。『鱧寿司』は鱧の時期ではない時期ゆえ夏場に供される鱧寿司とは趣の異なる
ものでしたが友人に雰囲気だけでも味わってもらいたかったので目的は達成することができた。舎利と舎利の間
に海苔が挟まれた『鱧寿司』は少々甘めの味、『穴子の寿司』は全国各地で口にすることは出来ても『鱧寿司
はやはり京都の味ですから…

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2007/04のレビュー。
前回の訪問から余り日を措かず再訪させて戴いたのですが、この日は運良く先代の店主が店に出られており
ダメモトで匠が創られる『細工寿司』を一度食べてみたいとリクエスト、材料が揃っていないから無理と四代目
からやんわか断られるも、折角だから雰囲気だけでもと三代目の先代店主が応えてくださいました。

供された細工寿司は『寒牡丹』と呼ばれる代表的なもので花びらの部分に『よこわ』、関東で云うところの『めじ
を使ったもので食べるのが勿体無いくらいに美しい、これが正に『黄綬褒章』を授かった匠の技。

その後、自分の席の横に腰を下ろされ天皇陛下から直接戴いたという純銀製のしおりや貴重な品々を御披目
戴き『祇園の細工寿司』の歴史や『京都寿司のれん会』の話を小一時間に亘り色々とご教授戴きました。

昔は『団栗の千登利亭』だけで郵便物も届いたものだ。と二代目が笑いながら話されていたが先代の若かりし
頃の風情は確実に失われつつある昨今ではありますが自分にはとても貴重な思い出となる一日になりました。

その後、四代目より『鯖寿司』を作って戴きましたがこの日の鯖寿司の『』はいつにも増して脂のりが良いもの
が使われており尋ねてみますと今日の鯖は九州のブランド鯖を使っているとのこと。この立派な鯖寿司が一人前
六切で千六百円也とは、とても良心的な値段です。
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2007/01のレビュー
京都で『鯖寿司』といえば"い○う"さんや"い○重"さんのものが有名であり、ことツーリストの方々には両店とも
絶大な人気がありますが祇園界隈では當店"千登利亭"さんの『鯖寿司』が最も好きです。

當店の『鯖寿司』は洛中に数多ある『鯖寿司』の中でもマイベスト3に数えられるものであり前述の二軒で供され
るものと比較しても使われている鯖の質や味、価格を勘案しますと全ての面において上であるように思います。

當店は家族四人で切盛りされている店であり店内にはカウンター席×五席とテーブルが二卓置かれた小体の店
ですが祇園の御茶屋さんへの納めも多くあり昔からの御贔屓さんも多く、ご近所さんがお土産を買い求めに頻繁
に訪れる古くから愛し続けられている店です。

お目当ては勿論『鯖寿司』ですが先ずは瓶ビールとともに明石産の活物から作られる『穴子の地焼』を舌鼓。
焼き上がるまでの合間は、つきだしの『鮪の角煮』を肴にゆるゆるとはじめます。

鰻の蒲焼にも相通じることですが関東と関西では割き方、焼き方ともに異なりますが酒肴として戴くならば蒸しの
工程が入らぬ『地焼の穴子』の方が個人的には好みです。噛みしめると皮目の部分から、じわ~っと脂が溢れ
出し香ばしさも相まってビールがすすむこと間違いなし。

鯖寿司』の鯖は大分産の脂の乗りが良い真鯖を使い米は滋賀県の農家に直接買い付けに出向いたものを使わ
れているそうですが『』、『』、塩、酢のどれをとっても店主の拘りがあり何処ぞのものとは違って大量に作り
置きにされたものではなく都度、作りたてのものが供されるのも當店の『鯖寿司』が好きな理由です。

使われている『』もとても肉厚のものであり脂ののりや塩や酢のあて加減も上々で六切れで一人前です。
三代目との話の流れで『雀寿司』を追加で戴くことになりましたが一人前をひとりで食べるのはキツイので半分の
量の三切れを供して戴きました。
雀寿司』の名の由来は小鯛の鱗が雀の腹部の模様に似て見えることからそう名づけられたと云われてますが
確かに納得出来ます。ひと口めには鯛の皮がやや気になりましたが噛むほどに皮目から旨味がじんわり滲み出
て『鯖寿司』とはまた違った美味しさが味わえます。瓶ビール2本に酒肴の『穴子の地焼』、『鯖寿司』に『雀寿司
を半分戴いて勘定は〆て四千円にも満たずと費用対満足度は高い。

