©Loroさんが投稿した和や てらさわ(岩手/花巻)の口コミ詳細

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Loro piana。の食べ歩る記 備忘録

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この口コミは、©Loroさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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移転和や てらさわ花巻/日本料理

1

  • 夜の点数:4.0

    • ¥8,000~¥9,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 3.0
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 3.5
  • 昼の点数:4.0

    • ¥3,000~¥3,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 3.0
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 3.5
1回目

2013/03 訪問

  • 夜の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気3.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク3.5
    ¥8,000~¥9,999
    / 1人
  • 昼の点数:4.0

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気3.0
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク3.5
    ¥3,000~¥3,999
    / 1人

いわて孤高の料理人 vol.2 … 『和や てらさわ』。

過疎化と空洞化が進む花巻から夜の街の活気と賑やかさでは県都 盛岡に次ぐ北上の街へと四月二十四日に目出
度く移転、新装開店となった『御料理 寺沢』さん。
盛岡の"松もと"さん遠野の"旬菜 和田"さんとともに岩手で大好きな和食店。未公開になっていた料理画像を何枚か
追加アップさせて戴きます。

と或る日の前菜で"銀宝"の天ぷらが供され驚嘆したのもつい先日のことと記憶していますが月日の流れは早いもの
岩手の地で"銀宝"の天ぷらをまさか口に出来るとは…塩竃の"千松しま"さん以来のこと。また"河豚の白子焼"やら
"のどぐろ"や""を惜し気もなく使って供された料理の数々、今ふり返ってみても岩手での思い出に残る一軒でした。

店主『寺沢勇人』氏の新天地 北上での益々の活躍を祈念しつつ生涯、贔屓にさせて戴きたいと思う次第であります。

新店舗"御料理 寺沢"のレビューは、こちらをどうぞ ⇒ http://u.tabelog.com/loro/r/rvwdtl/5143677/
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2012/05のレビュー
花巻と云えば『宮澤賢治』の童話の世界の中で架空の理想郷『イーハトーブ』と称された土地ではありますが、
現実は過疎化が進み街の中心部を往来する人も疎ら、全く活力の感じられぬ街という厳しい状況にあります。

郊外には岩手の空の玄関口である花巻空港や古くは全国から多くのツーリストが訪れた花巻温泉郷を有す
花巻、この他には今、自分が最も注目をしている和食店"和や てらさわ"さんがあります。

岩手にも御多分に洩れず『日本料理』を看板に謳う店は何軒かありますが、その実態は居酒屋料理にちょっと
毛の生えた料理を供するナンチャッテ日本料理の店が大半です。

日本料理の真髄は料理人の美味へのあくなき挑戦であり一期一会のおもてなしの心、旬の素材で季節感を現し
素材の持ち味を最大限に活かす緻密な計算に基づき作られる『引き算』の料理、決して足し算の料理ではあらず。

コース料理の腕の見せどころはコースの華でもある『椀物』であり、その『吸い地』の味わい如何によってコース
全体の印象も大きく変わてしまう要の料理であると思います。
五感を研ぎ澄まし繊細でありながらも奥深い旨味を愉しむということこそ日本料理の真髄てはないでしょうか?

四国四県よりも広大な面積を有す岩手、その中にあって丁寧に作りこまれた料理とCPの高さでは新旧数多の
料理店を見渡しても當店の右に出る店は見当たりません。

當日は未だ残雪の消えぬ二月、岩手でご交誼を戴いている喰いしん坊が花巻に終結し十二名での貸切での宴。

自分は店主との会話が愉しめるいつものカウンター席へ陣取り宴のはじまり。先ずはグラスに注がれた生ビール
で乾杯。先付の料理は身体の芯からほっこりと暖めてくれる『くもこの銀餡がけ』からスタート。二月の岩手は寒く
外は氷点下の底冷え、そんな時にこういう料理からはじめられる心遣いが心をくすぐります。

