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掲載保留松鮨烏丸、京都河原町、四条(京都市営)/寿司
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夜の点数:5.0
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¥15,000~¥19,999 / 1人
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料理・味 5.0
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|サービス 5.0
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|雰囲気 5.0
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|CP 4.0
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|酒・ドリンク 3.5
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[ 料理・味5.0
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| サービス5.0
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| 雰囲気5.0
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| CP4.0
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| 酒・ドリンク3.5 ]
10年経っても色あせることのない感動
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入口
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2017/11/25 更新
≪2013年12月≫
久しぶりの京都。お目当ての一つである松鮨に行ってきました。
席数が4・5席しかない小さなお店なので、
京都行きのスケジュールが決まってすぐに予約を入れておきました。
お店は19:00に閉まってしまうということでしたので、
逆算して17:00に予約を入れて、訪問しました。
錦市場の喧騒から1本隔てた蛸薬師通沿いの2階にあるお店に
時間通りに到着。カウンターのみの小さなお店は、
10年以上前のあの頃のまま、清潔感のある気持ちの良い空間でした。
ちょっとお年を召された印象のご主人は、
「今日は何を差し上げましょうかねぇ。いろいろと用意してあるんですよ」
と、にこにこしながら準備をはじめます。
「途中で"熱いお鮨"を召し上がっていただきましょう」
とおっしゃって、いよいよ待望の松鮨のスタートです。
※お鮨の写真は撮れませんでした。
まずは、軽く先付が2品。
・タコ桜煮…とてもやわらかく煮上げてあります。タコの旨みとお酒の香りが仄かに鼻をくすぐります。
・モロキュウ…小指くらいの細さのキュウリは、青臭さがなく、爽やかな香りがします。
深い旨みのもろみ味噌と合わせると、お酒がすすむ肴になって困ります。
飲まない我々は、ここから早々とお鮨がスタートです。
以前とは異なり、1つのお鮨を2つに切って供されます。
女性にはちょうど良いサイズみたいですが、男の私はそのままがよかったかな。
・マグロ赤身海苔巻…マグロも力強い旨みと爽やかな酸味のあるもので、とても旨い海苔巻です。
・中トロ…きめ細かくサッパリとした脂ののった中トロ。濃厚な旨みとサッパリとした後味。
・ヒラメ…旬真っ只中のヒラメは、旨みが鼻に抜ける感じ。艶々と飴色の身がとてもきれいです。
・イカ…歯切れよくもちっとしたイカは、やや透明感があります。甘みが濃厚で、後味はさっぱり。
・赤貝…肉厚の赤貝は、独特の香りが濃く、甘みもしっかり。
・生ウニ…さらっとした甘みのウニ。海苔とのバランスもよく、さっぱりとした後味。
・エンガワ…少ししか取れない希少なエンガワを握りで。コリコリ感とモチモチ感の両方が味わえます。
ここで予告されていた「熱いお鮨」が登場です。
・鯖焼鮨…板昆布で巻かれたサバの押し鮨のようなものを炙ってあります。
表面の昆布や焼き目のついたあたりは香ばしく、
温められた脂が鮨全体に回って、とても旨いです。
軽く炙られて温かくなった鮨飯も、初めての体験でしたが、とてもよかったです。
食感は、チマキのようにちょっともちっとした感じでした。
・コノワタ海苔巻…かなり立派なコノワタを、軽く包丁で叩いてから海苔巻に。
いただいたサイズのものは結構希少で高価なのだそうです。
