8回
2023/06 訪問
東北を代表する進化を続ける江戸前鮨…『小判寿司』
九絵
北寄貝
本鮪 赤身
小鰭
本鮪 トロ
鰹 藁焼き
煮蛤
のどぐろ(紅瞳)
天然 車海老
目光
穴子(塩)
穴子(煮ツメ)
カステラ玉子と厚焼き玉子
干瓢巻
殻付海栗
海栗に槍烏賊の舎利玉を投入
海栗に槍烏賊の舎利玉投入
海胆と烏賊の舎利玉を一緒にいただきます
鮟鱇の肝と海鞘
海鞘と鮟鱇の肝
眞子鰈の縁側の炙り
眞子鰈、ボタン海老と蝦卵醤油漬、本玉、海老みそ
眞子鰈を眞子鰈の肝醤油とともに
眞子鰈を塩と山葵で
ボタン海老を塩と山葵で
ボタン海老とキャビアを凌ぐ蝦卵醤油漬と
香り高い本玉の赤貝を塩と山葵で
濃厚な自家製の海老みそ
煮鮑を鮑の肝ソースとともに
鮎の一夜干を鮎の肝ソースとともに
蓴菜と平貝の酢の物
眞子鰈、ボタン海老と蝦卵醤油漬、本玉、海老みそ
海鞘と鮟鱇の肝
鮟鱇の肝と海鞘
鮎の一夜干を鮎の肝ソースとともに
蓴菜と平貝の酢の物
蓴菜と平貝の酢の物
飛露喜 特別純米
煮鮑を鮑の肝ソースとともに
飛露喜 特別純米
煮鮑を鮑の肝ソースとともに
廣戸川 純米吟醸
眞子鰈、ボタン海老と蝦卵醤油漬、本玉、海老みそ
廣戸川 純米吟醸
眞子鰈の縁側の炙り
一歩己 うすにごり
眞子鰈の縁側の炙り
一歩己 うすにごり
海栗に槍烏賊の舎利玉
霧築波 純米吟醸
海栗に槍烏賊の舎利玉
霧築波 純米吟醸
海栗に槍烏賊の舎利玉
海栗に槍烏賊の舎利玉
海栗に槍烏賊の舎利玉
海鞘と鮟鱇の肝
鮟鱇の肝と海鞘
仁井田の酒
鮎の一夜干を鮎の肝ソースとともに
指拭き
寿司がり
白眉の車海老
白眉の天然本鮪トロ
白眉の紅瞳のどぐろ
日月椀
しじみ汁
自家製ミルクジェラートと三種の山桃
茶
カウンター
小判寿司
2023/06/29 更新
2022/01 訪問
天領 棚倉にて東北屈指の江戸前鮨を嗜む…『小判寿司』
そして今回の福島遠征の締めは郡山を離れて水戸行きの水郡線にて往時、天領の地であった棚倉町へ。そして向かった先は『The Tabelog Award 2022』にてBronze受賞店であり今や北日本を代表する江戸前鮨店であり全国から数多の鮨好きが訪れる人気鮨店『小判寿司』さんです。カウンターの向こう側で腕を揮われるのは店主の和知慎吾さん。サーヴィスと裏方は奥様の弥生さんと長男のヨシ君の三名で切盛りされています。いつものカウンター席に席を取らせいただき先ずは『Rococo Tokyo White』で渇いた喉を潤します。料理は前半は酒肴を中心に後半はにぎりというお任せコースを所望しました。酒肴は神経締めにされた三陸産の『水蛸(ミズタコ)』の桜煮(サクラニ)からスタート。柔らかさの中にも咀嚼感が楽しめる一品の後は北海道厚岸産の牡蠣(カキ)『仙鳳趾(センポウシ)』。酢洗いされた牡蠣(カキ)は身締まりが良く濃厚且つクリーミー。そして『ズワイガニ』の玉締めは玉締めの上にたっぷりの銀餡(ギンアン)と蟹(カニ)の剥き身(ムキミ)。『ズワイガニ』の香味が楽しめるとろっとろの一品で玉締めは思わず飲み物?と言いたい程の柔らかな口あたり。更に福島常磐産の『寒鮃(カンビラメ)』と炙った『鮃(ヒラメ)縁側(エンガワ)』宮城県閖上産の香り高き『赤貝(アカガイ)』を肝醤油(キモショウユ)と岩塩(ガンエン)と卸したての本山葵(ホンワサビ)で味わった後にふわっふわの『鮟鱇(アンコウ)の肝(キモ)』と奈良漬(ナラヅケ)と茶ぶりにされた『赤海鼠(アカナマコ)』にて前半は終了。後半は『真鱈(マダラ)』の『白子(シラコ)』と自家製『唐墨(カラスミ)』の小丼から。白子(シラコ)と舎利(シャリ)と唐墨(カラスミ)を良く混ぜ和えて口に運ぶと上質なチーズを口にしているような錯覚に見舞われます。そしてにぎり鮨へと移行。にぎりは通称『白川(シラカワ)』と称される『白甘鯛(シロアマダイ)』から順に軽く湯霜にした『北寄貝(ホッキガイ)』、幻の海老『葡萄海老(ブドウエビ)』、江戸前鮨の代表種『小鰭(コハダ)』、三陸塩釜産の天然『本鮪(ホンマグロ)』赤身(アカミ)、『〆鯖(シメサバ)』は棒ずしにて。脂の甘みに思わず身体を仰け反らせた三陸塩釜産の天然『本鮪(ホンマグロ)』のトロ、春の訪れを告げる『細魚(サヨリ)』、『のどぐろ』はブランドものの赤鯥(アカムツ)紅瞳(ベニヒトミ)。梅雨時期の入梅鰯(ツユイワシ)に勝るとも劣らぬ脂のりの『真鰯(マイワシ)』、北海道産の『バフン海胆(ウニ)』と『ムラサキ海胆(ウニ)』の味比べ。そして江戸前の仕事が光る『煮蛤(ニハマグリ)』、常磐産の『目光(メヒカリ)』は一夜干しにして炙りをかけたもの『煮穴子(ニアナゴ)』を炙りたてのふわっトロを塩と煮ツメで味わい、寝かせて旨味が凝縮した『石垣鯛(イシガキダイ)』、『槍烏賊(ヤリイカ)』はコリコリとした食感が楽しい烏賊(イカ)のエンペラ(耳)は二枚重ねで。前半のものとは締め加減を変えた『小鰭(コハダ)』、三陸塩釜産の天然『本鮪(ホンマグロ)』の中落ちは手巻きで味わい締めは出汁巻(ダシマキ)とスフレ仕立ての2種類の『玉(ギョク)』。上質な粉茶。そして食後の摘みたての大粒の『いちご』にて、お任せのにぎりはひと通りです。世の中は赤酢(アカス)の舎利(シャリ)がもてはやされる中、白酢の舎利に拘られる和知店主。久しぶりに口にした江戸前鮨の味に此れぞ鮨だよねと鼓舞し福島県産の『飛露喜』、『冩樂』純米酒、『会津中将』純米吟醸、『一歩己』純米無濾過生原酒と酒どころ福島を代表する銘酒に酔いしれた天領 棚倉での口福な時間に感謝。
白甘鯛
