呑助さんが投稿したひろ作(東京/新橋)の口コミ詳細

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ひろ作新橋、内幸町、汐留/日本料理

1

  • 昼の点数:5.0

    • ¥2,000~¥2,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 3.5
      • |雰囲気 3.5
      • |CP 4.0
      • |酒・ドリンク -
1回目

2011/02 訪問

  • 昼の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス3.5
    • | 雰囲気3.5
    • | CP4.0
    • | 酒・ドリンク-
    ¥2,000~¥2,999
    / 1人

参りました! の400軒目

素晴らしい蕎麦でした。

饂飩文化圏生まれの自分はどうにも蕎麦は語るには未熟過ぎるのですが、一言、「参りました」
薀蓄を語るほど各地の蕎麦を、ましてや都内の定番とも言える有名店をくまなく食べ歩いている訳でもない。
そんなレベルですが、とにかくこんなに感動した蕎麦は初めてです。

一年近く食事を共にする機会がなかった方から、予約困難だけどどうしても行きたい店があるからと誘われ
「そこって、ひろ作じゃないですか?」と便乗した次第。

事前に他のレビューは何も見れていないまま、先入観無しで行くのもよかろうとランチ開始の12時前に
カウンターへ座りました。ご主人の仕事が目の前で見える特等席です。
(こちらは予約の時間は厳守で10分前には入店してもらいたいとのこと)
カウンター6席、テーブル4席と小さな店内で奥方と二人で営まれているようです。

★順番は逆ですけど、感動した蕎麦のことから。

ご主人は開始時間直前まで蕎麦の準備に余念がなく、丁寧に切り揃えた蕎麦を木箱に入れ、乾燥防止に
布巾で覆っています。

蕎麦だけでなくて全ての料理がそうなのですが、ご主人の素材に向かう丁寧な姿勢と言いますか、
素材に尊敬の念を払っているかのような姿勢が滲み出ているところから、まず感動しました。
長年の経験がなせる業(わざ)なのかどうかわかりません。
こういうオーラを感じさせる料理人はさすがに限られると思います。
値段とか店の大きさじゃないです。

蕎麦は客ごとに茹で上げ、まとめて茹で上げるなんてことは当然ありません。
こちらの食べ具合を見ながら微妙な時間差で茹で上げていきます。

さっと冷水で〆てざるに盛るのですが、水切りの姿からして丁寧に振り、軽く手を押してと蕎麦への愛情が
溢れています。

目の前のカウンターに置かれるのですが、その瞬間から仄かながら蕎麦の香りがふわりと鼻をくすぐり
それだけで笑みが浮かんでしまします。
こんなに丁寧に作られた蕎麦を目の前にして誰しもがこうなるに違いないでしょう。

この白っぽい感じは更科というのですかね。
軽く数本手繰ってそのまま口へ。
今まで食べた蕎麦より香りの抜けかたが違うというか、細い細い蕎麦なのにどこにこんな香りが隠れて
いるのだろうと言いたくなります。

夏場に水蕎麦にして食べても(果てしてこういう食べ方が正しいのかわかりませんが)きっと水にも
この蕎麦の香りが移って美味しいに違いないなんて想像してしまいました。
連れの方は日本橋の生まれ育ちですが、思わず顔を見合わせて無言で頷き合います。

蕎麦つゆは藪系の濃い目のつゆを想像していましたが、意外に軽めで拍子抜けしました。
いろいろなつけ加減で試しましたが、1/3程度つけて食べるのが一番こちらの蕎麦とだしの香りを活かす
にはいいように思いました。あくまで個人的にはですけどね。
薬味はもちろん付いてきますが、あまり要らないように思いました。葱も山葵もややこの蕎麦の香りを
覆い隠すような、そんな気がします。

蕎麦湯は酒器としても使えそうな備前焼き風の片口に入って出てきます。
程よいグルテンの溶け出した粘り気もありながらさらり。
この蕎麦湯がまた美味しい。飲んだ後からえも言われぬ甘みがじわりと舌に浮き上がってきます。
麦焼酎をこの蕎麦湯で割るといいでしょうね。芋だと芋の香りが強すぎて勿体ない感じです。

食べていて嬉しくて笑ってしまい、美味しさに感動して涙してしまいました。
食べながら涙したのは本当に久しぶりです。(しかも素面です)
昔の銀座「きよ田」(今のお店とは別です)の新津氏の握りを食べたとき以来のような気がします。

正直、ここまで感動するとは思わなかったので自分でも意外でしたが、それだけ料理も店の雰囲気も
ツボに嵌ったということなのだと思います。

★他コースの料理について
・湯葉の蕎麦湯仕立て(?)
 ミニ土鍋みたいなものでクツクツ温めた状態で出されます。
 山葵を溶きながらスプーンで一口ずつ。ピュアな湯葉の香りがとてもかぐわしく、湯葉の混じりけのない
 味がコース序盤として口の中を中性にしてくれる、そんな一品。
・お造り
 この日は鯛の薄造り。ちゃんと寝かせてから出しているのが歯ごたえでわかります。
 菜の花と本山葵添え。
・揚げ物
 子持ちの魚と竹の子に蕗のとうですか。
 本物のししゃもかなと思いましたが、鱗の文様からはちかみたいです。
 付け塩がありますが、要らないくらい味がしっかりしていて、これはまた日本酒が欲しくなりますね。
・ご飯もの
 蒸したもち米に刻んだ大根のお漬物を散らした一口サイズ。
・水菓子
 柑橘類のゼリー寄せ。

これで2,500円とは素晴らしいの一言。

夜の部は予約必至のようですが、酒呑みの立場としてもこれらの味付けと調理のレベルを見ると是非とも
一度体験してみたいと思います。

奥方との息の合った自然体のサービスもあり、昼だけの短いコースなのに本当に感動しました。

  • 湯葉

  • 刺身(小鯛)

  • 揚げ物

  • 揚げ物

  • 付け塩

  • 蒸し飯

  • 蒸し飯

  • サラッとしたツユ

  • 蕎麦

  • 蕎麦

  • 蕎麦湯

  • 蕎麦湯

  • 果のもの

  • 外観

  • 看板

2021/06/07 更新

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