2回
2018/06 訪問
都内有数の珈琲&スイーツ名店ってことで多分異論ないでしょう?皆さん。
かねてから申し上げて来たこと、「珈琲だけじゃ我慢できない」これは、決して単なる甘モノ好きの悪ふざけじゃないのだ。正統珈琲喫茶の要件として、やはり共に提供されるスイーツの、珈琲との相性は実に重要なんだなと思うのである。それは(誤解を恐れずに申し上げるなら・・・)価格で決まる絶対的な味レベルじゃなくて、あくまでも両者の、つまり珈琲とスイーツの相性なんである。どちらが勝ってもアカンのだ。それじゃあ相乗効果が出て来ないのよね。そんな話になると思う。今回は・・・
【オリジナルブレンド】700円
フルシティーやフレンチなんて甘っちょろい焙煎は通り越して、こりゃもう行き着くとこまで逝っちゃったイタリアンロースト。見るからに黒豆。この豆を30gも使って、ネルドリップでジックリとヲタク淹れした液量は僅か110mL。超シックな(分厚い)芳香と喉越しで醸し出される、どマッタリとした味わい。フレンチプレス淹れとは立つ場所が異なるドリップのキレを保ったままのこの分厚さは、う~んと唸った刹那、ニヤリとするのみ。通常のペーパドリップ淹れのキャラを顔料系ペン描画、フレンチプレス淹れのそれを極太毛筆画とするならば、まるで極太平芯で描いたカリグラフィーの様な個性である。この、味エッジのシャープさと骨太さが両立された感じがTIES珈琲の真骨頂じゃないかしら。
【モカ】430円
TIES最強ケーキで多分間違いなし。珈琲との相性の良さは、もはや加算(珈琲+ケーキ)じゃなくて、積算(珈琲×ケーキ)で評価したい。バタクリケーキチック全開のモカケーキは、それ単品であれば、キラ星ケーキが群雄割拠の都内だと精々味☆3.5レベル。なんだけども、ここの珈琲と組合さった時、正にターボチャージが掛かったかの如く、一気に両者のパワーが相乗的に炸裂する。これぞ珈琲喫茶の醍醐味。まぁ騙されたと思って、一欠片モカケーキを口に含んで、今、正に喉を過ぎようかって時に珈琲をグビリと口に含んでみて欲しい。もう笑っちゃうのだ。素敵過ぎて。
【エムショコラ】400円
モカに比べると明らかにターボ加給圧控えめ。積算じゃなくて加算の範疇。もちろんこの辺りは個人の嗜好次第で変わって来るだろうから、色々と実験してみて自分の好みの組合せを見つけるってのも大きな愉しみだろう。むろん、何度か通わねば、つまりそれなりの投資は必要だけれども、それこそ食が趣味ならば全く惜しくはない。
【モンブラン】580円
教則本通りのレシピ。洋マロクリ+ナマクリ+ラム+マログラ+メランジェ。誠に真面目で破綻なき、お手本の様なモンブランだから、かつてモンブラン研究家を名乗った身としては、これでバッチリと言いたい。そう申し上げたいのだが、前出のスーパーコンビネィションの余韻が強烈過ぎて・・・率直に申し上げて珈琲との相性は凡々なんである。比べる相手が悪過ぎるってこと。
【まとめ】
都内には、そりゃもう素晴らしいケーキを提供される頂上パティスリーが散在する。京橋のあの店、自由が丘のあの店、目白のあの店、西荻窪のあの店、どのお店もケーキのハイレベルさには舌を巻く。世界一を争うハズ。にも関わらず、イートインでドリンクと組合わせた時のパワーはTIESのそれに及ばない。それはかなり明確な確信。この事実を改めて舌で受け止めて、店を後にして後、半ば愕然としながら天神坂をフラフラと下る私であった。参ったなぁ・・・TIES。
オリジナルブレンド
左から、エムショコラ、モンブラン、モカ
TIES最強ケーキのモカ
淹れに負けず劣らすカップも一流
珈琲メニュー1
珈琲メニュー2
全ての細部に拘りが滲む店内
通り過ぎてしまいそうな控えめ外観
2018/06/21 更新
2013/11 訪問
珈琲だけじゃ我慢できない 第五回 -計算づくの調和感、この機微は東大若造にゃ勿体無い-
甘モノツアーin東京 第四回戦
旅程はコチラ→食べログレビュアーズ甘モノ遠足「第一回甘モノツアーin東京」
概要はコチラ→食べログレビュアーズ甘モノ遠足はやはり楽しかった。
2013年11月3日
さてさて、甘モノ遠足もココから後半戦。赤坂界隈から本郷まで少し移動時間があっただけに、辺りは初冬のトワイライトで少しひんやり。お陰で眠気も醒めて、気分は一気にリフレッシュである。さぁ、四回戦。カーン!!