北寄貝
葡萄海老
天然本鮪 赤身
小鰭
鯖 棒ずし
天然本鮪トロ
細魚
のどぐろ
真鰯
ムラサキ海胆
バフン海胆
煮蛤
目光
石垣鯛
槍烏賊 耳
小鰭
穴子
穴子
玉
天然本鮪 中落ち手巻
くもこと唐墨
混ぜ和えていただきます
がり
赤海鼠と鮟鱇の肝と奈良漬
寒鮃、鮃 縁側、閖上 赤貝
肝醤油と岩塩と本山葵を使い分け
厚岸産の仙鳳趾
厚岸産の仙鳳趾
ずわいがにの玉締め
玉締め
蛸 桜煮
Rococo Tokyo White
蛸 桜煮
粉茶
酒器
飛露喜 特別純米
会津中将 純米吟醸
冩樂 純米酒
一歩己 純米無濾過生原酒
つけ場と和知慎吾店主(掲載了承済)
小判寿司
小判寿司
小判寿司
郡山駅 水郡線
水郡線ホームは3番線
2022/02/02 更新
2019/06 訪問
天領 棚倉に通い続けて早十六年余…『小判寿司』
郡山を後にして向かった先は江戸時代には天領として盛えた磐城棚倉町に店を構えられる和知慎吾さんと奥様の弥生さんと御子息のヨシ君のご家族三名で切盛りされる『小判寿司』さんです。東京から磐城棚倉町に来るようになって既に十六年余の歳月が経ちました。今では全国から『小判寿司』さんを目指し棚倉町に多くの鮨好きが訪れられるようになりましたが十六年前に誰がこの姿を想像出来たことでしょう?郡山から新白河へ新幹線、新白河からJRバスで棚倉へ見馴れた風景を車窓越しに眺め約1時間の道のりを経ていつものカウンター席へと腰を下ろし先ずは地酒の『田村』からスタートです。酒肴には『蓴菜(ジュンサイ)』の酢の物で胃袋を刺激した後に脂がたっぷり載った『梅雨鰯(ツヤイワシ)』、生ハムの食感に近い『鰆(サワラ)』、久しぶりに口にする『葡萄(ブドウ)ボタン海老』に特製の海老ペーストに一瞬『キャビア』と間違えた『葡萄(ブドウ)ボタンの卵、身入りが素晴らしい『殻付きの海胆(ウニ)』に濃厚な味わいが酒盃を傾ける速度を早める『鮟鱇(アンコウ)の肝(キモ)』と柑橘ジュレのなめろう風にされた肝和えに相馬沖で水揚げされた800㌘超の塩蒸しの『鮑(アワビ)』を鮑の肝ペーストとともに味わい更には残った鮑の肝ペーストに舎利と絡めて味わうのが一度で二度美味しい『小判寿司』スタイルです。にぎりは『鯒(コチ)』から順に今が旬の『とり貝』、能登産の『本鮪(ホンマグロ)』の赤身、藁の薫香が鼻腔を刺激する『鰹(カツオ)』、『煮蛤(ニハマグリ)』に『小鰭(コハダ)』で前半から後半への折返しです。後半は宮崎県産の天然『本鮪(ホンマグロ)』のトロからスタート>このトロの旨味を受け止めるのは大好きな『鍋島』純米大吟醸です。次に供された『葡萄(ブドウ)ボタン』の昆布締めは舌にねっとりと絡みつき『甘海老(アマエビ)』の昆布締めとの海老&エビの味比べ。『鯵(アジ)』に『鱚(キス)』、『バフン海胆(ウニ)』の手巻き、ふわっとろの『煮穴子(ニアナゴ)』は塩と煮ツメで半々味わいスフレ風と出汁巻の二種類の『玉(ギョク)』の食比べを愉しみ締めの椀物には贅沢過ぎる『喜知次(キチジ)』の潮汁(ウシオジル)、水菓子は奥様の弥生さんお手製のブルーベリーが添えられたレアチーズケーキをいただき三時間余の口福な時間を過ごさせていただきました。更には絶品の『おいなり』さんを明日の朝にでもどうぞとお持たせでいただいき天領 磐城棚倉を後にしたのでありました。
殻付き海胆
塩蒸し鮑
本鮪 トロ
本鮪 赤身
鯒
とり貝
鰹
煮蛤
小鰭
本鮪 トロ
葡萄ボタン海老昆布〆
甘海老昆布〆
鯵
鱚
バフン海胆 手巻き
煮穴子 塩と煮詰め
穴子 煮詰めと塩
二種類の玉
鰆と九絵
九絵
鰆
葡萄ボタン海老と海老ペースト
葡萄ボタン海老の玉
鮟鱇の肝
塩蒸し鮑を肝だれ
鮑の肝だれと舎利
梅雨鰯
蓴菜
吉知次の潮汁
ブルーベリーが添えられたレアチーズケーキ
田村
鍋島 純米大吟醸
鮨種
指拭き
お持たせ
おいなりさん
2019/09/09 更新
2019/01 訪問
孤高の鮨職人 和知慎吾氏が腕を揮う…『小判寿司』
郡山を後にして向かった先は江戸時代には天領として盛えた棚倉町に店を構えられる孤高の鮨職人 和知慎吾さんと奥様の弥生さん、そして和知家ご嫡男のヨシ君のご家族三名で営まれる『小判寿司』さんです。東京から棚倉に来るようになって既に十六年余の月日が流れました。今では全国から『小判寿司』さんを目指し多くの鮨好きが訪れる全国区の知名度を誇る『小判寿司』さんへと一気に駆け上がられたことは當店の1ファンとしては嬉しい限りでもありますが内心は実は穏やかではなかったりもします(笑)この日のお目当はズバリ塩竈産の『本鮪(ホンマグロ)』です。久しぶりに郡山市場に入荷した『81.8㌕』の極上の天然本鮪を仕入れられたとの知らせを受け急遽、郡山から新白河へ新幹線、新白河からJRバスで棚倉へ見馴れた風景を車窓越しに眺め約1時間余の道のりを経ていつものカウンター席へと腰を下ろし先ずはセラーの中から選んだChampagneからスタートです。酒肴には来店時間に合わせ茹でられた山形県産の『ずわいがに』からはじまり貝出汁で軽く湯霜にされた『牡蠣(カキ)』、『皮剥(カワハギ)』は卸したての山葵(ワサビ)とペースト状にされた皮剥の肝とともに味わい更には、その肝に舎利を加え味わいます。蒸し物に供された『くもこ』は『九絵(クエ)』の粗で摂った出汁で炊かれたもの。そしてお目当の『本鮪(ホンマグロ)』は『背かみ』、『背なか』、『背しも』の部位まで三種類の中トロの味比べ。この本鮪の濃厚且つクリアな味わいは久しぶりに口にする上質な味わいです。