平和構築学の伊勢崎賢治さん(東京外語大)がゲストだった。
シエラレオネやアフガニスタンで、実際に武装解除のネゴシエーターとして活躍し、成果をあげている方だと聞き、どんな人か楽しみにして拝見した。
意外なことに、自分のことを「紛争屋」と称して、自分がやっていることはあくまで「利害調整」だ、とクールに語っているところが、新鮮だった。
大上段の正義を振りかざさない冷静なネゴシエーター。ただいろいろな葛藤があるのも事実のようだ。シエラレオネでは、武装解除のために、6万人を虐殺したとされる人物が恩赦されたこと(その結果、双方が歩み寄ることができたともいう)を苦い思いで振り返る表情が、印象的だった。
また、日本の平和憲法を重視し、それが自分の活動の効果を保証してきたという客観的な事実を例にあげて実証してみせながら、自分は、いわゆる「護憲派」ではないことも強調されていた。
自分たちが交渉できたのも、国連の平和維持軍が駐留し、対立する勢力の停戦が担保されたからこそだという事実。交渉には、武力が必要だとはっきり発言している。
「行使しない武力」「警察力として限定された武力」というものを背景にしなければ、現実的な交渉がなされない・・・これもまた真実であろう。
また、交渉は決して、対立勢力同士が、平和を希求するから歩みよるのではなく、お互いに利益があるから歩み寄るのだという事実も、リアリスティックに語っていた。
無辜の民が理不尽な理由で大量に殺される状態・・・平和でないという状態をそう定義し、「正義という概念の脆弱さ」をきちんと認識しながら、そういう状態をなくしていく・・・今、我々のできることはそれだけだという。また、戦争を肯定する言説が、非常にセクシーなものとして人々に忍び寄っているとも。平和の言説も、対抗してセクシーであらねば、このままではやられてしまうとも語っていた。
平和を構築するためのメソッドを冷徹に追求するリアリスト・・・彼の論を肯定するか否定するかはもちろんさまざまであろうが、現場の人間の言葉がもつ、重さをつくづく感じ、さまざまなことを感じさせられる面白いインタビューだった。