3回
2024/09 訪問
先駆者でありながら進化し続ける名店中の名店(#金色不如帰)
SOBA HOUSE 金色不如帰(こんじきほととぎす)
(東京都新宿区新宿/最寄駅:新宿御苑前)
新宿御苑の北西側の入口(新宿門)の近く、甲州街道から一本入った路地裏に店を構える「SOBA HOUSE 金色不如帰」。
2006年に幡ヶ谷で創業。当時ラーメンの食材としては珍しかった生の蛤(ハマグリ)を使ったスープを取り入れ、その後の貝出汁を使った淡麗ラーメンブームの先駆者ともいえる存在。
また、塩漬けラルド、ポルチーニのソース、白トリュフを使用した香味油など、和食やイタリア料理、フランス料理の技法を巧みに取り入れ、2010年代以降のラーメン業界全体に多大な影響を与えた名店。
海外の食通からの注目度もずば抜けて高く、2019年から5年連続ミシュラン一つ星を獲得。コロナ禍を経て、多くのインバウンドの訪日外国人観光客が連日訪れ、都内屈指の人気店となっている。
現在は火~土の11:00~15:00の昼営業のみで、整理券制になっており、順番管理システム「Airwait」が導入されている。整理券の受付時間は9:30~14:30までとなっているが、土曜日は13:00過ぎに当日の整理券が終了する場合もある。
この日は土曜日の昼11:30頃にお店に訪問し、店頭に設置されたタブレット端末で順番受付。12:00~13:00の回は既に受付終了だったので、13:00~14:00の回で受付。
受付完了するとプリンターからレシートが発券され、レシートに印刷されたQRコードから順番の確認が可能。メールやLINEでの呼び出し通知にも対応している。
13:00過ぎに順番になったのでお店に戻って、スタッフに整理券のレシートを提示し入店。入口の券売機で食券を購入する。
2024年5月からメニューがリニューアルされており、現在は、塩そば(1300円)、醤油そば(1300円)、醤油つけそば(1300円)の三本柱に、各種トッピング付きのラインナップ。サイドメニューのご飯物もある。
リニューアルに伴い、券売機もタッチパネル式の最新式に変わっており、支払いは現金の他、クレジットカードや電子マネーの決済にも対応。店内連食(一人2杯以上のラーメンを食べること)も可能。
食券を購入後、店内の待合スペースで待ち、席が空き次第、スタッフより案内される。店内はカウンター6席と奥に2人掛けテーブル2卓の合計10席。
●真鯛と蛤の塩そば 1300円
塩そばのスープは鶏や豚のガラなど動物系素材は不使用で、三重県桑名産の新鮮な蛤(ハマグリ)を大量に使用したスープと、愛媛県宇和島産の真鯛でとったスープ、本枯れ鰹節や昆布など数種類の乾物からとった和風出汁の3種類のスープを組み合わせて、仕上げに白トリュフを漬け込んだ自家製フレーバーオイルを浮かせている。
今回のリニューアルに伴って、真鯛のスープに新たに玄米を加え、アミノ酸系の旨み成分と米が持つ甘味、ミネラル分、GABA等の体が自然と好む成分を添加する事により、自然と体に染み渡る味に仕上げたそうだ。
和風出汁と蛤のスープも真鯛のスープの変更に合わせて食材の分量を少しずつ変更して微調整し、全てのスープが合わせった時に、一番調和の取れる構成に仕上げている。
丼の奥側には従来のポルチーニ茸のデュクセル(キノコやハーブをペースト状にしたフランス料理のソース)、インカベリー(食用ホオヅキ)の2種類のソースに加え、今回のリニューアルでベルガモットの香り付けをした「しらすのソース」も追加。3種類のソースが時間と共に、スープをより深みと香りの広がりを演出する。
