2回
2025/01 訪問
「ノウトリ」 | 横浜発 驢馬人の美食な日々
「nôtori(ノウトリ)」@富士山(☆☆彡)
https://notori-fuji.com/
「LaGrenouillère」で研鑽し若手料理コンテストREDU-352021年グランプリに輝いた弟の堀内浩平シェフと「MichelBrasTOYAJapon」@洞爺湖でソムリエをしていた兄の堀内茂一郎氏の兄弟が2024年8月23日山梨県忍野村にオープンした宿泊出来るレストラン・オーベルジュ。
9割以上山梨県の食材を使用する富士北麓キュイジーヌのはどの皿も素晴らしくホスピタリティも最高。店名のnôtoriとは富士山の山梨県側で春先から初夏にかけて雪解けが進んで山肌に残った雪が鳥の姿に見え、その雪形の名称の農鳥から名付けられたそうです。
まさにこの店のために旅行する価値のあるお店。すぐに予約困難になりそうです。
住所:山梨県南都留郡忍野村忍草3192-8
電話:不詳
定休:不定休・完全予約制
営業:17時半〜22時(土日祝11時半〜15時/17時半〜22時)
車で伺いましたが、忍野の主要な道路沿いではなく、車1台が通れる砂利道に入り、奥に行った場所にありました。最初通り過ぎましたので、分かりにくい場所にあります。富士山駅からは10分くらいだと思います。
胡桃と栗の林の中にある黒っぽい平屋の建物で、左の棟がレストラン、右の棟は1組だけの宿泊スペースだそうです。
その中央にシンプルなウッドの入り口。店名が左に。
中に入るとスリットのように向かいの林が見える風除けスペース。
左にベンチシートのある待合。右はすぐに宿泊の部屋につながっています。
待合に続いて、厨房を囲むようなL時型のカウンターのダイニングに。大きな窓からは明るく外の光が入り、瓶に詰め込まれた各種食材が並ぶ素敵な空間。壁の塗りもこだわりを感じます。
最初に外のテラスで寒い中最初の飲み物をいただく。
向かって右から庭に出ることができ、ウッドデッキに薪ストーブがあり、山梨の手入れされた林を見ながらいただけます。
ダイニングから見える場所には薪焼きの台が見えます。
一面枯葉で覆われていますが、この辺りは栗と胡桃の木だそうで、実際野生の猪がきては落ち葉の中からくるみを掘り起こして食べていました。
マスカットベリーAのホットワイン。アルコールは飛ばしてあります。これが身に染みて美味しい。山梨の作家さんのグラスも素敵。
それに木の切り株の皿に、筍芋のスライスのチップスとピューレとソテー。これを一口でチップスごといただく。ほんわりと芋の味に油の味わい。
季節のコース 30000円
12時5人で予約しましたが、一人熱発のためキャンセル。4人で対応していただき、それでも貸切にしてくれていました。
ペアリングまで込み込みでこの価格なのだから凄い。
メニューはグレイの封筒に西島和紙工房のドクダミ染めの手漉き和紙に。ネット環境は悪いので、WiFiに繋がせていただけます。
松ぼっくりのついた枝と一緒に。
ノンアル最初の一杯はハーブティーのコンブチャ。シソ科の多年草であるカキドオシを使っているとのこと。酸味があり爽やかに美味しい。
鬼胡桃
胡桃の木から作ったという木の皿に胡桃の殻を盛り付け、上に乗せています。
サクッと食べられるタルトに、千野ファームの縄文スイートポークの自家製パンチェッタと炒めた玉ねぎ。削り下ろした鬼胡桃とオキザリス、仕上げに3月に穴を開けてとったという胡桃の木の樹液のシロップです。
馬刺し
伯爵という品種のジャガイモをロール状にフリットにして中に5種類の馬肉を詰めています。ロースは生肉、ハツとバラ肉は軽く加熱し、モツは薄く味噌煮込みにし、この4種類を卵黄とネギのオイルで和えて詰めているいるのだそう。上にさらにローストしたネギ。最後の馬肉であるタテガミは塩と香辛料でラルドにし、薄くスライスして乗せています。そして上にナスタチウムの葉。
仕上げに4時間オーブンで加熱して炭化させた山梨のライムを削りかけています。
それに合わせるように中にもフィンガーライムが入っているのだそう。
じゃがいものロール状のフリットはパリパリ。色々な馬肉にじゃがいもの旨みがたまりません。塩は薄めかな。
南部町のまるわ茶園の手積みの南部茶の浅蒸しを低めの温度で淹れた緑茶。玉露のように美味しい。
蕪