先代は昨年の『黄綬褒章』の受勲者であり京都に長く伝わる『細工寿司』の『匠の職人』で現代の名工です。

  • 綺麗な『 r 』の弧を描く鯖ずし
  • 煮穴子
  • 鯖ずし

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10位

和や てらさわ (花巻 / 日本料理)

1回

  • 夜の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 昼の点数: 4.0

    • [ 料理・味 4.0
    • | サービス 4.5
    • | 雰囲気 3.0
    • | CP 4.5
    • | 酒・ドリンク 3.5 ]
  • 使った金額(1人)
    ¥8,000~¥9,999 ¥3,000~¥3,999

2013/03訪問 2013/04/25

いわて孤高の料理人 vol.2 … 『和や てらさわ』。

過疎化と空洞化が進む花巻から夜の街の活気と賑やかさでは県都 盛岡に次ぐ北上の街へと四月二十四日に目出
度く移転、新装開店となった『御料理 寺沢』さん。
盛岡の"松もと"さん遠野の"旬菜 和田"さんとともに岩手で大好きな和食店。未公開になっていた料理画像を何枚か
追加アップさせて戴きます。

と或る日の前菜で"銀宝"の天ぷらが供され驚嘆したのもつい先日のことと記憶していますが月日の流れは早いもの
岩手の地で"銀宝"の天ぷらをまさか口に出来るとは…塩竃の"千松しま"さん以来のこと。また"河豚の白子焼"やら
"のどぐろ"や""を惜し気もなく使って供された料理の数々、今ふり返ってみても岩手での思い出に残る一軒でした。

店主『寺沢勇人』氏の新天地 北上での益々の活躍を祈念しつつ生涯、贔屓にさせて戴きたいと思う次第であります。

新店舗"御料理 寺沢"のレビューは、こちらをどうぞ ⇒ http://u.tabelog.com/loro/r/rvwdtl/5143677/
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2012/05のレビュー
花巻と云えば『宮澤賢治』の童話の世界の中で架空の理想郷『イーハトーブ』と称された土地ではありますが、
現実は過疎化が進み街の中心部を往来する人も疎ら、全く活力の感じられぬ街という厳しい状況にあります。

郊外には岩手の空の玄関口である花巻空港や古くは全国から多くのツーリストが訪れた花巻温泉郷を有す
花巻、この他には今、自分が最も注目をしている和食店"和や てらさわ"さんがあります。

岩手にも御多分に洩れず『日本料理』を看板に謳う店は何軒かありますが、その実態は居酒屋料理にちょっと
毛の生えた料理を供するナンチャッテ日本料理の店が大半です。

日本料理の真髄は料理人の美味へのあくなき挑戦であり一期一会のおもてなしの心、旬の素材で季節感を現し
素材の持ち味を最大限に活かす緻密な計算に基づき作られる『引き算』の料理、決して足し算の料理ではあらず。

コース料理の腕の見せどころはコースの華でもある『椀物』であり、その『吸い地』の味わい如何によってコース
全体の印象も大きく変わてしまう要の料理であると思います。
五感を研ぎ澄まし繊細でありながらも奥深い旨味を愉しむということこそ日本料理の真髄てはないでしょうか?

