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2位
4回
2020/06訪問 2020/08/27
緊急事態宣言中は我慢していた外食も、ちょっとずつ再開。この日は3月にキープしていた予約の日。ということで、久しぶりに夜の天ぷらを楽しんできたレビューです。
門前仲町駅を使うのはほぼこの「みかわ是山居」の時ぐらい。駅からゆるりと歩いて5分ほど。ちょうどいい頃合いの場所にお店はあります。もちろんお願いしてあるカウンター席。この日はカウンターの一番奥から4人分をご用意いただきました。揚げ場が見える一番いい場所です。
まずは「瓶ビール」を傾けつつ、この日もおまかせがスタート。初夏のコースは、車海老、鱚、煽りいか、海老新杖椀、雲丹大葉巻、茗荷、鮎、めごち、穴子、選べる野菜は椎茸と茄子、天茶にデザートです。
年に3~4回ほど伺っているのに、それでも海老の甘みや煽りいかの柔らかさには毎回毎回驚かされるばかりです。この日は雲丹大葉巻がいつもより大きい気がしたんですが、雲丹が揚げる中で膨らんでいるからだとか。さらに弾けるような旨みに頬が落ちるというものです。
初夏にしか味わえないのは茗荷と鮎。茗荷は揚げているのにシャキっとした食感がまだ残っている感覚。苦味はほぼ消えていて、この食感だけを味わえるというのは不思議な感覚です。
鮎も絶品。まず見た目から。腹鰭や尻鰭がスッと伸び、まるで自立しているかのよう。いやいや自立していますよ。見事な揚げ具合。お味の方は苦味がしっかりと残りつつ、別添で出してくれる蓼酢おろしをたっぷり載せるとその酸味で見事な調和が生み出されています。
蓼酢なんてなかなか口にする機会がないですが、大将が蓼を見せてくれてそのまま食べてみたらと。噛んだ瞬間は味がないように感じますが、途中から痺れるようなビリビリとした刺激が舌に走ります。蓼食う虫も好き好きと言われる所以ですね。これを大根おろしに混ぜることで見事なバランスを生み出しているのだそう。
穴子のホクホクさ、椎茸のジューシーさも毎度感動を提供してくれますねぇ。そうそう、〆の天茶も出汁の旨みがこの日は絶頂。心も体もいっぱいになりました。やっぱり定期的に通わなきゃ、ということで今度は秋の松茸か冬の白子か、はたまたその両方か。楽しみ楽しみ。
季節の変わり目に定期的に伺っている門前仲町の「みかわ是山居」。言わずと知れた天ぷらの神様、早乙女さんのお店です。春の天ぷらはまだ食べてなかったので、年末に予約した時から楽しみにしていました。
この日は揚げ場のすぐ目の前。なかなかいい席に案内してくれました。まずはお疲れビールに「瓶ビール」を頂きつつ、この日もおまかせコースを。春のコースは次の通り。
先付3品、車海老、きす、煽りいか、海老新杖椀、うに大葉巻、タラの芽、白魚、めごち、穴子、野菜2種(アスパラガスと椎茸)、天茶、デザート(ゴールデンオレンジ)です。春の食材はタラの芽と白魚ですね。
毎度毎度驚かされるのは車海老。中がほぼ生かのような絶妙な揚げ具合。そして煽りいかの柔らかさ。ここでいかの天ぷらを食べるともう他の店では食べられない程の感動がいつも味わえます。
そして春の食材。まずはタラの芽。程よい苦味が春の訪れを感じさせてくれます。山菜の天ぷらの中でも一番好きかもしれません。この苦味は昔は好きじゃなかったと思うんですけど、こうして楽しめるようになったのは大人の証ですかね。大人になって随分経ちますけど…
そして白魚。沢山の白魚をババっと目の前に盛ってくれます。これ、大人のスナックって言うんですかね。小さいのに身がしっかりと詰まっていて旨みがあるのと、そこに塩をちょいっと付けて食べると、もう箸が止まりません。あまりにパクパク食べていたからか、ちょっとおまけに5尾ぐらい追加で載せてくれました(笑)
この日は穴子もぷりっぷりの身がいつも以上で素晴らしい感。目の前でカットしてくれて、サクッという音とふわっと上がる湯気。これは動画でしか楽しめないと思いますが、店中のお客さんの視線が集まる瞬間です。
野菜は春ということでアスパラガスを。なかなか見ない太いアスパラは甘みが際立っていて、塩を少し付けて、甘みと塩気の対比を楽しむことができますよ。毎度オーダーする椎茸はこの日も肉厚。ジューシー以外の言葉が浮かばない語彙力のなさを悔やんでしまう、それでいてその言葉を受け止めてくれる椎茸の包容力にも感じ入ってしまいます。
天茶と天丼から選べる〆は天茶に。程よくさっぱりと味わえ、出汁の旨みが体に染み渡るので、やっぱり天茶です。天丼だと〆にはちょっと重いんですよねぇ。
デザートはいきつも花豆でしたが、この日はゴールデンオレンジ。薄皮ごとそのまましゃぶりつきます。この酸味と甘みが〆には合いますね。お腹も心もいっぱいになりました。
