2回
2024/07 訪問
地元の常連客で連日満席になる山形屈指の人気もつ焼き大衆酒場(#やきとりそね田)
やきとり そね田
(山形県山形市/最寄駅:山形)
JR山形駅東口から徒歩5分、山形駅東口交通センターを通りすぎて城南陸橋の手前にあるやきとり(もつ焼き)の老舗「やきとり そね田」。
駅前の繁華街からは外れた場所にポツンと佇むが、平日休日問わず開店後すぐに地元の常連客で満席になる人気の大衆酒場。食べログの「焼き鳥百名店2023」にも選出されている。
店名に「やきとり」と付いているが焼き鳥ではなく豚のもつやき(焼きとん)のお店。山形では豚モツ(内臓肉)を使用する焼きとり文化が広まっており、山形市の北西に位置する寒河江市では「寒河江焼き鳥」という豚のサガリやレバーなどを使用するご当地焼きとりもある。
昭和中期に山形市の焼鳥屋が東京浅草の菊水通りで繁盛していたモツ焼きを山形に持ち込んだのがルーツとされており、寒河江市には食肉加工場があり、新鮮な豚モツが手に入りやすく、さらに山形市や寒河江市には良質な地酒を醸す蔵元も多いことから、お酒のお供として市民に根付いていったそうだ。
こちらの「やきとり そね田」は先々代が50年以上前に創業し、現在は3代目のご主人と奥様、4代目となる息子さんの3人で切り盛りする家族経営の小さなお店。店内はカウンター席と窓側の席、小上がりの座敷を合わせて20席ほど。
開店時間は17時30分となっているが、連日17時すぎからお店を開けてお客さんを入れているそうで、この日は金曜日の17時15分頃にお店に着いたところ、暖簾が上がる前から既にカウンター席に10人ほど先客がいた。
炭を起こして串を焼き始めるのは17時30分からになるので、開店前からカウンターに座っているお客さんたちは、お通しや漬物などを酒のつまみにしながら、焼き台に炭が並べられるのを待っている。
自分もひとまず生ビール(660円)で喉を潤して、炭の準備ができるのを待つ。お通し(300円)は煮こごりとしょうゆ味の大豆煮。
メニューは基本的におまかせ(串9本のコース)で、最初に店主の奥様から「おまかせでよろしいですか?」と確認がある。1本ずつお好みでの注文も出来るようだが、常連客は基本的におまかせで頼み、焼く側も同じ種類の串を一斉に焼いて順番に提供する流れなので、おまかせにした方が待つこともなく手際よく串が出てくる。
17時40分頃に炭火の準備が出来たところで、「お待たせしました、それではサガリから入ります。」と店主の息子さんが大きな声で宣言し、串を焼き台に並べていく。その後は、店主と息子さんがそれぞれの焼き台に立ち、丁寧に焼きあげたやきとりが順番に出てくる。
店主も息子さんも1本1本丁寧に焼き台に串を並べ、真剣な眼差しでベストな焼き加減を調整している様子はまさに職人の姿。時折指で肉を押して火入れ加減を確認しながら串をひっくり返している。店主はプラスチック製の団扇(うちわ)を4枚重ねて持ち、見事な団扇さばきで風を送っている。
・1本目:さがり
豚のサガリは横隔膜の下側の腰椎に近い部位で、肉質がやわらかく適度な脂肪があるのが特徴。鮮度抜群で臭みもなくジューシィな肉汁が溢れてくる。
・2本目:なんこつ
豚の軟骨は喉から気管に繋がる部分でコリコリした食感が楽しめる。気管の周りのお肉が適度についているので、肉の旨みと軟骨のコリコリを一度に味わえる。
・3本目:れば
もつ焼きの定番の豚のレバー(肝臓)のタレ。焼き台のそばにタレ壺があり、何十年も継ぎ足しという秘伝のタレなのだそう。新鮮なレバーはピンと角が立って甘みたっぷり。タレの味わいは凄いとしか言いようがない濃厚さ。サラッとしていて甘さや塩気が特別強い訳ではないけど、なんとも言えないコクと深みを感じる。
・4本目:はつ
豚の心臓。心臓(Hearts)だからハツ。 脂が少なくあっさりとした味わいの赤身。筋肉質で独特の弾力のある食感。
・5本目:ほあぐら
レバーに近い味わいだけど、「フォアグラ」という名の通り、レバーよりも脂が乗った濃厚な味わいで、とろけるような舌触り。豚のチレ(脾臓)と脾臓の周りについてる網脂だろうか。
・6本目:もうせん
こちらも謎の部位。タレ焼き。グニグニした皮のような部分にこってりした脂身がついているので豚のシロ(小腸)かテッポウ(大腸)だろうか。
・7本目:さがり
2回目のさがり(横隔膜)。安定の美味しさ。
・8本目:こぶくろ
豚の子宮。クルッと回ったイヤリングのような見た目で、脂質がほとんどなく柔らかくて淡白な味わいが特徴の部位。
・9本目:2番丁
おまかせコースの最後。これまた謎の部位。肉厚だが脂身がなく淡白な味わいでほどよい弾力がある。豚のガツ(胃)かな。
どの串も本当に絶品だった。都内のもつ焼きの人気店にもいくつか行ったけど、こちらと同程度のクオリティの串が味わえるお店はパッと思い浮かぶだけで数軒しかない。
豚モツ自体の鮮度やクオリティはもちろん、焼き加減や塩加減など焼き手の技術によって引き出される美味しさのレベルが最上級。1本1本魂を込めて焼きあげ、最高の火入れのタイミングを見極めている。
