sanokuniさんが投稿した和田金(三重/松阪)の口コミ詳細

レビュアーのカバー画像

個人の主観的な感想です

メッセージを送る

sanokuni (男性・東京都) 認証済

この口コミは、sanokuniさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。 問題のある口コミを報告する

和田金松阪/すき焼き

1

  • 夜の点数:5.0

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 5.0
      • |酒・ドリンク -
1回目

2024/12 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP5.0
    • | 酒・ドリンク-
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

日本三大和牛のひとつである「松阪牛」の味を世に広めてきたすき焼きの名店(#和田金)

和田金(わだきん)
(三重県松阪市/最寄駅:松阪)

JR松阪駅から徒歩10分、旧伊勢街道に面した5階建ての立派なビルで高級旅館のような佇まいの老舗料亭「和田金」。

明治11年の創業以来、長い歴史に培われた伝統を守りながら、日本三大和牛のひとつである「松阪牛」の味を世に広めてきた名店。

創業者である松田金兵衛が東京深川の料亭「和田平」で修業を積んだ後に松阪に帰郷し、明治11年(1878年)に精肉店を開業したのが始まり。開店から5年経った明治16年(1883年)にすき焼きを出す料理店にした。当時の松阪では初めてのすき焼き料理店だったそうだ。

金兵衛は「いい肉で貫け」を家訓に定め、「悪い肉を売るくらいなら、商売などやめてしまえ」と口癖のように言って聞かせたという。当時としては珍しく精肉部門ではロース、バラ、ヘットなど部位ごとに名前を付け、肉質の良し悪しで値段を変えるという販売手法を導入した。

当時の牛一頭の相場は12円~15円だったが、良質の牛を見極めて20円で買い取ったので、松阪近隣の地元農家の間では、肉質の良い牛を肥育すれば和田金が高く買ってくれると話題になり、肥育技術を向上させる農家が増加したことで、「松阪牛」が日本屈指の高級ブランド牛となる礎を築いたそうだ。

昭和39年(1964年)には牛肉の安定的な仕入れとさらなる肉質の向上ため、松阪市の郊外に自社牧場の「和田金牧場」を開設。現在では常時約2000頭の雌牛を飼育し、和田金独特の方法により、丹念に特別肥育している。

自社牧場では、兵庫県産の純但馬血統の黒毛和牛の中から優秀な雌の仔牛を厳選して仕入れを行い、肥育、出荷に至るすべての過程において専門家の目の行き届く、安心・安全な環境を整えている。

和田金の三代目店主が、牛が食欲をなくした時の食欲回復法としてビールを飲ませたり、出荷前の牛をリラックスさせて肉質を柔らかくするために、牛にマッサージを行ったりしたことがメディアでも取り上げられて注目を集め、日本各地の牧場にも同様の手法が広まっていった。


以前、寺門ジモンさんが原作の漫画「ネイチャージモン」を読んだときに、「和田金」のことを“宇宙一美味しい、すき焼きの頂点”と紹介していたことで、長年行ってみたいと思っていたが、今回年末に伊勢方面に旅行することになり、念願の訪問。

1階の豪華なエントランスには大きな吹き抜け、足元には赤い絨毯が広がっており、まるで高級旅館のような雰囲気。2階から5階に40の部屋があり、全て個室のお座敷となっている。仲居さんが丁寧に出迎えてくれ、エレベーターを上り、個室まで案内してくれる。

部屋の中は輪島塗の朱色の円卓があり、重厚な南部鉄のすき焼き鍋、樫の木の菊炭など、一流の品々で極上の松阪牛を最高の状態でいただける。焼き加減、味付けはすべて熟練の仲居に委ねる非日常的で、特別感のある体験。地元でも憧れのお店として、成人や還暦のお祝い、両家顔合わせなど人生の節目のタイミングで利用するお客様が多いそうだ。

メニューは「寿き焼(すきやき)」「あみ焼」「ステーキ」「志を(塩焼き)」などがあり、単品料理とコース料理がある。松竹梅で値段が異なり、提供されるお肉の部位が変わる。すき焼きの場合、松竹梅の全てロースだが、一番高い「松」はリブロースの中でも最もすき焼きに適しているという肩側の部位になるそうだ。


●寿き焼コース(松) 19600円 ※別途サービス料10%
一生に一度あるかないかの贅沢なので「寿き焼(松)」のコースをチョイス。「寿き焼(松)」単品は15800円でコースセットは+3800円。別途サービス料10%がかかる。

最初にコースの前菜となる「かはり炙り焼」が提供。炙り焼は松阪牛のローストビーフで、赤ワインのジュレが添えられている。和田金で提供する松阪牛は全て雌牛の未経産となり、一般的に流通している雄牛(去勢牛)と比べると、脂の融点が低いのが特徴。口に含んだ瞬間に上質の脂がとろけていくのを感じる。

続いて「和田金肉すまし」と「和田金三種盛り」が提供。肉すましは三つ葉を巻いた生の牛肉に目の前で熱い出汁をかけてしゃぶしゃぶしていただく。肉の旨みがじんわりと出汁に滲んで味わい深い。三種盛りは松阪肉と野菜のゼリー寄せ、きのこのムース、松阪肉のそぼろで、見た目も華やかでどれも絶品。