ところで、コロナのご時世ということもあり、最近は海外からのお客さんのキャンセルが増えているそう。この日のカウンター席も日本人だけ。こんな光景見たことなかったなぁ。
天ぷらの神様の味を季節ごとに食べたくて、レビューは止まっていましたが3ヶ月ごとぐらいのペースで通っている門前仲町の「みかわ是山居」。この日はまだ頂いていなかった秋の食材。もちろん秋といったら松茸です。9月になれば松茸がコースに出てくるということを確認して伺ってきました。
この日も19時過ぎにお店に到着。もちろん1Fのカウンター席を予約しておきました。嬉しいことに、今回はカウンターの一番奥の席。つまり、店主の早乙女さんが天ぷらを揚げる目の前の席です。ありがたや、ありがたや。
料理はもちろんおまかせ(¥19,440)のみ。初秋の流れは、先付3品・車海老・きす・煽りいか・海老新杖椀・うに大葉巻・新銀杏・松茸・めごち・穴子・野菜(しいたけ・茄子・アスパラ・獅子唐から2種)・天茶(or天丼)・香の物・デザートです。
瓶ビールを頂きつつ、厨房の奥に見える松茸の大きさに目を奪われますが、まずは定番の車海老から。何度頂いても驚く、表面だけカリッと揚がっていながらも中のほぼ生に近い状態、このコントラスト。
そして煽りいか。初めて食べた時にその柔らかさに感動して、思わず隠し包丁の成せる業、と思ったんですが、聞いてみるとそうではないらしく。烏賊の繊維の流れなどをみて計算し尽くすことで生まれる柔らかさなんだとか。見事としか言いようがないですねぇ。
秋の食材は新銀杏と松茸。まずは新銀杏から。噛むとグッと跳ね返ってくるかのような身の詰まった弾力。そして甘みすら感じさせてくれるような濃い味わい。銀杏で驚くことって多分これまでで初めてかも知れません。
そして待ってましたの松茸。最初から目を奪われていましたが、もうサイズが大きい!揚げているところから鼻に届いてくる香り。食べてみると、傘の部分のコリッとした食感、こちら側から食べてください、と言われるのが分かりますねぇ。柄の部分も噛めば噛むほど溢れ出てくる旨み。季節的にはちょっと早い気もしますが、収穫の秋の旨みを堪能できます。
穴子も相変わらずの美味しさ。何度伺っても、目の前でカットしてくれる時の音には周りのお客さんも含めて、思わずわっと声が上がります。薄くカットしているのに揚げるとふんわりとするのも不思議ですね。それでいて見事なまでの身の柔らかさ。何度でもリピートしたくなる味です。
最近の〆は天丼より天茶。優しい味わいの出汁とちょこんと載った山葵と共に食べるかき揚げは絶品で、〆にもピッタリ。次への期待感を醸成してくれます。天丼も美味しいんですけど、個人的には〆にはちょっと重い感もあるんですよね。
そんなこんなで初秋のコースも大満足でご馳走さま。次は白子(菊子)の旨い冬かなぁ、なんて話をしていたら、予約していきます?と聞いてくれたので、そのまま次の予約を(笑)またまた次の楽しみができました。
天ぷらの神様とも称される早乙女哲哉さん。そんな孤高の天ぷらを一度食べてみたくて、「みかわ是山居」のカウンター席を予約して伺ってきました。予約は3ヶ月前で最短でした。
門前仲町からもまぁまぁの距離。まさに住宅街にポツンと現れる店といったところです。
夜の部は17時からと19時半から。19時半ちょうどに店に入ると、同じ時間のお客さん方は既に席に着いていらっしゃいました。料理はおまかせ(¥19,440)のみ。席に座ると、そこからもう料理がスタートです。
まずはビールを傾けながら、厨房に目を向けます。揚げ場のご主人と、衣をつけたり天ぷらをお客さんに出したりするお弟子さんの息の合った動きに思わず見入ってしまいます。
夏真っ只中のこの日のおまかせは次の通り。先付3品・車海老・きす・煽りいか・海老新杖椀・うに大葉巻・稚鮎・みょうが・めごち・穴子・野菜(しいたけ・茄子・アスパラ・獅子唐から2種)・天丼(or天茶)・蜆椀・香の物・デザート。
天ぷらはスタートから驚きの連続。まず車海老。話には聞いていましたが、揚げ時間はかなり短め。薄い衣はサクッと、そして中はほぼ生状態。ものすごい甘みが閉じ込められています。塩とつゆ(夏つゆ)どちらとも合いますが、やはり塩との相性が抜群です。
そして驚いたのは煽りいか。圧倒的な柔らかさ。烏賊と言われなければ、食感だけではそれと気づかないかも知れません。歯の悪い人でも食べられるように、何本も隠し包丁を入れてから揚げることで生まれるこの柔らかさ。こんな烏賊は食べたことがありません。もちろん味はあっさりとしながらも深い深いもの。