丼の手前半分にはトッピングがないので、最初の一口目は和風魚介スープの繊細な味わいとハマグリの独特の香りを堪能できる。トッピングのソースをスープに溶かしながら食べ進めると、一口食べるごとに全く異なる味や香りが融合して口の中に押し寄せてくる。味が重層的で複雑すぎて脳が追い付かないぐらいだ。
最近のラーメンでは「鶏と水だけ」でスープを作ったりと、使う食材の数を減らして"引き算"で洗練された味わいを組み立てるお店が増えているけど、ここの一杯は逆に徹底的な"足し算"と"掛け算"だ。
丼の奥には細かく刻んだバジルなどミックスハーブを浮かせており、後半になるとさらに香りの華やかさがプラスされる。リニューアルに伴って、ミックスハーブに使用するハーブの種類を増やし、ラーメン全体の構成を考えた配合に変更している。
一杯のラーメンの中に約60種類もの食材が使われているそうで、素材を増やすと逆にバランスが難しくなって、ぼんやりした味になったりすることもあるが、これだけたくさんの個性の強い食材を使いながら、緻密な計算で絶妙なバランスで組み上げられている。一人一人が主役級のスーパースター軍団を巧みにまとめあげる名監督のような見事な采配ぶりだ。
最近は「シェア食べ」というワードもあって、夫婦やカップルでラーメン店に行って醤油と塩など別々の味を頼んで、途中で丼を交換しあって食べ比べする光景もよく見られるが、ここのラーメンは最初の一口から最後の一滴まで味が変わっていくので「シェア不可」の一杯だ。途中で丼を交換して味見したとしても、映画の途中の一場面だけを見るような断片的な意味合いにしかならない。
●そば(醤油) 1300円
醤油そばは鴨、牛、豚、鶏を長時間温度管理して丁寧に仕上げた動物系スープをベースにしており、塩そばとは全く別の方向性。動物系スープ、和風出汁、蛤のスープの3種類のスープを組み合わせたトリプルスープ。
今回のリニューアルで大きな味の方向性は変えていないが、それぞれのスープや醤油ダレ、脂を少しずつ微調整し、旨味の強さ、旨味の構成、脂感、香りの広がりの部分を更に突き詰めた形に仕上げている。
醤油そばのソースはリニューアル前はポルチーニオイルと黒トリュフソースの2種類だったが、今回のリニューアルでフォアグラ入りの黒トリュフピスタチオソースとエシャロットの赤ワインマリネに変更。時間と共に香りの広がり、旨味、甘味、酸味等が広がり、複雑ながら絶妙なバランスの味わいを演出する。こちらの塩そばと同様に最初から最後まで味わいが変化する「シェア不可」の一杯。
幡ヶ谷時代も含めて過去に5回ほど訪れているが、麺もスープもトッピングも全ての要素が以前より遥かに高い次元にブラッシュアップされてる。フレンチやイタリアンなど他のジャンルの料理にも造詣が深く、ラーメンへの応用を常に考える姿勢も素晴らしい。先駆者でありながらとどまることを知らず進化し続ける名店中の名店。
2024/09/27 更新
2022/04 訪問
先駆者でありながら進化し続ける名店中の名店(#金色不如帰)
SOBA HOUSE 金色不如帰@新宿御苑前
・真鯛と蛤の塩そば 1000円
・煮豚丼 450円
新宿御苑の北西側の入口(新宿門)の近く、甲州街道から一本入った路地裏に店を構える「SOBA HOUSE 金色不如帰(こんじき ほととぎす)」。
2006年に幡ヶ谷で創業。当時ラーメンの食材としては珍しかったハマグリを使ったスープや、塩漬けラルド、ポルチーニのソース、白トリュフを使用した香味油など、和食やイタリア料理、フランス料理の技法を巧みに取り入れ、その後のラーメン業界全体に多大な影響を与えた先駆者。
2018年5月に幡ヶ谷から現在の新宿御苑前に移転。以前からラーメン関係者の間では高い評価を受ける名店だったが、 「ミシュランガイド東京2019」で、ビブグルマンから一つ星にランクアップ。 「Japanese Soba Noodles 蔦」(代々木上原)、「創作麺工房 鳴龍」(大塚)に次ぐ、世界で3店目の一つ星ラーメン店となった。