四国四県よりも広大な面積を有す岩手、その中にあって丁寧に作りこまれた料理とCPの高さでは新旧数多の
料理店を見渡しても當店の右に出る店は見当たりません。

當日は未だ残雪の消えぬ二月、岩手でご交誼を戴いている喰いしん坊が花巻に終結し十二名での貸切での宴。

自分は店主との会話が愉しめるいつものカウンター席へ陣取り宴のはじまり。先ずはグラスに注がれた生ビール
で乾杯。先付の料理は身体の芯からほっこりと暖めてくれる『くもこの銀餡がけ』からスタート。二月の岩手は寒く
外は氷点下の底冷え、そんな時にこういう料理からはじめられる心遣いが心をくすぐります。

次いで供された八寸には柔らかさの中にも絶妙な噛み応えを残し仕上げられた『鮑の酒蒸し』に茶ぶりにされた
赤海鼠』の小鉢、ひと足早く早春の香りが愉しめる『たらの芽』の天ぷら。"菊乃井"さんのレシピを用いて作られ
た『鴨ロース』には和がらしが添えられ安定的な美味しさ。優しい出汁に包まれねっとりとした口あたりと粒々感が
小気味良い『鮃の子』と店主の丁寧な仕事ぶりが伺える料理の数々。

料理人の腕の見せどころでもある『椀物』は『太刀魚』と『草蘇鉄』を椀種に使った清湯仕立ての椀、『吸い地』は
炭火で焼かれた『太刀魚』の芳醇な椀種に負けぬよう鰹の一番出汁が合せられたしみじみと美味しい椀でした、

造り』は青森鯵ヶ沢で水揚げされた肉厚の『寒鮃の昆布〆』、天には濃厚な『黄身醤油』、昆布の旨味が移った
寒鮃』の身は舌にねっとりと絡みつく得も云えぬ美味しさ。下ろし立ての本山葵で味わうのも勿論、美味しい鮃
ですが昆布〆にされた鮃と『黄身醤油』の組合せは陸奥湊の"みなと食堂"さんの『鮃のづけ丼』の旨さをも超越
する美味しい酒肴でした。

焼物は自称"のどぐら~"が泣いて悦ぶ『のどぐろの塩焼』、備長炭でじっくりと焼かれた身は適度にウエット感
が残されており旨味が閉じ込められています。焼魚の理想系である皮目はパリッと中には旨味がギュッと凝縮
されつつ、ほっこりとした食感で思わず身が仰け反る美味しさ。岩手では高級魚の代表格と云えば『喜知次』で
すが最近『のどぐろ』を使われる店が増えてきたことは"のどぐら~"としては実にうれしいかぎりです(笑)

炊き合わせ代わりに供された蓋物が裏漉しした馬鈴薯と葛粉で作られた餡たっぷりの『プラチナポークの角煮』。
天には和からしがあしらわれた一品、身はとろっとろで口の中でホロホロと崩れ去る柔らかさ、脂抜きの下拵え
等も丁寧にされており和食の一品として全く違和感のない仕上がり。豚肉が主役と思われがちな料理ですが、
たっぷりとかけられた餡の美味しさも忘れてはいけません。

食事は土釜で炊き上げられた『筍の炊き込みごはん』、椀もの代わりには『海胆』と『』がたっぷりと使われた
小鍋立、鍋底には『』も忍ばされており『いちご煮』のインスパイア版。美味しいのは云うまでもありませんが
』のシャキシャキとした食感が良いアクセントとなった一品でした。

水菓子は某ローカル民放局のグルメ番組でも取り上げられのだという『牛乳寒天とリキュールのゼリー寄せ』。
見た目の美しさもさながら食味の完成度の高い一品でした。

今回も至福のひと時を過ごさせて戴きました。今回の訪問を経てサーヴィスとCP評点をそれぞれ上方修正し、
★★★★★(4.5)に総合評価は現状維持の★★★★(4.0)とさせて戴きましたが當店の料理の評価は掛け値
なしです。トップページの自己紹介欄に記載しております岩手県内の評価基準は適用せず全国区として評価
しております。

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2011/12のレビュー
前夜は隣接する北上の"割烹和郷"さん、そして"スランジバール"でナイトキャップを戴いて夢の中へ、翌日の
昼餉は盛岡に戻る前に"和や てらさわ"さんへ前日予約の上に伺わせて戴きました。

この日のお目当ては前日までの予約でのみ戴くことが出来る『てらさわ篭膳』、千円という限られた予算の中で
どんなものが供されるのか楽しみにしていたところ結果から先に申し上げますと予想をはるかに超えた料理が
びっしりと詰め込まれた玉手箱のような篭膳が供され正直驚かされた次第です。