うに大葉巻もビックリ。外見は大葉のみ。しかしふっくらとしたフォルムから、中に雲丹が詰まっていることが分かります。パリッと大葉をかじってみると、中にはたっぷりの雲丹が。雲丹と大葉の相性の良さは言わずもがな。さらに塩がそのタッグをさらに引き立ててくれますよ。
稚鮎も素晴らしいですね。丁寧に鰭部分に小麦粉を付けることで、挙げた後に鮎が凛と立っているんです。息をのむような美しさ。その味はしっかりと苦味を残しています。素材そのものの味を決して損なわず、そのポテンシャルを最大限引き立てるような調理。この稚鮎で実感しました。
そして至高の天ぷらは穴子へ。目の前でご主人がシュっとカットしてくれると、あがる湯気と感嘆のため息。周りは外国のお客さんも多かったんですが、この感動は万国共通ですね。
薄く丁寧におろした穴子が揚げると驚きのふっくらさ。身の柔らかさとそれでいて身の凝縮さすらも感じさせる味わい。これはもう、あぁだこうだと言うのではなく、もう味わってこそ分かるもの。天ぷらって美味しいなぁと実感させられます。
天丼前の野菜もさりげなく素晴らしい。2種を選ぶところ、2人で4種を選んで半分づつにしますか、というご提案。遠慮なくそうさせてもらいました。一番感動したのはしいたけ。これでもかと言うほどの肉厚さ。ジューシーなんて言葉が陳腐なほどの旨み。しいたけに感動するなんて思ってもいなかったなぁ。
最後に天丼を頂いてごちそう様。貝柱のかき揚げのふっくらとした揚げ具合と芯を感じさせてくれるような米の炊き加減が絶妙な組合せ。最後まで驚きの旋律を奏で続けてくれるカウンター劇場でした。
全くお客さんの方を見ていないようでいて、食べるタイミングを計っての提供スピード。そしてそれをサポートするサービスレベル。どれを取っても申し分なし。それでいて、妙に緊張させることなくリラックスして食事を楽しめる、そんな店でした。
お会計をして外に出ると、ご主人が店頭の植物を眺めている姿が印象的でした。聞くと、夜にしか咲かない花なのだそうで、そんなことを楽しそうに教えてくれる親しみやすさも。はぁ、次は冬の食材を楽しみにいきたいな。
3位
1回
2018/08訪問 2018/12/20
最近、代々木周辺がハンバーガーで熱いという話。そんな界隈で間違いなくその流れを牽引しているのが、こちらの「ICON(アイコン)」です。場所は小田急線の南新宿駅から徒歩30秒の好立地。JR代々木駅からも徒歩圏内です。
夜にはこちらのハンバーガーをアイコン化した行灯が目印。新宿の隣駅にも関わらず、駅周辺は静かな南新宿。それでも店の中に入れば、熱く盛り上がるハンバーガーが頂けますよ。
まずはお疲れビールで「ハートランド ¥550」を。最近は夜もお客さんが増えてきた感じがしますねぇ。8月に昼の情報番組「ヒルナンデス」で紹介されたことも、集客にいい影響が出ているのかも知れませんね。
番組内ではチーズがあふれ出す「マッカンバーガー」が紹介されていましたが、この日は「りんごバーガー ¥1,800」を頂きました。以前は期間限定で提供されていましたが、最近は数量は限定ながらも食べられる日がありますよ。
何といっても、このビジュアル。りんごがハンバーガーに挟まっているなんていうレベルじゃなく、ハンバーガーに鎮座しているレベル感。食感の異なる2種類の青森産りんごをコンポートしてパティの上に載せています。あまりにも美しいビジュアルに思わず見とれてしまいますよ。
赤ワインと丁寧に煮込んでいるのでシャキっとしながらも柔らかさもあって、とっても食べやすいりんごは程よい甘み。アンガス牛パティの塩気との組合せはもう鉄板の域。どうしてもこの見た目だと、ある種のキワモノ感を抱きがちですが、パティやクリームチーズ、バンズと合わせたこのバランスの良さは、ハンバーガーの王道をいくもの。それでいてフルーツ系バーガーの新境地を垣間見ることのできる一品でした。
「りんごバーガー」以外にも限定バーガーがその時々で各種揃う、その突き抜けたアイディアには脱帽してしまいます。でも、初めてこの店に行かれる際はやっぱりベーシックなバーガーから食べてみてほしいな。2回目以降にこういうバーガーも是非どうぞ。
−−−−−−−−−−−− ICON −−−−−−−−−−−−
■住所:東京都渋谷区代々木2-30-4 ヨシダペアランドB棟101
■TEL:03-6385-2587
■HP:http://burger.tokyo/
■食事日:18.8.3
4位
1回
2018/07訪問 2018/08/26
小田急線は百合ヶ丘駅を出て歩くこと2分ほど。住宅街の入口にある寿司屋「楠本」へ行ってきました。完全予約制という訳ではないですが、予約しておいた方が安心。もちろん立地的にもふらっと立ち寄るという感じではないので、ほぼ予約客のようです。
