11回
2017/10 訪問
記憶に残る松茸ごはん
備忘録。
定期訪問のまき村さん。私が季節ごとに通いたい日本料理店の筆頭格。
この時は松茸のピークシーズン、でも今季の松茸は記録的な不作と
様々な店から耳にしていた。
そんな期待と不安が織り交じる中、食通の友人たちと訪れたまき村さん。
想像以上のクオリティとボリュームの松茸が出てきた。
松茸茶碗蒸し、松茸コロッケ、松茸ごはんの三品。
岩手産の上物が、牧村さんの手にかかって最大限の力を発揮した極上の料理に。
最も印象に残ったのは、やはり松茸ごはん。
土鍋の蓋を取ると、湯気とともに松茸の香りが立ち上り、皆の歓声が上がる。
王道かつシンプルな松茸ごはんである。
見るからにたっぷりの松茸。でも成金的な無駄な使い方はしていない。
松茸とごはんのバランスが絶妙で、松茸をたっぷり堪能したという思いが残りつつ
料理としての完成度も極めて高い。
記憶に残る松茸ごはんだった。
この日のお献立:
・焼き茄子の白和え
・蒸し鮑、生雲丹、車海老
・松茸茶碗蒸し
・大間の本鮪、竹岡の鮃、佐島の鯖、山口の剣先烏賊
・松茸のコロッケ、カマスの若狭焼、和栗の甘酢
・岩手の牡蠣田楽
・宮崎牛サーロインのすきしゃぶ
・松茸の炊き込みご飯
・赤出汁、阿波尾鶏の塩焼き、香の物
・シャインマスカット、メロウリッチ、ワインジュレ
・ベビーパーシモン
この日のお会計:24472円(お料理+ノンアルコールビール)
2018/02/10 更新
2017/06 訪問
究極の鮎ごはん
6月下旬は梅雨のジメジメとした季節だけれど
鮎という川魚をこよなく愛する私にとっては
過ごし方によっては至福の時間を過ごせる時季でもある。
4か月振りのまき村さんは、鮎を狙ってこの時季に。
前回とほぼ同じメンバーで、6名で個室の利用。
この日のお料理:
・先付三点盛:赤ピーマン、南瓜、長芋、オクラ、若芽、蓴菜の酢の物、椎茸、蓮、いんげん、胡瓜の胡麻白和え、玉蜀黍の手毬揚げ)
・椀物:千倉の千枚アワビの薄口仕立て
・造り1:天草の活け鱧の焼き霜造り
・造り2:気仙沼の鰹、舞鶴の剣先烏賊の造り
・蒸し鮑、生雲丹に鮑の肝と出汁ジュレをかけて
・羽田の江戸前沖穴子の炙り寿司
・銚子の金目鯛の炙り寿司
・広島のマナガツオの漬け焼き
・佐賀牛ザブトンのタタキ、焼き茄子
・長良川の鮎ごはん、赤出汁と香の物
・水物:マンゴーとクリームチーズのムース、ワインゼリー添え
この日の一番はなんといっても鮎ごはん。
いつもは名物の鯛茶漬けがお決まりなのだけど、
6月は鯛が弱いとのことで、例年違うものになるようだ。
穴子ごはんになることが多いそうだけど、この日は鮎ごはん。
鮎がとっても好きなので、これはとっても嬉しい。
鮎の一夜干しが一人当たり2尾も使われた贅沢な混ぜごはん。
お釜の蓋をとると鮎鮎鮎~っの豪勢な見栄えに
香魚とも呼ばれる鮎の良い香りが炊き立てのごはんの湯気とともに立ち上り
一斉に皆から歓声が上がる。
さっそく頬張ると、鮎の旨みの引き出し方も、ご飯の甘みとの相性も、水分加減も抜群で
いやこれは究極の鮎ごはん。6月に来て本当に良かった。
鮑と玉子豆腐のお椀も良かった。
いちご煮からインスピレーションを得たのだろうか、
千枚鮑というのは、千倉の黒鮑を千枚漬けのように薄く切ったもの、
鮑から出た極上のお出汁、やさしい口当たりの玉子豆腐、千枚鮑の食感と風味、
初夏が香る絶品椀もの。
鱧も美味しかったなあ。夏の先取り。
京都出身のわたしは鱧にはうるさいのだ(笑)
天草の鱧は、モノも良いけど、焼き霜造りという手法が