主役の盛篭の中には鮪と烏賊という紅白の造りに焼物は魳(かます)の炭火焼、鴨ロースに出汁巻玉子、鰹の
生姜煮に牛肉時雨煮等、篭の外には茸の和え物にちりめん、香の物に炊きたてのごはんに布海苔の味噌汁
というしっかりと手をかけられた料理が詰め込まれた豪華版で本当にこれで千円でいいの?と思うような驚愕
にも値する内容のものでした。

今宵の一品料理の品書きを拝見したところ『鮑の柔らか煮』に『蛸の柔らか煮』そして『焼茄子の鶏味噌』等
そそられる料理が何品か書き込まれており店主に一人前はどれだけの量なのかを尋ねたところ店主もコイツ
まだ食べるつもりなのだろうか?と思ったことでしょう(笑) ただそう頻繁には花巻まで足を延ばすことも叶わぬ
ということと美味いものは不思議と胃袋にすんなりと収まる身体であることはで自分自身が良く判っていること
であり追加でその三品をオーダー、しかしそれは幾らなんでも無理では?という店主の気遣いから通常の量の
1/3の分量で料理が供されました(笑) そんなこともあってなのか折角の『蛸の柔らか煮』が極端に薄く切られ
ていたりして、あれれ?と感じるものもありましたがいづれの料理も味に関しては申し分のないものでした。
特に焼茄子の上にたっぷりとかけられた『鶏みそ』の味の完成度は高く、この味噌をアテに日本酒を二合ぐらい
軽く呑めるのではと思った程です(笑)

以前にも書き記しましたが自分が岩手で今注目している料理人は遠野市にある"旬菜和田"の"和田大地"さん、
當店店主"和や てらさわ"さんの"寺沢勇人"さん、そして北上市に店を構える"割烹和郷"の"菅原栄治"さんの
ずばり三名です。敢えて県都 盛岡に店を構えずにそれぞれの地で精進されている三名からは目が離せません。

Tabelogの評価ロジックの変更に伴いいづれの店も再び目立たぬランキング位置に収まっていますが逆に自分
にとってはその方がある意味では好都合なのですが…(爆)

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2011/11のレビュー
今回の花巻への訪問はクライアント先へ伺うのも勿論大事なことでしたが何よりも楽しみにしていたことは當店
"和や てらさわ"さんへ再訪することにありました。タイトルにもありますように自分が今、岩手県にて注目をして
いる若手料理人の一人であり最も『伸び代』に期待をしている料理人が當店の店主である『寺沢勇人』さんです。

當店へは定期的に伺っており今月二月にも伺っておりますが今回のレビューは時系列順にということで昨年の
十一月の最終日に伺った時のもの、現在は昼の時間帯も完全予約制となっておりますが来る十九日の日曜日
には某ローカルグルメ番組内で放映されることになっていますので更にその人気は高まることでしょう(笑)