【イブラヒムモカ(深煎り)】\800
そもそも本業は、根っからの珈琲屋。珈琲飲んでナンボのお店であることは、入店と同時に嗅覚が直感する。珈琲素人の目が止まったのは、アラビアンなフレーズと深煎りの文字。「コイツだ。絶対!!」、はぁ~珈琲素人のクセして良くもこれほど直感に確信を持てるねぇ。何処から来るの、その自信・・・メニューにはこうある。「マタリ・モカの最高品種。世界のコーヒーの原種となったコーヒーです。浅煎りではワインフレーバーのような上品な香りと広がりのある酸味、深煎りではバニラのような濃厚で甘い香りと豊なコク云々」・・・そんな深煎り原種豆30gを110cc容に淹れ上げた珠玉の一杯。
驚愕は、既に飲む前にやって来た。何だ!?この没頭ヲタクの粘着質な淹れ技は!?ホントに珈琲淹れてるの!?殆ど生化学実験のノリである。その確信に満ちた、細かくもひつこいぐらいの手技一つ一つは、頭と言うより、体に叩き込まれた完全無欠のプロセデュア。こりゃタダモノじゃない店に入ってしまった。淹れを見てるだけで一時間は待てるな。そう思い始めた矢先に、カップはやって来た。
深呼吸一つ。少しばかり舞い上がった気持ちを静めたら、当たり前田のストレートで頂く。一口含んで・・・ガビーン!!その口当たりの濃厚さ。ナッティな影がユックリと鼻に抜ける。しかもこの感じた事のない苦味。単純な苦味とは形容し難い、苦いのに甘い分厚いマイルドさ。その喉越しは、力強いのに、殆ど角が無い。水とは違う、粘度を持った液体。勿論、珈琲なんだからそんなハズはないのだが、そう錯覚してしまう、ベルベットの趣。豆と淹れ技がシンクロしつつ、色濃く投影された初体験の味わい。
【モカ】\400
見るからに珈琲な外観である。リキュールでズクズクになった珈琲スポンジと、モカクリームの積層体。関東ローム層と言うより、シラス台地な地層的積層。モカクリームは上面まで回り込んで、横倒しの大理石柱エンタシス。なるほど、鹿児島の原野に立つ、古代ギリシャの遺構って事ね・・・冗談はさて置き、かなりシッカリした甘味と、全面珈琲のフレイバー。多分、ケーキ単体だと並の味であるハズ。多分と言うのが、実は今回の核心であって、このケーキ、実に珈琲の為のケーキなのである。珈琲の苦味と溶け合うケーキの甘味。一口食べて、一口飲む。或いはその逆。その刹那、信じられない苦味と甘味の相互中和反応が口中で展開する。
【まとめ】
ヲタク珈琲にケーキを合わせると、恐らく☆3.0くらいのケーキが、☆4.0におお化けする。同時に、この個性的なストレート珈琲が、染み入る様に鼻、舌、喉に馴染んで行く。珈琲を惹き立てるケーキに、ケーキを惹き立てる珈琲。良いワインと良いチーズってのとシノニム。二位一体のこのレシピ、東大生も真っ青のインテリジェンス。この調和感は金を払ってでも経験すべきだ(←当たり前でしょ!!)。素晴らしいお店である。参りましたm(- -)m
2014/06/04 更新
珈琲とケーキのハイレベルコラボレィションには、舌が驚くこと請け合い。
2018/06/21 更新