この口コミは、kn900さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら
利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。
問題のある口コミを報告する
-
夜の点数:5.0
-
¥2,000~¥2,999 / 1人
-
-
料理・味 -
-
|サービス -
-
|雰囲気 -
-
|CP -
-
|酒・ドリンク -
-
-
[ 料理・味-
-
| サービス-
-
| 雰囲気-
-
| CP-
-
| 酒・ドリンク- ]
Episode 91 『★焼肉 闇市 武庫之荘店★』:今はもう戻れない、あの喧騒と煙の中で。圧倒的コスパで俺たちを魅了した、伝説の赤身肉パラダイス
-
{"count_target":".js-result-ReviewImage-343187527 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-343187527","content_type":"ReviewImage","content_id":343187527,"voted_flag":false,"count":2,"user_status":"","blocked":false}
2026/02/11 更新
尼崎・武庫之荘。
閑静な住宅街というイメージが強いこの街に、かつて夜な夜な肉好きたちが吸い込まれていく一軒の店があった。
その名は『焼肉 闇市』。
「闇市」という少し怪しげで、しかしどこか懐かしさを感じさせる店名の通り、そこは昭和の路地裏に迷い込んだような、独特の熱気と活気に満ちた空間だった。
現在、この武庫之荘店は惜しまれつつも閉店してしまったが、私の舌と心には、あの夜の煙の匂いと共に、鮮烈な記憶として焼き付いている。
店内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、各テーブルに置かれた七輪と、そこから立ち上る白い煙だ。
おしゃれで無煙ロースターが完備された高級焼肉店もいいが、焼肉の原点はやはりここにある。
炭火で肉を炙り、煙に燻されながら、ジョッキを片手に肉を喰らう。
その原始的な快楽を、この店はストレートに提供してくれていた。
そして何より、この店を伝説たらしめていたのは、その「圧倒的なコストパフォーマンス」だ。
メニューを開くと、目を疑うような価格が並んでいた。
数百円で食べられる上質な赤身肉、ホルモン、そしてサイドメニューの数々。
「安かろう悪かろう」ではない。
肉問屋直営(あるいは独自のルート)だからこそ実現できる、鮮度抜群の肉たちが、惜しげもなく提供されていたのだ。
七輪の網の上に、鮮やかな赤色の肉を並べる。
ジュゥゥッ……!
脂が炭に落ち、炎が上がり、芳ばしい香りが一気に広がる。
トングで肉を返し、好みの焼き加減に育てる時間は、まさに至福のひとときだ。
タレにつけて口へ運ぶと、肉本来の旨味がガツンと脳を揺さぶる。
霜降りのような脂の甘みもいいが、闇市の肉は「肉の味」が濃い。
噛み締めるたびに溢れ出す赤身のパワー。
それを冷えたビールで流し込む快感は、言葉にするのも野暮なほどだ。
特に記憶に残っているのは、さまざまな部位が乱雑に、しかし豪快に盛られた皿だ。
カルビ、ロース、ハラミ……それぞれの部位が持つ個性的な食感と味わいを、まるで宝探しのように楽しめる。
ホルモン系も絶品で、プリプリのテッチャンやコリコリのミノは、炭火の魔力で極上の酒のアテへと変貌する。
野菜やキムチ、そして締めの冷麺やビビンバに至るまで、手抜きは一切ない。
「安くて美味い肉を、腹一杯食べてほしい」
そんな店の心意気が、料理の端々から伝わってきた。
店員さんたちの威勢の良い掛け声、網を変える手際良さ、そして周りの客たちの笑顔。
あそこには、焼肉という食文化が持つ「祝祭」のような空気が常に流れていた。
家族連れ、仕事帰りのサラリーマン、学生グループ。
あらゆる人々が、七輪を囲んで同じ火を見つめ、同じ肉を焼き、同じ幸せを共有していた。
それは単なる食事の場ではなく、地域の人々の胃袋と心を支える、かけがえのないコミュニティでもあったのだ。
閉店の知らせを聞いた時、言いようのない喪失感に襲われた。
もうあの場所で、あの値段で、あの味を楽しむことはできない。
しかし、だからこそ、その記憶はより一層美しく、輝きを増していくのかもしれない。
武庫之荘の夜に消えた、赤身肉のパラダイス。
ありがとう、闇市。