今回はコース料理にアラカルトの一品料理を組み入れて戴くという変則的な料理構成で二時間超の時間を存分
に愉しませて戴きました。

この日は一段と底冷えする夜でありましたが最初に供された料理が地場産の無農薬栽培の『新米』で作られた
お米のポタージュ』、平たく云ってしまえば『おかゆ』ということになってしまいますが此れに『大徳寺納豆』を添え
て供されたものですから思わずうれしくなったのは云うまでもありません。次いで供された八寸の皿には定評の
ある『鴨ロース』をはじめ粟麩の田楽、柿の白和え、酢〆の烏賊に○十の甘露煮、一旦塩抜きをした『かずのこ
に出汁を含ませ肌理の細かなパン粉を纏わせ揚げられた一品と酒が進み口が悦ぶ料理が目白押し、料理に
合わせて今回戴いたのは地酒の西与右衛門の無濾過の純米酒、椀物は『牡蠣』をふんだんに使った『白味噌
仕立の椀、牡蠣の滋味と京都の白味噌が奏でる味わいはなかなかのもの、小鉢で登場したのは『鮪の中トロ
を辛味大根の一種『暮坪かぶ』で和えたもの、単に本山葵で味わうのも良いが時にはこんな変化球が楽しいもの。
そして『焼物』は自分の無理なるリクエストで何と『焼鳥』へと変更です、備長炭で焼かれた『はつ』と『もも』は香ば
しく思ったとおり美味、続いて供された揚げ物は贅沢にも『鮑の素揚げ』を『鮑の肝ソース』をディップして味わうと
いうもの、考えただけでも涎垂ものですが、この『肝ソース』、隠し味に少量の柚子こしょうが使われており、これ
だけでも充分酒肴としていけます余りの美味しさにソースを追加で戴きました。そして今宵のスペシャリテ料理は
のどぐろ』大好きな自称『のどぐら~』の為に用意された『のどぐろの霙鍋』、備長炭で焼かれ脂と旨みをギュッと
閉じ込められた柚子を利かせた塩味ベースの蕪の霙つゆで味わうというもの、これは絶品過ぎ、身も心も温まる
最高のご馳走でした。Tabelogでも注目度、赤丸急上昇中の"和や てらさわ"さん、花巻のクライアント先から御呼
びがかかるのが待ち遠しい今日この頃です。前述したとおり店は喫茶店の居抜き物件、見栄えのするような作家
ものの器も揃っては居りませんが此処には気持ちがこもった料理があります。それだけで自分は通う価値が充分
あるように思います。精進を重ねられ更なる大きな夢へと羽ばたかれるその日まで温かく見守ってくださいまうよう。

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2011/10のレビュー
岩手は松茸や短角牛に鮑や海胆と山海の幸が豊富に揃う食材の宝庫ですが折角の厳選素材を活かしきれる
料理人は極めて少ないということを今まで何度も云ってきました。それは決して料理人ばかりが悪い訳ではなく
質より量を求める食べ手側にも責任があるように思えてなりません。県都である盛岡の地に措いて真に御料理
と呼べるような料理を供してくれるのは"松もと"さんの他には何軒もないというのが現実だと思われます。

岩手県の面積は四国四県よりも広大な土地を有しておりますが人口密度は疎らであり衣食住の中心は盛岡に
アリ。と多くの方が思われているようですが、こと『』に関しては必ずしもそれは当てはまりません。

盛岡以外の地にも日々精進され頑張られている孤高の料理人が自分が知っているだけでも三名程居られます。
本当は内緒にしておきたい店ですが岩手にも頑張っている店があるということを示すため、それらの隠れた店を
いわて孤高の料理人シリーズ』として勝手にレイティングさせて戴くことにしました。

先ず第二弾では宮澤賢治の故郷『花巻』に店を構えられている『寺沢 勇人』さんが営まれる料理店"てらさわ"
さんという店であり岩手県の和食店の中で今、自分が最も注目をしている店です。

當店の店主『寺沢 勇人』さんは花巻にある唯一の料亭"赤藤"さんで修行された後、北上にあると或る料理店の
板場で腕を磨かれ以前、喫茶店だったという店の居抜物件にて孤軍奮闘されている未だ若き料理人です。

あまいマスクと華奢な身体つきからは想像のつかぬような完成度の高い料理を堪能させてくれる注目株は現在
三十三歳、奥様と二人で小体の店を切り盛りされています。

當店には既に複数回伺っておりますが今回のレビューは時系列順に沿って十月に昼餉に戴いた『松花堂弁當
と夜に戴いた『変則的なコース料理』についてのレイティングです。

先ずは昼餉に戴いた『松花堂弁當』ですが、これは前日までの事前予約が必須であり予算に合わせて内容を
調整し作られ供されるもののようですが大凡、三千円がひとつの目処のようです。