磯の旨みがかなり濃厚で、ちょっとお酒が欲しくなる感じのお鮨でした。
・車エビ…握る直前に茹でられたクルマエビをミソ付きでいただきます。
ほのかに温かいミソとエビの甘みにうっとりとなります。
少し大ぶりなエビでしたが、あえてそのサイズにこだわっているのだそうです。
次は、「いいアジがあるので、2種類召し上がってください」とのこと。
・アジ…まずは握り。肉厚のアジには、さらっとしたよい香りの脂が全体に薄く乗っていて旨いです。
・アジ巻鮨…アジを、海苔と大葉、ショウガと一緒に太巻きにしてあります。
切り口も美しく、食べてもおいしいお鮨です。
さきほどの握りのストレートな味わいとはまったく別の、技巧に富んだ味わいです。
さて、そろそろ終盤です。おなかも程よくいっぱいになってきました。
・穴子…ふわふわと、とろけるような煮穴子。実際に口に入れると、ほろっとほどけてなくなってしまいます。
・川千鳥…こちらは冬限定の松鮨オリジナル。鮨飯と小鯛を、京都名物・旬の千枚漬けで巻いたお鮨です。
千枚漬けが出色の旨さですが、あとからの酢飯と小鯛と混じり合った感じも感動ものです。
見た目にも美しい、食べてしまうのがもったいないようなお鮨です。
・ヒモキュウ…コリコリとした赤貝のヒモと、サクッとしたキュウリの食感のコントラスト。
定番の組み合わせですが、素材がいいとここまでおいしいんだなと再確認させられました。
・玉子焼…甘さ控えめですが、素材からの甘みを感じる玉子焼です。
きめの細かい生地で、カステラのようなおいしさ。デザート感覚の〆のお鮨でした。
お鮨のネタや京都の食材のお話、お鮨の古典の技法などのお話をはじめ、
京都の食文化や街の歴史などの興味深いお話などを織り交ぜながら、
2時間たっぷりと、いろいろなお鮨を堪能させていただきました。
こちらで〆て35,000円。内容を考えれば安いともいえるお値段です。
今回も、江戸前の技法を基本とし、関西風の伝統と、
ご主人のご経験とオリジナリティを加えた、"松鮨"ならではのお鮨でした。
またいつか近いうちに、松鮨めあてに京都を訪れたいと思います。
≪2000年5月≫
食通としても知られている小説家、池波正太郎氏の著書の中でも、折に触れて何度も登場する京都の鮨の名店。
もっとも池波氏が通っていた当時とは、店の場所も移転し、ご主人も代替わりしていますが、池波氏の『散歩のときに何か食べたくなって』や『むかしの味』に収められたエッセイを読んで、「いつかぜひ行ってみたい」と憧れていたお店でした。
まだ20代の頃、わざわざ休暇を取って、この松鮨をめあてに京都へ行きました。当時はインターネットもまだそれほど普及しておらず、たぶん"食べログ"もない時代。
この小さな名店は、ガイドブックにも載っておらず、頼りは前出の文庫本のみ。本を片手に記載されていた「三条木屋町下ル」という場所で探してはみたものの一向に見つかりません。
仕方なく近くの交番を訪ねて調べてもらうと、移転していることが判明。教えてもらった通りに移動して、ようやくお店へとたどり着けました。
お財布の中に用意してきた、なけなしの5万円を再度確認し、狭い間口の戸口に掛かった暖簾をくぐり、戸を開けて、「予約していないのですが、2人よろしいですか?」とたずねると、ご主人は「いらっしゃいませ、どうぞ」と笑顔で応じてくれました。
カウンター6席ほどの小ぢんまりとした店内には先客がお二人。なんでもこちらのお鮨が食べたくて、年に数回わざわざ東北から出てくるのだとか。ちょうどお帰りになるところだったようで、若い私たちに「とってもおいしいから楽しんでね」とにっこりとお声をかけて、まもなく席をお立ちになりました。
その後は最後まで私たち2人とご主人だけ。
「今日はどのようにいたしますか?」というご主人の問いに、まだ緊張も解けきらない私が、
・こういうお店へは初めてなので、勝手がよく分からないということ
・それでもこちらのお鮨を食べてみたかったので来てしまったということ
・せっかくの機会なので、いろいろと食べてみたいということ
を伝えると、ご主人は「それではお任せいただいて、一通りお出しいたしましょう」と。
さぁ、ついに憧れの"松鮨"です!
※以下、いただいたお鮨の内容や感想は、ホテルに戻ってから走り書きにしたメモを起こしたものです。
まずはじめに「赤身」、続いて「トロ」。鮪の食べ比べからスタートです。
凛とした端正な握りを、おそるおそる口に入れると、
口の中でほろっと解け、鮪の旨み香りが広がりました。
そのあまりのおいしさに、緊張感も解けていった気がします。
特にトロは、脂の甘味がほどよく口にとけ、同時にうま味とかすかな酸味も感じられて、とても深みのある味わいでした。
次は白身の「鯛」。天然ものの真鯛だそうです。鼻から抜けるやわらかな風味の後に感じる、淡い甘みとうま味がとても上品。
そのあとは「赤貝」「鳥貝」と続きます。
赤貝は、まず独特の爽やかな香りが口いっぱいに広がり、後から強い旨みと甘みが感じられます。
鳥貝は、弾力がありながらも、もちもち、しこっとした歯切れのよさ。ほんのりとした甘さと風味が最高です。