夜はおまかせコース3種類のみ。握り10貫+小鉢2品(¥7,000)、握り15貫+小鉢2品(¥10,000)、それに料理がつく(¥13,000)の3種類。この日は¥10,000のおまかせコースにしてみました。
まずはビールを頂きつつ、つまみ的に「焼きトウモロコシ」の甘みを味わって、小鉢から。最初は「鱧の竜田揚げ」です。ふっくらとした鱧の身を堪能しつつ、竜田揚げの上には山芋おろしを載せると、より鱧が引き立ちます。
続いて「鰹のタタキ」。新鮮な鰹は味がしっかり。身が引き締まっているので、柔らかくもその弾力に心を魅かれてしまいますね。
そして15貫の握りがスタート。この日のラインナップは、鰈の昆布締め・漬け鮪・縞鯵・鱚・小鯛・烏賊・北寄貝・ねぎとろ・小鰭・帆立・雲丹・中とろ・蟹・喉黒・穴子、そして〆に玉という流れでした。
どれも甲乙付けがたいものの、特に好みだったのは塩を効果的に用いた握り。例えば烏賊は粒のたつ塩が烏賊の滑らかな味わいをグッと引き立ててくれるよう。丁寧に包丁を入れてくれているので、歯触りも抜群に良いというのも特徴です。
さらに雲丹。もちろん海苔はありません。シャリの上にたっぷりの雲丹が鎮座しています。これも塩が良い仕事。単に雲丹の旨みが味わえるというだけでなく、塩というベストパートナーを携えることで、雲丹の持つ力を最大限そのままに味わえるかのようです。
その他には、白身系、特に鰈や鱚の昆布締めがストライク。淡泊ながらも芯のある旨さとでも言うのかな。深みを感じずにはいられません。
北寄貝も好みでした。通常、あまり好んで食べない食材だったりするのですが、この艶やかさと食感には驚かされました。思わずお替りしたくなる一貫。純粋に旨いなと思いましたよ。
ラスト近くで喉黒というのも個人的にはちょっと面白くって。そんなに頻繁に寿司を食べる訳ではないので、喉黒って冬に食べるものだと思っていました。でも、色々見聞きすると夏の喉黒は産卵期だから旨いという人も。要は人それぞれ、好きな時に好きなものを食べればいいじゃんってことですかね。しかしまぁ、濃厚な味わいで、〆にはピッタリだったと思います。
最後に蜆のお椀を頂いてごちそう様。ちょうどいいお腹のたまり具合。15貫で¥10,000は有難いですね。きっと都心のど真ん中で頂いたら倍ぐらいの価格でもおかしくないと思います。今度は冬に食べにいきたいな。
5位
1回
2018/10訪問 2018/11/14
月島の絶品焼肉&ホルモンの店「在市」。前々から行きたいと思っていたところ、ちょうどいいタイミングでお誘い頂いて伺うことができました。
この日は「在市Sコース ¥8,500」にお好みでお酒を色々と。しっかり食べる気持ちでランチを控えめにして準備万端。そんな気持ちを見透かしているように、スタートから「飛騨牛A5サーロイン」が登場です。
大きなサーロインを炙るようにして片面ずつ丁寧に焼いてくれます。半分は粗めに溶かした卵をくぐらせて、残りの半分はその卵とひと口サイズのご飯に巻いて頂きます。見た目からして旨そうなサーロイン。食べてみると、柔らかく、まさに文字通り口の中で溶けていくかのような感覚に包まれます。それにしても卵との相性が良すぎますねぇ。
続いて「飛騨牛タン元」を。網の端で焼いた青ネギをたっぷりと載せて頂きます。この分厚さで柔らかくも、程よい弾力感。噛めば噛むほど口の中に肉の旨みが広がっていきます。これは飲み込むのが勿体ないとまで思わせてくれますよ。
さらに「イチボ」と「リブロース芯」です。イチボは生の黒胡椒と塩で頂きます。この黒胡椒が良い仕事をしています。旨みたっぷりの赤身肉をキュッと引き立ててくれる感覚。肉と一緒に頂くのはもちろん、なんと酒のツマミにもなってしまうと言う万能さ。ちょっと持って帰りたくなりました。
リブロース芯も絶品。こちらは燻製オリーブオイル入りの玉ねぎポン酢にたっぷりと浸して頂きました。それにしても丁寧にお店の方が焼いてくれるのはもちろん、部位ごとに異なる食べ方を提案してくれるのが嬉しいのひと言。やっぱり良い肉を最高の状態で食べたいですものね。
さらに、ハラミ・ランプ・ザブトンとノーガードで肉が押し寄せてきます。この3きょうだいの中では、個人的にやっぱり「ザブトン」が最高でした。
タレに浸した後に、サーロインで使った卵をたっぷりと付けて頂きます。食べてみて驚いたのは、その焼き具合。肉の半分をよく焼きで、残りの半分をレア焼きにするという肉らしさ、いや、憎らしさ。同じ肉で異なる食感や味が楽しめるなんて初めての体験。これはたまりませんよ。