供された重の上蓋を開けた瞬間に想像していたものよりも素晴らしい内容に心がときめきました。その内容は左
上から順に出汁巻き玉子に真魚鰹の西京焼、牛肉の時雨煮に零余子の松葉串の変わり揚げに精進膾のジュレ
がけ『鴨ロース』に○十の甘露煮、その横に『ビフカツ』、『松茸のフライ』、ちりめん山椒、下の段に移って
鮪、帆立貝柱、鰹の造り、その横に『鴨饅頭』の茸餡がけで可愛い大きさの松茸が天盛にされたもの。そして別に
小鉢で供された蔓紫の御浸しに香の物、ごはん、赤出汁椀、食後に水菓子というなかなかの豪華版、この中で思
わず呻ってしまったのが『鴨ロース』の完成度の高さ、失礼ながら花巻という地でこれ程に美味しい鴨ロースを
口にすることが出来るとは努々思ってもおりませんでしたが、この味わいは京都のミシュラン★★★の"菊乃井"
さんの味にも匹敵するもの。
そして心をギュッと摑まれたのが『ビフカツ』と『松茸のフライ』の二品、ビフカツを上手く揚げるにはそれなりの
技量が必要であると思いますが断面は綺麗なピンク色を保っているのに肉からはドリップが出ておらず衣は薄く
纏わされ肉との結着度も申し分なし。おそらく牛肉を一度60℃程の低温調理で下拵えをした後に焼きカツの要領
で仕上げられたものだと思いますがソースの前にぜひ『黄身醤油でぜひ味わってみてください…と来たもの
だからこの料理人なかなか感性が鋭いと関心させられた次第、ビフカツを受け止める黄身醤油の完成度にも二度
驚かされましたが『松茸』をさりげなくフライで供するあたり只者ではあらず。常々『松茸』や『くもこ』などは
天ぷらとして味わうより『フライ』にして味わった方が断然美味しいと思っている者としては何も云わずにこんな風
に供されるとうれしいもの、味は云うまでもなく美味、脇に添えられた『ちりめん山椒』も店で炊いているとのことで
したがこれもなかなか。造りは鮪の中トロ、帆立貝柱、鰹の三点盛でしたが鮪は養殖や蓄養ものではなく天然もの
の生鮪が使われておりましたし帆立貝柱、鰹の造りともその日の朝に仕入れられたと思われる鮮度の高いものが
収められておりました。そして『鴨饅頭』の茸餡がけは身体が優しく温まる一品で皮は馬鈴薯を裏漉ししたもの
に山芋を少量加えられたような食感のもので中には旨みたっぷりの鴨のミンチ肉、繊細な銀餡の中に茸を加える
ことで異なる食感が絡み合い口の中が楽しい一品。饅頭の上に天盛にされていた可愛い大きさの松茸は店主の
御愛嬌かと。栄養豊富な蔓紫の御浸しは若干苦味を感じ身体に良さそうなもので特筆すべきは食事の根幹を成す
ごはん』の美味しさです。予約時間に合わせて土釜で炊かれたごはんは米粒ひと粒ひと粒がきちんと立っており
甘みが強くモチモチとした食感が味わえるものでした。ごはんの友の蕪の漬物も自家製のものでしたし赤出汁の味
も上々、椀種には粟麩と『牡蠣』という珍しい組み合わせで『牡蠣の土手鍋』をふと彷彿させるものでしたが隠し
味に使われていた『山椒』が心にくいものでした。食後に供された水菓子は熱々の『焼きりんご』の上にヴァニラ
ビーンズを利かせたジェラートの組合せ、温かい『焼きりんご』と冷たいジェラートという異なる温度帯の食べ物が
口の中で渾然一体となり織り成す不思議な感覚の演出も店主の感性の高さをあらわすものと云えるでしょう。

松花堂弁當』の内容を見て戴くとご理解戴けると思いますが出来合いのものを重箱の中に単に切り盛りしただけ
の名ばかりの松花堂弁當とは一線を画すものでひとつひとつがしっかり作り込まれており久しぶりに『御料理』と
いう言葉を使いたくなる料理を振舞われ、たちまち"てらさわ"さんのファンになってしまったのでありました。

當店の店主の感性の高さは偶然のものなのか?これが真のものなのか確かめるべくして日を措かず夜に再訪です。
料理は造りの盛合せと食事類を外してコースを組んで貰いたいという要望を昼に伝えておりましたので通常のコース
料理の内容とは異なりますこと先ず持って御理解戴き度く。それでは引き続き夜の部の感想をレイティング致します。