鱧の水分のバランスを整え、旨みを付加するのに一役かっている。
そして、この日は中盤に、なんと「握り」が二種類も出てきて
お鮨好きとしてはこの上なく嬉しい。
穴子とキンメ。どちらも脂ノリノリで旨みは濃いけど、くどさがない。
牧村さんが選び炙った極上の穴子とキンメ、それがお鮨としていただけるなんて。
やはり当店は来れば来るほど好きになっていく店。
次回の訪問は実りの秋、10月中旬。
この日のお会計:22096円(お料理+ノンアルコールビール)
先付三点盛:赤ピーマン、南瓜、長芋、オクラ、若芽、蓴菜の酢の物、椎茸、蓮、いんげん、胡瓜の胡麻白和え、玉蜀黍の手毬揚げ)
先付三点盛:赤ピーマン、南瓜、長芋、オクラ、若芽、蓴菜の酢の物、椎茸、蓮、いんげん、胡瓜の胡麻白和え、玉蜀黍の手毬揚げ)
千倉の千枚アワビの薄口仕立て
天草の活け鱧の焼き霜造り
気仙沼の鰹、舞鶴の剣先烏賊の造り
蒸し鮑、生雲丹に鮑の肝と出汁ジュレをかけて
羽田の江戸前沖穴子の炙り寿司
銚子の金目鯛の炙り寿司
広島のマナガツオの漬け焼き
広島のマナガツオの漬け焼き
佐賀牛ザブトンのタタキ、焼き茄子
長良川の鮎ごはん
長良川の鮎ごはん、赤出汁と香の物
長良川の鮎ごはん
マンゴーとクリームチーズのムース、ワインゼリー添え
2017/07/02 更新
2017/02 訪問
通うほどに満足度が上がっていく
昨年の初訪問以来、大ファンになり、
行くたびに次の予約を入れて帰らざるを得ない日本料理屋。
3回目の訪問、この日は仲間たちと6名で、冬の終わりの食材の日本料理を楽しんだ。
・さより昆布〆梅肉和え
・フォアグラゼリー、厚焼き卵、河豚のにこごり、牡蠣の海苔巻き、空豆、小梅
・鹿児島の車海老と卵豆腐の椀
・豊後水道天然トラフグ
・長崎壱岐の本鮪
・山口甘鯛若狭焼き、タラの芽の天ぷら
・八寸(根室産バフンウニと生湯葉の出汁ジュレ、噴火湾産甘海老と芋茎梅肉添え、アオリイカのおかき揚げ、法蓮草ともやしの共和え、冬茹椎茸の白和え、浅蜊と蕗の薹のマリネ)
・豊後水道天然トラフグの焼き白子
・宮崎牛A5サーロインすきしゃぶ仕立て
・鯛茶漬(淡路の真鯛)
・せとか、苺、マンゴーのワインゼリーとヨーグルトムース
前回の料理も素晴らしかったけど、今回の料理はもっと良かった。
やはり2月の食材はいい。魚介にたっぷりと旨みと甘みがのり、
宴会シーズンでも休暇シーズンでもないから良い食材が入ってきやすいのかもしれない。
お料理を口に入れるたびにうっとり。
食材の良さ、その食材の良さを過不足なく引き出す、正統派の技術と味付け。
派手さはないが、地味でもない。ただただ美味しいと感じる料理。
良心的なプライシングのお会計金額も、ますます通いたくなってしまう。
同じミシュラン三ツ星の日本料理店、石かわも好きだけど、
個人的には当店の料理の方が更に好きだ。
昔のミシュランの日本料理店の選び方のセンスはひどかったが、
最近は改善されてきているのではないかと思う。
次回も予約をしっかりと。
次の訪問は今月下旬。あっというまに夏が近づき、初夏の食材を堪能したい。
この日のお会計:20196円(ノンアルコール)
梅酒
さより昆布〆梅肉和え
さより昆布〆梅肉和え
フォアグラゼリー、厚焼き卵、河豚のにこごり、牡蠣の海苔巻き、空豆、小梅
鹿児島の車海老と卵豆腐の椀
豊後水道天然トラフグ
長崎壱岐の本鮪
長崎壱岐の本鮪
山口甘鯛若狭焼き、タラの芽の天ぷら
山口甘鯛若狭焼き、タラの芽の天ぷら
八寸(根室産バフンウニと生湯葉の出汁ジュレ、噴火湾産甘海老と芋茎梅肉添え、アオリイカのおかき揚げ、法蓮草ともやしの共和え、冬茹椎茸の白和え、浅蜊と蕗の薹のマリネ)
