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この口コミは、Sandra Irqueさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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4回
夜の点数:5.0
昼の点数:5.0
2024/10 訪問
夜の点数:5.0
2024/10/13 更新
2023/08 訪問
昼の点数:5.0
2023/08/26 更新
2017/09 訪問
昼の点数:5.0
Is She with you?
2018/05/10 更新
2017/09 訪問
昼の点数:5.0
2017/09/30 更新
「古くからやっているフレンチで、外観は野暮ったいが臆せず入るべし。料理人は偏屈だが、料理も酒も抜群だ」と推薦してくれた方があって訪問しました。
到着してみると、たしかに歴史を感じさせる……というか古色蒼然とした店構えで、内装もごちゃっとしたカジュアルな雰囲気です。14席の小体な店なのでシェフひとりで回しているのかと思いきや、スタジエ風の若手が二人厨房に。老境に差し掛かったシェフはほとんどサーヴィスに回り……というか、やたら熱心に話しかけてくれます。恐らくは若手に仕事を任せて行きたいからなのでしょう。以前は分かりませんでしたが、自分も歳を重ねてみて、後発に伝えて繋いで行きたいと感じるようになってきましたので、シェフが営業時間になったら厨房に入らないようにしているのはたぶんそうなのではないかと思います。
値ごろなプリフィクスもありますが、大半は追加料金が発生します。気軽なムニュ・フォーミュルとして楽しむもよし、食べたいものを思いのままに組み立てするもよしと言うことなのでしょう。
まずは「自家製ソーセージ」をオーダー。猪肉が入っているというそれはしっかりとした野趣が感じられ、しかし嫌味ではなく、本当に美味しい料理を作っているのだなとこの時点で確信。
「コンソメスープ」は追加料金+2,000円と強気な設定ですが、その価値があるからこそと確信してオーダーしてみました。やはりレストランでコンソメスープをそれとわかるように用意しているのならば、その挑戦、受けて立たねばなりますまい。このコンソメスープは、一口飲めば脳内に雷鳴のようなエレクトリックチェロが鳴り響きます。それはさながらハンス・ジマーの"Is she with you?"のようです。とてもきれいな澄んだ薄褐色なのに、ずどんと太い味。それでいて、グリップは鉈で割ったような鋭角的で美しい味わいでした。刃物についつい見とれてしまうような感覚。
「ヤリイカのファルシ」は博多クオリティ。とても活きの良いイカを使ったのだと分かる繊細な食感です。日本のイカ飯はなぜか主客転倒していて「飯を食わせるためにイカがある」感がありますが、ここのは違い、きちんとイカが主役なのが嬉しい。
デセールには「マンゴーのソルベ」をオーダーしました。「今年のは及第点クラスだよ」とのことでしたが、どうしてどうして、洗練されたねっとり、とでも言うべきなのか、ともかく出色の味わい。お見事です。
ワインも料理同様、「分かる人には分かる」品揃えで、しかも良心的な値付けです。他の方が書いているように、食べログの点数などは全く当てにならない、極めて秀逸なフランス料理店です。ただし、虚飾に惑わされず、美味しいものを食べたいという方であれば、という条件付きでしょうか。そのような嗜好の方であれば、紛れもなくお勧めできます。おらが街で喩えるなら山猫軒のような、と言えば伝わりやすいかもしれませんね。また機会を作って訪問したいものです。