2回
2025/02 訪問
オッと思わせるワクワクする創作料理が楽しめるワインバーのような料理店
麻布十番から10分ほどの場所にあるレストランたそがれ。
これから予約困難店になる予感をさせるお店でした。
MICHELINセレクテッド。
素材の持ち味を最大限に引き出す技が光るカウンター8席のみのレストラン。
その日の食材を使った黒板メニュー。
そのメニューを見るだけでもワクワクします。
組み合わせだったり馴染みのあるメニューだったりと、フレンチレストランだからこそどんな料理になって出てくるのか自然と期待してしまう。
そこから定番から面白そうなメニューまで色々といただきました。
サヨリとたんぽぽ。
透明感のあるサヨリの身に、たんぽぽのほろ苦さがそっと寄り添う。繊細な甘みと春の香りが、口の中でゆっくりとほどけていく。
子持ちやりいか サフランのみつ煮は、やりいかの身はぷりっと弾力と旨味、サフランの蜜の甘く芳醇な香りが、それを包み込むように広がる。
パテドカンパーニュは、クラシックな料理ながらじっくりと熟成された深い味わい。豚肉の旨みにレバーのコクが重なり、スパイスが余韻を引き締める。噛むほどに感じる旨みの層が豊か。
ビスク。色々なレストランでいただいてきたがこれは驚き。エビの旨みを余すところなく引き出した濃厚なスープは、ひと口目から感動。滑らかな口当たりと奥深いコク。塩味控えめだが旨味が強く最後まで疲れることがない。最高のスープ。スプーンを運ぶたびに心が満たされていく。
牡蠣のムニエルとハッシュドポテト。香ばしく焼かれた牡蠣の表面をとても香ばしい。ナイフで割ると、中から濃厚なエキスが溢れ出す。それを受け止めるのは、香りと食感の良いハッシュドポテト。この組み合わせに一切の無駄はない。絶品。
とり手羽スモーク
鶏手羽をフレンチシェフが作るとこうなるのかというお手本のメニュー。瞬間スモークの香りと肉の旨味が合わさり鶏ハムのようで、しっとりとジューシーな一品。ゴーヤのピクルス、自家製きゅうりのQちゃん。これまた旨い。
若とり もも肉のソテー。
シンプルながらも表面はパリッと、中はふっくらと焼き上げられたもも肉。噛みしめると、溢れ出す肉汁に心がほどける。シンプルだからこそ、火入れの技術が際立つ。これをコブサラダ仕立てのソースと一緒にいただく。斬新ながらよく合う。
「カツサンド」。
パンは香ばしくトーストされ、分厚いカツの旨味を引き立てる。肉は絶妙な火入れで、ジューシーさを損なわず、しっとりと仕上げられている。このカツサンドだけでも専門店並の旨さ。
たそがれで味わう料理は、どれも奇をてらわず、しかし確実に記憶に残る味。
北島亭などの名店で腕を振るわれてたシェフの技と感性が、シンプルな皿の中に凝縮されている。
マダムの気遣いも素晴らしく、この日の食事は本当に楽しめました。
また近い内に行きたいお店。
2025/03/07 更新
ミシュランガイド東京2025セレクテッド店の実力を存分に感じさせる、麻布十番の隠れ家ビストロ。
再訪です。
記憶に残る特別な食体験を提供してくれます。
麻布十番の静かな通りに佇む、カウンター8席のみの小さな店。
黒板に手書きされたメニューが期待感を高め、シェフの双川氏がワンオペで切り盛りする様子を間近で見られるのも魅力の一つ。
落ち着いた大人の隠れ家的な雰囲気で、デートや記念日利用にも最適です。
今回特に印象的だった料理。
菜の花、カブ、苺、モッツァレラチーズ。春の息吹を感じるひと皿。菜の花のほろ苦さ、カブの瑞々しさ、苺の甘酸が柔らかに溶け合い、モッツァレラがまとめ役に。
のれそれのスクランブルエッグ。アナゴの稚魚の繊細な旨味が卵の優しさと見事に調和。口当たりの良さが忘れられません。
フォアグラのテリーヌ いちじくのジャムとデニッシュ。濃厚・甘美・香ばしさの三重奏。王道ながらも完成度の高い一皿。もう1つ食べたくなる。
えびのにんにく、とうがらし、パプリカ、トマト煮。洋風エビチリに近い構成ながら、フレンチタッチの香りづけが絶妙。にんにくとトマトの旨味が利いて、余韻にまで食べたくなる美味しさ。
うさぎのもも肉 香草焼き。ジビエの野趣と優雅なフレンチ技法の融合。香草使いが巧みで、うさぎ肉の風味を見事に引き立てています。
カツサンド。店の名物として名高い逸品。完璧な火入れのカツとトーストの香ばしさが絶妙。
シェフのワンオペながら提供のリズムが絶妙で、マダムの温かなサービスも心地よい。
カウンター席ならではの距離感で、料理への情熱も伝わってきます。
この技術レベルと食材の質を考えれば、価格設定はむしろ安価。
ミシュラン選出店としてのクオリティを十分に感じられます。
「奇をてらわないのに確実に記憶に残る味」というのが、たそがれの真骨頂。
シェフの熟練した技術と感性により、日常的な食材が特別な体験へと昇華されています。