2回
2025/09 訪問
青山で味わう、肉の芸術舞台
青山という大人の街の一角にひっそりと佇む「肉匠 八」。外観は落ち着いた和の趣きを漂わせつつ、扉を開けると柔らかい照明に包まれた上質な空間が広がります。無駄のないシンプルな内装に、木の温もりと静かな気配。耳を澄ませば心地よいジャズが流れて、まるで都会の喧騒から一瞬で切り離された別世界。ここで味わえるのはただの“焼肉”ではなく、“肉を通した体験そのもの”だとすぐに気付かされます。
お任せコース 15000円の旅
まずテーブルに置かれたのは「ネギと大和芋のキムチ」。シンプルなのに驚くほど繊細な味わいで、舌も気分も一気にリセットされました。次の「ミノの湯引き」は軽やかな弾力があり、噛むたびにじんわりと広がる旨みが、これから続くコースの“序章”を告げるよう。
「チョレギサラダ」でさっぱりと整えた後、一気に気持ちが高ぶる「ハラミの炙り刺身」と「松坂牛極みユッケ」が登場。ユッケは卵黄のまろやかさと松阪牛の甘みが完璧に重なり、思わず心の中で「これだけで来た甲斐がある」と呟いてしまうほど。
そこからのタン尽くしは、本当に圧巻でした。「極薄切りタン」はまるで羽のように軽やか、「薄切りタン」でしっかりと食感を楽しみ、「ネギ包みタン」ではほんのり香るねぎの甘みとタンの旨みが見事にマッチ。そして再び「薄切りタン」の登場。ひとつの食材を重層的に見せる構成に“肉匠”のこだわりを肌で感じる瞬間です。
至福のクライマックス
そしてコースの山場、「サーロインの焼きすき」。ぱっと炙ったサーロインを卵黄に絡め、口に含んだ途端ふわっと消えてしまう。脂の甘みが余韻となってしばらく残り、完全に心が奪われました。その後の「ハラミの塩」でキリリと味を締め直し、「ミスジのしゃぶしゃぶ」は優しく染み入るような旨みを届けてくれます。
さらに赤身の魅力が凝縮された「トウガラシのタレ」で味覚に刺激が走り、再び食欲を掻き立てられる。この緩急のつけ方が実に見事。
そしてサプライズのように運ばれてくる「本日のステーキサンド(カイノミ)」。一口かじるとサクッと軽いパンの後から、肉汁がじわっと溢れ出し、口いっぱいに広がる圧倒的な贅沢感。静かな店内にいても心の中で小さく歓声を上げてしまいました。
美しい締めと余韻
コースを彩る最後の二皿は「すだち冷麺」と「ゆずシャーベット」。冷麺はすだちの清涼感が食後の胃袋を心地よく包み込み、シャーベットはゆずの香りでフィナーレを美しく飾ります。この瞬間、「食事が終わってしまうのが惜しい」と感じたのは久しぶりでした。
15000円という価格で楽しめるのは、ただの焼肉ではなく、一皿ごとに組まれた“ドラマ”と“物語”。落ち着いた青山の空間だからこそ引き立つ、このリズム感と深みのある演出は、まさに大人の嗜み。ひとりでも、大切な人とでも、特別な夜を過ごしたいときにぴったりの一軒です。
2025/09/17 更新
9月ぶり2回目の青山一丁目「肉匠 八」。
前回かなり好印象だったので、今回は思い切って【極み】コース(14,500円)を予約してみたら…想像以上に“肉のテーマパーク”みたいな体験になりました。
スタートからワクワクが止まらない前菜ゾーン
まずは「山芋と九条ネギのキムチ」からスタート。
ねっとりとした山芋に、九条ネギの香りとピリッとした辛さが重なって、いきなりお酒を呼び込む危険な前菜。
辛さはそこまで強くないのに、あと引く旨みがあって、一口で「今日のコース絶対当たりだ…」と確信しました。
続く「旬野菜の彩りサラダ」は、シャキシャキ野菜にさっぱり甘めのドレッシングで、口の中を一度リセットしてくれるポジション。
重くないから、ここから先に待っている和牛ラッシュへのウォーミングアップにぴったりです。
「炙りレバー」は、表面だけさっと火入れされていて、中はとろとろ。
レバー特有のクセがほとんどなくて、まったりとした甘みだけが残る感じ。レバーが得意じゃない人でもチャレンジしやすそうな一皿でした。
黒毛和牛タン&ホルモンで一気にギアチェンジ
ここから一気にテンションが上がる「黒毛和牛タン食べ比べ3種盛り」。
* 特選霜降りタン薄切り
さっと焼きで、驚くほどサクッと歯切れがよく、タンの旨みだけをすっと残して消えていく上品さ。
* 特選霜降りタン厚切り