更には蒸したての『鮟鱇(アンコウ)の肝(キモ)』をなめろう風にされた肝とともに酒盃を傾けます。締め時間を変えた金華山沖の『真鯖(マサバ)』は棒ずしと造りで味比べ。更には両羽船長の『藍の鰆(サワラ)』を贅沢にも焼きで味わい『唐墨(カラスミ)』、『煮鮑(ニアワビ)』、鮑の肝を舎利と絡めていただいた後に宮内庁御用達の海苔とともに『玉珧(タイラギ)』の磯辺巻にて鮨へと移行します。にぎりは『九絵(クエ)』から順に軽く炙り裏側に飾り包丁を入れられた『北寄貝(ホッキガイ)』、『本鮪(ホンマグロ)』赤身づけ、『小鰭(コハダ)』、『槍烏賊(ヤリイカ)』のエンペラー、『太刀魚(タチウオ)』の炙り、『本鮪(ホンマグロ)』中トロ、『煮蛤(ニハマグリ)』に『本鮪(ホンマグロ)』トロの手巻き、『鯵(アジ)』、『鰆(サワラ)』、『赤貝(アカガイ)』の紐、Hand to Handで『海胆(ウニ)』に『白海老(シロエビ)』、『本鮪(ホンマグロ)』赤身の鉄火巻に中落ち巻を半々、『穴子(アナゴ)』を塩と煮詰め、カステラと厚焼きの二種類の『玉(ギョク)』、そして『本鮪(ホンマグロ)』トロを惜しげもなく使った太巻に青さの味噌汁にてひと通り鮨に合わせて大好きな『鍋島』に『一歩己』とともに楽しませていただいた三時間超の口福な時間に感謝。
九絵
北寄貝(炙り)
本鮪 赤身(づけ)
小鰭
槍烏賊 エンペラー
太刀魚(炙り)
本鮪 中トロ
煮蛤
本鮪トロ鉄火と和知店主(掲載了承済)
本鮪トロ鉄火
鯵
鰆
赤貝 紐
白海老
海胆
鯖棒ずし
本鮪 赤身と中落ちの鉄火巻
穴子 塩と煮詰め
穴子 煮つめと塩
二種類の玉
本鮪トロ太巻
青さ味噌汁
本鮪 中トロ(背しも)
本鮪 中トロ(背なか)
本鮪 中トロ(背かみ)
本鮪中トロ味比べ
ずわいがに蟹みそ掛け
貝出汁で湯霜にした牡蠣
皮剥の造り
皮剥の肝に舎利
九絵出汁のくもこ
本鮪 中トロ(背かみ)
本鮪 中トロ(背なか)
本鮪 中トロ(背しも)
鮟鱇の肝なめろう仕立
真鯖 棒ずしとき〆鯖
〆鯖
藍の鰆焼
唐墨と煮鮑
鮑の肝と舎利
玉珧の磯辺巻
ずわいがに蟹みそ掛け
貝出汁で湯霜にした牡蠣
皮剥鱇の肝に舎利
九絵出汁のくもこ
鮟鱇の肝なめろう仕立
藍の鰆 船上放血神経〆
藍の鰆焼
唐墨と煮鮑
鍋島 純米大吟醸 短稈渡船とChampagne
鍋島 純米大吟醸 短稈渡船
鍋島 純米吟醸 山田錦
鍋島 純米吟醸 山田錦
一歩己 純米吟醸
一歩己 純米吟醸
黒龍
黒龍 酒燗器
2019/03/11 更新
2018/07 訪問
南東北を代表する孤高の鮨店…『小判寿司』
南東北を代表する孤高の鮨職人『和知慎吾(ワチシンゴ)』さんが腕を揮われる福島県東白川郡棚倉町に店を構えられる『小判寿司』さん。『小判寿司』さんと言いますと仙台市の文化横丁内に同名の店がありますが店主の和知さんは先代の『鞠子 仁(マリコ ヒトシ)』さんに従事され唯一、暖簾分けを許された方。仙台の『小判寿司』の現店主である『鞠子行雄(マリコユキオ)』さんとは兄弟弟子という間柄です。さて、文月(シチガチ)と言えば『新子(シンコ)』の季節です。『新子(シンコ)』は御存知の通り『小鰭(コハダ)』の幼魚であり出世魚。この時期の鮨屋にとっては意地と誇りの見せどころとともに見栄を張る鮨種でもあります。何せハシリの新子の仕入価格はあの小さな魚体の魚が近海物の天然本鮪にも匹敵するのですから鮨屋さんにとっては本当に厄介な鮨種のひとつかと。前泊した郡山からam9:18発の水郡線に乗り込み電車に揺られること約1時間20分余り、磐城棚倉駅で下車し『小判寿司』さんの開店時間まで駅前のスーパー等を散策し時間を潰し頃合いを見て店へ。開店口開けの客で訪れ、いつものカウンター席に陣取ります。豊国酒造の日本酒『一歩己(イブキ)』を所望。お任せで供される酒肴は『海胆(ウニ)』と『蓴菜(ジュンサイ)』の涼しげな先付から藁焼(ワラヤキ)にされ薫香(クンコウ)が付けられた『鰹(カツオ)』の土佐造り、鼈甲餡(ベッコウアン)が掛けられた『帆立水柱(ホタテカイバシラ)』玉〆は卵の黄身の味がとても濃厚、九州から直接、店へと送られてきた放血神経締めの『九絵(クエ)』の造りに常磐沖で水揚げされた特大サイズの『鮑(アワビ)』は塩蒸しにされ硝子の小鉢で供された特製の肝だれとともに味わいます。脂乗り抜群の北海道産の『真鰯(マイワシ)』で三つ葉のお浸しを巻いて海苔巻きにした小鰭のガリ巻ならぬ『鰯の三つ葉巻』と続きます。先に供された『鮑』を食べ終えた『鮑(アワビ)』の『肝だれ』の硝子の小鉢の中に舎利を入れ良く混ぜ和えられた『鮑の肝ごはん』は一石二鳥の美味しさであり店側も客側も双方良しの一品。更に『槍烏賊(ヤリイカ)』を『ボタン海老』の味噌で造られた特製の海老味噌とともに味わい滅多にお目にかかることのない大きさの『ボタン海老』の造りに『岩牡蠣(イワガキ)』と酒を呼ぶ酒肴の波状口劇にもうメロメロです。そして此処から本番のにぎりへと移行。白身の『眞子鰈(マコガレイ)』のにぎりからはじまり色の薄い『石垣貝』、鮨屋泣かせであり鮨屋の店主の心意気で供される『新子(シンコ)』に近海物の『本鮪(ホンマグロ)』の赤身ヅケ、酒肴でも供された『真鰯(マイワシ)』と続き高級ブライドである長崎産の『紅瞳(ベニヒトミ)』が使われた『のどぐろ』の蒸しずし、『煮蛤(ニハマグリ』に茹でたての『車海老(クルマエビ)』、『本鮪(ホンマグロ)』トロ、『蛸(タコ)』柔らか煮、『海胆(ウニ)』、『穴子(アナゴ)』は塩とツメで半々、山葵を効かせた『干瓢巻(カンピョウマキ)』に二種類の『玉(ギョク)』でひと通りです。今回供されました酒肴は全て美味しかったことは言うまでありません。そして本業のにぎり鮨の根幹を成す舎利は本家筋である仙台の『小判寿司』さんが二代目の現店主の『鞠子行雄』氏が十年程前から『赤酢』使いの舎利に変えられたのに対し當店の店主の『和知慎吾』氏は修業時代からの白酢一本で頑なに貫かれており握りのフォルムは流線形で美しく口に運ぶと鮨種と一体化してほろりと解ける理想的なにぎり。使われている『本鮪』の質を見れば鮨屋の格が大凡判ると良く言われますが當日の『本鮪』は近海物の天然本鮪の上物。酒肴・鮨ともにいつの日にも増して素晴らしく充実した内容でした。
