この口コミは、NishiazabuBoyさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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夜の点数：4.0
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￥10,000～￥14,999 / 1人
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料理・味 4.0
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|サービス 4.0
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|雰囲気 4.0
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|CP 4.5
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|酒・ドリンク 4.0
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［ 料理・味4.0
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| サービス4.0
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| 雰囲気4.0
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| CP4.5
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| 酒・ドリンク4.0 ］
まるで異国の田舎町の夜宴に紛れ込んだような、心踊る食体験
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2025/03/27 更新
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小さな白い木の扉。その奥に広がるのは、打ちっぱなしの空間ながらも、どこか温かみを感じる異国情緒溢れる空気。中国南西部、少数民族の家庭でふるまわれていそうな、素朴でいて力強い料理の数々。久しぶりの訪問は、8年ぶり。店の空気は少しも色褪せず、むしろ今が一番、いい時を迎えているような印象を受けた。
まず運ばれてきたのは、4品の小さな前菜が盛られた「ウェルカムバスケット」。茎ブロッコリーの冷製には怪味ソースがかけられ、ねっとりとした旨味に複雑な香辛料の余韻が続く。続くホタルイカは新生姜のピクルスに漬けられ、山椒の香りがふわりと立ち上がる。豆腐は細切りにされ、そこに白く繊細な“雪うるい”が寄り添う。葱油の香ばしさが食欲を静かに刺激する。そしてサクラマスは、プーアール茶で燻されており、口に含むとまるで熟成肉のようなコクが広がった。
本番はここから。次々と熱々の大皿が現れ、まるで山の向こうに続く宴のような心地に包まれる。中国原産のちりめん状の葉野菜“ターサイ”を、雲南唐辛子と共に強火で炒めた一皿は、歯ごたえのある茎のシャキシャキ感と、豆板醤の香りが絶妙に絡み合い、火の力を感じさせる豪快な味わいだった。続く一皿は、発芽大豆とササゲの漬物を、ひき肉と炒めたもの。アフリカ原産の豆“ササゲ”がこの場所でこう料理されるとは。柔らかくも歯応えを残した絶妙な大豆の中に、そっとパクチーの香りが潜んでいる。
ホワイトアスパラは、大坪農園から届いた極上の一本をスパイスとともに揚げたフリット仕立て。衣は軽く、サクッとした歯触りのすぐ奥に、瑞々しく甘い春の気配があった。ライムをひと絞りすれば、その香りと酸が甘さを際立たせ、思わず無言で頷く。続くのは、姐さん手作りという発酵唐辛子のペーストを使った鶏の蒸し物。舌にのせるとスパイスと酸味が広がり、まるで東南アジアのカルパッチョのような異国の風が吹く。
その後も、甘鯛を香ばしく揚げた皿には雲南唐辛子醤油が香りを添え、木姜の柑橘のような香りがアクセントに。ふわふわのオムレツには一番摘みの新茶が練り込まれ、口に含めば春の苦味と茶葉の香りが優しく広がる。そして、自家製の干し肉と生筍、キャベツを炒めた“田舎炒め”は、この店の原点を感じるような、質朴でいて力強い皿だった。
食事の終わりには、店から麻婆豆腐がサービスで供される。濃厚で香り高く、舌に残る余韻までもが計算されたような完成度。写真を見返すと、記憶にない“そば”のようなものが写っていたが、どうやらそれもサービスだったのか？酔いのせいで覚えていないのが惜しい。
惜しむは、春巻きがなかったこと。
でも、それは次の楽しみに取っておこう。
当時は予約が取りづらかったこの店。今はどうだろう？また少し通ってみたい。
ひと皿ごとに驚きが詰まっていて、4人以上のグループでわいわい楽しむのが断然おすすめ。
まるで遠くの見知らぬ土地で、旅の途中に立ち寄った家に迎え入れられたような——
そんな、心と舌が踊る夜を過ごせるお店。