次いで供された八寸には柔らかさの中にも絶妙な噛み応えを残し仕上げられた『鮑の酒蒸し』に茶ぶりにされた
赤海鼠』の小鉢、ひと足早く早春の香りが愉しめる『たらの芽』の天ぷら。"菊乃井"さんのレシピを用いて作られ
た『鴨ロース』には和がらしが添えられ安定的な美味しさ。優しい出汁に包まれねっとりとした口あたりと粒々感が
小気味良い『鮃の子』と店主の丁寧な仕事ぶりが伺える料理の数々。

料理人の腕の見せどころでもある『椀物』は『太刀魚』と『草蘇鉄』を椀種に使った清湯仕立ての椀、『吸い地』は
炭火で焼かれた『太刀魚』の芳醇な椀種に負けぬよう鰹の一番出汁が合せられたしみじみと美味しい椀でした、

造り』は青森鯵ヶ沢で水揚げされた肉厚の『寒鮃の昆布〆』、天には濃厚な『黄身醤油』、昆布の旨味が移った
寒鮃』の身は舌にねっとりと絡みつく得も云えぬ美味しさ。下ろし立ての本山葵で味わうのも勿論、美味しい鮃
ですが昆布〆にされた鮃と『黄身醤油』の組合せは陸奥湊の"みなと食堂"さんの『鮃のづけ丼』の旨さをも超越
する美味しい酒肴でした。

焼物は自称"のどぐら~"が泣いて悦ぶ『のどぐろの塩焼』、備長炭でじっくりと焼かれた身は適度にウエット感
が残されており旨味が閉じ込められています。焼魚の理想系である皮目はパリッと中には旨味がギュッと凝縮
されつつ、ほっこりとした食感で思わず身が仰け反る美味しさ。岩手では高級魚の代表格と云えば『喜知次』で
すが最近『のどぐろ』を使われる店が増えてきたことは"のどぐら~"としては実にうれしいかぎりです(笑)

炊き合わせ代わりに供された蓋物が裏漉しした馬鈴薯と葛粉で作られた餡たっぷりの『プラチナポークの角煮』。
天には和からしがあしらわれた一品、身はとろっとろで口の中でホロホロと崩れ去る柔らかさ、脂抜きの下拵え
等も丁寧にされており和食の一品として全く違和感のない仕上がり。豚肉が主役と思われがちな料理ですが、
たっぷりとかけられた餡の美味しさも忘れてはいけません。

食事は土釜で炊き上げられた『筍の炊き込みごはん』、椀もの代わりには『海胆』と『』がたっぷりと使われた
小鍋立、鍋底には『』も忍ばされており『いちご煮』のインスパイア版。美味しいのは云うまでもありませんが
』のシャキシャキとした食感が良いアクセントとなった一品でした。

水菓子は某ローカル民放局のグルメ番組でも取り上げられのだという『牛乳寒天とリキュールのゼリー寄せ』。
見た目の美しさもさながら食味の完成度の高い一品でした。

今回も至福のひと時を過ごさせて戴きました。今回の訪問を経てサーヴィスとCP評点をそれぞれ上方修正し、
★★★★★(4.5)に総合評価は現状維持の★★★★(4.0)とさせて戴きましたが當店の料理の評価は掛け値
なしです。トップページの自己紹介欄に記載しております岩手県内の評価基準は適用せず全国区として評価
しております。

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2011/12のレビュー
前夜は隣接する北上の"割烹和郷"さん、そして"スランジバール"でナイトキャップを戴いて夢の中へ、翌日の
昼餉は盛岡に戻る前に"和や てらさわ"さんへ前日予約の上に伺わせて戴きました。

この日のお目当ては前日までの予約でのみ戴くことが出来る『てらさわ篭膳』、千円という限られた予算の中で
どんなものが供されるのか楽しみにしていたところ結果から先に申し上げますと予想をはるかに超えた料理が
びっしりと詰め込まれた玉手箱のような篭膳が供され正直驚かされた次第です。

主役の盛篭の中には鮪と烏賊という紅白の造りに焼物は魳(かます)の炭火焼、鴨ロースに出汁巻玉子、鰹の
生姜煮に牛肉時雨煮等、篭の外には茸の和え物にちりめん、香の物に炊きたてのごはんに布海苔の味噌汁
というしっかりと手をかけられた料理が詰め込まれた豪華版で本当にこれで千円でいいの?と思うような驚愕
にも値する内容のものでした。

