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昼の点数:4.0
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¥3,000~¥3,999 / 1人
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料理・味 -
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志村坂上に息づく、町中華という文化の現在地
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2025/10/04 更新
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[ 料理・味-
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昼から飲める至福の町中華!熱気に包まれる志村坂上の楽園
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2025/04/29 更新
昼の志村坂上。駅を出てゆるやかな坂を上がると、赤いカウンターの向こうで油の香りが漂ってくる。
鉄鍋が鳴り、湯気が立ち、瓶ビールの栓が抜かれる音。その一つひとつが、この街の日常のリズムだ。中華料理 丸福。創業は一九六三年。六十年以上、街の人々の暮らしとともに鍋を振り続けてきた。
かつて志村坂上が工場地帯だった頃、丸福は働く人たちの昼を支える食堂だった。
濃い味、速さ、そしてボリューム。
それが求められた時代をくぐり抜け、いまは住宅街としての顔を持つこの街に寄り添うように、味を静かに更新してきた。二代目の丸山利昭さんと女将の申子さんが受け継ぐ現在の丸福には、古さも新しさも同居している。
丸福の料理は、ラーメンのスープを中心に全体がつながっている。餃子の餡にもチャーハンの味付けにも同じスープの呼吸が流れ、それぞれの皿が独立しながら、一つの旋律を奏でているようだ。
餃子は、焼き面が香ばしく、裏はもっちり。
噛んだ瞬間にスープの旨みがじゅわっと広がり、皮の香ばしさと中の肉汁が重なる。一口ごとに瓶ビールが進む。この店の餃子は、単なる前菜ではなく、ラーメンの延長線上にある“もう一つの主役”だ。
続くレバニラは、丸福の火の哲学が凝縮されている。
レバーはふっくら、ニラは香りを残したまま鮮やか。鉄鍋の音が変わる一瞬の間合いで火を止める、そのわずかな感覚の中に職人の呼吸が宿っている。
香り、温度、音。
全てが完璧に揃った瞬間に皿が仕上がる。
食べ終わる頃には、体の中から力が満ちていくのがわかる。
チャーハンはラーメンの醤油ダレで仕上げるしっとり系。
米の一粒一粒がスープの記憶をまとい、焦げる寸前の香ばしさが食欲を呼び起こす。
レンゲを入れた瞬間に立ち上る湯気が柔らかく、懐かしさと新しさが共存している。
六十年かけて磨かれた“飽きのこない味”とは、こういうものなのだと思う。
五目そばは派手ではないが、丸福という文化の根幹を啜るような一杯。スープ、具、餡、麺、どれも過剰ではなく、全てが調和している。この穏やかさの中に、丸福の思想がある。
丸福がこれほどメディアに取り上げられるのは偶然ではない。
アド街ック天国をはじめ、多くのメディアがこの店を“町中華の象徴”として扱うのは、単に味が古くから続いているからではない。
丸福が“古さを守ること”ではなく、“日常を続けること”を大切にしているからだ。
変わらない暖簾、磨かれたカウンター、冷えた瓶ビール。それらは宣伝ではなく信頼の証であり、最大のメディア戦略でもある。
町中華とは懐かしさではなく、生き方だ。
丸福はその最前線に立ち、街の記憶とともに火を灯し続けている。この店の湯気の中には、昭和も平成も令和も同時に息づいている。鉄鍋の音が鳴り続ける限り、志村坂上の時間は止まらない。
午後の光が差すカウンターに座り、鍋の音を聴く。
それだけで、町中華という言葉の意味が少しわかる気がする。