大きな暑い白い皿に。北杜市の作家のもの。
下に発酵させた蕪のピューレ。同じ蕪をバターで焼いてカリッとさせたものを載せています。優しい甘味が最高。酒粕を少しだけつけているそう。
上には百之助蕪を生の状態でスライスしてまとわせています。
緑は蕪の葉のチップス。
小さな緑はゴールドクレストウィルマというハーブ。山椒や柑橘の香りのするハーブです。
そしてそこにオオアマゴのいくら。甲州ブランデーで香り付けした金色の卵です。
自家製のストラチャテッラを作る時に出たホエーと山梨のピーチ、山梨の酢橘のシロップ。ホエーらしくまろやかで甘い。
にんじん
下に黄色いニンジンのピューレ。ころ柿をいも焼酎で戻したものと山梨のブラッドオレンジの塩漬けを和えたものを乗せています。さらに自家製のストラチャテッラのチーズ。
味付けは山梨の温泉の塩とミッションという小豆島産の辛口オリーブオイル。
そこにサーモンのように見えるのは薄切りで重ね合わせている加熱してあるニンジン、生ハムは縄文スイートポークの24ヶ月熟成の生ハムのスライス。
スプーンで絡ませながら一緒にいただきます。ころ柿とニンジンの優しい甘味が美味しい。
中国の野生の烏龍茶がベース。山梨の桃の花を乾燥させたものとイチジクの葉のお茶。
鯉 豆腐
鯉。山梨の湧水で育てた鯉で泥臭くないく品質が高い。
下に鯉と合わせた大根餅。ゼラチン質の鯉が格別に美味しい。
その上には山梨県の豆腐を湯豆腐のイメージで。薪で焼いた鯉のアラから取った出汁を含ませたものを載せています。わさび、山梨県の無農薬アーモンドのペーストとアーモンドに少量の甲州味噌。さらにまた鯉の出汁をかけて、無花果の葉のオイルを。最後に上焼いたアーモンドと鯉節を乗せています。
サフランと柚子、レモンマリーゴールド。
爽やかな柑橘系のドリンク。
根セロリ 手長海老
陸作信玄えび。温泉水を使ってくるられている鬼手長海老です。下に根セロリのピューレ。その上にパスタ状の根セロリとしなやかな自家製パスタ。山梨のサフランとレモンのソースを絡めています。その上に半生のエビとその海老味噌にビスクソース。
とにかく素晴らしい。
ゆめかおりのブリオッシュ。ローズマリーを入れて。
外側はほろっとカリッとしていて、中はフワフワで熱々。来店に合わせて焼いているそうです。美味しいのでおかわりしてしまうくらい。
あぶらちゃん(油瀝青)という香木の葉を揉んで乾燥し、発酵させたもの。
これを水出ししたお茶で香り高い。
ヒメマス 香茸
富士五湖の西湖のヒメマス。
水かけ菜のクリーム煮を下に。
米粉で焼いたヒメマスをその上に。その身と身の間に香茸のデュクセルを挟んで焼いているそうです。
ソースはヒメマスの出汁と香茸のソース。
香茸は大好物。
添えられているのはサッパリさせるために千切りの発酵ヤーコン。
柿
口直しで。下に先ほどのお茶のあぶらちゃんのゼリー。冬柿のシャーベット、その上にライムをかけています。
山梨のキハダで作られているトニックウォーター。日和kizashi(キザシ)トニックウォーター黄檗です。
そこにクロモジのエッセンス。香り付けに山椒を。
芽吹き
これこそ2021年REDU-35の料理。
ジビエと野草の融合系。
クッサンという竹炭を練り込んだシュー生地を揚げたゴツゴツした黒い卵の殻のような軽い生地。
これが割れて、中から芽吹いた緑や土が見えるようで素敵。
中にはジビエで猪のシンシン、小鴨のロース、鹿肉と鴨肉のミンチが入っています。鹿肉が好きではないと伝えてあったので、ぼくのだけ富士山ワインラムの仔羊にしてくれていますが、十分に美味しい肉団子でしたが、ああ、鹿が苦手と言わなきゃよかったか。
ソースはジビエの出汁にクロモジの香りを移したソース、玉ねぎのピューレと黒ニンニクのピューレ。そこにこちらの庭で採れたハーブと野草を添えています。
崩して混ぜ合わせて食べると良いと。
これは毎回楽しみな料理です。
山梨の和紅茶をベースにホーリーバジル、ビーツ、赤く熟した山椒を加えたお茶。
牛
甲州牛のシンタマ。ラードをまぶして2ヶ月熟成させたものを外の薪火と店内の炭火で焼き上げた肉。
発酵じゃがいものピューレと小松菜と白菜の蒸し煮。
ソースはグレースワインの周五郎に牛の出汁と富士吉田でシェフが取ってきたトリュフを加えたソース。
さらに上からそのトリュフを削りかけてくれます。