スタートから約90分でおまかせコース9本が終了。追加で「ほあぐら」と「もうせん」を塩でオーダー。生ビール2杯と日本酒2杯でしっかり酔っ払ってお会計は4500円ちょい。コストパフォーマンスも抜群だ。
2024/07/18 更新
やきとり そね田
(山形県山形市/最寄駅:山形)
JR山形駅東口から徒歩5分、山形駅東口交通センターを通りすぎて城南陸橋の手前にあるやきとり(もつ焼き)の老舗「やきとり そね田」。
駅前の繁華街からは外れた場所にポツンと佇むが、平日休日問わず開店後すぐに地元の常連客で満席になる人気の大衆酒場。食べログの「焼き鳥百名店」にも2023、2024と2年連続で選出されている。
開店時間は17時30分となっているが、連日17時すぎからお店を開けてお客さんを入れている。電話予約不可なので、週末はなるべく17時30分前にお店に来るか、または一巡目のお客さんが帰り始める20時以降がおすすめ。
この日は金曜日の17時15分頃にお店に着いて、既にカウンター席に5人ほど先客がいた。本来の開店時間の17時30分頃には店内は満席。
炭を起こして串を焼き始めるのは17時30分からになるので、開店前からカウンターに座っているお客さんたちは、お通しや漬物などを酒のつまみにしながら、焼き台に炭が並べられるのを待っている。
ひとまず生ビール(660円)で喉を潤して、炭の準備ができるのを待つ。お通し(300円)は豚モツの切れ端が入った煮こごり。お酢のきいた酸味のある味付けで暑い日の前菜にぴったり。
メニューは基本的に「おまかせ」で、串10本がおまかせで出てくるスタイル。1串200円(2番丁のみ210円)。最初に店主の奥様から「おまかせでよろしいですか?」と確認がある。
1本ずつお好みでの注文も出来るが、常連客は基本的におまかせで頼み、焼く側も同じ種類の串を一斉に焼いて順番に提供する流れなので、おまかせにした方が待つこともなく手際よく串が出てくる。
串以外には枝豆(400円)やたくあん漬け(500円)、冷奴(450円)、みそきゅうり(500円)、みそだいこん(500円)といったサイドメニューもあり、やきとりの合間の口直しにしも最適。
17時30分を過ぎて炭火の準備が出来たところで、串を焼き台に並べていく。その後は、店主と息子さんがそれぞれの焼き台に立ち、順番に串が出てくる。
店主も息子さんも1本1本に丁寧に焼き台に串を並べ、真剣な眼差しでベストな焼き加減を調整している様子はまさに職人の姿。時折指で肉を押して火入れ加減を確認しながら串をひっくり返している。まさに「一球入魂」ならぬ「一串入魂」という様子。
●やきとりおまかせ10本
1本目:さがり(塩。豚の横隔膜周りの筋肉)
2本目:なんこつ(塩。豚の喉から気管に繋がる部位)
3本目:はつ(塩。豚の心臓。Heatsなのでハツ)
4本目:ほあぐら(塩。豚の脾臓とその周りの網脂)
5本目:さがり(塩。2本目のさがり)
6本目:あいまち(塩。豚の胃かな?)
7本目:こぶくろ(塩。豚の子宮)
8本目:2番丁(塩。さがりのスジだそう)
9本目:もうせん(タレ。豚の大腸かな)
10本目:さがり(タレ。さがりは塩でもタレでも安定の美味しさ)
どの串も本当に絶品。豚モツ自体の鮮度やクオリティはもちろん、焼き加減や塩加減など焼き手の技術によって引き出される美味しさのレベルが最上級。1本1本魂を込めて焼きあげ、最高の火入れのタイミングを見極めている。
串を焼いている様子をよく眺めていたら、店主も息子さんも焼きながらネギの表面の焦げた部分を丁寧に手で剥いでることに気付いた。焦げたネギの苦味が雑味にならないように外しているのだろうが、そこまで気を配って串を焼いている焼き手は他では見たことがない。
スタートから約2時間でおまかせコース10本が終了。生ビール2杯とナチュラルワイン2杯でしっかり酔っ払ってお会計は二人で約9000円。コストパフォーマンスも抜群だ。
ドリンクはビールやレモンサワー、ハイボール、日本酒、焼酎の他、ナチュラルワインも取り揃えている。4代目の息子さんがお店に入る以前に、山形市内のダイニングバー「プルピエ」で働いており、ナチュラルワインを学んだそうだ。さらに東京でペアリングの修業もしたそうで、今は実家に戻り、自身が焼きあげるやきとりに合わせたナチュラルワインのペアリングを提案している。
●白ワイングラス 850円(DROP Dormanc 2024)
山形県上山市で2023年に設立されたワイナリー「DROP」の微発泡白ワイン。程よい濁りとガス感があり、グレープフルーツや白胡椒の香り。ドライであり、果実味と程よいミネラルを感じるペットナット。塩のやきとりと相性抜群。
●赤ワイングラス 850円(Boit Sans Soif 2017)
フランス・ロワール地方の自然派ワインの作り手「La Coulee d'Ambrosia(ラ・クーレ・ダンブロジア)」の赤ワイン。ほのかにオレンジがかった淡い赤色で、みずみずしい滑らかな飲み心地と、ピリピリと舌先をかすめるようなガス感もあり、溌剌とした夏にぴったりの味わい。塩にもタレにも合う味わい。