タケマシュランさんが投稿した麻布 かどわき(東京/麻布十番)の口コミ詳細

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タケマシュラン

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麻布 かどわき麻布十番、六本木、赤羽橋/日本料理

1

  • 夜の点数:4.5

      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2017/09 訪問

  • 夜の点数:4.5

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-

お客さまの中にお医者様はおられますか!

かどわき。ミシュラン2ツ星。飲料を除いた食事代だけでひとり4万円を超える都内トップクラスの高級店。きよぶたの思いでの突入です。

鄙願の冷で乾杯。酒がうまいのは勿論ですが、酒器や和らぎの器まで凝っており胸が弾みます。ちなみに一番安いお酒で1合2千数百円です。

赤万願寺唐辛子に九条葱、黄色と紫色の菊、セリ、甘鯛の昆布締めです。甘鯛の昆布締めが実に旨い。芯のある魚の旨味に絶妙な味付けが心に響きます。その他、全体として様々な食感がひとつの器に込められており食べていて楽しい皿でもありました。

白子豆腐に海老味噌を塗り、炙ったもの。鼻血ブー!こんなうまいものがあるか?裏ごしされた白子がぽってりと厚く、海老の旨味の凝縮感に拍手喝采。

松茸のコロッケ。手前はミズという山菜です。

ゴロゴロと転がり出る松茸の塊に思わず笑みがこぼれる。和の食材を洋食風に狙ってくるところに法善寺横町の喜川や北新地の弧柳を思い出しました。

カレイの薄造りトリュフを塗す。ここを通りたいなら俺を倒してから行け、と言わんばかりのトリュフの量です。塩をパラりと振りかけ、たっぷりのトリュフをカレイでクルクルと巻きつけ一口で頬張ります。こんな組み合わせを試みる罰当たりは世界で当店だけでしょうが、合うんだよなあ、このマリアージュ。

2合目は磯自慢。特に狙ったつもりはなかったのですが、カレイとトリュフにピッタシカンカンの取り合わせでした。

子持ち鮎にうるか。うるかとは鮎の塩辛です。程よく苦味を湛えた鮎をまずはプレーンに。この時点で旨い。長時間かけて丁寧に炙られた火入れがトヨタも真っ青のジャストインタイム。そこにたっぷりのうるかを塗りたくり、頭から尻尾まで丸呑みする美味しさといったらない。15年前ほどに「あゆ(浜崎あゆみ)が全裸で横たわっている画像が流出しました」とか言って、鮎の画像を送るのが流行ったのを思い出しました。

とうもころしとカニの蒸し物に肝のソース。トッピングはフォアグラにトリュフと凡そ思いつく限りの豪華食材を詰め込んだビックリ箱のような一品。しかしながら何でもバカみたいに高級なものを詰め込んでいるというわけではなく、全体としてまとまりがあり、それぞれの存在意義がきちんと見出せる見事な一皿でした。妻は「美味しすぎて死にそう」お客さまの中にお医者様はおられますか!お客さまの中にお医者様はおられますか!

お次は鍋。カセットコンロは信楽焼の特注品とのこと。

うず高くもられた松茸と目が合う。全くこの店はAWで何キロの松茸とトリュフを仕入れているのでしょう。

前座はハモ。私はハモがそれほど好きでは無いので、この味わいは中くらいです。それよりも蕎麦つゆ風味のツユが旨かった。タマネギがいっぱいで。

真打登場、松茸先輩。松茸って、その値段とか希少性をありがたがるものであって、値段ほど美味しいものではないことが多いですが、この松茸はほんまにうまかったで、と関西弁になるぐらい美味しかったです。人生で初めて松茸を美味しいと思った瞬間かもしれない。

スープも素晴らしい。松茸本体の分身とも言えるほど香りと旨味が移り込み、うっかり静脈注射してしまいそうな恍惚感がここにはあります。

ぎゃあああああ!とトリュフの断末魔の叫びが聞こえてきそうなほど大量のトリュフをスライスする主人。見掛け倒しにトリュフをかけているわけではなく、レコンキスタのような決意を感じるほどに躊躇無く黒いダイヤをぶっ放す。

米の味、炊き加減、バター醤油風味の味付け、どれをとっても完璧なバランスです。単純にトリュフをのせているだけでなく、この量が正解だ、と言わんばかりの調合でした。正解だと言い切る人に人はついていく。ついていきます大将!

お漬物も抜かりなく美味しい。この品質のものが脇役扱いだなんて。オーシャンズ11のマット・デイモンを思い出しました。

もちろんおかわりもあります。おにぎりにして海苔を巻いて持ち帰ることもできるのでしょうが、目の前でこの香りを嗅がされて自制できる人はいないでしょう。デザートには苺、葡萄、梨にリコッタチーズをとろりとかけ、ザクロを散らし、トリュフのハチミツ漬けでトドメを刺す。このハチミツ漬けが旨いのなんのって。並みの料理人であればビビってしまって、試作すらできないことでしょう。

お土産にシラスを持たせて下さいました。立派な箱に入り、デパートで買えばこれだけで数千円はしそうな気品に溢れています。

訪問前は「トリュフを多用するだなんて下品だなあ」と疑っていましたが、実際に訪れてみると、高級食材をまとめ上げる確かな腕に舌を巻く。トリュフや松茸などが多く悪目立ちしますが、きちんと美味しいと信じて使うその哲学には感動すら覚えます。時おりバランバランに感じてしまう龍吟とは数段階上のレベルに位置し、すべてが調和しています。

店主はコワモテで一見無愛想。カウンター席だと弟子に厳しい一面を間近で見てビビってしまいますが、実際のところオラにゃん系でとても気がが利く方であり、途中から親しみをもって接してくれるようになりました。常連となりたい魅力がこの店にはあります。

2017年でトップクラスに素晴らしいレストランでした。非常に個性的ではあるがとんでもなくうまい。人生で一番の和食かもしれません。ごちそうさまでした。

■写真付きのブログはコチラ→ http://www.takemachelin.com/2017/09/kadowaki.html

2017/10/29 更新

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