新子
本鮪 赤身ヅケ
車海老
煮蛤
のどぐろ蒸しずし
眞子鰈
石垣貝
真鰯
本鮪トロ
海胆
穴子 ツメと塩
穴子 塩とツメ
新子
干瓢巻
海胆と蓴菜
鰹 藁焼
帆立貝柱の玉〆
九絵
蒸し鮑
蒸し鮑と肝ソース
蒸し鮑は肝ソースとともに
蒸し鮑
鮑の肝ごはん
槍烏賊に特製海老みそ
超特大サイズのボタン海老
ボタン海老
ボタン海老
岩牡蠣
鰯の三つ葉巻
煮蛸
二種類の玉
2018/08/04 更新
2018/03 訪問
押しも押されもせぬ東北屈指の人気鮨店…『小判寿司』
『棚倉の奇跡』として全国の鮨好きの方々から熱い注目を浴びる『小判寿司』さんへ久々に寄せていただきました。今回は誕生日の間近だったということもあり小布施ワイナリーの『2014 Sogga Nagano Ordinaire Chardonnay』をひと足早い誕生日祝いとしてコルクを抜き白ワインに合わせて作って置かれたという自家製の『加治木鮪(カジキマグロ)』の生ハム仕立の酒肴とともにはじまった弥生三月の『和知劇場』は『鮑(アワビ)』と『牡蠣(カキ)』を『蛤(ハマグリ)』の煮汁で炊いたという蓋物は日本料理店のソレを凌駕する五臓六腑に染み渡る美味しさ。これぞ滋味溢れる一品の言葉が相応しい煮物椀風の炊合せで一気にテンションが上がりました。造りには舌にねっとりと絡みつく『九絵(クエ)』にコリコリとした食感が小気味良い『螺貝(ツブガイ)』、放血神経締めの『鯖(サバ)』は軽く酢洗いしたレアなものと焼網で表面を香ばしく焼いた焼鯖との味比べ。更には大粒の『牡蠣(カキ)』のオイル漬、寒締め菠薐草(カンジメホウレンソウ)の御浸し(オヒタシ)、活けの子持ちの『ボタン海老』は造りと敢えて火入れして味と食感に変化を愉しませ蒸したて熱々の『鮟鱇(アンコウ)の肝(キモ)』で頬を緩ませ自家製の『唐墨(カラスミ)』を経てにぎりへと移行。旨味を充分に引出された『石鯛(イシダイ)』から順に走りの生の『とり貝』、気持ち強めに〆られた『小鰭(コハダ)』に本鮪(ホンマグロ)の赤身ヅケ、『蛸(タコ)』の桜煮に『煮蛤(ニハマグリ)』、本鮪(ホンマグロ)トロ、茹でたてでほんわか温かい『車海老(クルマエビ)』に炙って甘みがました『玉珧(タイラガイ)』に脂の旨味が際立った『金目鯛(キンメダイ)』の炙りに明礬(ミョウバン)を使わぬ甘さが秀逸な『バフン海胆(ウニ)』、『細魚(サヨリ)』、『白烏賊(シロイカ)』、『〆鯖(シメサバ)』、余りの美味しさに幾度も身体を仰け反らせた『のどぐろ』の炙りに『穴子(アナゴ)』は塩とツメで半々に山葵を利かせた『干瓢巻』に二種類の『玉』、追加の『鉄火巻』まで緩急をつけた内容で存分に愉しませていただきました。鮨の根幹を成す舎利は更なる進化を遂げられていたように感じられました。
のどぐろの炙り
石鯛
生とり貝
小鰭
本鮪 赤身ヅケ
蛸 桜煮
煮蛤
本鮪 トロ
車海老
玉珧
金目鯛 炙り
バフン海胆
細魚
白烏賊
〆鯖
のどぐろの炙り
穴子は塩とツメ半々
干瓢巻
二種類の玉
鉄火巻
白魚の卵とじ汁
2014 Sogga Nagano Ordinaire Chardonnay
加治木の自家製生ハム
蓋物
鮑と牡蠣を蛤出汁で炊いて
九絵、螺貝、鯖
鯖は酢洗いしたレアと焼鯖
寒締め菠薐草
牡蠣のオイル漬
ボタン海老
特大ボタン海老
垂涎ものの本鮪の柵
2018/07/09 更新
2017/12 訪問
南東北を代表する孤高の鮨職人…『小判寿司』
久しぶりに新幹線やまびこ号に乗り新白河駅にて下車。そこから更にJRバスに乗り換えて揺られること小一時間余。都内から凡そ二時間半程の時間を掛けて磐城棚倉駅にてバスを降り足早に店へと向かう。目指すは南東北を代表する孤高の鮨職人『和知慎吾』さんが営まれる『小判寿司』さん。周囲を山に囲まれた此の地からはとても想像出来ぬ素晴らしい鮨を愉しませてくれる佳店であり今やその名声は全国に響き渡り各地より磐城棚倉を目指し多くの鮨好きが店を訪れる人気店となりました。カウンター席奥に陣取り當日もいつも通り酒肴・鮨ともに総て和知さんへのお任せ。先付で供された酒肴は自家製の『烏賊の塩辛』と『牡蠣のオイル漬』を小布施ワイナリーの『Sogga pere et fils』の 6号酵母の日本酒をワイングラスにてゆるゆるとスタート。次いで『眞子鰈』と〆たての浅〆の『〆鯖』と〆て三日目の『〆鯖』の食べ比べ。そして常磐沖の『黒鮑』をたっぷりと使った『蒸し鮑の銀餡がけ』で胃袋を温めた後にたっぷりのおろしたての本山葵とともに大間産の『本鮪』の中トロ、カマトロ、トロの味比べを愉しみ『唐墨』、『本鮪』のねぎ間焼、ぷりっぷりの『くもこ』のボン酢、柔らかさの中にも微量の咀嚼感が愉しめる『煮蛸』と絶品の酒肴を少しづつ福島を代表する地酒の『冩樂』、『飛露喜』の純米吟醸酒とともに存分に楽しませていただき鮨へと移行。