今宵の一品料理の品書きを拝見したところ『鮑の柔らか煮』に『蛸の柔らか煮』そして『焼茄子の鶏味噌』等
そそられる料理が何品か書き込まれており店主に一人前はどれだけの量なのかを尋ねたところ店主もコイツ
まだ食べるつもりなのだろうか?と思ったことでしょう(笑) ただそう頻繁には花巻まで足を延ばすことも叶わぬ
ということと美味いものは不思議と胃袋にすんなりと収まる身体であることはで自分自身が良く判っていること
であり追加でその三品をオーダー、しかしそれは幾らなんでも無理では?という店主の気遣いから通常の量の
1/3の分量で料理が供されました(笑) そんなこともあってなのか折角の『蛸の柔らか煮』が極端に薄く切られ
ていたりして、あれれ?と感じるものもありましたがいづれの料理も味に関しては申し分のないものでした。
特に焼茄子の上にたっぷりとかけられた『鶏みそ』の味の完成度は高く、この味噌をアテに日本酒を二合ぐらい
軽く呑めるのではと思った程です(笑)

以前にも書き記しましたが自分が岩手で今注目している料理人は遠野市にある"旬菜和田"の"和田大地"さん、
當店店主"和や てらさわ"さんの"寺沢勇人"さん、そして北上市に店を構える"割烹和郷"の"菅原栄治"さんの
ずばり三名です。敢えて県都 盛岡に店を構えずにそれぞれの地で精進されている三名からは目が離せません。

Tabelogの評価ロジックの変更に伴いいづれの店も再び目立たぬランキング位置に収まっていますが逆に自分
にとってはその方がある意味では好都合なのですが…(爆)

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2011/11のレビュー
今回の花巻への訪問はクライアント先へ伺うのも勿論大事なことでしたが何よりも楽しみにしていたことは當店
"和や てらさわ"さんへ再訪することにありました。タイトルにもありますように自分が今、岩手県にて注目をして
いる若手料理人の一人であり最も『伸び代』に期待をしている料理人が當店の店主である『寺沢勇人』さんです。

當店へは定期的に伺っており今月二月にも伺っておりますが今回のレビューは時系列順にということで昨年の
十一月の最終日に伺った時のもの、現在は昼の時間帯も完全予約制となっておりますが来る十九日の日曜日
には某ローカルグルメ番組内で放映されることになっていますので更にその人気は高まることでしょう(笑)

今回はコース料理にアラカルトの一品料理を組み入れて戴くという変則的な料理構成で二時間超の時間を存分
に愉しませて戴きました。

この日は一段と底冷えする夜でありましたが最初に供された料理が地場産の無農薬栽培の『新米』で作られた
お米のポタージュ』、平たく云ってしまえば『おかゆ』ということになってしまいますが此れに『大徳寺納豆』を添え
て供されたものですから思わずうれしくなったのは云うまでもありません。次いで供された八寸の皿には定評の
ある『鴨ロース』をはじめ粟麩の田楽、柿の白和え、酢〆の烏賊に○十の甘露煮、一旦塩抜きをした『かずのこ
に出汁を含ませ肌理の細かなパン粉を纏わせ揚げられた一品と酒が進み口が悦ぶ料理が目白押し、料理に
合わせて今回戴いたのは地酒の西与右衛門の無濾過の純米酒、椀物は『牡蠣』をふんだんに使った『白味噌
仕立の椀、牡蠣の滋味と京都の白味噌が奏でる味わいはなかなかのもの、小鉢で登場したのは『鮪の中トロ
を辛味大根の一種『暮坪かぶ』で和えたもの、単に本山葵で味わうのも良いが時にはこんな変化球が楽しいもの。
そして『焼物』は自分の無理なるリクエストで何と『焼鳥』へと変更です、備長炭で焼かれた『はつ』と『もも』は香ば
しく思ったとおり美味、続いて供された揚げ物は贅沢にも『鮑の素揚げ』を『鮑の肝ソース』をディップして味わうと
いうもの、考えただけでも涎垂ものですが、この『肝ソース』、隠し味に少量の柚子こしょうが使われており、これ
だけでも充分酒肴としていけます余りの美味しさにソースを追加で戴きました。そして今宵のスペシャリテ料理は
のどぐろ』大好きな自称『のどぐら~』の為に用意された『のどぐろの霙鍋』、備長炭で焼かれ脂と旨みをギュッと
閉じ込められた柚子を利かせた塩味ベースの蕪の霙つゆで味わうというもの、これは絶品過ぎ、身も心も温まる
最高のご馳走でした。Tabelogでも注目度、赤丸急上昇中の"和や てらさわ"さん、花巻のクライアント先から御呼
びがかかるのが待ち遠しい今日この頃です。前述したとおり店は喫茶店の居抜き物件、見栄えのするような作家
ものの器も揃っては居りませんが此処には気持ちがこもった料理があります。それだけで自分は通う価値が充分
あるように思います。精進を重ねられ更なる大きな夢へと羽ばたかれるその日まで温かく見守ってくださいまうよう。

