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大箱でも、手作りにこだわる、どれもビールに合う美味しさ
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2017/12/09 更新
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The Hawaii's Best Restaurants
エイ出版より
最近オープンしたレストランで、予想以上に興味深いバックグラウンドを持つのが『マウイ・ブリューイング』だ。母体はマウイ島の地ビールとしてスーパーマーケットでも見かけるハワイ産ビールブランド。僕も一番好きなローカルビールブランドがワイキキのど真ん中にかなり大きな箱で飲食店をオープンしたということで訪れてみると、ビキニブロンドなどのフラッグシップに加え、レストラン限定ビールが10種類、マウイブリューイング以外のクラフトビールが10種類ちょっとと、約30種類以上のドラフトビールがそろっている。そのうえオーダーしたロコモコも洗練されていて美味い。予想以上にレベルが高くて驚いた。缶ビールのデザインを一新するなど、最近かなりブランディングに力を入れている『マウイ・ブリューイング』だが、オーナーが変わったわけではない。よきパートナーとの出会いにより、ブランドが進化しているのだ。
この店でそのクオリティを支えているのは、エグゼクティブ・シェフを務めるテリー・リンチだ。オアフで生まれ、シカゴやウィスコンシンで育った彼は、フランス人の両親を含め料理人一家の出身。自身もパリの名門調理学校『ル・コルドンブルー』にてフランス
料理を習得し、20を越えるレストランの立ち上げに携わるなど、シェフとしてかなりの経歴を持っている。
「いつか生まれ故郷であるハワイに戻って来たいと思っていたところ、数年前に親友であるピーター・メリマンを通して『マウイ・ブリューイング』のオーナーと知り合い意気投合。今回パートナーシップを組んでこの店をオープンできたんです」
料理に関してはすべてを任されているというテリーだが、そのこだわりは相当のものだ。「できる限り地のものを使います。ハワイで素晴らしいものづくりをしている小さな農家やビジネスをサポートするのが一番の目的です」と、ポリシーもある。
そもそも自身が育った実家でもかなり大規模な自家農園を営んでいたそうで、ものづくりの大変さも素晴らしさも知る彼ならではの信念から、食材探しをするときは必ず農園に足を運び、作り手と話をしてから契約をするかどうか決めるという。
「自分と同じ思いでものづくりをしているかを確認することが大事。売れ筋の作物や商品だけでなく、やり取りの中で、売上が伸びないアイテムも聞いて、そこから何をメニューに反映できるかも考えています」
ピザやハンバーガー、ナチョスなど、定番メニューにも必ずハワイ産の食材を使い、ひねりを効かせているのも面白い。ピザ生地やトルティーヤ、マヨネーズやケチャップまでも自家製と言うが、438席もあるこの店でどうしたらここまで手作りにこだわって続け
られるのかと聞いてみると、ハワイの前はラスベガスで毎日4000人が訪れる店を任されており、そこではなんとホイップクリームまで手作りしていたという。
「いかに組織としてマネジメントできるか。今も5人のスーシェフと60人のキッチンスタッフでシフトを組んでいます。どんな店でも大切なのはクオリティ。シェフは一度それを知ったら絶対にクオリティを下げるようなことはできないんです」
家庭でものづくりの本質を学び、旅先ですらできる限り料理学校で料理を学ぶというほどの料理好きに育ったテリーは、シェフとしてもマネージャーとしても一流なのだ。ちなみに、僕のおすすめはメキシコ料理の聖地でもあるオハカで彼が習ってきたという、ナチョスに添えられたサルサ。缶ビールでは味わえないレストラン限定のオリジナルビールを飲みながら、こだわりのメニューの数々を堪能してほしい。