牛肉の火入れがロゼで素晴らしく美味しい。
別添えでブーケサラダ。うえのはらハーブガーデンのものでブーケ状に束ねているサラダです。7年熟成のバルサミコとオリーブオイルのドレッシングをかけて仕上げています。
焙じ茶。
南部町のお茶を焙じたてで。
やさいめし
兄弟のお母様の料理がベースの家庭料理。
野菜汁をご飯に混ぜて。上に美しく野菜やエディブルフラワーを盛り付けています。
戻し椎茸の出汁の混ぜご飯の料理がイメージ。米は土鍋で炊いた農林48号。椎茸醤とトマト醤を混ぜ込み、20から30の野菜を混ぜ合わせてだされます。
確かに美味しい。
添えられたスープはこれまでの全部の食材の出汁。ご飯にかけてもいい。コンソメのようで実に美味しい。
さらにすりおろした大和芋もつきます。
苺
イチゴの発酵ピューレとロウゼラニウムのムース。ハーブスタンドのジンのアイスクリームをのせ、フレッシュな苺と発酵させた蜂蜜を。ガマヅミの実とクロモジのジュレを最後にかけています。
上に蓋をするように薄い飴が添えられていました。
これも美味しい。
ハーブティー。小さなグラスで。
洋梨
ほとんど洋梨。右がラフランス。アイスとコンポートとピューレ。真ん中にシャンティクリームを挟んで。
左はスチュルーデル生地で巻いてバターで焼いたもの。中にカスタードクーリムをちょっとだけ加えています。
タンザニアのコーヒー。ビターで美味しい。
林檎 サフラン
りんごの球体。中は溶け出るジュース。右にザクザクなサフランのラスク。
メニューは2ヶ月で総替わりしているとのこと。
ノンアルでもアルコールでもペアリング込みで30000円。
三つ星でないのは少数多皿だからかもしれません。もう一度行ってよければ上がってしまうと思います。
それにしても今、山梨が熱いのではないか、と感じるランチでした。
鎌倉野菜を都内のシェフがこぞって使った時期があったように、陸作手長えびをはじめ山梨の食材を使う東京のシェフが増えそうだし、山梨へと足を運ぶフーディーも増えそうだなぁ。
同行の皆の電車の関係もあって、早めの進行でお願いし、12時開始で14時半過ぎには終了。通常は3時間かかるのでご注意を。
2025/01/15 更新
「nôtori(ノウトリ)」@富士吉田(☆☆☆)
https://notori-fuji.com/
「LaGrenouillère」で研鑽し若手料理コンテストREDU-352021年グランプリに輝いた弟の堀内浩平シェフと「MichelBrasTOYAJapon」@洞爺湖でソムリエをしていた兄の堀内茂一郎氏の兄弟が山梨県忍野村にオープンした宿泊出来るレストラン・オーベルジュ。
9割以上山梨県の食材を使用する富士北麓キュイジーヌのはどの皿も素晴らしくホスピタリティも最高。
再訪しても素晴らしく、総評を三つ星に上げました。
25年11月16日昼の来訪。
12時開始ですが、11時40分に到着。
窓から見える緑の中に、真っ赤な紅葉が映えています。
天気良く、テラスでのゆったりから始まります。
7人の貸切です。
季節のコース 30000円(税・サービス料込み)
甲州牛の自家製ブレザオラ。しっとりしていて脂が乗っている。極上です。
ノンアルコールは発酵プルーンのソーダ割り。酸味よく甘く美味しい。
カキドオシとトウヒのコンブチャ。
コンブチャだぁ。
鬼胡桃
こちらのレストランは胡桃の木を切って建てた建物。鬼胡桃の突き出しは2月もありましたが、ガラッとかわっていますね。
胡桃の木の器に胡桃の殻を配し、鬼胡桃で生地で作ってローストした鬼胡桃が入るフワッとしたボールです。上に栗のペーストとオキザリスを乗せています。ここに3月に採取した胡桃の樹液を煮詰めたシロップをかけてくれます。この樹液は毎年採る時期が決まっているのだそう。
胡桃の苦味と脂肪分を感じる一皿で良かった。
手長海老 馬
手長海老と馬刺しとこの辺りで採取されたトリュフ。
海老を混ぜたシューのグジェール。中に海老のクリーム。上に馬刺しで作ったタルタルで、その中にチャクチャク食感の良い県産のフェンネルを刻んで混ぜていました。上にはスライスしたトリュフ。香りは弱めと言われていたが、なかなかどうして、実に良かった。
横に添えられている手長海老の足は飾りなので食べられませんw
南部茶にイチジクの葉を合わせたお茶。
アマゴ 蕪
