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ミシュランの星にも輝く京都の予約困難店の銀座店。
カウンターでオープンキッチンを眺めながら、和洋折衷の創作料理を洋と和のハイセンスな器でいただく。
出される料理も全国の食材の対比や温度の対比を意識しつつ、京の素材の素晴らしさにも心打たれます。
昼食は一度食べに来たかったこの店。京都でも予約が取れない店ですが、銀座のランチは果たして直前の電話で一人なら大丈夫でした。
交詢ビルのエレベータを降りて、右行くと突き当たりにあるのがこの店。
壁一面に稲穂が書かれ、シンプルな外観に鉄格子のような扉、中は石を積み上げた壁でなんともよいデザイン。
入ってレセプションがあり、奥はガラス壁で仕切られた半個室、右の部屋はカウンターが並ぶ厨房でした。
木のカウンターに座りやすい赤い背もたれの椅子。厨房にはなんと9人が働かれています。
ちょうど名札のないシェフがいらっしゃいました。金髪ですし米村シェフご本人みたいです。月の3分の1は銀座店にいらっしゃるということなのでラッキー。
カウンターは半の入りで混んでいません。隣のほうには小学生のお母様方が自分たちは10000円のランチを楽しまれています。さすが銀座。
ウーロン茶 700円
美しい模様が入ったガラスのコップにウーロン茶。ケチらずたっぷりあるのがうれしい。
スペシャルランチ 10000円
メニューはカレーランチ3000円、ランチ6000円で、スペシャルがこれです。
夜来ることはかなわないでしょうからこれを頼みました。
甘鯛のムニエルとキノコのワンスプーン
ガラスの皿に大き目のガラスのスプーンで供されるワンスプーン料理。
パリッとした煎餅のようにうろこを仕上げた甘鯛に粒マスタードのソース。その下にはシメジなどのキノコとジェノベーゼのソースでしょうか。一口で食べるようにシェフから言われるので半分は別個に食べようとしていたぼくも一口でいただく。
弾けるような弾力の甘鯛のムニエルは見事。シメジの歯ごたえもプリッとしていて美味しい。やや塩味が足りないのかインパクト的には弱いかも。
鼈のスープと的矢産牡蠣のフライ
鼈のスープは独創的な面白い形のカップでいただきます。
濃厚な鼈のコンソメのようなスープで美味しいが味は生姜が濃すぎるか。焼いた白いネギに鼈のエンペラとその身が入っていました。鼈はしっかりした味わい。
カキフライは手前が的矢産の牡蠣、奥が広島産の牡蠣とのことでした。
上に盛られているのは九条ネギの新芽の千切り。これが爽快で美味しい!!
カキフライの上には自家製らしいタルタルソースとケチャップのようなソース。
カキフライはジューシーで熱々。実に美味しい。
鮃と洋ナシ イベリコハムのサラダ
重ねあわせた料理。イベリコ豚の生ハムの上にバーナーで炙った平目の縁側とヘーゼルナッツ。その下にはルッコラに茹でたキャベツ、ソテーした平目と生の平目を重ねています。仕上げにオリーブオイルを振り掛けていました。
これも巻いて一口で食べるようにシェフから言われました。2つあるのでひとつはそうして、もうひとつは別々に食べたい〜!!
イベリコ豚の生ハムは期待通りの濃い味わいで、さっくり甘い洋ナシにハーブのドレッシングが軽妙なバランスで口の中で混ざり合います。
粟麩のピザ 渋皮煮添え
これが面白い料理です。お餅かと思うほどむっちり柔らかな粟麩に黒オリーブ(たぶん)のペーストを塗り、ブルーチーズをのせてピザのように焼いています。ゴルゴンゾーラの香りがすごい。上には渋皮ごと甘く煮込んだ栗に百合根、火が通って縮んでいるセルフィーユでした。
伊勢海老とボッタルガの冷製パスタ
小さなカップと大きなカップを重ね合わせて供されたのは冷製パスタです。
上には生海苔とすりたてのわさび。
下は冷製のスパゲッティーニで、スライスしたカラスミに刺身の甘海老、蕎麦の芽のスプラウト。
スパゲッティーニにはとろみのある餡が絡められています。
これも別個に味見していたら、生のりをといてかけて食べるようシェフから指示が出されました。
黒毛和牛のステーキ 京水菜とレッドオニオンのサラダ添え
中空の変わったお皿に。
黒毛和牛を炭火で焼いたもの。右はヒレ肉、左はロース肉で。かなりレアな仕上がりですが中まできっちり温かい。
上にたっぷりの水菜と赤い皮の玉ねぎとニンニクチップです。下にはゴマのソースです。
香箱蟹の飯蒸しと京野菜のポトフ
白いUFOのような器と金属に支えられたボウル状の器に。
左の白い器には金沢でお馴染みの香箱蟹を使った飯蒸し。むっちりしたもち米の上に甲羅の内側に有る未成熟卵の赤い内子と味噌に白いとろとろした身。それに腹に抱えた卵の外子はきちんと筋を取って添えてあります。そして、脚のみを2本乗せてくれていました。
ポトフはまるでコンソメスープのようなスープに柚子の皮を入れて爽やかな香りを演出し、じっくり煮込まれて柔らかいにんじん、皮が黒く太いごぼう、蕪の具が美味しいもの。器がもてないほどに熱々。
カンパリオレンジのシャーベット
銅製の小さな器に。上にはオレンジ。苦味の利いたカンパリオレンジのシャーベットが中に入り、炭酸水が注がれていました。ポトフに相対してガンと冷たさを強調した素晴らしいシャーベットです。
ちょっと固めのシュークリーム
お好みのデザート1品を7種類のデザートのリストからの選択できます。よく見ると、デザートだけどんどん1品1000円で追加も可能と書いてあります。
右にチョコレートを立てたキャラメルのアイス。左に外側にさっくりした皮で中のカスタードが流れ出すほどとろとろ。
パン、コーヒー
出だされたパンにはバター2切れも。パンは熱を入れているわけではないし、バゲットを切って出したものです。一口だけいただきました。
お茶菓子は小さなものを4種。砂糖をまぶしたクッキー、口解けのよい抹茶のクッキー、シナモンロールのようなクッキー、シュワシュワととけるマシュマロのようなお菓子。
コーヒーもカップが面白い。
食材の産地、料理の温冷、その対比が面白いレストランです。もちろん、器から内装にいたるまで実に素晴らしい。
昼であったためか凄みを感じる料理がなかったことや、ちょっと好みとはずれる味のものもあったことが三ツ星でない理由。厨房の人数が多いことにも由来するのでしょうか。夜にもぜひ行ってみたい。