缶詰がご馳走であった戦後欠食児童世代ではないのだが、休日の夕方に一杯やりはじめようかな、というときには結構、コイツの世話になる。
そのままでは冷たいし、全体に甘みが勝った味わいのものが多いから、温めたり、酒を足したり、調味料を加えたりして「手直し」をする。
ま、その手直しの方向は、銀座
ロックフィッシュ間口店主のそれに倣ったものが多いのだが、調味料を七味とうがらしから胡椒に変えたり、山椒を振ってみたりする事で、当然のことながら食べ心地が異なり、これに伴い合う酒も変わるのが面白くない、事もない。
主に使うのは、竹中缶詰のオイルサーヂン、ほていのヤキトリ缶(たれ・しお)、明治屋のウインナ・ソーセージ(これは例外的にそのまま喰う事が多い)、ノザキのコンビーフに牛缶など。
牛缶はよく温めて熱々にし、ここに胡椒を振り、鶏卵の黄身をまぶしながら食うと、存外すき焼きチックで愉しいし、塩味のヤキトリ缶を温め、五香粉などを振ってみると、廉い中華居酒屋のお菜などより、余程本格な風情がある。
要点は、所詮缶詰なのだから、しっかりと「調理」しすぎず、「遊びの気分」でチョッとだけ手を加えるところ。
あ、そういえば近頃、明治屋が出してた「うなぎかばやき」の缶詰を見かけないな。あれ、まだ売ってるのかなあ?