『名駅の片隅で出会った世界史とオヤジの午後 〜第二章:串カツの逆襲〜』suna8さんの日記

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あくまで個人的な妄想です

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先日、“世界史”のノートに没頭する女子高生と相席した、名駅南の「KITTE名古屋」1階フロア。あのときの不思議な午後の余韻が、妙に心に残っていたらしい。ふと思い立ち、あのフリースペースにまた足を運んでみた。今回は平日の昼過ぎ。さすがに学生の姿はなく、そこかしこにパソコンを開いたスーツ姿のサラリーマンや、昼下がりをのんびり過ごすご年配の姿が目についた。

つまり、“あの子”はいない。ちょっと拍子抜けだった。いや、別に彼女目当てで来たわけじゃないんだけどさ——と、心の中で言い訳しながら、前回と同じ木のテーブル席に腰を下ろす。目の前には、今回は『にぎりたて』じゃなくて、すぐ隣(間にトイレを挟んだ)の『デリカキッチン』で調達した「味噌串カツ」が鎮座している。

ちょっと小腹を満たすにはちょうどいい——はずだった。

しかしこの串カツ、ちょっとした騒動の引き金になった。まずレジ。行列ができているにもかかわらず、対応していたのは明らかに“新人くん”な若い男性。おしぼり一つ貼り付けるにも四苦八苦で、後ろの人たちの気配がピリついていくのが肌でわかる。まぁね、誰にだって“はじめて”はあるわけで、ここはオヤジの余裕で「がんばれ」と心の中でエールを送っておいた。

それから電子レンジ問題。冷たい串カツじゃ寂しすぎると、店舗の片隅に置かれていた電子レンジに気づき、自分で温めようとした。ところが業務用1500W。何も考えず「1」のボタン(30秒)を押してしまい、即「しまった!」と中断ボタンを連打。既に15秒経過、パックが歪み、串カツはアツアツを通り越して“爆熱”状態に。

……泣ける。

しかも、食べてみたらその味噌ダレが、まぁ〜甘い!甘いったらありゃしない!デザートかと思った。名古屋人の私でも「これはちょっと」と首を傾げた。思わず、いつも行く馴染みの串カツ屋の“味噌串カツ”の絶妙な塩梅を思い出しながら、遠くを見つめてしまった。

でもまぁ、思うんだ。この片隅で起きる何気ない出来事たち——甘い味噌、慣れない新人、そして、いないはずの“あの子”の幻影。すべてが、名駅の午後にぴたりと溶け込んでいた。

次に来るときは、温め時間を10秒に設定しよう。そして、できれば——また誰かが、世界史のノートを広げてくれていたら、ちょっと嬉しいかもな、なんてね。
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