程よくピリッと辛さのある「ユッケジャンスープ」で少し気持ちを落ち着けて、続いては「ごちゃ混ぜ焼き 赤(味噌だれ)」です。赤身の肉汁、ホルモンの旨み、秘伝のたれを混ぜ込んで豪快に焼き上げる、まさにごちゃ混ぜ。それぞれを単独で食べるよりも間違いなく旨みが増している、そんなごちゃ混ぜの極み。これは自分では焼けないなぁ。
そしていよいよ〆は「焼きそば」。やや太めの麺をしっかりと焼いてくれます。食感は極めてもっちり。たっぷりのホルモンと一緒に頂きます。これだけでも絶品なんですが、ここでまた登場するのはサーロインで使った卵。これにくぐらせて頂くと、まろやかなコクが増して幸せに包まれますよ。卵は間違いなく最後までキープしておくべきでしょう。
デザートには「優性卵のプリン」を。甘いものが苦手な人もパクパクと食べてしまう甘さ控えめのプリン。やや固めでしっかりとした卵感が味わえます。硬派な肉にはやっぱり硬派なデザートを。コースの〆にピッタリな一品です。
肉はもちろん酒の品揃えも通好みでした。日本酒・ワインが特に充実していて、その日の仕入れによってラインナップは若干変わると思いますが、お店の方に相談してみるといいと思います。素敵なマリアージュに心も体も満足感で包まれて家路に着くのでした~。
6位
1回
2018/04訪問 2018/05/29
友人が何度もリピートしているので、以前から気になっていた恵比寿の「いまり」にようやく行ってきました。予約して気づいたんですけど、恵比寿にはいまりが2店舗あるそう。今回伺ってきたのは東口側の東京本店ではなく西口側の恵比寿店です。
JR西口を出て渋谷方面へ北上し、五差路を越えてもう少し。駅からだと5分ぐらいの距離でしょうか。これぐらい駅から離れてもまだまだ飲食店は沢山ありますねぇ。
お好み焼き屋にしてはオシャレすぎるぐらい照度を落とし、黒を基調とした店内。でも、テーブルの真ん中に鉄板が設置してあり、店内に心地よく響くお店の方の声はやっぱりお好み焼き屋です。
まずはお疲れビールを。ビール以外にもサワーから焼酎、日本酒にワインと一通りのアルコール類が揃っています。ビールの後にはずっとスッキリ爽やかな「レモン酎」を頂きました。
料理は鉄板を使う前に一品モノから。「ピリ辛もやし ¥400」に「菜の花のおひたし ¥450(だったかな)」から。鉄板の上に木の厚めの板を置き、その上にお皿に盛った一品料理を提供してくれます。これらの他にも一品モノが充実していて、ビールのお供にピッタリです。
鉄板を使う料理は、まず「あごすじと下足塩焼き ¥850」から。鉄板を使うと言っても、基本的にこの後のお好み焼きも含めて、お店の方が焼いてきてくれたものを鉄板上で保温的に使用します。噛めば噛むほど旨みが出てくるあごすじに、コリっとした下足(げそ)。うーん、ずっと口の中に入れていたい気分。これは好みの味。
そして「いまりのとん平焼き ¥650」に。とん平焼きって好きなんですよね。ソースがたっぷりとかかっていて、見た目からして美味しそう。食べてみると、玉子と豚肉に甘みのある野菜。もうこれはまさに鉄板。いや、ダジャレじゃないですよ。間違いない一品。
そろそろメインに。と言うことで、まずは「おかんねぎ焼き ¥1,200」から。見るからにネギが沢山。いやいや嬉しいな。そのままでも充分に味付けされていますが、途中でゆずタレを付けてもまた美味しいんです。ネギの香ばしさとゆずの華やかさ、いやぁ、これは合いますね。焼き加減も絶妙。端が少し焦げがある程度。これ以上焼きすぎずの絶妙さです。
そして「昔ながらの大阪モダン ¥1,000」を。先ほどのおかん焼きといい、こちらのモダン焼きといい、メニュー名の割には出てくる料理はちょっとスタイリッシュさも感じられます。お好み焼きにスタイリッシュって言葉がいいのかは分かりませんけど(笑)
広島焼きと違って焼きそばではなく、ベビースターを少し入れているのが特徴的。ふわっとした焼き具合でありながら、しっかり中の具が詰まっている、そんな二面性を持っているのがまた憎らしい。つまり、美味しいってことです。
デザートにアイス(味は日替わり)を頂いてごちそう様。「いまりのマル投げ」というお任せコースもあるようなので、今度はそれにしてみようかな。
7位
1回
2018/04訪問 2018/10/31
神保町の「味噌鐵カギロイ」。様々な味噌を使った料理が頂けるということで、ワクワクしながら伺ってきました。
駅から近いにも関わらず、賑やかな通りから一本入っただけで落ち着いた雰囲気もある場所。そこに趣のある古民家が。この建物を1~3Fまで全部リノベーションしてレストランにしています。リノベと言っても、かなり元の古民家を生かした造りなので、とっても馴染んだ雰囲気です。