にぎりは徳島のカリスマ漁師の『村』さんから直送されてきた丸々と肥えた鳴門海峡産の神経締めされた『真鯛』の腹の部分から順に大間産の『本鮪』の赤身づけ、氷見産の『寒鰤』、『小鰭』、『鯵』と続きます。中盤に入り軽く昆布〆にされた『甘海老』、『真螺』、『煮蛤』、自称ノドグラーも思わず身体を仰け反らせた皮目を軽く炙り脂を引き出された長崎産のブランド『のどぐろ』、大間産の『本鮪』のトロと続き終盤には千葉勝浦産の『金目鯛』、『海胆』、『いくら』小丼、ふわっとろの『穴子』は塩と煮ツメで半々、山葵を効かせた『干瓢巻』に二種類の玉子焼、そして『鯛の潮汁』でひと通りとなりました。にぎりには新進気鋭の『一歩己』の純米酒を合わせ味わいました。鮨の根幹を成す舎利は本家筋の仙台の『小判寿司』さんが途中から赤酢使いの舎利に変えられたのに対して修業時代からの白酢一本で頑なに貫かれており握りのフォルムは流線形で美しく口に運ぶと鮨種と一体化してほろりと解ける理想的なにぎり。使われている『本鮪』の質を見れば店の格が判ると良く言われますが當日の『本鮪』は一本釣りされた青森 大間産の180㌕アップの上物。これを造りで味比べ、筋の強い部分を『ねぎ間』焼、そして赤身はヅケでトロには隠し包丁を施し素材の持ち味を存分に楽しませていただきました。酒肴・鮨ともにいつの日にも増して素晴らしく充実した内容で三時間超の口福な時間を満喫させていただき感謝。
真鯛(鳴門海峡産)
本鮪(大間産)赤身づけ
寒鰤(氷見産)
小鰭
鯵
甘海老
真螺
煮蛤
のどぐろ
本鮪(大間産)トロ
金目鯛(勝浦産)
海胆
いくら
穴子
干瓢巻と二種の玉焼き
真鯛の潮汁
ワイングラスで小布施ワイナリーのSogga pere et fils
煮蛸
くもこポン酢
くもこポン酢
本鮪ねぎ間
唐墨
大間産 本鮪味比べ
カマトロとトロ
おろしたての山葵をたっぷり添えて
鮑
鮑の鼈甲餡掛け
眞子鰈と二種類の〆鯖
牡蠣のオイル漬
烏賊の塩辛
2018/02/09 更新
2016/06 訪問
福島 中通りでの鮨は此処で決まりです …『小判寿司』
福島県は戊辰戦争後に岩代国、磐城国、陸前国、陸中国、陸奥国の5国に分割され現在では『中通り』、『浜通り』、『会津地方』という呼称で三つの縦割りエリアに区分けされています。通称『浜通り』は文字通り、いわき市等の太平洋沿岸を指し鮨屋では『鮨いとう』さんがあります。『中通り』は中央部を指し郡山市や県庁所在地の福島市、そして古くは江戸幕府の直轄領であった棚倉町もその中通りに分類され當地には福島一とも称される『小判寿司』さんが店を構えられています。浜通りのいわき市にしろ中通りの棚倉町にしろ決して交通の便が良い場所とは言えませぬが最近では噂を聞きつけ北は北海道、南は九州、沖縄から多くの鮨好きが訪れ、自分自身も年に2~3回寄せて戴いています。今回は約半年ぶりの再訪で昼の時間帯に寄せて戴きました。いつもの時間にいつもの席に陣取りいつもの通り店主 和知さんに全て身を委ね酒肴と鮨を愉しませていただきました。二~三日前に『粋・丸新』さんで小布施ワイナリーの『Sogga pere et fils』の 6号と7号酵母の呑み比べをさせて戴いた話をしますと6号酵母はウチにもありますからお好きなだけどうぞとワイングラスとともに瓶がどんと脇に置かれてのスタートです。最初に供された酒肴三種盛には尻高、もずく酢、海鞘酢の三品から『鮃』と『ボタン海老』の造りは塩と山葵と『肝醤油』を使い分け戴き『殻付き海栗』は持ち味の甘味を最大限に引き出すよう半分はそのままで残り半分を塩で味わいました。そして當日の酒肴の白眉は塩蒸しにした『蒸し鮑』に煮汁のジュレを掛けた皿、目に美しいばかりでは無くクニュッとした絶妙な歯応えと鮑特有の香りと滋味が味わえました。鮑は柔らか過ぎる煮貝よりも噛む咀嚼感も楽しめるものの方が好きです。その後も『蝦蛄』の爪に『蛸の桜煮』、脂のノリが半端無い『のどぐろ焼』とともにグラスを三杯程いただいたところで鮨へと移行。にぎりは季魚の『新子』の六枚付から順に活かった身質に飾り包丁を入れ食感を調整した美味なる『真鯛』の腹身、今期最終漁の『とり貝』、三尾付けの『甘海老』、〆加減が秀逸だった『春子』、藁焼の薫香が心地良い『鰹』、海老同様に茹でたてが最も美味しい『蝦蛄』はひと肌の温かさ、『鮪』は市場入荷の最上物の腹上一番の赤身とトロ、『新子』との対比で成魚の『鮗』、ねっとりと舌に絡みつく艶めかしい『金目鯛』に天盛の薬味によって昇華された『真鯵』、最大限の甘みを愉しむために海苔を使わぬたっぷりの『海胆』のにぎりは芸術の域、笹焼された『穴子』はツメと塩で、干瓢巻に二種類の『玉』、塩加減が絶妙な『鯛の潮汁』そして口直しに『いちごのジェラート』をいただきひと通り。自分にとって良い鮨やさんとは鮨種の質や舎利の味も大切ですが最も重要なことは店主との相性ではないかと思います。そういう点では店主の和知ご夫妻とは公私ともにお付合いをさせて戴いており信頼度も別格ゆえ、今回も御釈迦様の掌の上にいる状態にて目一杯、愉しませていただいております。
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2016/01のレビュー
