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夜の点数:5.0
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¥2,000~¥2,999 / 1人
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Episode 84 『★レストラン東洋軒(大分・別府)★』:湯けむりの街に輝く“発祥”の看板。黄金色の衣をまとった鶏肉が教えてくれる、大分県民の誇り
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2026/02/10 更新
美食の街・博多を後にした私たちは、九州を東へと横断し、「おんせん県」こと大分県・別府市へと足を踏み入れていた。
あちこちから湯けむりが立ち上るこの情緒ある街の夜に、私たちが目指したのは、大分に来たならば、これを食わずして帰ることは許されない、絶対的なソウルフード「とり天」だ。
向かった先は、別府湾を望む高台に位置する『レストラン東洋軒』。
創業は大正15年(1926年)。
駐車場に車を滑り込ませると、夜闇に浮かび上がるオレンジ色の看板には、力強い筆致で「とり天発祥の店」と刻まれている。
その文字が放つ圧倒的なオーラ。
単なる人気店ではない、一つの食文化を創り上げた歴史の重みがそこにはある。
店内は家族連れや観光客で賑わい、活気に満ちている。
ここは「とり天屋」ではなく、格式ある「中華レストラン」だ。
メニューには本格的な中華料理が並ぶが、オーダーはもちろん「本家とり天定食」。
そして、中華の実力を確かめるべく「麻婆豆腐」と「青椒肉絲(チンジャオロース)」も追加し、テーブルの上を中華の宴で彩ることにした。
ほどなくして運ばれてきた「とり天」は、私の知っている鶏の揚げ物とは一線を画すビジュアルだった。
唐揚げのようなゴツゴツとした茶色ではない。
白に近い、上品な黄金色をした衣をまとっている。
箸で持ち上げると、ふわりと軽い。
大分県産の「カボス」を使った特製酢醤油(タレ)に浸し、黄色い「からし」をちょこんと乗せて口に運ぶ。
「……ふわっ、ジュワッ!」
衝撃的な食感だ。
衣は天ぷら粉を使っているため、驚くほどサクッとしていて、中はフワフワ。
水を使わず卵のみで練り上げられた衣は、口の中で優しく解けていく。
そして、中の鶏肉(おそらくモモ肉やムネ肉の絶妙なブレンド)は驚くほど柔らかく、噛むたびにジューシーな肉汁が溢れ出す。
唐揚げのようなニンニクや生姜のガツンとした下味ではなく、鶏本来の旨味を衣が優しく包み込んでいる感覚だ。
そこへ、酢醤油の酸味と、からしの鼻に抜ける辛味がアクセントとなり、揚げ物なのにいくらでも食べられそうな軽やかさを生んでいる。
「これが、本物のとり天か……」
類似品とは次元が違う、完成された料理としての品格。
サイドメニューのレベルも凄まじい。
「青椒肉絲」は、ピーマンのシャキシャキ感と、細切り肉の柔らかさ、そしてオイスターソースのコクが完璧なバランスで絡み合い、白飯を猛烈に誘惑する。
「麻婆豆腐」は、絹ごし豆腐の滑らかさと、挽肉の旨味、そしてピリリと効いたスパイスが食欲を刺激する本格派。
「とり天発祥の店」という看板に甘んじることなく、中華料理店としての実力も超一流であることを舌で理解させられる。
大分県民がなぜ、唐揚げではなく「とり天」を愛するのか。
その答えがこの店にあった。
それは単なるおかずではなく、家族で円卓を囲み、酢醤油でさっぱりといただく、団欒の象徴なのかもしれない。
歴史ある空間で、元祖の味を噛み締める幸福。
別府の夜は、温泉の温もり以上に、この黄金色の衣の優しさに包まれて更けていった。
発祥の店が守り続ける、揺るぎないプライドと伝統の味に敬意を表して満点を刻む。