まずはビールを頂きつつ、たぶん誰もがオーダーすると思われる「嘗め味噌 ¥400」を。8種類ある味噌の中から選んだのは、にんにく味噌・金山寺味噌・鯛味噌の3つ。
そのままペロリと嘗めるのでもいいですし、ビールというか、日本酒のあてにピッタリ。また、「産直農家さんの新鮮有機野菜 ¥250」と一緒に食べると、フレッシュな野菜の味わいがより引き立ちます。敢えて特徴の異なる3つを選んだだけあって、違いがはっきり分かります。特に鯛味噌のわしわしとした身の食感と旨みの組合せは、個人的にかなりの好みでした。
そうこうしているうちに早速、日本酒に移りまして。日本各地のいいところのモノが揃っています。それに合わせるのは「卵黄の味噌漬け ¥450」。これ、もう見た目だけでため息が出ますねぇ。ちびちびと行きたいですが、思い切ってパクッと2口ぐらいで食べてやりましょう。
続いて「くるみとゴルゴンゾーラ焼きみそ ¥450」。味噌とチーズの相性は言わずもがな。ゴルゴンゾーラの良い意味での臭みは味噌で調和され、その深みだけが残っている印象です。これも日本酒にピッタリで困ります(笑)
「えぞ鹿の味噌漬け焼き ¥850」も美味しいんです。外は焦げ目が付きながらも、中は赤身が残る程度の焼き具合。噛みしめる程に鹿の野性味あふれる強みというか、力強い肉質が味わえます。
肉と言えば、「和牛ハンバーグ ¥950」も。静岡育ちのハンバーグとたっぷりのキノコを包み焼きにしています。これも味噌の風味が楽しめますが、他のメニューと比べると、ちょっとインパクトが弱いかなぁ。それだけ他のメニューが立っているってことかも知れませんけどね。
〆にはやっぱりご飯もの。ということで、「銀シャリとジャコ味噌 ¥300」に「新玉ねぎと油揚の味噌汁 ¥350」を頂きました。すっかり食べて日本酒もしっかり頂いて、最後に白米と味噌汁で〆。これって最高の贅沢ですよね。
古民家リノベということで、格式高かったり、女子力高めだったりするのかな、とも思いましたが、近隣のサラリーマンがTGIF的に使っていたりもして、使い勝手の良さを感じました。3Fの座敷は長居するにはちょっと足が辛いというのも否めませんが、悪酔いせずに済むという巧妙もありますし、また他の嘗味噌を味わいに来ようかな。
8位
1回
2018/10訪問 2019/01/01
町田の郊外にある「農家料理 高宮」。町田のイメージからはちょっと想像しないような山の近くにある自然食のレストランです。最寄駅は…ないんですが、敢えていうなら小田急線の鶴川か玉川学園前でしょうか。バスでアクセスもできますが、車でいくのが一番楽だと思います。
畑を有する一軒家レストランの外観。お店の入口で靴を脱いで店内に入ると、決して広いとは言えませんが、ウッド調の落ち着いた雰囲気。大きな窓から入る自然光も気持ちがいいですね。
メニューはかなりシンプル。先付・八寸・本膳にデザートが付いて¥2,000のコースに、あとは刺身が付いたコースなどの3種類。その他には「お子様セット ¥900」があるだけです。
ゆっくりと一品ずつ提供してくれます。まずは先付。この日は「ごま豆腐」でした。弾力のある濃厚なごま豆腐。山葵をちょこんと載せて頂きます。まるで餅かのような見事なまでの弾力。そして味わい深さがたまりません。
続いて八寸。畑で採れた野菜の他、魚やチーズ、肉もチラホラと。個人的には茗荷の味の濃さにちょっと驚いたというか何と言うか。それにしても、見た目も美しいですね。飾らない中にある美しさというんでしょうか。農家だった祖父の家に昔、遊びにいった時のようなそんな感覚に包まれました。
そしていよいよ本膳。羽釜で炊いた炊き込みご飯に、キノコたっぷりのすまし汁、漬物、野菜炒め、茶碗蒸しに天ぷらと盛り沢山です。
何といってもまずは炊き込みご飯です。ひと粒ひと粒がとても立っているんですよね。やや固めの炊き具合に、しっかりと染みだした出汁の味。たっぷり入ったゴボウにいい具合のおこげ。このご飯だけでもお腹いっぱい食べたくなりますよ。お替りもどんどんしてねとオススメしてくれるので、遠慮なくお替りしてしまいました。
天ぷらも美味しいです。サツマイモにアケビ、そして梅干しの3種類。いやぁ、梅干しを天ぷらにするんですね! 初めて食べました。食べてみるとその酸っぱさだけでなく、ほのかに感じる甘み。その調和はまるで杏のような味わい。これは美味しいなぁ。
これだけ頂いて、しかもデザートまで付いて¥2,000というのはかなりお得かも知れません。
ちなみに「お子様ランチ ¥900」的なメニューもあって、こちらは炊き込みご飯、すまし汁、野菜料理2種、茶碗蒸し、デザート。これまたかなりのお得感。野菜中心の料理だと子供的にはちょっと飽きるかなと思いましたが、最後までパクパクと食べきっていました。
