3回
2020/10 訪問
10月はヴェネツィアやフリウリ、トレンティーノのイタリア北部の郷土料理コース
Variante@向ヶ丘遊園
向ヶ丘遊園のリストランテ「Variante」が駅北口の多摩区役所近くの新築ビル2Fに移転。10月1日にグランドオープン。 1Fには7月にオープンした「Odakyu OX向ヶ丘遊園店」 が入っている。
新しい店舗では季節の食材に合わせて、イタリアの各州の伝統料理をシェフのアレンジで再構築し提供するスタイルで、月替りのコース料理形式で毎月異なる地方をテーマとするので、一年を通して食文化でイタリアを一周できるイメージだそう。
9月のレセプションに招待いただいた際はナポリがあるカンパーニャ州をテーマとしたコース料理をいただいたが、10月は"水の都"ヴェネツィアがあるヴェネト州と、隣接するフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州、トレンティノ=アルト・アディジェ州の三つの州の郷土料理を組み合わせたコース料理。
アドリア海の最奥でスロベニアやオーストリアとの国境にあるフリウリ地方やイタリア最北部でオーストリア、スイスとの国境になるトレンティーノ地方は昔から属する国が転々と変わった歴史もあり、周辺国の影響を受けて、独自の食文化を育んできたそう。馴染みのあるイタリア料理のイメージとは違う郷土色が感じられる。
ひと口前菜の「バッテラマンテカート」(干し鱈ペースト)や秋刀魚の「サヴォール」(南蛮漬け)など港町らしいヴェネツィアの魚介料理から、酢抜きしたザワークラウトと鶉豆やハチノスなどを煮込んだフリウリの伝統的なズッパ(スープ料理)の「ヨータ」など、海から山まで色んな地域の食文化がごった煮になった面白い構成。
一番マニアックだった料理はラビオリのパスタ。ヴェネト地方の山間部で食べられているビーツを詰めたラビオリ「カスンツィエイ」と、フリウリ地方のシナモンや砂糖、チョコを包んだ甘いラビオリ「チャルソンス」の盛り合わせ。チョコ味の甘いラビオリなんて思い付きもしなかった。生チョコ八つ橋みたいだ(笑)
もう一皿のパスタは「ブリックス」というフリウリ地方の伝統的な蕎麦粉パスタ。パスタの切れ端という意味を持つ手打ちパスタで、もちもちした歯応え。
魚料理はオイルバスで低温調理した鰆のソテー。47℃の低温で火を入れているので身はしっとりしたレアな仕上がり。揚げネギの芳ばしい香りとクリーミィなマスカルポーネのソースが絶妙。フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州で食べられている魚のソテーをイメージしているそうだ。
メインの肉料理はフリウリ地方のトリエステの郷土料理の「グーラッシュ」(牛頰肉の煮込み)。ハンガリーに起源を持つ牛肉煮込み料理(グラーシュ)の影響を受けた料理。クミンの香りが食欲をそそる。バルカン半島と隣接した地方なのでスラブ系の影響を受けてクミンなどの香辛料もよく使われるそうだ。
ドルチェはイタリアンデザートとして日本人にも馴染み深い「ティラミス」。20世期後半に生まれた比較的歴史の浅いデザートで、ヴェネト州にあるトレヴィーゾのレストランが発祥の地と言われている。変化球も織り交ぜたアレンジのある構成の料理と比べてドルチェは直球ど真ん中のストレート。イタリアの伝統菓子を忠実に再現している。
コース料理はひと口前菜盛り合わせと、もう一皿前菜、魚料理、パスタ二皿、肉料理、ドルチェの構成。料理だけなら5000円になるが多彩な料理が楽しめてこの値段ははっきり言って破格のコストパフォーマンスだ。
お酒のペアリングはその月のテーマの地方のワインをセレクトし、一皿ごと料理に合わせた厳選のワインが提供される。一杯90ml(フルペアリング)、60ml(ハーフペアリング)、40ml(テイスティング)から選べる。一応ソフトドリンクも扱っているが、ワインとのペアリングも考慮した料理構成になっているので、お酒と合わせた方がより真髄を味わえると思う。
