心の奥の方に、ぽっと灯がともるような映画だった。
舞台は、ゲイだけが集まる老人ホーム。かつてカリスマ・ママとして銀座ゲイバーに君臨した卑弥呼(田中泯)が、仲間たちの老後を考えて古いホテルを買い取ってつくった場所だ。
卑弥呼が不治の病を宣告され、その愛人である美しい男(オダギリジョー)が、死ぬ前に生き別れた娘(柴崎コウ)に引き合わせようと、この老人ホームに雇いあげることにすることから、この物語が始まる。
楽しくも悲しい珍騒動。胸を突き刺されるような差別の数々・・・。最初ゲイたちを毛嫌いしていた娘と、年老いたゲイたちの間で不思議な交流が生まれてくる。そのプロセスがなんともおかしくもあり、そして切なくもあり。
お互いの距離がうまく保てないまま、時に傷つけあい、また癒しあい・・・見ているうちに、自分もそこにいるような錯覚。近づけないもどかしさ。ああ、じれったい! そして・・・・。
もちろん、結末をばらすような野暮はやめよう。
だが、なんと素敵な読後感。
個人的にあまり好きになれなかったオダギリジョーだが、「ゆれる」「東京タワー」「転々」・・・と立て続けにみてきて、最近「あ、こいついい役者じゃん」と思えるようになった。今回の役は特にオダギリジョー以外では考えられないほどだ。
そして、なんといっても田中泯の凄み! あの眼の力はすばらしい。・・・そして、セリフ一言の重み。
なんともいえない不思議な映画だが、みて絶対損はない作品だ。