コロナ禍で一時は長期休業をしたり、土日祝定休となったり不定期な営業となる時期もあったが、現在は日曜定休で月~土の昼11:00~15:00、夜18:30~20:00で営業している。平日の14時前に訪問し、お店の外に5人の並び。店内にも数人が座れる待合スペースがあり、並び始めてから約30分で着席。
久しぶりの訪問なので券売機左上の定番「真鯛と蛤の塩そば」(1000円)をチョイス。スープは鶏や豚のガラなど動物系素材は不使用で、三重県桑名産の新鮮な蛤(ハマグリ)を大量に使用したスープと、愛媛県宇和島産の真鯛でとったスープ、本枯れ鰹節や昆布など数種類の乾物からとった和風出汁の3種類のスープを組み合わせている。
丼の奥側にはポルチーニ茸のデュクセル(キノコやハーブをペースト状にしたフランス料理のソース)、インカベリー(食用ホオヅキ)のソース、白トリュフを漬け込んだ自家製フレーバーオイル、国産黒豚パンチェッタベーコンビッツがトッピングされ、細かく刻んだバジルも浮かせている。
丼の手前半分にはトッピングがないので、最初の一口目は和風魚介スープの繊細な味わいとハマグリの独特の香りを堪能できる。トッピングのソースを溶かしながら食べ進めると、一口食べるごとに刻々とスープの表情が変わり全く異なる味や香りが融合して口の中に押し寄せてくる。
最近は「シェア食べ」というワードもあって、夫婦やカップルでラーメン店に行って醤油と塩など別々の味を頼んで、途中で丼を交換しあって食べ比べする光景もよく見られるが、ここのラーメンは最初の一口から最後の一滴まで味が変わっていくので「シェア不可」の一杯だ。
麺は以前は菅野製麺所製の特注麺を使用していたが、2018年の移転リニューアルの際に自家製麺に切り替えている。北海道産小麦「春よ恋」など複数の国産小麦粉を使用し石臼挽きした全粒粉入りのストレート麺。小麦の香りや甘みがしっかり感じられ、長めに切られていることをでスープをよく持ち上げる。
真鯛と蛤の塩そば 1000円
真鯛と蛤の塩そば 1000円
煮豚丼 450円
真鯛と蛤の塩そば 1000円、煮豚丼 450円
煮豚丼 450円
真鯛と蛤の塩そば 1000円
煮豚丼 450円
真鯛と蛤の塩そば 1000円
真鯛と蛤の塩そば 1000円
真鯛と蛤の塩そば 1000円
真鯛と蛤の塩そば 1000円
2024/09/27 更新
SOBA HOUSE 金色不如帰(こんじきほととぎす)
(東京都新宿区新宿/最寄駅:新宿御苑前)
⚫︎真鯛と蛤の塩そば 1300円
⚫︎肉めし 300円
新宿御苑の北西側の入口(新宿門)の近く、甲州街道から一本入った路地裏に店を構える「SOBA HOUSE 金色不如帰」。
2006年に幡ヶ谷で創業。当時ラーメンの食材としては珍しかった生の蛤(ハマグリ)を使った貝出汁スープや、塩漬けラルド、ポルチーニのソース、白トリュフを使用した香味油など、和食やイタリア料理、フランス料理の技法を巧みに取り入れ、その後のラーメン業界全体に多大な影響を与えた先駆者。
2018年5月に幡ヶ谷から現在の新宿御苑前に移転。以前からラーメン関係者の間では高い評価を受ける名店だったが、 「ミシュランガイド東京2019」で、ビブグルマンから一つ星にランクアップ。 「Japanese Soba Noodles 蔦」(代々木上原)、「創作麺工房 鳴龍」(大塚)に次ぐ、世界で3店目の一つ星ラーメン店となった。
海外の食通からの注目度もずば抜けて高く、2019年から5年連続ミシュラン一つ星を獲得。コロナ禍を経て、多くのインバウンドの訪日外国人観光客が連日訪れ、都内屈指の人気店となっている。