前菜は籠に盛られた豆鉢が三つ、烏賊の唐墨和え、原木なめこの霙和え、青菜の白和えというオーソドックスな三品
からはじまり、蒸しあがったばかりの茶碗蒸し、一見単なる茶碗蒸しと思いきや出汁は和風のソレではなくコンソメを
使われた洋風茶碗蒸し、中には微塵切りにされたベーコンや小海老の他に帆立の紐や青菜の茎といったものなどを
無駄なく使われたものでありその味わいはプディングに近く白胡麻がちょっとしたアクセントになっていました。

次いで供されたのが『鮑真丈』の椀、吸い地は混濁したものでしたが昆布出汁と『』のうま味が凝縮されたもの
椀種は『鮑の柔らか煮』と卵白と山芋で作られたフワフワの『真丈』で中には更に細かく刻まれた鮑の柔らか煮が
射込まれており旨みを二重に加味。焼物は『のどぐろ焼』で適度に脂ののった『のどぐろ』は長崎のものと訊いた。

自分の頭の中には『のどぐろ』=『能登産』と刷り込まれておりますが脂ののりもそこそこであり身はふっくらと焼上
げられており味は上品なうま味が愉しめ美味。岩手では圧倒的に『喜知次』の方が人気が高いのですが喜知次にも
味と美味しさでは一歩も引けをとらぬ『のどぐろ』を當地で味わえるとは思っていなかっただけに自称『のどぐら~
的には感無量、更に焼魚は『備長炭』を使って焼かれたもので香ばさも味わえるものでした。

のどぐろ焼で一気にテンションが上がったところで供された油ものが何とこれまた好物の『ぐじ(甘鯛)』でテンションは
上がりっぱなし。この『ぐじ』は当初『鱗焼き』にして供されるつもりだったようですが炭火では上手く鱗を立ててパリ
パリに焼くことが出来なかったとのことで身に衣を極薄でつけ素揚げに近い状態で試してみたところ鱗のサクサク感と
身のホクホク感が上手く両立出来たということで供されたのだとか… そのままでも充分に美味しいものでしたが酢橘
の絞汁を数滴加えることで一度で二度の美味しさを愉しませて戴きました。

続いて供された柚子釜は先に供されたプディング同様の洋風テイストのもの主役は帆立貝柱でありこれがゴロゴロ
と柚子釜の中に収められておりソースは店主のお手製のベシャメルソース、ソースの出来も素晴らしいものでしたが、
フレンチのコキールとはひと味違った味わいの洋風の柚子釜にも思わず呻らせられてしまった。
最後のひと皿の料理は『愛魚女』は海の中できっとこんな感じで生きているのだろう~と店主が想像し作ってみた
という『愛魚女の磯蒸し』、主役の愛魚女は昆布の上に横たわりその上を若芽やふのりで覆い蒸された料理で
愛魚女の身はホロホロと崩れる柔らかさ淡白な身には昆布のうま味がしっかり浸み込んでおりさっぱりとした味わい
の一皿でした。

造りと食事は予め抜きでとお願いしての変則的なコースでしたが和洋の味を交互に取り入れての料理はとても楽しい
内容でした。そして口直しに供された『ベークドチーズケーキ』の濃厚な味わいに悶絶し、ほうじ茶でひと息ついて
コース料理はひととおり、店主は料理に対し実に勉強熱心な方であり供される料理の味からは優しさが感じられます。

自分が知るかぎり岩手の若手料理人で彼の右に出るような方はまず居られないでしょう。喫茶店として使われていた
物件をそのまま使われているので店の外観や内装等は和食店のイメージとはアンマッチの店ですし使われている器
などを見ても高価な陶器等も余り使われておりません。アルコール類は幅広いラインナップですが常置されている酒
はロスが出ぬようかなり絞り込まれていますといったように前述した"旬菜 和田"さんのようなリッチ感を味わうことは
出来ませんが供される料理は間違いのないものばかりです。當地にあとどの位、留まられるかは判りませんが現在、
自分が岩手県で最も注目している店が此処"和や てらさわ"さんであり応援をしたいと思っている最有力店です。

  • 毛蟹の葛餡がけ。
  • 蟹の棒肉。
  • 鮭の手毬寿司、帆立貝柱の油燻、鮑の柔らか煮、菜花。

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