どちら貝も、それぞれの持ち味・風味がすし飯にぴったりと合うお鮨でした。
「雲丹」は小ぶりな軍艦巻きで。海苔はとても豊かな香りのする味の濃いものが使われていましたが、それに負けないほど濃度の高い甘みと旨さとコクのある雲丹でした。
これは口に入れてすぐに「旨い」と反応してしまうような一貫です。
次にいただいた「海老」ですが、定番の車海老ではないのだそうです。
ご主人は「美味しいと大きさの車海老では、握り鮨にするのには大きいんですよ」とおっしゃっていました。
赤白のコントラストが車海老に引けを取らないほどはっきりと鮮やかで、ぷっつりとした歯切れの良さ、強い甘みを持った海老でした。
これまでの流れは江戸前の握りでしたが、ここで関西風のお寿司が登場。
この「 鯵の巻きずし」には、押しずしと棒ずしの技法が取り入れられているようでした。
裏巻きのすし飯に大葉をかませた鯵のおすしで、なまめかしげな気品さえ感じる美しさ。
もちろん食べてもおいしいおすしでした。
次に「穴子」「玉子焼」の甘いお鮨が2品。
「穴子」は、口に入れたとたんに崩れるほどやわらかく煮上げた穴子を、直前にかるく炙って握ってありました。
ほんのりと温かい穴子からは、香りと旨みが同時にふわっと口いっぱいに広がります。
「玉子焼」も、やわらかな甘みの中に、しっかりとした玉子の風味とコクが感じられるおいしいものでした。
続いては巻物が2品。
さっぱりとした牛蒡の漬物を巻いた「牛蒡の巻きずし」と、剣先烏賊の強い甘みが飲み込んだ後まで残る「剣先烏賊の巻きずし」。
ぽんっと口に放り込むと、海苔がすっと解け、すし飯がほろりとほぐれるような具合。
私がご主人に「海苔がまったく障らないで、すっと解け ますね」と感想を伝えると、こちらのお店で使っている海苔の事や、おいしい海苔の見分け方、手に入れ方など、海苔の事を色々と教えてくれました。
ここで、ご主人が「まだ召し上がれますか」と聞いてくれました。
当時は何も分からないので、お腹の具合だけで「まだまだ大丈夫です」と答えました。
「それでは少し軽いものをお出ししましょうか」ということで、肴を2品出していただきました。
まずは「タコの桜煮」。箸で切れるほどやわらかく煮てありますが、小豆色の皮がまったくきれいな状態で付いているほど、丁寧に煮上げてありました。甘辛い醤油味の中でしっかりとしたタコの旨みと独特の風味が感じられ、旨い一品です。
もう1品は「赤貝の肝の煮付」。
濃厚なコクと旨みに、肝のほろ苦さが加わって、とても風味のよい一品でした。
それでいてこの濃厚な旨さは、すっと切れがよく、爽やかささえ感じました。
そろそろゴールが近づいてきました。妻は次の1品で、私はあと2品で終了となります。
ラス前は「赤貝のひもと胡瓜の巻きずし」です。
赤貝のひもは、本体部分同様、甘み・旨み・香りが強い上に、コリっとした食感も楽しめます。
胡瓜は一般的なものの約3倍のサイズのものを使っているのだそうです。
甘みと香りの強いひもに、爽やかな胡瓜の取り合わせで、さっぱりとした巻物でした。
ここで、先ほどの海苔の話の流れから、
「家で簡単にできる、おいしい海苔の食べ方」というのを教えてもらい、実践していただきました。
本当に簡単で、「たたいた梅干を海苔でくるっと巻いただけのもの」なのです。
すし飯と合わせていないので、鮮烈な海苔の香りと口どけが殊更に印象的でした。
ご主人も「海苔がよくないと、おいしくはならないんですよ」とおっしゃってました。
さあ、ついに最後の一品。
「東京のお客さんには珍しいものを」ということで、「小鯛の巻きずし」というものを出していただきました。
関西では、この小鯛を使ったお鮨を"雀寿司"というのだそうです。小鯛の胸びれあたりのよく動く部分を使っているのだそうで、たしかに幼魚のわりには身がきゅっと締まっています。
とはいえ、基本的には身質が柔らかく、同時に皮も柔らかいので、小鯛がすし飯をふんわりと包みこむような一体感がありました。
飲み込んだ後には清々しい余韻の残るお鮨でした。
最初から最後まで、ご主人と、ご主人のお鮨は、凛として緩むことがなく、それとは反対に、食べ手である私たちは、少しの緊張感とたくさんの感動とともに、とてもリラックスした気持ちで"憧れの松鮨"を楽しめました。
これだけいただいて、お勘定は2人で25,000円とは、ちょっと安すぎな感じがします。
お金のなさそうな若者の我々に、ご主人がサービスをしてくださったのではないでしょうか。
こちらでいただいたお鮨は、江戸前の技法を基本としながら、さらに関西風の伝統と、独創的なエッセンスを加えた、松鮨ならではのお鮨でした。
当時はただただ感動しながら、単純においしさを味わっていただけですが、今思い返してみると、10年以上経ってもまったく色あせない感動と、他店を経験したことでようやくわかるようになってきたこちらの凄さを感じています。
鮨好きの人なら、京都を訪れたときにはもちろん、わざわざ松鮨をめあてにしてでも行くべき店だと思います。