なお、お店の方は親子で切り盛りされています。年配のお父さんは、電話で予約をした際にはちょっとぶっきらぼうな感じかと思いましたが、店で話してみるととっても気さくで良い方でした。ちょっとアクセスに難はありますが、これは季節の変わり目に通ってみたい店ですねぇ。今度は春の食材を食べにいってみようかな。
9位
1回
2018/04訪問 2018/09/16
地元から遊びにきた両親を連れてのランチ。リクエストを聞いてみたら蕎麦が食べたい、と。それならうってつけの店があるなと思いだしたのが、こちらのたまプラーザ「手打そば 風來蕎」です。
たまプラーザ駅の南口からゆっくり歩いて3分ほど。駅前の喧噪から抜けて住宅街に入ろうかという立地。
5年連続でミシュラン1つ星ということで、並びは覚悟しなきゃいけないかなと、開店20分前に店に着きました。それで4組目なので、まぁ許容範囲ですかね。並ぶのは嫌いなんですけど。11:30になると、サクサクと店内に案内してくれたので安心しました。ちなみにコースであれば予約もできるようですね。
オーダーしたのは「自然薯つけとろ ¥1,530」に季節メニューの「たけのこと春野菜の天ぷらせいろ ¥1,730」。それに「季節のそばがき ¥1,000」「そば稲荷 ¥230/1個」「天ぷら盛り合わせ ¥1,800」など。
蕎麦が出てくるまでつまんでいた「季節のそばがき」は通常のそばがきよりも、田舎そばらしい風味が味わえるもの。少し醤油を垂らしていただくと、そのもっちりとした食感とさらに引き立つ風味が口いっぱいに広がるのを楽しめます。
「自然薯つけとろ」はご主人の出身である山口から届いた自然薯を使用しているそう。かなりの粘り気。混ぜて伸ばすと、箸で全部持ち上がってしまうほど。これは期待できますね。
蕎麦自体は細くもなく太くもなく、良い意味でややランダムな切り口が蕎麦をよりダイレクトに味わえるような気がします。量は思ったよりも多い印象。大盛りにしなくても充分お腹にたまる量だと思います。いや、それはサイドメニューを頼みすぎたからかな(笑)
天ぷらはちょっと高いかなぁ。海老2本にカボチャや椎茸、人参などが2つずつ、その他少し。もちろん美味しいんですけど、蕎麦と比べると満足感はもう一つかも。
面白かったのは「蕎麦いなり」。分厚い揚げに包まれた蕎麦のいなりは、見るからに具がパンパン。食べてみるとその密度に驚きます。お土産にも人気と言うのも頷けます。
食べ終わる頃にはすっかり店内は満席。外に待っている人もいるほど。それも地元の方が多く使っている印象です。気軽にミシュランの味が楽しめるのは有難いですしね。今度はコースをオーダーしてみようかな。
10位
1回
2018/02訪問 2018/08/22
名古屋駅からあおなみ線に乗って1駅2分のささしまライブ駅。その駅前に2017年10月オープンしたグローバルゲートにある「ザ・コーナーハンバーガー&サルーン(THE CORNER Hamburger&Saloon)」グローバルゲート店へ行ってきましたよ。
こちらの店は、国際センター駅近く、円頓寺商店街にある本店の2号店。本店に伺ったのは2010年だから、もう7年以上前!その頃はオープンして間もない頃でしたが、なんとこんな大きな商業施設に新店を開かれるなんてビックリですね~。
仕事中なので「オレンジジュース」を頂きます。ガラス張りのファサードで天井が高い店内。開放感があって気持ちいいのに加えて、NYにありそうなカッコいい内装。本店にもあったカウンター席がこちらの店にも一部取り入れられているのが印象的です。
ハンバーガーはこちら。もちろん「ベーコンチーズバーガー ¥1,328」です。以前、と言っても7年以上前ですけど、その頃と比べてギュッと凝縮されたようなビジュアルにちょっと変わりましたかねぇ。
一番の特徴は何といってもビーフパティ。ミディアムからミディアムレアの焼き具合。肉の旨みがストレートに伝わってきます。噛むと肉汁がじわーっと口の中に広がっていきます。ナツメグやスパイスを使ったオニオンベースのソースの組合せが抜群。チェダーチーズの絡み具合も食欲をそそりますよね。
バンズはふかっとした焼きあがり。ほのかな弾力が心地よいですねぇ。裏面を少し焦げ目がつくぐらいに焼いてあって、なかなかに香ばしいです。全体としては、見た目からも感じた凝縮感が味からも伝わってきて、ややコンパクトながらも食べ応えのあるハンバーガーに仕上がっています。
選べるサイドメニューはマッシュポテトに。これはボリューム満点です。付け合わせのサラダもかなり盛り盛りで、ハンバーガー以外でも結構お腹いっぱいになっちゃうかも知れませんよ。
