これまで二回は、空港ラウンジにホテルの朝食ライ麦パンと、ちょと怪しげ。ホントに彼の地の人々が日常使いしてるドイツパンとは言い難い。て事で、最終回の三回目は、ホントに街中のパン屋さんで売ってる、こちらの皆さんの食卓にならんでるドイツパンそのもの。
2013年11月29日
オーストリア第三の街、リンツ。周辺地帯は機械産業が盛んであり、ダイムラーベンツやBMWの工場が建つ。日本で言えば、正に名古屋辺りに相当するか。そんな町の目抜き通りは、僅かに1km足らずの短さ。その間に、通りを挟んで三軒程のパン屋がある。今回のお店は、その三軒の中でも、もっともハイエンドっぽい商品構成のお店。ファサードには、誇らしげに「マイスター」の標記があるので、ドイツパンの認定制度である、マイスター資格を有するのかも知れない。
【ロッゲンブロート(ハーフ)】€3.95
ライ麦パン下さいな、とお願いすれば、アホほどデカイのしかない。「こんなの食べれないよ」と言えば、「じゃ半分ね」と、いきなりナイフでズバッ。それでも相当の大きさと、まるで煉瓦のような重たさ。これで\500強という値付けは、日本のライ麦パンの1/3以下である。基本的な物価がほぼ同じ両国なのに、ことドイツパンに関しては、圧倒的に安い。流石にライ麦をふんだんに作付けしてる強みか。
その味わいは、正に本場モノの面目躍如。そもそもライ麦を無理矢理発酵させるための、サワー種が根本的に日本産とは違うのだろう。とにかく酸味が強い。それに独特の強い風味。相当濃い味わいだ。これに比べれば、日本の小麦パンなど、無味無臭と言って良いくらい。しかも画像でお分かりの通り、日本のパンに比べると、とてもマトモに膨らんでるとは言い難い。何と弱々しい気泡か。なのでその食感も、ベタリとしてひたすら重い。コイツは日本人には中々馴染めまい。そんなパンなので、私は軽くトーストしたら、何も付けずにそのままザクバリ。ホントにそのまま食べて美味しい。しかも安い。
今回オーストリアでは、目に付くライ麦パンを可能な限り口にしてみた。ホントにライ麦パンばっかり食べてた。不毛の土地欧州では、育ちやすいが発酵しにくいライ麦を、主食として使わざるを得なかったイニシエの事情。その中で編み出された、工夫に工夫を重ねた、複雑かつ繊細さが要求されるライ麦の発酵制御。これはかなり奥が深い、人知の結晶なのだ。てな訳で、またのめり込む対象を見つけてしまった私、暫くはライ麦パン研究続けるのだろうな・・・