表面はこんがり、中はムチッとした弾力。噛むほどに肉汁があふれてきて、“タンってここまで主役になれるんだ”と再認識させられます。
* たたみネギタン
ネギをたっぷり折りたたんだスタイルで、噛みしめるたびにネギの香りと肉汁が一緒に溢れ出す、贅沢すぎる一枚。
続く「厳選ホルモン(上ミノ・シマチョウ)」は、食感と脂の甘みを楽しむパート。
上ミノはザクザクした歯ごたえが心地よく、シマチョウは口の中でとろける甘い脂が印象的。
味付けがしっかりめで、お酒にも白米にも合う“わかってる”仕事ぶりでした。
赤身の旨みを堪能:ユッケ&ステーキサンド&ハラミ
「シンシンの極みユッケ」は、きめ細かな赤身の旨みがギュッと詰まった一皿。
タレは甘さ控えめで、卵黄と混ぜるとまろやかさが加わりつつも、お肉の風味がちゃんと主役のまま。スプーンで一口ずつ大事に食べたくなる、贅沢ユッケです。
テンションがさらに跳ね上がったのが「ステーキサンド(カイノミ)」。
レアめに焼かれたカイノミのジューシーさと、カリッと香ばしいパンのコントラストが最高で、
“高級ステーキの一番美味しいところだけを、2口にギュッと閉じ込めました”みたいな幸せな一品。
小ぶりなのに満足感はしっかりで、コースの中でも記憶に残るメニューでした。
そして「国産和牛ハラミ(塩・タレ)」。
塩はシンプルに肉の旨みをダイレクトに楽しめて、噛むほどに赤身のコクが広がります。
タレはご飯泥棒系のしっかり味で、口いっぱいに頬張りたくなる危険な美味しさ。
脂っこさはなく、最後まで軽やかに食べられるのが印象的でした。
クライマックスの松坂牛A5&ご飯もの
ここからが【極み】コースの真骨頂。
まず「松坂牛A5ミスジのしゃぶしゃぶ」。
さっとお出汁にくぐらせただけのミスジは、驚くほどとろける口溶けで、脂の甘さがふわっと広がります。
それでいてしつこさはなく、後味がちゃんとキレるので、思わずもう一枚…と手が伸びそうになる危険ゾーン。
続く「松坂牛A5リブロースの焼きすき」は、背徳感MAXの一皿。
薄切りリブロースをさっと炙って、とろとろの卵黄にダイブ。
卵のまろやかさとお肉の甘い脂が重なって、口の中が一瞬で幸せでいっぱいになります。
“これはもう反則”と心の中でつぶやきながら、しっかり完食。
ご飯はつやつやの「魚沼産コシヒカリ」。
そこに「国産和牛イチボ」をシンプルに塩で合わせるスタイルで、
脂のきれいな旨みと、しっかりしたお米の甘さが手を取り合う、王道中の王道・肉×白米コンビ。シンプルだからこそ、ごまかしのきかない素材の良さが際立ちます。
〆2連発:ユッケジャンクッパ&名物すだち冷麺
〆はなんと二段構え。
「ユッケジャンクッパ」は、旨みたっぷりのスープに、ほぐれたお肉と卵がとろりと絡んで、
ピリ辛だけど優しさもある“飲み干したくなる系”の味わい。
ここまでかなり食べているはずなのに、スプーンが止まらない魔法の一杯でした。
さらに「名物 すだち冷麺」で口の中を完全リセット。
透き通ったスープに、輪切りのすだちがたっぷり浮かんでいて、ひと口すすった瞬間、酸味の爽快感に思わず「はぁ〜」と声が漏れるレベル。
麺はするする喉ごしがよく、重たさゼロ。
脂の余韻をきれいさっぱり洗い流してくれる、締めにふさわしい一杯です。
デザート&お茶で余韻を楽しむ時間
デザートの「ゆずシャーベット」は、キュッと締まった酸味と、ふわっと広がる柚子の香りが心地よい爽やか系。
甘さも控えめで、ここまでのコースを振り返りながら、ゆっくり味わいたくなる一品でした。
最後は「〆の暖かい黒烏龍茶」。
ほんのり香ばしくて、体の中まで温まる感じがして、“今日もいいお肉食べたな〜”としみじみ実感。
お茶を飲み終える頃には、満腹なのに不思議と重さはなく、心地よい満足感だけが残っていました。
お店の雰囲気・使いどころ
カウンター越しに焼き加減を任せられるスタイルで、目の前でどんどん仕上がっていくお肉たちを眺める時間も込みでエンタメ。
スタッフさんも程よい距離感で、肉の説明や食べ方の提案をしてくれるので、焼肉というより“和牛フルコース”を食べている感覚に近いです。
価格はご褒美ラインですが、内容を考えると納得感高め。
記念日ディナーや、自分を甘やかしたい日の夜に、安心して予約できる一軒だと思いました。
「お肉好きな人を連れて行ったら絶対喜ばれるお店リスト」に、しっかり殿堂入りです。