「はじめに」
万博の閉幕が迫る9月某日。
連日の厳しい夏日が続く中、来場者数は右肩上がりに増え、会場は日に日に一層の盛り上がりを見せている。
今回は、パビリオンの中から食をテーマにした国、マレーシアを取り上げてみた。
「マレーシア」
マレーシアは東南アジアに位置し、マレー半島とボルネオ島北部から構成される国家である。
人口は約3,400万人の多民族国家で、マレー系をはじめ、中国系やインド系などが共に暮らしている。
豊かな自然、美しいビーチ、熱帯雨林に恵まれ、多文化社会に由来する多様な食文化や祭礼が多彩である。
「マレーシアの食文化」
マレーシアの食文化の大きな特徴は、多民族社会の中で育まれてきた多彩な料理が共存している点にある。
それぞれのコミュニティが独自のアイデンティティを保ちながら、日常の食卓や屋台では自然に混ざり合っている。
伝統や歴史、家庭の味に加え、多民族国家ならではの幅広い食習慣が息づいており、その豊かさこそがマレーシアの
多文化性を象徴している。
「マレーシアパビリオン」
マレーシアパビリオンは「調和の未来を紡ぐ」というテーマのもと、文化の多様性と活気ある経済を紹介することを
目的としており、食を通じてその魅力を伝える場として注目を集めている。
屋台を再現した展示では、55種類の料理が地域ごとに分けられており、まるで現地の市場にいるかのような
臨場感を味わえる。
展示を通じて文化との出会いの場として、国の風土や歴史、人々の暮らしを身近に感じられる。
また、日常生活や慣習に焦点を当て、多様な民族が融合するマレーシア料理の豊かさを体験できる入口でもある。
「MAKAN MAKAN」
マレーシアパビリオンのレストラン「MAKAN MAKAN」では、ナシゴレンやミーゴレンなど、マレーシアの
定番料理が揃っている。
まず目に入る注目の一品は、人気のロティーチャナイ。
シェフが生地を宙に舞わせるパフォーマンスは見どころで、高いエンターテインメント性を誇る。
生地を薄く伸ばして折りたたみ、香ばしく焼き上げる様子は、オープンキッチンから伝わるライブ感と相まって、
調理そのものを一つの文化として楽しむことができる。
「ロティーチャナイ」
ロティーチャナイは、マレーシアの日常で広く親しまれている定番のパン料理として知られている。
生地を薄く広げて折り重ね、鉄板で焼き上げることで、表面はパリッと香ばしく、生地はしなやかでもちっとした
独特の食感を楽しめる。
ちぎってカレーにつけて食べるのが一般的である。
万博会場では2種類のカレーが添えられており、税込1,814円で提供されている。
チキンカレーはスパイスが効いたまろやかな味わいで、柔らかく煮込まれた鶏肉がコクのあるルーと調和し、
優しい辛さの中にも旨みが感じられる。
一方、ダルカレーは豆の風味がしっかりと生かされ、辛さを控えめにすることで素材の甘みを堪能できる。
ロティーチャナイはそれぞれのカレーと相性が良く、生地の甘みが引き立つような仕上がりである。
「おわりに」
マレーシアパビリオンでは、食文化の紹介にとどまらず、街並みを精巧に再現した模型や、多様性から先進性へと
移り変わるスクリーンアニメーション、パネル展示が並び、情報量の豊かな空間が広がっている。
視覚・聴覚・体験的要素を組み合わせた多角的な演出によって、マレーシアが掲げる未来へのビジョンや
背後にあるメッセージが明確に伝わってくる。
奥深い文化的背景と親しみやすさが融合した構成は印象的で、マレーシアを万博の中でも特に記憶に残る国の
一つとして位置づけるものであった。