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2011/10のレビュー
岩手は松茸や短角牛に鮑や海胆と山海の幸が豊富に揃う食材の宝庫ですが折角の厳選素材を活かしきれる
料理人は極めて少ないということを今まで何度も云ってきました。それは決して料理人ばかりが悪い訳ではなく
質より量を求める食べ手側にも責任があるように思えてなりません。県都である盛岡の地に措いて真に御料理
と呼べるような料理を供してくれるのは"松もと"さんの他には何軒もないというのが現実だと思われます。

岩手県の面積は四国四県よりも広大な土地を有しておりますが人口密度は疎らであり衣食住の中心は盛岡に
アリ。と多くの方が思われているようですが、こと『』に関しては必ずしもそれは当てはまりません。

盛岡以外の地にも日々精進され頑張られている孤高の料理人が自分が知っているだけでも三名程居られます。
本当は内緒にしておきたい店ですが岩手にも頑張っている店があるということを示すため、それらの隠れた店を
いわて孤高の料理人シリーズ』として勝手にレイティングさせて戴くことにしました。

先ず第二弾では宮澤賢治の故郷『花巻』に店を構えられている『寺沢 勇人』さんが営まれる料理店"てらさわ"
さんという店であり岩手県の和食店の中で今、自分が最も注目をしている店です。

當店の店主『寺沢 勇人』さんは花巻にある唯一の料亭"赤藤"さんで修行された後、北上にあると或る料理店の
板場で腕を磨かれ以前、喫茶店だったという店の居抜物件にて孤軍奮闘されている未だ若き料理人です。

あまいマスクと華奢な身体つきからは想像のつかぬような完成度の高い料理を堪能させてくれる注目株は現在
三十三歳、奥様と二人で小体の店を切り盛りされています。

當店には既に複数回伺っておりますが今回のレビューは時系列順に沿って十月に昼餉に戴いた『松花堂弁當
と夜に戴いた『変則的なコース料理』についてのレイティングです。

先ずは昼餉に戴いた『松花堂弁當』ですが、これは前日までの事前予約が必須であり予算に合わせて内容を
調整し作られ供されるもののようですが大凡、三千円がひとつの目処のようです。