新幹線なすの号で新白河駅で下車、そこからJRバスに乗り換えて揺られること小一時間余。磐城棚倉駅でバスを降り目的の地へ足早に向かう。目指すは孤高の鮨職人『和知慎吾』さんが営む『小判寿司』さん。周囲を山に囲まれた此の地からはとても想像出来ぬ素晴らしい鮨を愉しませてくれる佳店です。いわき市に店を構えられる『鮨いとう』さんと共に『福島県』を代表する超人気店。この日、新白河駅前からバスに乗られた客は10名余り、そして磐城棚倉駅で降車された人数は自分も含め六名。後で気が付くこととなるのですが此の六名全員が目指した店が同じ店だったという奇遇。三名は都内より二名は隣県から定期的に再訪される馴染みさんでした。そんなことからのっけからL字型のカウンター席は超フレンドリーな雰囲気に包まれての宴のはじまり。いつもの通り酒肴も鮨も総て和知さんへのお任せで。先付で供された酒肴は『鮟鱇の肝』と茶ぶりの『海鼠』。となると當然ビールではなく日本酒が欲しくなるもの。会津の『泉川』を合わせスタート。次いで神経締め浅〆の『鯖』と三日目の『〆鯖』の食べ比べ、そして徳島のカリスマ漁師『村 泰伸』さんから直送されてきた丸々と肥えた鳴門海峡産の神経締め『真鯛』の粗を昆布蒸しにした絶品の肴をいただいたところで鮨へと移行。村さんの『真鯛』の腹須からはじまり同じく村さんの一本釣り活〆の『鰆』、酒を同じ蔵の『冩楽』に変え『小鰭』、『本海松貝』と続く。この日の『鮪』は『那智勝浦産』、赤身、中トロと味わい酒は『山の井』へとスイッチ、『煮蛤』、『たいら貝』の磯辺巻、早春を告げる『細魚』、〆の酒は『寶劔』を選び茹でたての『車海老』は味噌を射込み朧掛け、長崎ブランドの『のどぐろ』(紅瞳)は皮目を軽く炙り脂を引き出され口に運ぶと身が仰け反る旨さに自称『ノドグラー』も悶絶。『海胆』は軍艦ではなくてんこ盛りの握りで、『穴子』は塩とツメ半々で、『芽ねぎ』、山葵を効かせた『鉄砲』、そして『鯛の潮汁』でひと通り。今回も充実した内容で二時間半余りの時間を満喫させていただき感謝。勘定を済ませカウンター席の六名は再び縦列歩行にて磐城棚倉駅へと向かいJRバスにて新白河駅へと移動。車中は気持ち良さげな寝息の競演。いやぁ~今回も実に楽しい小旅でありました。
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2014/09のレビュー
2013年の改装前に訪問した際の画像と2014年の改装後に訪問した際の画像を同時にbefore and afterでアップさせていただきました。七年ぶりに寄せていただいた『鮨いとう』さんの店内も大幅に改装されておりましたが一年ぶりに寄せていただいた棚倉の『小判寿司』さんは入口から店内まで大幅な改造が施されており、つけ場周りのみならず店自体が全くの新しい店へと生まれ変わっておりました。改装前に伺ったのは夜のこと。今宵は時間を気にせずに心行くまで楽しもうということで一泊での訪問、多種多様な酒肴と美味しい鮨と酒で持て成していただき感無量、忘れられぬ棚倉の夜を満喫させて戴きました。そして改装後の訪問は昼に、といっても折角、棚倉まで足を延ばしたのですから鮨だけつまんで帰るのは勿体無い。という勝手な論法で昼酒を愉しみつつ鮨を主体に堪能させて戴きました。寄せて戴く度に何らかの感動を与えてくれる店主の『和知慎吾』さんと優しい奥様の弥生さん。薀蓄や理屈は抜きに美味しい鮨を供し気持ち良くして返してくれる佳店です。同じ鮨種が供されても或る時は『生』で或る時には『湯霜』で、また或る時には『炙り』でというように、その都度、変化をつけて供されることも写真を見比べるとお判りいただけるかと。今回の訪問では特に宮城の『金華鯖』が出色、使われる素材は同じでも〆の
時間を変えたものを食べ比べさせてくれたり白板昆布を使い小袖ずし風で供されたり松前風にして供されたりと常に変化をつけて供されることにも関心させられます。伝統的な江戸前の仕事をしっかりと守りつつ現代風の見せ方、供し方等、とても勉強熱心な和知さん。毎週水曜日の定休日には近県のみならず都内まで足を延ばし和洋折衷の料理店を食べ歩き常にアンテナを高く張られているからこそ成せる業。舎利の酢と塩の効かせ具合に舎利の温度、手数は少ないが綺麗な流線型で供される鮨は種と舎利の一体感や舎利の解け具合等、都度、卸される山葵の質。それなりに鮨を食べ込まれている方であれば丁寧な仕事ぶりが御理解いただるかと。味良し、値良い、気持ち良し。と三拍子揃った佳店です。棚倉という近そうで遠い街で志高き孤高の鮨店『小判寿司』さん。出来ることならば季節ごとに寄せて戴きたいと感じさせてくれる大好きな鮨店の一軒です。
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2010/12のレビュー
福島県東白川郡棚倉町。福島県南部に位置する人口1万5千人余りの町であるが遥か昔 縄文・弥生の時代から高い文化が発達していた地であることが知られており奈良・平安時代には福島の文化の中心地であったという歴史を持ち織田信長の家臣であり安土城築城の責任者を務めた丹羽長秀の子である長重が棚倉城を築城し関東と東北の境界線の要であったと伝えられている。帝都 東京から當地までは北へ約200キロ。『京雀』さん、『LINN HOUSE』さんで楽しい時間を過ごした翌日は前夜の酒席での話の成り行きから以前より一度寄せて戴きたいと思っていた當店『小判寿司』さんへ鮨を食べに行こう~ということになり、相方と二人、浦和より突発的に東北自動車道を車で北上。