しばらくすると、中居さんが卓上の焼き台に炭を並べていき、部屋全体がじんわりと暖まっていく。和田金で使用している炭は茶席でも使用される樫の木を原料とした最高級の菊炭で、煙が少なく、パチパチと火が弾けることが少ない良質な炭なのだそう。ガスの方が火力が強いが、炭火は遠赤外線の効果で食材にじんわりと火が通り、素材の食感や味わいを存分に楽しめる仕上がりとなるという。

いよいよすき焼きの登場。お肉は一人2枚。1枚約60gで一人前120gになるそうだ。自社牧場で肥育された松阪牛は、セリに出される黒毛和牛とは違い、意図的にサシを入れるようなこともなく、小豆色と呼ぶに相応しい肉色。野菜は大分のドンコ(椎茸)、京都の焼麩、淡路産の玉葱、新潟の白舞茸、豆腐、青ネギなど。

まだ鍋が冷たい内に牛脂とお肉を並べて、じっくりと温めていくのが和田金のすき焼きの作り方。すき焼きというと熱々の鍋でジューと焼くイメージがあるが、いきなり熱々の鍋に入れるとお肉がびっくりして硬くなってしまうので、優しく静かに始めるのだそう。

また、仲居さんは約30人の社員がいるが、誰が担当しても同じ味になるよう、社内検定を合格しなければ客席ですき焼きの給仕が出来ないそうだ。

味付けは上白糖と秘伝のたまり醤油、薄味の昆布出汁のみ。酒やみりんは使わず、肉そのものの旨みを引き出していく。仲居さんがベストな食べ頃のタイミングの見極めて鍋から肉を上げて、朝採れの卵をといた器にお肉を入れてもらい味わう。

歯ではなく唇でプルンと切れるような極上の柔らかさ。口の中に上質な肉の旨味と脂の甘さが広がる。厚みもあるので、しっかり食べ応えもある。松阪牛の中でも純但馬血統の個体は非常に稀と言われており、自社牧場でとことん味を追求した純但馬血統の松阪牛をいつでも食べれるというのは奇跡と言っても過言ではない。

また、セリに出て一般に流通する牛肉は、A1〜A5ランクといった格付け等級の制度があるため、肉そのものの味よりも、脂のサシがどれだけ入っているかが評価基準となってしまう風潮があるが、「和田金」の自社牧場で育てた牛は、脂肪の融点の数値化を目標としており、「特産松阪牛」や「A5ランク」などの外部の格付けに対するこだわりはない。

一説によるとロースの部位がすき焼きの鍋の大きさにちょうど合うように牛を育てているとも言われている。正真正銘の和田金専用のすき焼きのために育てられたお肉。意図的にサシは入れずにとことんすき焼きに向いた肉質の良さだけにこだわり、牛のサイズまで揃えるというのは自家牧場を持つ和田金でしか出来ないこだわりだ。

肉はもちろんのこと野菜もひとつひとつにこだわり、全ての素材が主役となるようなものを選んでいるという。水分の多い食材を入れると「すき焼き」ではなく「すき煮」になってしまうので、食材全体の水分の量や入れる順番にもこだわっているそうだ。

仲居さんから最後に旨味がたっぷり染み込んだ生卵をご飯の上にかけて「すき焼き丼」にしても美味しいですよとのことで、言われた通り、ご飯に乗っけて豪快にかきこめば至福の瞬間。デザートは静岡産のマスクメロン「天使音(あまね)」と茶菓子。

食事が終わって仲居さんが炭火を下げると、だんだんお部屋の温度も下がってきて、静寂の中で非日常から日常に戻っていくような感覚。個室なのでお茶を飲みながらゆっくりしてしばらく余韻に浸ていたが、間違いなく人生で一番美味しい牛肉だった。普段はステーキなら200g~300gもペロリと食べるが、このすき焼きなら一人前120gでも十分満足。

2025/01/29 更新

エリアから探す

すべて

開く

北海道・東北
北海道 青森 秋田 岩手 山形 宮城 福島
関東
東京 神奈川 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城
中部
愛知 三重 岐阜 静岡 山梨 長野 新潟 石川 福井 富山
関西
大阪 京都 兵庫 滋賀 奈良 和歌山
中国・四国
広島 岡山 山口 島根 鳥取 徳島 香川 愛媛 高知
九州・沖縄
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
アジア
中国 香港 マカオ 韓国 台湾 シンガポール タイ インドネシア ベトナム マレーシア フィリピン スリランカ
北米
アメリカ
ハワイ
ハワイ
グアム
グアム
オセアニア
オーストラリア
ヨーロッパ
イギリス アイルランド フランス ドイツ イタリア スペイン ポルトガル スイス オーストリア オランダ ベルギー ルクセンブルグ デンマーク スウェーデン
中南米
メキシコ ブラジル ペルー
アフリカ
南アフリカ

閉じる

予算

営業時間

ページの先頭へ