2回
2024/10 訪問
自然に囲まれた環境で味わう「里山フレンチ」が絶品の1日3組限定オーベルジュ(#薪の音)
里山のオーベルジュ 薪の音(まきのおと)
(富山県南砺市/最寄駅:城端)
【夕食】
●前菜(燻製盛り合わせ)
射水や氷見で獲れた北陸の海の幸の軽い燻製。カンパチ、サクラマス、フグ、タコ、ホタテ、アオリイカ、カマス、サンマ、クリームチーズの9種類の盛り合わせ。アサツキととんぶりの2種類のソース。
●前菜(玉ねぎのババロア 小松菜のソース)
地元の桜ヶ池で収穫された玉ねぎをババロアにして、小松菜のソース、越中貝(バイ貝)と合せた一皿。
●パン
はちみつの自家製酵母を使った自家製パン。コースの序盤でえごまのトースト、終盤でよもぎもパンの2つが提供。シェフ特製の自家製バターと無塩バター、焦がし玉ねぎとアンチョビのオイルソースが付け合わせ。
●サラダ(地元野菜のサラダ 牛蒡のスープ)
自家菜園の新鮮野菜の盛り合わせと牛蒡(ごぼう)のスープ。人参のピューレとマリネ、大根、キュウリ、蕪、トマト、オクラ、ブロッコリー、ソーメンかぼちゃ、甘瓜、ハッパ(金時草)など。そのまま何もつけずに味わっても自然の甘みが十分で美味しい。焦がし玉ねぎとアンチョビを合わせてバーニャカウダ風に味わうのもオススメ。
●魚料理(ホタテ、白茄子、栗 アメリケーヌソース)
ホタテの貝柱、白茄子、栗に甲殻類の濃厚な旨みたっぷりのアメリケーヌソースを合わせ、さらにパウダー状にした栗をたっぷりとふりかけた一皿。海の幸と山の幸が絶妙に組み合わさった、まさに「里山フレンチ」の醍醐味といえる逸品。
●魚料理(甘鯛 冬瓜のソース)
ふっくら柔らかく炊いた甘鯛の切り身と甘鯛のすり身、冬瓜に、あっさりと上品な蓮根のソース、地物のすだちを合わせた一皿。もはやフレンチというより創作和食に近い。
●肉料理
メインのお肉料理は豚肩ロースのソテー、和牛のステーキ、和牛のテール煮込みの3種類からお好きなものをチョイス。和牛のステーキをチョイス。石川県産の牛のシンシンというモモの内側にある部位で、脂と赤身のバランスが良く、肉質のきめが細かく柔らかいのが特徴。マデラワインのソース、付け合わせは自家菜園のルッコラ。
●ご飯、味噌汁
フルコースでボリュームが多いので、希望した場合のみご飯とみそ汁、お新香が出てくる。ご飯は枝豆とホタテの炊き込みご飯で生姜のキリッとした香りが絶妙。みそ汁は地元の南砺市にある「石黒種麹店」で手作りしている味噌を使っている。自家製のぬか漬けも絶品。
●デザート、カフェ
デザートは干し柿のアイス、栗のプリン、ココナッツのロールケーキの3種類からお好みで。シェフのスペシャリテシェフの「ラム酒に漬けた干柿のアイスクリーム」は、南砺市の特産品「富山干柿」を贅沢に使用した逸品。通信販売でも人気商品で「地場もん国民大賞」で銅賞(2011年)、審査員特別賞(2013年)にも輝いている。ラム酒に漬けた干し柿の果肉とキャラメル風味のアイスが絶妙なほろ苦さを作り出し、大人の味わい。
希望の場合は、デザートの追加で「フォンダンショコラ」もあるとのことでいただいた。外はサクサク、中はトロッとクリーミーで今まで食べたチョコレート系のケーキで一番美味しかった。付け合わせの梨もさっぱりとした甘さで絶妙。カフェはコーヒー、エスプレッソ、ハーブティー、フルーツティーから選べる。
2024/10/11 更新
里山のオーベルジュ 薪の音(まきのおと)
(富山県南砺市/最寄駅:城端)
世界遺産の白川郷からほど近い富山県南砺市の田園風景が広がる里山にひっそりと佇むオーベルジュ「薪の音」。
オーベルジュ(Auberge)とは、宿泊機能を持つレストランを意味するフランス語で、フランスの郊外で食事を振る舞うシェフやオーナーが、遠路はるばる来てくれた客を店に泊めたことが発祥と言われている。
こちらの「薪の音」は、JR城端線(じょうはなせん)の終着駅・城端駅から車で5分、東海北陸道の福光ICからは車で10分ほどで、城端の中心から山間部に向かった小さな農村集落の中にある。豊かで美しい自然に囲まれた里山で心を穏やかな時間を過ごせる。
