4回
2024/12 訪問
銀座の象徴
銀座8丁目に佇む「資生堂パーラー 銀座本店」。その歴史は1902年、資生堂薬局内に設けられた日本初のソーダファウンテンに始まる。当時、まだ珍しかったソーダ水やアイスクリームを提供し、多くの文化人や銀座を訪れる人々の憩いの場として愛されてきた。
約1年ぶりにこの老舗を訪れ、早めの夕食を済ませてきた。今回の目的は、歴史と伝統が息づくビーフカレー。先日、箱根・宮ノ下の「富士屋ホテル」で味わったカレーに感銘を受け、資生堂パーラーのカレーも試してみたいと思ったのだ。
私は多彩なスパイスを駆使した本場のインドカレーよりも、欧風カレーの深いコクとまろやかさを好む。
資生堂パーラーのビーフカレーは、真っ黒でとろりとした粘度の高いルゥが特徴。一口味わうと、濃厚な旨味が口いっぱいに広がり、飛騨牛の大きなブロック肉が贅沢にゴロゴロと入っている。その独特の風味からは、長年培われたこだわりが感じられる。
ビーフカレーの前には、「伝統のコンソメスープ」をいただいた。テーブルでサーブされるその瞬間、琥珀色に澄んだ美しいスープから立ち上る豊かな香りが食欲をそそる。一口含むと、肉と野菜の深い旨味が五臓六腑に染み渡り、心まで温まるような滋味深い味わいが広がる。
銀座の象徴ともいえる「資生堂パーラー」。店内は高貴で静謐な空間が広がり、自然と背筋が伸びる思いがする。食器やカトラリーにも細部までこだわりが感じられ、これぞ"銀座のレストラン"といった風格が漂う。明治から受け継がれる歴史と伝統が、ここに息づいている。
今回は一人での食事だったため、少し気恥ずかしさも感じたが、次回はぜひ妻とともに訪れ、この特別な空間と味わいを共有したいと思う。
2024/12/23 更新
2023/11 訪問
銀座の象徴「資生堂パーラー 銀座本店」にて優雅なひとときを
実兄の結婚式出席のため、妻を伴い東京へと赴いた。滞在の主目的は結婚式であるが、東京での外食も、私たちにとっては重要な楽しみである。
さて滞在初日、まず向かったのは資生堂パーラー銀座本店である。前回の訪問が2週間前であった私と、昨年8月以来となる妻は、再びその味を求めて足を運んだ。
専用エレベーターで5階へと向かった。そこは洗練された雰囲気に包まれ、期待感を一層高めてくれる空間であった。注文したのは「シーザーサラダ」、「グリル野菜のカレーライス」、そして「オムライス」である。
「シーザーサラダ」は以前から試してみたいと思っていたメニューの一つであった。SNSで目にしたパフォーマンスに魅せられたことが理由で、ロメインレタスのカットからドレッシングの調理まで、客の面前で披露される全過程を体験することを望んでいた。パルミジャーノ・レッジャーノが豪快に削られる姿は見る価値があり、ドレッシングの繊細ながらも複雑な味わいと、チーズの濃厚な風味が印象深いものであった。
オムライスについては、その美しい見た目と、バターの芳醇な香りが特徴の黄金色の逸品であった。
最後に選んだのは「長野県産 信州畑工房“恋姫”のストロベリーパフェ」で、その見た目の美しさとバランスの取れた味わいは、資生堂パーラーならではの洗練を感じさせた。
資生堂パーラー銀座本店での食事は、明治から続く伝統と現代の洗練が見事に結びついた、至福の時間であり、私たちの東京滞在の初日を華やかに彩るランチタイムとなった。
2024/06/09 更新
2023/10 訪問
銀座の洗練と伝統が息づく名店「資生堂パーラー 銀座本店」でのひととき
「煉瓦亭」でのランチを終え、銀座の街を散策した。夕方には東京を後にする予定だったため、早めの夕食の場所として「資生堂パーラー 銀座本店」を選んだ。