供された重の上蓋を開けた瞬間に想像していたものよりも素晴らしい内容に心がときめきました。その内容は左
上から順に出汁巻き玉子に真魚鰹の西京焼、牛肉の時雨煮に零余子の松葉串の変わり揚げに精進膾のジュレ
がけ『鴨ロース』に○十の甘露煮、その横に『ビフカツ』、『松茸のフライ』、ちりめん山椒、下の段に移って
鮪、帆立貝柱、鰹の造り、その横に『鴨饅頭』の茸餡がけで可愛い大きさの松茸が天盛にされたもの。そして別に
小鉢で供された蔓紫の御浸しに香の物、ごはん、赤出汁椀、食後に水菓子というなかなかの豪華版、この中で思
わず呻ってしまったのが『鴨ロース』の完成度の高さ、失礼ながら花巻という地でこれ程に美味しい鴨ロースを
口にすることが出来るとは努々思ってもおりませんでしたが、この味わいは京都のミシュラン★★★の"菊乃井"
さんの味にも匹敵するもの。
そして心をギュッと摑まれたのが『ビフカツ』と『松茸のフライ』の二品、ビフカツを上手く揚げるにはそれなりの
技量が必要であると思いますが断面は綺麗なピンク色を保っているのに肉からはドリップが出ておらず衣は薄く
纏わされ肉との結着度も申し分なし。おそらく牛肉を一度60℃程の低温調理で下拵えをした後に焼きカツの要領
で仕上げられたものだと思いますがソースの前にぜひ『黄身醤油でぜひ味わってみてください…と来たもの
だからこの料理人なかなか感性が鋭いと関心させられた次第、ビフカツを受け止める黄身醤油の完成度にも二度
驚かされましたが『松茸』をさりげなくフライで供するあたり只者ではあらず。常々『松茸』や『くもこ』などは
天ぷらとして味わうより『フライ』にして味わった方が断然美味しいと思っている者としては何も云わずにこんな風
に供されるとうれしいもの、味は云うまでもなく美味、脇に添えられた『ちりめん山椒』も店で炊いているとのことで
したがこれもなかなか。造りは鮪の中トロ、帆立貝柱、鰹の三点盛でしたが鮪は養殖や蓄養ものではなく天然もの
の生鮪が使われておりましたし帆立貝柱、鰹の造りともその日の朝に仕入れられたと思われる鮮度の高いものが
収められておりました。そして『鴨饅頭』の茸餡がけは身体が優しく温まる一品で皮は馬鈴薯を裏漉ししたもの
に山芋を少量加えられたような食感のもので中には旨みたっぷりの鴨のミンチ肉、繊細な銀餡の中に茸を加える
ことで異なる食感が絡み合い口の中が楽しい一品。饅頭の上に天盛にされていた可愛い大きさの松茸は店主の
御愛嬌かと。栄養豊富な蔓紫の御浸しは若干苦味を感じ身体に良さそうなもので特筆すべきは食事の根幹を成す
ごはん』の美味しさです。予約時間に合わせて土釜で炊かれたごはんは米粒ひと粒ひと粒がきちんと立っており
甘みが強くモチモチとした食感が味わえるものでした。ごはんの友の蕪の漬物も自家製のものでしたし赤出汁の味
も上々、椀種には粟麩と『牡蠣』という珍しい組み合わせで『牡蠣の土手鍋』をふと彷彿させるものでしたが隠し
味に使われていた『山椒』が心にくいものでした。食後に供された水菓子は熱々の『焼きりんご』の上にヴァニラ
ビーンズを利かせたジェラートの組合せ、温かい『焼きりんご』と冷たいジェラートという異なる温度帯の食べ物が
口の中で渾然一体となり織り成す不思議な感覚の演出も店主の感性の高さをあらわすものと云えるでしょう。

松花堂弁當』の内容を見て戴くとご理解戴けると思いますが出来合いのものを重箱の中に単に切り盛りしただけ
の名ばかりの松花堂弁當とは一線を画すものでひとつひとつがしっかり作り込まれており久しぶりに『御料理』と
いう言葉を使いたくなる料理を振舞われ、たちまち"てらさわ"さんのファンになってしまったのでありました。

當店の店主の感性の高さは偶然のものなのか?これが真のものなのか確かめるべくして日を措かず夜に再訪です。
料理は造りの盛合せと食事類を外してコースを組んで貰いたいという要望を昼に伝えておりましたので通常のコース
料理の内容とは異なりますこと先ず持って御理解戴き度く。それでは引き続き夜の部の感想をレイティング致します。