途中、今から2時間後に2名で伺いたいという予約電話を入れ目的地を目指したのであります(笑)東北の中でも福島は岩手と同様に広大な面積を有する県であり岩手は縦に長いのに対し福島は横に広く会津地方、中通り、浜通りという大きく分けて3つのエリアに分別され當店のある棚倉町は微妙な位置にあり簡単に行けそうでなかなか行けそうにない場所。郡山から水戸へと続く水郡線というローカル線で一時間半余というロケーションゆえアクセスは結構厄介なのです。この機会を逃しては生涯行けぬかもしれぬ未踏の地へ心弾ませ一路車を走らせたのでありました。予定通りジャスト2時間で無事到着。店横に設けられた駐車場に車を滑り込ませ外観をデジカメに収め、ひと呼吸措いて暖簾をくぐったのでありました。迎えてくださったのは優しそうな女将さんと見るからに人の良さそうな店主の『和知 慎吾』氏、予約の名を告げると"お待ちしておりました"とカウンターの中央の席に案内された。店内の雰囲気は地域密着型の寿司屋さんという感じの店でしたが目の前の冷蔵ケースに目を向けると質の高そうな鮨種がずらりと綺麗にならべられており一気に期待値のボルテージは上がったのであります(笑) 相方の呑んでもいいよ。の言葉に甘え生ビールで12時間越の乾杯、酒肴に美味しそうなところを少し切ってもらった後に鮨に移行してもらいたい旨を伝えて幕開け、目の前の唐津焼の皿に大根の剣を盛り大葉を添え『本鮪』の中トロとトロ、右側に『煮鮑』と『細魚』、左手に『鯖』が盛付け供されました。『本鮪』はチューボウより少し大きめの50キロ超えの鮪の腹カミの部分を味を見てから買付けたと話されておられましたが見るからに美味しそう。口に運んでみると『中トロ』は酸味と甘みのバランスが良い感じであり『トロ』の部分は見た目は脂が強そうに目に映りますが脂はサラリとした上品なもの。養殖ものや蓄養ものの鮪のようなイヤラシイ脂ギッシュのトロとは全くの別物。『鮪』も上質なものでしたが添えられた『本山葵』も立派なサイズのものをリズミカルなテンポで卸されたもので山葵自体もとても上質なものが使われておりました。『煮鮑』は香り高く適度な噛み応えを残したもので『細魚』は昆布締めにしたものを糸造りで、『鯖』は豊後水道のものを塩で軽く〆たものであり脂のうま味が際立つ美味なる鯖でした。酒肴が美味しかったことは云うまでもありませんが陶器カップで供されたビールの味も雑味がなくサーバーの手入れも手抜かりがないことが感じ取れました。ビールの後は自然に日本酒へと移行、酒もツボを抑えた品揃えがされており何を戴こうかと目移りし悩みましたが地酒の限定品でレアもの『奈良萬』の純米生酒をオーダー。目の前にRiedelのワイングラスが置かれ女将さんが中程まで静かに注いでくれました。無濾過の生原酒で米の味がしっかりとするやや辛口の酒であり魚との相性はバッチリ、それにしても『Riedel』のワイングラスで供されたことにはちょっとだけビックリした次第(笑)適当なところで、いよいよ鮨へ。握りは『鮃』から氷見の『鰤』、『たいら貝』に『小鰭』、『赤身』のづけに『鮪』のトロ、『〆鯖』は造りには浅く締めたもの鮨にはしっかりと締めたものを使い分け、『煮蛤』に才巻サイズの『車海老』は活の海老を直前に茹でたもの、『槍烏賊』の印籠詰に手鞠ずし風の形の『海胆』、『玉』は出汁巻きとスフレのようにふわふわのカステラタイプの二種、『穴子』は煮つめと塩で半々、干瓢巻は山葵を利かせて鉄砲で。これにてひと通り。追加で『赤貝の紐』、食べ比べのために造りで供された浅締めの『〆鯖』、『小鰭』を戴き、あら汁仕立の味噌椀を戴いて終了。供された鮨は形は綺麗な流線型で美しく種と舎利の比率や一体感は申し分ナシ、口の中での舎利の解け具合も良好であり、或る意味感動を受けた鮨でした。鮨種にはそれぞれ仕事が施され、しっかりと仕込まれたものであり『鮨』と呼ぶに相応しい。単に切って握っただけの刺身寿司とは別物、魚の仕入は築地市場と地場の郡山市場の両方から仕入をされているとのことでしたたが冷蔵ケースの中には確かに質の良さそうな鮨種がならんでおりました。そして鮨の根幹を成す『舎利』に使う米は米屋に任せるのではなく玄米を自家精米して使っているという拘りよう。確かに仕込まれた鮨種の土台となる『舎利』の味はビシッと決まっておりました。福島では、いわきの『鮨いとう』さんが自分の嗜好に最も合う鮨を戴ける店と思っておりましたが當店の鮨はそれをも上回るものでした。店主の『和知 慎吾』氏は山形に店を構える『石山寿司』の店主『石山 忠』氏とともに仙台文化横丁の『小判寿司』さんで先代店主の『鞠古 仁』氏の下で八年余の修行を積まれたとのこと、そうなると現在の『小判寿司』の店主『鞠古 行雄』氏とは兄弟弟子ということになるのかもしれません。昨年の十二月には仙台の『陸女鮨』さんと棚倉の『小判寿司』さんと全く期待を裏切らぬ素晴らしい二軒の鮨屋さんに出逢うことができました。先の東日本大震災に原発事故で何かと大変な状況下にある福島ですが折を見て當店へは是非とも夜に再訪してみたいと考えております。
新子(六枚付)
真鯛の腹身
とり貝
甘海老
春子
鰹藁燻
蝦蛄
鮪 赤身
鮪 トロ
鮗
金目鯛
鯵
海胆
穴子 ツメと塩
干瓢巻
玉 二種
真鯛の潮汁
いちごジェラート
のどぐろ焼(紅瞳)
蛸桜煮
蝦蛄の爪
蒸し鮑の煮汁ジュレ掛け
殻付き海栗
肝醤油で
鮃とボタン海老
酒肴三種盛
小布施ワイナリーの『Sogga pere et fils』の 6号酵母
鮟肝と茶ぶり海鼠
泉川
神経締め浅〆の鯖と三日目の〆鯖の食べ比べ
鳴門海峡の真鯛の粗
真鯛の腹身
鳴門海峡の釣り活け〆の鰆
冩楽
小鰭
本海松貝
那智勝浦産の本鮪の赤身づけ