前回の訪問は昨年の夏、妻と共にであった。今回、男性一人での入店に少し躊躇したものの、そうした心配は捨て、純粋に食事を楽しむことを優先した。
土曜日の15時で混雑を予想していたが、行列もなくスムーズに入店できた。専用エレベーターで4階のレストランフロアへ。店内は高貴な雰囲気に包まれ、静かな空間が広がっていた。烏龍茶で一息ついた後、「伝統のコンソメスープ」と「オムライス」を注文した。
コンソメスープは、ウエイターが目の前で注いでくれるという粋な演出に感激。芸術ともいえる黄金色のスープは、滋味深い味わいで、体の隅々まで染み渡った。
続いて運ばれてきたオムライスは、「煉瓦亭」のそれとは一線を画す洗練された美しさがあった。(煉瓦亭のオムライスも当然素晴らしい)。
卵の滑らかさ、チキンライスの具材の絶妙なバランス、そしてトマトソースとの調和は、明治時代から続く伝統的な洋食を代表するものだった。
食後のコーヒーも格別で、店内の雰囲気と相まって、優雅なひとときを過ごせた。
銀座の高貴な雰囲気と、伝統的な洋食が見事に融合している「資生堂パーラー」は、永く多くの人々に愛され続ける名店であると、改めて確信した。
オムライス ¥3,000
伝統のコンソメスープ ¥1,600
資生堂パーラー オリジナルブレンドコーヒー¥900
高揚感に包まれるテーブルセット
華やかな「東京銀座資生堂ビル」
きめ細やかでつるんとプルプルの美しいお肌が特徴
黄金色にまばゆく輝く、資生堂パーラーのオムライス
福神漬、らっきょう、玉葱の醤油漬け、みかんのシロップ漬けの薬味が彩りを添える
肉と野菜の旨味をじっくり引き出した、黄金色に透きとおるコンソメ
店内の雰囲気と相まって格別の味わい
テーブルに彩りを添える
2024/06/09 更新
東銀座の某有名ラーメン店を目指し、午前10時過ぎに到着した。しかし、すでに整理券の配布は終了。まさかの展開に肩を落とす。事前のリサーチを怠った自分を恨むほかない。やはり、TableCheckでの予約争奪戦を制するしかないのだろう。
気を取り直し、次の一手を思案するも、候補の多くは定休日。途方に暮れつつ銀座の街を歩いていると、いつの間にか「資生堂パーラー」の前に立っていた。半ば諦めの気持ちで入店を尋ねると、幸運にも空席があるという。
4階・5階のレストランは、3階のサロンとは異なり、格調高く、静謐な空気に満ちている。スタッフの所作は凛としており、客としても自然と背筋が伸びる。
注文したのはオムライス(¥3,000)。理想的なフォルム。バターの芳醇な香りがふわりと漂い、食欲を誘う。おそらく卵は事前に漉されているのだろう。口当たりは絹のように滑らかで、絶妙な火入れだ。これは熟練の技術によってのみ成し得るものであり、まさに職人技の結晶。
中のチキンライスは、酸味と甘味の均衡が見事であり、品格を感じさせる。
ソースはフォンドヴォライユをベースとした特製ソース。酸味を抑え、旨味とコクを前面に立たせた仕立て。
副菜の福神漬け、らっきょう、オニオンピクルス、みかんのシロップ漬けも抜かりなく、料理全体に華やぎを添えている。
食後には「滋賀県産 虹の果」を用いたストロベリーパフェとブレンドコーヒーを。パフェは見事なビジュアル。味は言わずもがな。ブレンドコーヒーはテーブルでポットから注がれ、香り高く、温度も申し分ない。
「資生堂パーラー 銀座本店」は、料理の味、盛り付けの繊細さ、選び抜かれた食器とカトラリー、凛としたサービス、そして格調高く静謐な空間。そのいずれもが一貫した美意識によって構成されている。明治創業の老舗は、令和の今日においてもなお、銀座の品格を体現する存在である。