・ディナーコース料理 一人5000円
・席料(サービス代) 一人300円
・ハーフペアリング(一杯60ml) 4000円
・テイスティングペアリング(一杯40ml) 3000円
・グラッパ(食後酒) 一杯1100円
・パン(フォカッチャ)追加 一つ150円
・カプチーノミルク代 200円
※価格は税抜表示
2020/12/28 更新
2020/09 訪問
通常利用外口コミ
この口コミは試食会・プレオープン・レセプション利用など、通常とは異なるサービス利用による口コミです。
向ヶ丘遊園のリストランテ「Variante」の新しいスタイルへの挑戦
記念日に何度も行かせてもらってた向ヶ丘遊園のリストランテ「Variante」が北口の多摩区役所近くの新築ビル2Fに移転。10/1のグランドオープンに向けたレセプションに招待いただきました。
http://variante2013.web.fc2.com
新しい店舗では季節の食材に合わせて、イタリアの各州の伝統料理をシェフのアレンジで再構築し提供するスタイルで、月替りのコース料理形式で毎月異なる地方をテーマとするので、一年を通して食文化でイタリアを一周できるイメージだそう。
1日1組限定の完全予約制でテーブル一卓のみだった以前のお店から、20席近くある大きな箱に変わり、内装は今までの洗練された印象から華やかさでカジュアルなイメージに。照明やカトラリーなどは花をイメージし、明るいカラーリングの座席は女性が綺麗に見えるように計算されているそう。
以前の「Variante」はコース料理+一皿ごとのワインペアリング込みで1人20000円〜の予算だったが、移転後のこちらではディナーコースを7000円、ワインペアリング5000円、ハーフペアリング2500円で提供予定とのことで、グルメマニアだけでなく地元の人達も来店しやすく、地元に根付いたお店を目指していく方向性のようだ。
今回はナポリがあるカンパーニャ州をテーマとしたランチの前菜やディナーの料理を組み合わせ構成。
●前菜1(一口前菜3種盛り)
・フィリセッラ(ナポリの乾パン)の上にナポリ風カポナータ、金華サバのマリネをトッピング
・ロマーニャ地方の郷土料理のピアディーナ(薄焼き生地)をお皿型にして、ナポリ名物の茄子のバルケッタとリコッタチーズ、ドライトマトペーストをトッピング
・セモリナ粉のチュール(生地)で挟んだ玉ねぎとお肉を煮込んだナポリ風ジェノベーゼのリエット
●前菜2(ティジェッラの生ハムサンド)
エミリア・ロマーニャ州の郷土料理であるラードを使った生地を型に入れて焼き上げた丸型のパン(ティジェッラ)に、イチジク、アニスイート、マスカルポーネ、クラテッロ・ディ・ジベッロ(生ハムの王様と呼ばれるパルマ産の豚の臀部の熟成生ハム)を挟んだサンドイッチ。
●サラダ(ナポリ風インサラータ再構築)
ナポリ名物のタコとセロリのサラダを大胆に再構築。レモンビネガーで和えたスペルト小麦のサラダ、ブラックオリーブのパウダー粉、セロリのペーストのパンナコッタを
、生きたままのタコを冷凍してパコジェット(冷凍粉砕器)にかけたタコのシャーベットを薄く伸ばしてディハイドレーター(食品乾燥機)で乾燥させたタコのシートに挟んでいただく。
●魚料理(イトヨリのアクアパァツァ風)
オイルバスを使いハーブ漬けしたオイルで 48℃の低温調理で仕上げたイトヨリのコンフィとイトヨリの頭やガラをじっくり時間をかけてとったスープ。半レアの弾力のある身の食感の現代的なテクスチャに合わせて、味の強いバジルやイタリアンパセリではなく、すっきりした四川の山椒の芽をトッピング。
●パスタ1(ズッキーニのラビオリ)
カンパーニャ州のトレント半島にあるネラーノ村の名物のズッキーニのパスタをラビオリにアレンジ、カンパーニャ州のチーズのソースを合わせた一口ラビオリ。ネラーノ村ではどのトラットリアやリストランテでも、ズッキーニのパスタを出していて、観光客は色んなお店のパスタを食べ歩きをするそう。
●パスタ2(プッタネスカ・クラシコ)