店名のようにSaloon(酒場)のように、ハンバーガーを食べながら気軽に集える空間になりそうですね。近所にあったら仕事帰りにふらっと立ち寄りたいなぁ。
−−−−− THE CORNER Hamburger&Saloon −−−−−−
■住所:愛知県名古屋市中村区平池町4-60-12グローバルゲート1F
■TEL:052-485-8212
■HP:http://saloon-thecorner.com
■食事日:18.2.17
江戸料理の神髄が食べられる店が秋田にあると聞いて。つてを辿って予約してもらい伺ってきたのは「日本料理 たかむら」。完全予約制、加えてほぼ会員制になっているようなので、有難い機会をいただきました。
ホテルやレストランが途切れ、住宅街に入りそうな落ち着いた辺りに店を構えるこちらのお店。心躍らせながら店に入ると、木を中心とした落ち着いた、それでいてオープンキッチンの活気も伝わってくる素敵な空間が広がっていました。
キッチン前のカウンター席に案内してもらい、まずは八寸をいただきます。スタートから見事な美しさ。特に好みだったのは、岡山から届いた蝦蛄のふわっとしながらも締まった身の食感。そしてこだわりの、かすべ。江戸風に醤油ベースで作ったという一品は、じんわりと口の中に旨みが広がっていきます。
続いて「九十九里から届いた蛤」を。秋田だけでなく人口が減る地方では一般的に食べ手も絶対数が減っているので、なかなかいい食材が届かなくなるそう。そんな中、久しぶりに届いたという大ぶりな蛤は、プリッとした身の弾力がたまりません。
さらに「香茸の茶碗蒸し」。これ、見た目はなんとも地味なんですが(失礼!)、風味がたまりません。名前の通りの素晴らしい香りを放つ香茸を餡にして、北海道の百合根を噛みしめます。喉の奥にすーっと届く熱々の餡とその香りが、喉を通じて体中を癒してくれるようです。
お椀が続きまして「豆腐がゆのお椀」を。舞茸・松茸・網茸・しめじの4種のキノコを用いています。これもその香り豊かさにまず驚きますが、主役は何といっても豆腐。賽の目状に細かく丁寧にカットしてあるので、豆腐が粥として、さらりと他の食材を引き立てつつ、それでいて柔らかくサラリと喉の奥へと通っていく、この体験はなかなか味わえませんねぇ。驚きの連続です。
お造りは「黒鯛・鮪・アオリイカ」です。特に鮪はまるで霜降りの肉のような脂ののり具合。口の中でとろける、なんて表現がチープすぎる程、滑らかに、口の中に広がっていく感覚です。
そしていよいよメインのスペシャリテ。「朝締め比内地鶏の首皮包み焼き」です。内臓以外の比内地鶏の部位全てを首の皮に詰め込んで焼き上げるもの。目の前の炭台で最後の仕上げを丁寧に、本当に丁寧に焼いてくれます。まずここまで大きな首の皮を使えること自体が稀有なのだそう。
カットしてくれて断面をみてみると、焦げ目のついた皮と中の少しピンク色の残る具の対比に見とれてしまいます。様々な部位を中にびっしりと詰め込んでいるので、多様な食感や味が楽しめるんです。これは今まで食べたことがない味わい。特製の辛味噌を少し付けて食べるもよし、そのまま食べるもよし。ジューシーさとカリッと焼きあがる皮の香ばしさに心を奪われてしまいました。
そろそろ〆に近づいてきまして。「龍願穴子」です。鶉の玉子を中心に穴子を丁寧に巻いたもの。まさに竜の眼のようですね。じっくりと煮込まれているので、ほろほろと崩れるような穴子と鶉の玉子はまさにベストマッチです。
さらに「鯵の海苔焼き」と「イクラの春巻き」を挟みまして、いよいよ楽しい時間も〆です。「毛蟹のご飯」と「たかむら麺」です。特に後者に心を掴まれます。担々麺のつけ汁に付けて頂きます。
麺自体の不思議な弾力と味わいはもちろん、このつけ汁との相性が抜群。日本料理の概念からはなかなか想像もつかない一品が最後に出てくることが、まさに伝統と革新なんだろうなと、勝手ながら思わされました。それは最後にデザートとして頂いた「モンブラン」も。意外性がありながら、意外という言葉や思いこそがこちらの勝手な思い込みなんじゃないかと気づかされます。
もちろん合わせて頂いた日本酒の数々も見事なラインナップです。特にこの店の料理に合うように作られた新政の別注もの。是非、味わってもらいたい一杯です。
しかしまぁ、これだけの料理を生み出す高村さんの話を気軽に聞きながら味わえる、この店の設計も見事なもの。厨房とカウンター席の間にお店の方が通れる動線が一本あって、ここでコミュニケーションを取ったり、最後の仕上げをしたり、そしてもちろんサーブもしたりと大活躍。この一本が客とお店の関係を緩く繋げてくれる空間なんでしょうね。
そんなこんなで心も体も満腹でお店を後にしました。いやぁ、今度は春の食材で堪能させてもらいたいなぁ!