現在は整理券制になっており、順番管理システム「Airwait」が導入されている。整理券の受付時間は9:30から。この日は土曜日の昼11:00頃にお店に訪問し、店頭に設置されたタブレット端末から13:00~14:00の回で受付。
受付完了するとプリンターからレシートが発券され、レシートに印刷されたQRコードから順番の確認が可能。メールやLINEでの呼び出し通知にも対応している。
用事が早く終わったので受付した時間より少し早めの12:30にお店に戻ったところ、この時間帯はもう普通に並びで案内していたようで、スタッフから整理券のレシートを確認されることなく入店。入口の券売機で食券を購入。
メニューは塩そば(1300円)、醤油そば(1300円)、醤油つけそば(1300円)の三本柱に、各種トッピング付きのラインナップ。サイドメニューのご飯物もある。
食券を購入後、店内の待合スペースで待ち、席が空き次第、スタッフより案内される。店内はカウンター6席と奥に2人掛けテーブル2卓の合計10席。
「真鯛と蛤の塩そば」(1300円)をチョイス。スープは鶏や豚のガラなど動物系素材は不使用で、三重県桑名産の新鮮な蛤(ハマグリ)を大量に使用したスープと、愛媛県宇和島産の真鯛でとったスープ、本枯れ鰹節や昆布など数種類の乾物からとった和風出汁の3種類のスープを組み合わせて、仕上げに白トリュフを漬け込んだ自家製フレーバーオイルを浮かせている。
丼の左右にはポルチーニ茸のデュクセル(キノコやハーブをペースト状にしたフランス料理のソース)、インカベリー(食用ホオヅキ)のソース、ベルガモットの香り付けをしたしらすのソースがトッピング。時間と共に3種類のソースが溶け出し、スープにより深みと香りの広がりを演出する。
丼の手前半分にはトッピングがないので、最初の一口目は和風魚介スープの繊細な味わいとハマグリの独特の香りを堪能できる。トッピングのソースを溶かしながら食べ進めると、一口食べるごとに刻々とスープの表情が変わり全く異なる味や香りが融合して口の中に押し寄せてくる。
最近のラーメンでは「鶏と水だけ」でスープを作ったりと、使う食材の数を減らして"引き算"で洗練された味わいを組み立てるお店が増えているけど、ここの一杯は逆に徹底的な"足し算"と"掛け算"だ。丼の奥には細かく刻んだバジルなどミックスハーブを浮かせており、後半になるとさらに香りの華やかさがプラスされる。
一杯のラーメンの中に約60種類もの食材が使われているそうで、素材を増やすと逆にバランスが難しくなって、ぼんやりした味になったりすることもあるが、これだけたくさんの個性の強い食材を使いながら、緻密な計算で絶妙なバランスで組み上げられている。
最近は「シェア食べ」というワードもあって、夫婦やカップルでラーメン店に行って醤油と塩など別々の味を頼んで、途中で丼を交換しあって食べ比べする光景もよく見られるが、ここのラーメンは最初の一口から最後の一滴まで味が変わっていくので「シェア不可」の一杯だ。途中で丼を交換して味見したとしても、映画の途中の一場面だけを見るような断片的な意味合いにしかならない。
麺は以前は菅野製麺所製の特注麺を使用していたが、2018年の移転リニューアルの際に自家製麺に切り替えている。北海道産小麦「春よ恋」など複数の国産小麦粉を使用し石臼挽きした全粒粉入りのストレート麺。小麦の香りや甘みがしっかり感じられ、長めに切られていることをでスープをよく持ち上げる。
フレンチやイタリアンなど他のジャンルの料理にも造詣が深く、ラーメンへの応用を常に考える姿勢も素晴らしい。先駆者でありながらとどまることを知らず進化し続ける名店中の名店。