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1回
夜の点数:5.0
昼の点数:5.0
2009/08 訪問
夜の点数:5.0
昼の点数:5.0
味が変わらないことは手を抜いてない証拠
2009/09/18 更新
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ステキなお店にはいくつかの種類があるものだ。
まず一つ目はファンタジックなお店。味が創造的、盛り付けも独創的なお店。楽しい食事をめしあがれ、というお店。
次に二つ目はよそいきのお店。大事な人をおもてなししたり、皆で和気藹々したい時にとっても重宝するお店。確かな名脇役。
そして三つ目。第二の我が家となるお店。
一つ目、二つ目っていうのは割りと簡単に見つかるものだし、気持ち的にはどちらかというと、ハレの日に訪れたいもの。けれども三つ目は全く異なり、どちらかというとケの日の方、よそいきする程でもないけど食事はちょっと外で行いたいワネ、なーんてな時など気負いなく訪れるお店がやっぱり二つ三つは持ちたいところ。
このお店はまさに私の三つ目のお店の一つ。
味付けはあっさりめで確かに奇をてらったというような味や料理は出てこないけれども、ここならいつでもご飯を食べに来てもいい。そう断言してもいいお店だ。
三つ目はサカキシンイチロウさんの本にも載ってあった気がするけれども、(1)家の近所で(2)そこそこの値段で(3)美味しいお店、という条件が揃わないとダメ。私の場合、この3つに加えて(4)「胃袋にもたれないお店」というのが更に含まれる。この料理なら自分は毎日食べられるかどうか、ここが三つ目のお店になれるかどうかの境界線だと思う。
そしてもっと必須の条件がある。それは、(5)味が一定であること。
このお店に来るたび、とっても幸せな気持ちになる。油は控えめというわけではないけれども、だからといってあぶらぎる、というわけでもない。料理に出される野菜は炒められてもしゃきっとしている。目の前に花が開く、というような味付けではないけれど、口に馴染み、胃にも馴染む滑らかな味付け、だからといって薄味というわけでもないのよネ。
色合い豊かなお皿も素敵だ。木耳と豚に青梗菜が入った野菜炒めは色鮮やかだし、五目そばは大きな器ににんじんやキャベツやいろいろな野菜が取り混ぜて入ってくる。すごくシンプルであるけれども真っ当な料理がいつも出されてくる。そして、ここが一番肝心だけれども、素直に美味しいと思える料理が出てくること。
いつだったか、当主が体を壊してお店に出ない時があった。その時に丁度お店にやって来たのだが、非常に驚いたことがあった。スープの味が異なるのだ。何度もこのお店に足しげく通ってきた。けれども、一度だって味が変わったなんてことは思いもしなかったし、そんな言葉が脳裏に浮かぶはずもなかった。それは、私が意識しないだけで、当主の手で丹念に守られているのだ。
味が変わらないことは手を抜かないこと。ほんのちょっと変わるだけで、客というのは敏感に察してしまうのだ。通っていれば通っているほど、その些細な出来事が響いてしまう。
背の高い料理人が、ちょっと天井が低めの厨房でせせこましいながらも料理をしている厨房、いつもステキな笑顔を見せて注文をとりにきてくれる女将さん。その風景の中に、でしゃばりすぎず、及び腰すぎず、けれどもちゃんと胃袋まで満足させてくれる料理は、ホテルのサーブのようにスマートという言葉が似合う。
惜しむらくは、炒飯と酢豚と五目そばだけで美味しく過ごせるので、他のメニューまであまり手がまわらないというぐらい。