カンパーニャ州の有名なパスタ、プッタネスカ(娼婦風パスタ)を、シェフが元々プッタネスカはこういう形でスタートしたのではないかと空想アレンジ。プッタネスカ自体は1960年代に広まったとされる割と新しいパスタで、元々はシチリアーナというアンチョビ、トマトにパン粉をかけたトマトソースの定番のパスタがベースとなっていたと推察されるので、粉チーズの代わりにモリーナ(香草パン粉)を合わせ、シチリアーナの古典的な短冊状の幅広パスタ(フェットッチェ)でアレンジ。
●肉料理(ウサギのシチリア風再構築)
シチリアの郷土料理のウサギ煮込みは本来は白ワインをたっぷり入れて肉がカチカチになるまで煮込む料理だが、部位ごとに味が楽しめるように現代的にアレンジ。ソースは頭や骨、尻尾などをじっくり煮込んだ旨味たっぷりの味わい。
・背中のロース肉をラルド、ローズマリーを加えてチャーシューのように巻いたインボルティーニ
・骨付きリブチョップ
・もも肉
・心臓、肝臓、腎臓、肺、横隔膜などの内臓肉のハンバーグ
●ドルチェ、カフェ
マダムお手製のドルチェ6種類盛り合わせ。ナポリ名物のラム酒を漬け込んだスポンジ菓子「ババ」にラズベリーのシロップを合わせた「ババ・オ・ラブ」や、リコッタチーズとレモンピールのケーキ「ミリアッチョ・ナポレターナ」といったナポリの伝統菓子や、サルディーニャ地方やロンバルディア地方の伝統的なクッキーなどをアフタヌーンティーセットのように飾り付け。カプチーノはお馴染みのイカの絵を描いたイカプチーノ(笑)毎回ありがとうございます。
2020/11/07 更新
Variante@向ヶ丘遊園
12月のVariante(ヴァリアンテ)はイタリア北西部にあるピエモンテ州の郷土料理コース。サッカーファン的には州都・トリノにある強豪「ユベントス」でお馴染み。
イタリア最北西でスイスやフランスの国境があるピエモンテ地方の料理は、バターやチーズ、クリームなど乳製品を使ったこってりした味わいが特徴的で、寒い季節にぴったり。
一皿ずつペアリングで提供されるワインも料理と合わせてピエモンテ地方のもの限定。「バローロ」や「バルバレスコ」を筆頭にイタリアでも随一の高級ワインの産地として知られるピエモンテ。今回は選択肢が多すぎて逆に絞り込むのが大変だったそうだ。
●前菜1
ひと口前菜3種(馬肉のカルネクルーダ、鶏白レバーパテ、インサラータ ルッサ)
●前菜2
玉葱のサルシッチャ詰め
●魚料理
白身魚(松川鰈)のムニャイヤ
●パスタ1
アニョロッティ ダル プリン
●パスタ2
猪のラグーのタリヤン
●肉料理
ゴルゴンゾーラチーズを挟んだ仔羊のコトレッタ(カツレツ)
●ドルチェ
ボネ アル カカオ
●カフェ
カプチーノとピエモンテの小菓子(バーチ ディ ダーマ)
魚料理はカレイの王様・松川鰈で4.5キロと立派なサイズ。ムニャイヤ(mugnaia)はフランス語のムニエル(meunière)と同じ。上に乗っているのはパリパリに焼いたオカヒジキ。海藻じゃないのに不思議と青海苔みたいな香り。
アニョロッティ ダル プリンはピエモンテ州の代表的なパスタで卵を練り込んだパスタ生地で牛肉や豚肉、ウサギなどミンチ肉の詰め物を包んだもの。セージ香るバターソースでいただく。
もう一皿のパスタは猪のラグーのタリヤン。タヤリンは卵黄をたっぷり使ったピエモンテ州の手打ちパスタ。極細でコリコリの歯応え。
肉料理は仔羊のロース肉の薄切りを重ねてナッツ入りの衣で揚げたカツレツ。サツマイモのマッシュの甘さとゴルゴンゾーラの風味も絶妙。
ドルチェのボネはアマレット(アーモンドリキュール)が入ったチョコレート風味のココアプディング。帽子(ボネ)のような見た目だからそのままの名前。毎度お馴染みの"烏賊プチーノ"はアオリイカ風になりました。
・ディナーコース料理 一人5000円
・席料(サービス代) 一人300円
・ハーフペアリング(一杯60ml) 4000円
・テイスティングペアリング(一杯40ml) 3000円
・グラッパ(食後酒) 一杯1100円〜
・カプチーノミルク代 200円
※価格は税抜表示