那智勝浦産の本鮪の中トロ
山の井
煮蛤
磯辺巻
中には平貝の炙り
細魚
寶劔
車海老の朧掛け
ノドグロの炙り
海胆
穴子 煮ツメと塩 半々
芽ねぎ
鉄砲巻
鯛の潮汁
塩辛、海鼠、鯵のたたき。
酒器。
中トロ、トロ、鮃、赤貝(閖上の本玉)
酒器。
中トロの陰に隠れていた砂ずりのトロ。
鯛。
小鰭。
北寄貝(炙り)
づけ。
〆鯖。
〆鯖(白板昆布を載せた松前風)
煮蛤。
トロ。
車海老。
細魚。
煮蛸。
海胆。
穴子つめと塩。
玉。出汁巻とカステラ。
〆加減の異なる〆鯖を再度リクエストで食べ比べ。
白魚のかき玉汁。
あがり。
全面リニューアルで瀟灑な造りに。
御手富貴(粗品)。
入口も変わりました。
蛤の酒蒸しと蛸の桜煮。
秋刀魚を酢味噌和えと炙りで。
新いくら。
美味しいものを少しづつ。
先ずは生ビールで喉を潤し。
鮃と同縁側。
トロ、中トロ、螺貝、〆鯖。
烏賊の腑腸和え。
炙りもの色々。
酒器。
平貝磯部巻にぷりっぷりの穴子の肝。
肉厚の穴子の白焼。
煮鮑と肝。
小鰭。
金目鯛。
甘海老。
〆鯖(白板昆布を載せた松前風)
北寄貝(湯霜)
赤身。
煮蛤。
ムラサキ海胆とバフン海胆。
槍烏賊の印籠。
穴子をツメと塩で。
干瓢(山葵を効かせ鉄砲巻)
玉も二種。カステラと出汁巻。
しじみ汁(五臓六腑に沁み渡ります)
あがり。
天領 棚倉城の二の丸は現在では学びの門に。
本日のお奨めを少しづつ
鮃。
寒鰤(氷見)。
たいら貝。
小鰭。
づけ。
トロ。
〆鯖(深締め)。
煮蛤。
才巻きサイズですが車海老。
槍烏賊印籠。
海胆。
出汁巻き&カステラ。
穴子煮つめ&塩。
干瓢巻。
赤貝の紐(追加)。
〆鯖(浅締め追加)
小鰭(追加)。
生ビール。
日本酒はRiedelのワイングラスで
いかの塩辛。
茶ぶり海鼠。
つけ場と鮨種のケース。
味噌椀。
利休箸と箸袋。
通称"○コロショット"(爆)
店の外観。
棚倉城跡。
2016/11/15 更新
美食を求めて訪れた福島県。前夜の『丸新』さんでの御馳走の波状口劇の興奮覚めやらぬ中、朝食は『丸新』さんの御持たせの折の炊込みごはんで済ませホテルのチェックアウトの時間前には郡山を離れて往時、天領の地であった棚倉町へ。そして向かった先はTabelog Award受賞の常連店でありTabelog寿司部門の百名店にも名を連ねられる今や北日本を代表する江戸前鮨の一軒であり全国から数多の鮨好きが大挙して訪れる人気鮨店『小判寿司』さんです。カウンターの向こう側で腕を揮われるのは店主の和知慎吾さん。サーヴィスと裏方は奥様の弥生さんと長男のヨシ君の三名で切盛りされています。いつものカウンターの末席に席を取らせいただき先ずは『MASTER'S DREAM』の生ビールで渇いた喉を潤します。サーバーの清掃と手入れが行き届いた肌理細やかな泡でを覆われた麦汁はとても美味。料理は前半は酒肴を中心に後半はにぎりといういつものお任せコースでお願いしました。料理は裏磐梯で朝摘みされた『蓴菜(ジュンサイ)』と『平貝(タイラガイ)』の酢の物から。程良い酸味で胃壁と食欲中枢を刺激された後に大好物の『煮鮑(ニアワビ)』を鮑の肝ソースと共に味わい、造りには『眞子鰈(マコガレイ)』、超特大サイズの『ボタン海老(エビ)』、閖上産の『本玉(ホンダマ)』≒『赤貝(アカガイ)』を酢橘(スダチ)と眞子鰈(マコガレイ)の肝醤油(キモショウユ)、卸したての山葵(ワサビ)と天然塩、自家製の海老(エビ)みそを使い分け味わいました。ボタン海老(エビ)に載せられた蝦卵(エビノタマゴ)の醤油漬(ショウユヅケ)はキャビアに勝るとも劣らぬ美味しさ。更には炙られることで表面に脂が浮き旨味が高められた『眞子鰈(マコガレイ)』の縁側(エンガワ)の炙りと続き三陸産の身入りの良い殻付きの『ムラサキ海栗(ウニ)』と『槍烏賊(ヤリイカ)』の微塵切り(ミジンギリ)を混ぜた舎利玉(シャリダマ)が添えられて供されました。『海胆(ウニ)』は天然塩で甘みを高め味わい更には和知店主の薦めで殻の中に舎利玉(シャリダマ)を投入し烏賊海胆飯(イカウニメシ)として一度で二度愉しみ海のパイナップルとも称される三陸産の天然物の『海鞘(ホヤ)』と更に進化した『鮟鱇の肝(アンコウノキモ)』で五味五感を刺激され合せて供された仁井田本家の秘蔵の酒とのマリアージュを愉しませていただき大きいサイズの釣り物の『鮎(アユ)』の一夜干しを鮎の肝ソースとともに珍味のウルカの風味で味わい前半の酒肴は終了。後半はにぎりで『九絵(クエ)』から順に細やかな隠し包丁が施され軽く炙りを入れた『北寄貝(ホッキガイ)』、天然『本鮪(ホンマグロ)』赤身、〆加減が秀逸な『小鰭(コハダ)』、天然『本鮪(ホンマグロ)』トロ、『鰹(カツオ)』藁炙り、『煮蛤(ニハマグリ)』、ブランド物の『のどぐろ』紅瞳(ベニヒトミ)、茹で加減が絶妙なレア感を残し茹でられた『車海老(クルマエビ)』、軽く炙り旨味が高められた脂のりが半端ない『目光(メヒカリ)』、ふわっとろの『穴子(アナゴ)』、スフレ風のカステラ玉と厚焼の二種類の『玉』に山葵(ワサビ)を利かせた『干瓢巻(カンピョウマキ)』に『蜆(シジミ)の味噌汁(ミソシル)』に水菓子に自家製のミルク感たっぷりのジェラートに三種の桜桃(サクランボ)で締められた大満足の内容の料理とともに福島県の地酒中心に選んだ日本酒をいただきペロンペロンに気持ち良くしていただきました。青森の名店『寿司一』さん亡き後の東北の寿司業界を牽引されるであろう『小判寿司』さん。正に天領 棚倉町の至宝です。