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夜の点数：4.0
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￥8,000～￥9,999 / 1人
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卵とベーコンに宿る人生の物語。虎ノ門で出会った奇跡の一皿
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2025/05/20 更新
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カチャリと扉を開けると、空気が少し変わる。どこか懐かしいような、でも初めてなのに落ち着くあの感じ。虎ノ門の「ハングリータイガー」は、イタリアンの名を借りた“人生の酒場”だった。
目当ては、もちろん「ダニエル」。パスタに人の名前？最初はそう思っていた。でもこの一皿を口にしたとき、その名が単なる看板ではなく、シェフ・伊賀元彦氏の人生そのものだと理解した。
炒められたベーコンと玉ねぎが甘く香ばしく、マッシュルームが静かにその香りを支える。そこにふわりと重なるのが、完全に火を通した溶き卵。滑らかさと、ほのかに焦げ目のついた香り。絶妙な塩加減。パスタは特注の2.1mm。練馬の老舗メーカー「コルノマカロニ」製。コシがあり、卵の衣をしっかりまとってくる。まるで、料理そのものが“家族”を語っているようだった。
この料理、そもそもは先代シェフがイタリア修業の末、日本に持ち帰った家庭料理がベース。それを受け継いだ息子・伊賀氏が再構築し、店の名物として完成させたものだという。彼は28歳で店を継ぎ、時代と向き合いながら、2012年に虎ノ門へと場所を移した。けれど「変えない」という覚悟があった。派手さを求めず、クラシックで、芯のある味を作り続ける。その象徴が、この「ダニエル」なのだ。
料理に人生が宿るとは、よく言われる。でもそれがここまで分かりやすく、美味しく、温かく伝わってくる店は稀だ。
静かな午後、ビール片手にダニエルを啜る。幸せって案外シンプルだ。そんなことを教えてくれる場所が、虎ノ門にあった。