豊後水道天然トラフグの焼き白子
宮崎牛A5サーロインすきしゃぶ仕立て
淡路の真鯛の鯛茶漬
淡路の真鯛の鯛茶漬
ぴかぴかの白ご飯
せとか、苺、マンゴーのワインゼリーとヨーグルトムース
2017/06/19 更新
2016/11 訪問
こんな料理屋さんに行きたかった
食材が旨みを増す秋深まる時季、11月下旬に再訪。
この日は、津居山の松葉蟹に、大間の鮪、松坂牛シャトーブリアンに
新米魚沼こしひかりの鯛茶漬けが入った、ワクワクする内容のお献立。
[この日のおまかせ]
・柿、大根、京人参、胡瓜、水前寺海苔の和え物
・車海老のしんじょ椀
・大間の鮪と舞鶴のクエ
・津居山産松葉蟹
・鰆の柚子幽庵焼き、茸のディップ(松茸、舞茸、椎茸、しめじ)、烏賊のフレッシュ塩辛、いくら酢飯
・帆立の煎餅揚げと海老芋揚げ出しの銀餡掛け、藤九郎銀杏
・松坂牛シャトーブリアン、茄子添え
・鯛茶漬(淡路産真鯛と魚沼こしひかり)
・越後姫とラフランス、ワインゼリーとラフランスすり流し添え
ぷりっとした車海老のほどよい食感が心地よいしんじょ椀。繊細なお出汁がしみじみ心と体にしみる。
津居山の松葉蟹は旨みノリノリ、濃厚で綺麗な旨みのたっぷりの蟹味噌、上物感たっぷり。
でも、この日、ご主人の実力を最も感じたのは、焼物や揚物の火入れ。
脂ののった鰆の幽庵焼きと松坂牛シャトーブリアン、口に入れると広がる、その旨み。
綺麗に引き出されたたんぱく質のアミノ酸系の旨みに、まんべんなく食材にまわった脂の旨みと甘み。
焦げるギリギリ寸止めに火入れされた表面の香ばしさ。
鰆や肉焼きといった、オーソドックス極まる焼き物がここまで完璧に仕上がっていることに感動する。
帆立は魚介類の中でもアミノ酸系旨みの最も濃い食材のひとつ、ただ脂分ゼロなため香ばしさは足りない。
そこに微細な煎餅をごくごく薄くまぶし揚げることにより、旨みをコーティングする香ばしさが加わる。
極薄衣は油っぽさをまったく感じさせず、帆立本来の旨みを引き出す役割に徹していて、
その技術と絶妙なセンスに感服する。
そして名物鯛茶漬け。
この日は幸運なことに新米の時季、魚沼こしひかりの新米。
かつては王者たる地位を独占していたこしひかりも、昨今は他県のブランド米に押されぎみであるが、
もっちりした食感とこれぞ日本米といえる甘みと旨みを有するこしひかりというのは、
新米としていただくのには最も適したお米だと個人的には思っている。
新米特有の芳香を放つ炊けたばかりのピカピカのお米に歓声が上がる。
このような艶やかさが出るのはフレッシュな新米ならでは。水分の多い新米を
完璧な炊きあがりになるように火加減や水加減を調整して炊き上げる技術に再び感服する。
オーソドックスな日本料理を、きちんと選んだ食材を使って完璧に仕上げるという点において
牧村さんは日本一の料理人ではないかとさえ感じた夜だった。
ご夫婦と最小限のスタッフで切り盛りされている本当にこじんまりとした店なので
ご主人自身が料理に関与される割合が大きいのも影響しているのかもしれないけれど。
これだけの感動が1.6万円(税サ別)で味わえるなんて。
次の予約は魚の脂ノリもピークの2月。
今からとても楽しみだ。
===2016/9===
東京の都心からはやや離れた大森、
大森の駅から少し歩いたところにある一軒家、まき村。
料理人として40年近いキャリアを有する牧村さんの日本料理店。
ありがたいお誘いをいただき、初訪問。
この日いただいたお料理は1.6万円 (税サ別)のおまかせ
