はい、私は京都人です。京都には少し内向きな文化があります。
木綿を着てても内側は正絹のようなことが「良し」とされています。
ここで問題なのはこれを「粋」だと勘違いしている人たちがいることです。
つつましやかなことが「良い」のであって贅沢を隠すのが「粋」ではないということなのです。
表題の件も良く取り沙汰されます。
「ウチのお店は一見さん云々」ですがこれは決して格式があるだからではないのです。
<料金計算がすぐに出来ない>
お茶屋というのはレンタルスペースです。
料理は料理屋から、舞妓は置き屋から来ます。
舞妓さんは時間制、食事が終わってもそのままついてこられる場合もあります。
その場で会計ができるわけが無いです。
ではどうするのか?掛け売りしか仕方が無いのです。
ということは信用調査が必要になります。でも初めてのお客さんでは信用調査もできません。
となると紹介者の口座として取り扱うしかなくなります。
格式があるからでなくマネーフロー上、その場決済できないことにあります。
<現金を渡す瞬間が連れの前では無粋>
一体いくらなんだろうと煙に巻くのが京都の人は好きなんでしょうか。
財布も出さずにさっと席を立って帰るというのが
お連れさんに対しても途切れない気配りが出来るというものです。
笑い話を一つ。というか悪い例です。
昔韓国の友人、というよりも大先輩にあたる社長達を接待することになりました。
京都らしいところということで私が行きつけの料亭を予約して大宴会です。
花街からも少し御酌に来て頂き彼らも大満足でした。
ところが宴も終りにさしかかり突然友人たちが目配せをして鋭い語気で韓国語で話しをしていました。
すると一人がトイレだと言って席を立ったのです。私はそろそろ会計をせねばと思い席を立つとなんとレジで先ほどの友人が会計をしているではないですか!!!
私はこれほど悔しい思いをしたことがないですし、お店との信頼関係を崩された思いはありませんでした。
「何をしてるんですか」
「あれほどの接待をされて奢られるのは困る」
それには応じずお店の人に「直ちに返金しなさい!」
私は友人のクレジットカードを奪って言いました。
「私はここの常連でいつもつけなのに、この店は客人から金をとるのか!!
私の顔に泥を塗る気か?」
その行為をさらに邪魔する友人に私は本当にキレました。
「こら!ここは、京都だ!私の町だ!だから私が払う!」
負けたように友人が言いました。「わかった」
でも語気を荒げてこう言いました。「ソウルに来るときは財布を持ってくるなよ!」
後日、お店に電話しました。
「あなたはお店はどうかしている。もてなしの心をもう一度勉強して欲しい」
そのお陰で海の向こうに親友が出来ましたが。