前菜は籠に盛られた豆鉢が三つ、烏賊の唐墨和え、原木なめこの霙和え、青菜の白和えというオーソドックスな三品
からはじまり、蒸しあがったばかりの茶碗蒸し、一見単なる茶碗蒸しと思いきや出汁は和風のソレではなくコンソメを
使われた洋風茶碗蒸し、中には微塵切りにされたベーコンや小海老の他に帆立の紐や青菜の茎といったものなどを
無駄なく使われたものでありその味わいはプディングに近く白胡麻がちょっとしたアクセントになっていました。

次いで供されたのが『鮑真丈』の椀、吸い地は混濁したものでしたが昆布出汁と『』のうま味が凝縮されたもの
椀種は『鮑の柔らか煮』と卵白と山芋で作られたフワフワの『真丈』で中には更に細かく刻まれた鮑の柔らか煮が
射込まれており旨みを二重に加味。焼物は『のどぐろ焼』で適度に脂ののった『のどぐろ』は長崎のものと訊いた。

自分の頭の中には『のどぐろ』=『能登産』と刷り込まれておりますが脂ののりもそこそこであり身はふっくらと焼上
げられており味は上品なうま味が愉しめ美味。岩手では圧倒的に『喜知次』の方が人気が高いのですが喜知次にも
味と美味しさでは一歩も引けをとらぬ『のどぐろ』を當地で味わえるとは思っていなかっただけに自称『のどぐら~
的には感無量、更に焼魚は『備長炭』を使って焼かれたもので香ばさも味わえるものでした。

のどぐろ焼で一気にテンションが上がったところで供された油ものが何とこれまた好物の『ぐじ(甘鯛)』でテンションは
上がりっぱなし。この『ぐじ』は当初『鱗焼き』にして供されるつもりだったようですが炭火では上手く鱗を立ててパリ
パリに焼くことが出来なかったとのことで身に衣を極薄でつけ素揚げに近い状態で試してみたところ鱗のサクサク感と
身のホクホク感が上手く両立出来たということで供されたのだとか… そのままでも充分に美味しいものでしたが酢橘
の絞汁を数滴加えることで一度で二度の美味しさを愉しませて戴きました。

続いて供された柚子釜は先に供されたプディング同様の洋風テイストのもの主役は帆立貝柱でありこれがゴロゴロ
と柚子釜の中に収められておりソースは店主のお手製のベシャメルソース、ソースの出来も素晴らしいものでしたが、
フレンチのコキールとはひと味違った味わいの洋風の柚子釜にも思わず呻らせられてしまった。
最後のひと皿の料理は『愛魚女』は海の中できっとこんな感じで生きているのだろう~と店主が想像し作ってみた
という『愛魚女の磯蒸し』、主役の愛魚女は昆布の上に横たわりその上を若芽やふのりで覆い蒸された料理で
愛魚女の身はホロホロと崩れる柔らかさ淡白な身には昆布のうま味がしっかり浸み込んでおりさっぱりとした味わい
の一皿でした。

造りと食事は予め抜きでとお願いしての変則的なコースでしたが和洋の味を交互に取り入れての料理はとても楽しい
内容でした。そして口直しに供された『ベークドチーズケーキ』の濃厚な味わいに悶絶し、ほうじ茶でひと息ついて
コース料理はひととおり、店主は料理に対し実に勉強熱心な方であり供される料理の味からは優しさが感じられます。

自分が知るかぎり岩手の若手料理人で彼の右に出るような方はまず居られないでしょう。喫茶店として使われていた
物件をそのまま使われているので店の外観や内装等は和食店のイメージとはアンマッチの店ですし使われている器
などを見ても高価な陶器等も余り使われておりません。アルコール類は幅広いラインナップですが常置されている酒
はロスが出ぬようかなり絞り込まれていますといったように前述した"旬菜 和田"さんのようなリッチ感を味わうことは
出来ませんが供される料理は間違いのないものばかりです。當地にあとどの位、留まられるかは判りませんが現在、
自分が岩手県で最も注目している店が此処"和や てらさわ"さんであり応援をしたいと思っている最有力店です。