オーナーの山本誠一さんはこの土地で七代続いてきた農家で、宿のある敷地はかつて山本さんの生家があった場所だそう。農家をしながら、兼業で城端町の役場で職員として30年ほど勤め、観光や産業振興、農業、まちづくりなどさまざまな仕事に携わったそうだ。
まちづくりの関係で大分県の由布院に視察に行った際に、現地の宿のオーナーたちと交流が始まったことがきっかけとなり、自分でも小さなホテルを立ち上げたいと思うようになり、役場の仕事を辞めて、宿泊施設を開業するに至ったそうだ。
地元の魅力をより深く知ってほしいという思いから、食事だけでなく、宿泊してこそわかる地域の魅力をゆっくりと味わってもらうため、レストラン兼ホテルのオーベルジュという業態になり、2005年6月のオープン時から1日3組限定でもてなすスタイルを貫いている。
料理の質の高さと心温まるもてなしが評判となり、フランスのグルメガイド「ゴ・エ・ミヨ」2018年版でホスピタリティ賞を受賞するほか、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選・日本の小宿」部門でも選考審査委員特別賞を受賞した経歴がある国内有数のオーベルジュとなった。
「大人の隠れ家のようにしたかった」と話すオーナーの「好き」や「憧れ」が詰まった宿は、昔ながらの古民家の雰囲気もありながら、ラウンジにはモダンスタイルソファの名作「コルビジェ・LC2」や、高級オーディオブランド「B&W(Bowers & Wilkins)」のスピーカーが設置された洗練された空間。
お部屋からは大きな窓から外の田園風景を眺めることができ、広いテラスも備えている開放感あふれる空間。客室はナチュラルモダンの「枝椿」(定員1〜2名)、和テイストの「小桜」(定員1〜3名)、和洋折衷の特別室「四花菱」(定員1〜4名)の3部屋がある。
オーベルジュの主体はレストランなので、ランチ限定で食事だけの利用も可能(事前予約制・ランチコース5500円)。今回は家族旅行で1泊2食付きで宿泊料金は1人4万円ほど。
夕食は自家栽培の米や野菜、日本海の魚介など地産地消を大切にしたフレンチベースの創作料理となる「里山フレンチ」のフルコース。フレンチと言っても、必要以上にこねくり回すことはせず、地元のいい環境で育ったいい素材の良いところをなるべくシンプルに引き出すようにしている。
シェフの鵜野宏嘉さんは、オーナーの山本さんがオーベルジュを構想中にとある店で出会い、シェフとして招き入れたそうだ。当時シェフが働いていたがお店で「魚介の軽い薫製」という一皿を提供しており、北陸の海の幸に燻製という田園の雰囲気をまとわせた一皿が、まさにオーナーがイメージしていた「里山のオーベルジュ」というコンセプトにぴったりだと強く惹かれたそうだ。
宿から車で5分ほどの場所に2017年に生まれたワイナリー「ドメーヌ・ボー」のワインとのペアリングも楽しめる。ワインをたくさん飲んでも、そのまま同じ場所に泊まれるのは最高だ。
宿の周りには自然以外に何もないので、夕食後に外に出ることもなく、お部屋でぐっすり休んで、翌朝起きて清々しい空気を吸い込めば、心も身体もリフレッシュ。
待ちに待った朝ご飯は和食で、オーナーが丹精込めて育てた自家栽培のコシヒカリを、薪を使ってかまどで炊いたご飯はふっくらツヤツヤ。新鮮な野菜や地元食材をふんだんに使ったお惣菜など、澄み切った空気の中でいただけば極上の幸せ。
【朝食】
●ドメーヌ・ボーのぶどうジュース
●煮物(フグの治部煮、固豆腐、舞茸)
●蒸し物(湯葉あんかけ)
●炊き合わせ(冬瓜、干しずいき、小松菜、姫揚げ)
●焼き物(サクラマス、だし巻き玉子、ホタルイカ沖漬け、よごし)
●ご飯、味噌汁、お新香
●ご飯のお供(ちりめんじゃこ、昆布の佃煮、山椒鰹節)
●甘味(ブランマンジェ)
●飲み物(コーヒーor紅茶orほうじ茶、牛乳)