今後、同様の訴訟が相次ぐ可能性がある。
グルメサイト「食べログ」で評価(点数)を不当に下げられ、客が激減したとして、焼き肉チェーン「韓流村」(東京都港区)がサイトを運営する「カカクコム」を訴えていた訴訟の判決が、16日、東京地裁であった。韓流村は、約6億3905万円の損害賠償などを求めていた。
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地裁は評価基準の変更が独占禁止法で禁じられた「優先的地位の乱用」に当たると判断。「不当な不利益を与えている」と認め、カカクコム側に約3840万円の賠償を命じた。
訴状によると、食べログの計算式「アルゴリズム」が変更された19年5月、韓流村が運営する21店舗の評価点(5点満点)が平均で約0.2ポイント下落。最大0.45ポイント下がった店舗もあった。それにより、食べログ経由の来店客が1カ月あたり5000人以上減ったという。
カカクコム側はアルゴリズムの変更は認めたものの、「点数をつける行為は独占禁止法が規制対象とする『取引』に当たらず、『変更』も一般消費者の利益に資する目的」と反論していた。
食べログの掲載店舗は約82万件で、うち8割は会員契約を結んでいないが、一方的に点数をつけられている。
食べログ側は評価点について「ユーザーがつけた点数と、そのユーザーの影響度などで決まる」と説明していたが、「評価方法が不透明だ」との指摘を受け、韓流村側にアルゴリズムを開示した。
独禁法とアルゴリズムに関する初の訴訟のため、裁判所は公正取引委員会に意見を求めていた。公取委が20年に公表した「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査」によると、店選びの際、「83%の消費者が店舗の評価を参考にしている」とし、「検索結果の表示順位については、低額な手数料のプランを契約する飲食店より、高額なプランを契約する飲食店を、より上位に表示」と結論づけている。食べログには、月額10万円から1万円まで5つのプランがある。
調査対象となった飲食店からは、「有料加盟店をやめて無料会員になったら点数が大きく下がった。数年してから再び会員になったら点数が戻ったので、何かおかしいのではないかと思っている」という疑問の声が上がっていた。
不当評価と損害の因果関係が証明できれば、他の飲食店も訴訟で勝てるのか。
■過払い金請求と一緒
「過払い金請求と一緒ですよ。右へ倣えで訴訟を起こすケースが増えるかもしれません」と弁護士の山口宏氏がこう続ける。
「誰かが成功すると、それが裁判例となり、弁護士があちこちに『お宅もやりませんか』と声を掛けるかもしれません。何しろ加盟店の数が多いですからね。これまでは評価点が低くても点数を下げられたら困るので、店側も文句が言えなかったのでしょう。突然、点数が下がった話を耳にすれば、たとえ『いいプランに入らないと大変なことになるよ』と言われなくても、店側には無言のプレッシャーがかかります。アルゴリズムを変更する場合にはきちんと根拠を示し、時間を十分設けた上で飲食店側からも意見を聞き、それを考慮しなければならないということです」
今頃、全国の弁護士がソロバンをはじいているかもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fad02ce0a8f4b8cbf00b538a716a2414f0099da3https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/306905