  • 毛蟹の葛餡がけ。

  • 蟹の棒肉。

  • 鮭の手毬寿司、帆立貝柱の油燻、鮑の柔らか煮、菜花。

  • てっさ。

  • 巻いて巻いて…

  • 伊勢海老。

  • 大好物の白子焼。

  • 天然トラ河豚の白子焼。

  • てっちり。

  • 〆は河豚ぞうすい。

  • 毛蟹のとも和え、蛍烏賊の燻製、たらの芽の天ぷら、○十の柚子煮。

  • 河豚の白子焼。

  • 鮃の昆布〆。

  • 蛤と独活と若布の椀。

  • 魳(かます)焼き。

  • 技アリの味噌仕立てのビフカツ。

  • 喜知次の○スープ煮。

  • 河豚ぞうすい。

  • 〆は河豚ぞうすい。

  • 水菓子。

  • 前菜。

  • 南蛮漬。

  • 銀宝の天ぷら。

  • 紅芋、鮑、牡蠣のしぐれ煮。

  • 造りは赤身、烏賊、鯛の三点盛。

  • 北海柳葉魚。

  • ビーフシチュー。

  • 変わり揚げ。

  • 鍋の中身は…

  • 鴨と蓮根、芹の椀。

  • 鯛茶。

  • 食事は鯛茶。

  • くもこ(鱈の白子)にたっぷりの銀餡をかけた先付。

  • 鮑の酒蒸し、赤海鼠の小鉢、たらの芽天ぷら、鴨ロースに鮃の子の八寸。

  • 鮃の子。

  • 太刀魚と草蘇鉄(こごみ)の吸物。

  • 絶品の寒鮃の昆布〆の天に黄身醤油。

  • 大好物の"のどぐろ"の炭火焼。

  • お約束の"のどぐろ"の"のどぐろ"(笑)

  • プラチナポーク(白金豚)の角煮。

  • 早春の香り漂う筍の炊き込みごはん。

  • 海胆と鮑の小鍋立。

  • 筍ごはん。

  • 水菓子。

  • てらさわ篭膳。

  • 牛肉の時雨煮。

  • 鰹の生姜煮。

  • ちりめん。

  • てらさわ篭膳。全体はこんな感じです。

  • 鮑の柔らか煮(ハーフサイズ)

  • 蛸の柔らか煮(ハーフサイズ)

  • 焼茄子の鶏味噌がけ(ハーフサイズ)

  • 新米のポタージュ。

  • 大徳寺納豆。

  • 八寸。

  • 白味噌仕立の牡蠣の椀物。

  • 鮪の中トロを暮坪かぶで和えて…

  • リクエストで焼物は焼鳥に変更(笑)其の一 はつ。

  • リクエストで焼物は焼鳥に変更(笑)其の弐 もも。

  • 鮑の素揚げ。

  • 絶品の肝ソースで味わいます。

  • のどぐろの霙鍋。

  • のどぐろがザックザク(笑)

  • のどぐら~感極まり…

  • いかの唐墨和え、原木なめこの霙和え、青菜白和え。

  • 洋風の茶椀蒸し。

  • 鮑真丈の椀。

  • ふわふわの真丈の中には鮑の柔らか煮の微塵切りがたっぷり

  • のどぐろ焼。

  • ぐじ(甘鯛)の若狭揚げ。

  • 鱗をきっちり立てて

  • 洋風の柚子釜。

  • 愛魚女の磯蒸し。

  • ふのりや若芽の下には昆布の上に横たわった愛魚女。

  • 綿屋。

  • 地酒の"酉与右衛門"。

  • ベイクドチーズケーキ。

  • 鴨ロースに牛肉の時雨煮、真魚鰹の西京焼に出汁巻き玉子に○十甘露煮。

  • ビフカツと松茸のフライ、ちりめん山椒。

  • 鮪、帆立、鰹の造り。

  • 鴨饅頭の茸餡がけ天に超可愛い松茸。

  • 松花堂弁當。

  • 黄身醤油。

  • ビフカツは黄身醤油で…

  • 蔓紫の御浸し。

  • 香の物。

  • 基本のごはんがメチャウマ

  • 粟麩と牡蠣の赤出汁椀。

  • 焼きりんごのジェラート。

  • ほうじ茶。

  • 店の外観。 

2013/04/25 更新

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