おまかせ一本だけれど、その時々で多少の価格変動があるようだ。
[この日のおまかせの内容]
・生雲丹と豆乳豆腐、茎わさび添え
・軽く炙った蒸し穴子、胡瓜の酢の物
・新銀杏
・鮎の一夜干しと冬瓜の椀物、オクラ添え
・千葉竹岡の真子鰈お造り
・中落ちを挟んだ大間の鮪のにぎり、山口の剣先烏賊のお造り
・千葉大原の蒸し鮑、芋茎の煮物
・淡路の鱧の梅紫蘇揚げ、玉蜀黍のてんぷら
・南瓜と季節野菜の冷やし炊き合わせ
・佐賀牛ランプの肉豆腐風
・鯛茶漬け
・豊水、シャインマスカット
・くずもち
ひとつひとつの食材にきちんと旨みののった料理。
最高の食材を最初から仕入れるというよりも
きちんと選んだ食材にきちんと手を入れることにより、その旨みが引き出されているように感じる。
お造りまできちんと美味しい。鮨屋ではなくこの価格帯の日本料理屋で
造りまで美味しいと感じるのはあまりない。
基礎となる出汁や塩の効かせ方がとても良い。
奇をてらった料理はないが、平凡な印象は受けない。
ご主人と女将さんのあたたかな接客、一部の料理屋で感じるような緊張感はなく、
あたたかでありながら、洗練されている。隙がなく、気張る必要もない。
ミシュラン三ツ星の和食店。
ミシュランの和食のセンスには常々から疑問符しか感じていないのだけど
当店を三ツ星にしたことについては、ちょっとだけミシュランを見直した。
初訪問にしてツボにはまったお店。
秋深まる今日この頃、
近々に再訪の予定があるのでとても楽しみだ。
柿、大根、京人参、胡瓜、水前寺海苔の和え物(2016/11)
車海老のしんじょ椀(2016/11)
大間の鮪と舞鶴のクエ(2016/11)
津居山産松葉蟹(2016/11)
鰆の柚子幽庵焼き、茸のディップ(松茸、舞茸、椎茸、しめじ)、烏賊のフレッシュ塩辛、いくら酢飯(2016/11)
(2016/11)
(2016/11)
(2016/11)
松坂牛のシャトーブリアン、茄子添え(2016/11)
(2016/11)
鯛茶漬(2016/11)
ぴかぴかの新米(2016/11)
白米がびっくりするほど美味(2016/11)
おこげ(2016/11)
越後姫とラフランス、ワインゼリーとラフランスすり流し添え(2016/11)
(2016/11)
(2016/11)
生雲丹と豆乳豆腐、茎わさび添え(2016/9)
軽く炙った蒸し穴子、胡瓜の酢の物(2016/9)
食前酒(2016/9)
新銀杏(2016/9)
鮎の一夜干しと冬瓜の椀物、オクラ添え(2016/9)
千葉竹岡の真子鰈お造り(2016/9)
中落ちを挟んだ大間の鮪のにぎり、山口の剣先烏賊のお造り(2016/9)
千葉大原の蒸し鮑、芋茎の煮物(2016/9)
淡路の鱧の梅紫蘇揚げ、玉蜀黍のてんぷら(2016/9)
南瓜と季節野菜の冷やし炊き合わせ(2016/9)
佐賀牛ランプの肉豆腐風(2016/9)
鯛茶漬けの鯛(2016/9)
炊き立ての白ごはん(2016/9)
白ごはん(2016/9)
豊水、シャインマスカット(2016/9)
くずもち(2016/9)
ノンアルコールビール(2016/9)
2016/12/04 更新
半年ぶりのまき村さん。
コロナ中は予約を取っておらず、
ちょうとコロナ前の年初とコロナが落ち着いた後に予約が取れていたので、
タイミングがあっていてよかった。
食材が良くなる7月。鮑に雲丹に鮎。この時期に予約がとれて嬉しい。
いつもすべての料理がピシッと決まっている。
外れがない。
〆が大大大好きな鮎ごはん。最高に嬉しかった。