皮目を炙って香ばしい川魚アマゴの厚切り。皮魚にしては肉厚で脂も乗っており、しっとりして美味しい。
下に蕪のピューレ、上には発酵させたジュースで漬けたもものすけ蕪。ノウトリの形に切られていました。それに緑のナスタチウム。緑のオイルは蕪の葉っぱと無花果の葉のオイルです。
ここにアマゴの魚卵ソースをかけます。ミキサーしてったものに酢橘の球体のボールを加えたもの。穏やかに美味しい。
山梨のウーロン茶。試験的に作られているもので出回ってはいません。これをアブラチャンと一緒に水出ししたものだそうです。
富士吉田の小麦ゆめかおりのブリオッシュ。ホロッとしています。
中にはローズマリーと野生のカキドオシ。これも美味しい。
鯉 八幡芋
下にレモンのペーストと甲州味噌。それに枝豆。
中央に八幡芋と鯉のしんじょう。これは里芋らしくトロリとした口当たりです。
上には塩気のある鯉ハム。
ここに泡状にかかっているのが鯉の出汁のソース。
いやあ、やはり食べたことがない食材の重ね合わせで、間違いなく美味しい。
オレンジワインっぽく仕上げた山梨のマンゴーの皮と生姜のドリンク。
発酵しているのか酸味が強い。
ヒメマス 茸
直的には少し遅いけど、この日のためにとって置いてくれたキノコ。
ヒメマスの身の間にキノコを詰めて焼いてあります。
その上に舞茸、香茸、ちゃなめつむたけ、のぼりりゅうたけ。
仕上げにそれらでとったスープを注いでくれます。
実に嬉しく美味しい一皿でした。
静岡の狭山緑。青柚子のジェストとジュースを入れた青柚子烏龍茶。爽やかというより苦味があるのは面白かった。
レバー 栗
下に栗のフラン。その上にホロホロ鳥の白レバーのムースをつめたラヴィオリです。それにコロコロした栗。
上からはホロホロ鳥の出汁と酒粕の白い泡のソース。
柿 油瀝青
オレンジ色はカボスと酢橘のシャーベット。上の白いものはアブラチャンの泡。
ラプサンスーチョン。クロモジの葉を乾燥させたものを入れたそうです。松の煙で燻した独特の中国紅茶の香りにクロモジの爽やかさと苦味があります。
芽吹き
シグネチャーディッシュ。竹炭を練り込んだパリパリの卵のような殻の中に、ジビエと野草が入っています。
鹿肉にシンタマ、馬肉のソーセージ、インゲン、猪肉のローストと猪肉の煮込み。ジビエのだしと黒ニンニクのピューレ。
相変わらず素晴らしい。こちらの店をまさに象徴する究極の皿。
羊
富士山ワインラム。そのミンチをキタアカリでくるんで焼いた料理。
その断面の詰め込まれたミンチの艶かしいことよ。横にはその煮込みのブロック。
下には発酵ジャガイモの白いピューレ。山椒を効かせた出汁のソース。横に添えている調味料は温泉を煮詰めた塩。
サイドには山梨のバルサミコとオリーブオイルをつけたブーケサラダ。
山梨のメルロー。煮切った後にスパイスと紅茶を加えています。
おじや
定番の野菜飯でなく、キノコが取れた時に出すおじやです。
大きな鍋で作られているのをまず見ます。
天然キノコ10種類以上に堀内兄弟のお父様が作ったコシヒカリの新米。薪の香りにトリュフも使われています。これが激美味。野菜飯よりもこっちの方が好きと言ってはいけませんか……。この時期だけなのでこの時期に来ないといけません。
添えられ別皿で卵黄のコンフィにトリュフ。
それに素晴らしく美味しい辛味のあるすりだね。
焙じ茶。南部町の茎茶を焙じたもの。
キウイフルーツ
ゴールデンキウィの器に。浅くくりぬき果肉を残しつつ、くり抜いたところに果肉とキウィのシャーベットを詰め込んでいます。シャンティと山梨のジンを使ったカタラーナクリームを乗せてキャラメリゼしています。
7種類のハーブのブレンドハーブティー。
フレッシュです。
洋梨
下に洋梨のコンポートとピューレにフロマージュブラン。クルフィがベースになっているという牛乳にクロモジを加えてある溶けづらいアイス。
洋梨は春巻きの皮を巻いてカカオパウダーそつけています。
食後の飲みものはコーヒーを選択。中炒りで酸味があるタイプ。
桑の葉 サフラン
2種類のシャインマスカットと山梨の志村葡萄研究所がシャインマスカットとウインクを交配して開発したブラックシャインマスカットと呼ばれる富士の輝き。
それに皇室献上の柿である広瀬の柿。
桑の葉のヴィーガンのボール。
それと極薄に仕上げた山梨のサフランのラスク。旨みがあり美味しい。