2回
2019/05 訪問
筋が通っている
記事URL:https://www.takemachelin.com/2019/05/quand-lappetit-va-tout-va.html
2019/05/11 更新
2017/10 訪問
歴史を振り返った際のアクセント
入店して思わずため息。内装がカッコ良いのです。最近流行のコの字型のカウンター。厨房はカウンターの奥にあるのですが客席からも見えるようになっており、料理の鉄人さながらにライブ感を楽しむことができます。
テーブル席が増え、グループでの食事もし易くなりました。半個室らしき空間も見えたので、会食などにも良いかもしれません。男女のつがいがカウンターにズラりと並び、互いに品定めをされているようでやや気恥ずかしい。
泡をボトルで注文し喉越しを楽しみながらじっくりと料理を選ぶ。このあたりフランス本国におけるレストランと流れが同じであり、フレンチ・ラヴァーが萌える瞬間です。
コース料理もあるのですが、やはりグルメは自分の好きなものを好きなだけ食べたいもの。このメニューに記載されているものは全て2人前の料金およびポーションであり、ひとつ選べば2人で食べ易いように取り分けてくれます。
最初の一口はパイ的なもの。一口サイズのグラタンのようであり、ミスドのホットパイのような安定した味わいです。
秋刀魚のスープ。内臓などは取り除いておらず、そのまますりつぶしたハードボイルドな逸品。もったり。ザラり。液体というよりも半固形の離乳食のような食感です。そして期待していた通りの濃厚な風味。脂と旨味、苦味など複数の構成要素がハリケーンのように押し寄せます。
パンは黒味がかったストロング系のパンであり、小麦の風味がしっかりと伝わる私好みのタイプです。
何倍もの時間をかけてストレス無く育てたマス。なるほど健康的なマスであり、シャケのようなクドさがなく清澄な味わい。備え付けの柿と共に食べることを推奨されたのですが、これはあまり意図がよくわからなかった。単体でポンと並べるのではなく、ピュレなどにして自然に口に届くスタイルのほうが良かったかもしれません。
ズワイガニとアボカドにコンソメジュレを載せ、ウニをトッピング。伝わってきます。食べる前から美味しさが伝わってきます。海を感じさせるカニの旨味にトロりとしたアボカドの食感。濃い目のコンソメが全体をまとめあげ、濃厚なウニがスマッシュを決めてくれます。
メインは鶏肉のパイ包み焼き。ドカンとしたパイ包み焼きを想像していたのですが、コロンと愛らしく上品な外見。トリュフのソースの香りが脳天を刺激し食欲を掻き立てます。
味覚は粗めに挽いたつくねという印象。皮目近くの脂の乗った肉の醍醐味まで余すところなく用いられており、トリュフのソース、パイのバターと共に渾然一体となって味蕾を刺激します。「あたしのパイ包み焼きの印象を覆した」と、肉料理をそれほど好まない連れもご満悦の様子。
2本目のワインはモルゴン。酸味が強い一方でややヘヴィ。ちょっとメインには合わなかったかもしれません。しかしこれはソムリエと相談せずワインリストで独断専行に決め打ちした私の責任である。
お会計でぶったまげる。ふたりの合計金額が驚きの21,000円。フランスのワインを2本飲んで(フランスワインは基本的に割高)この金額で済むのは奇跡。近所のフレンチで言うと、麻布れとろやラ・リューンのような満足感があります。
席は全て予約で埋め、1回転目が完了した後もひっきりなしにフリーの客が訪れます。開店から閉店まで常時満席状態。名実共に復活です。火災については不幸以外何物でもありませんでしたが、そこは当店の歴史を振り返った際のアクセント程度と前向きに捉えたい。
「十番っぽい、美味しくてオシャレなお店はどこ?できればそんなに高くなくて」と問われれば、いの一番に勧めたいお店がここ、カラペティ・バトゥバ!です。
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記事URL:http://www.takemachelin.com/2017/10/quand-lappetit-va-tout-va.html
2017/11/22 更新
麻布十番で、いや日本で最も好きなフランス料理店のひとつ「カラペティ・バトゥバ(QUANDL'APPETITVATOUTVA!)」。1年半ぶりの訪問です。
ワインは全てお店にお任せ。「乾杯用に、泡を半量ご用意しますねっ」と軽快なソムリエ。当店は食事の量やワインの量、サービスの濃度(?)まで自由自在。ゲストの趣味嗜好に完璧にチューニングしてくる自由度の高さが見事です。
アミューズはシラスと卵をクルっと巻いたものにキャビアをトッピング。程よい塩気と仄かな苦味。最初の一口目として完璧な一品でした。
今夜はアラカルトで注文。人数に合わせてうまく量を調整してくれるのが当店の美点。初ガツオの藁焼きにデコポンや深谷ネギなどを彩り良く組み合わせ、健康的な味覚へと仕立て上げます。カツオ表面の旨味や苦味が大人の味わい。
新玉ねぎのスープにイワシのフリットをトッピング。これが玉ねぎか、と驚くほど糖度が高くコクも強い。まさに大地の恵みであり、本日一番のお皿です。イワシのフリットも旨味が強くワインのお供にバッチグー。
メインはラム。結構な脂を湛えた肥満児であり、見た目以上に食べ応えがあります。ジューシーな肉質はもちろんのこと、付け合わせのキノコなども外さない美味しさ。
デザートはチョコレートのスフレに焼きバナナのアイスクリーム。丼いっぱいのスフレを独り占めできる幸せさといったらない。焼きたてのスフレはマグマにドロっとしており、上質でふくよかな甘味が心地よい。焼きバナナのアイスクリームはスフレとはまた違ったベクトルの甘味であり、迫力のある1皿でした。
奇をてらわずオーソドックスに美味しい料理、察し良く付かず離れずなサービス、洒脱な客層、驚くほどリーズナブルな価格設定、長所を挙げればキリがありません。姉妹店の「ALTRO!(アルトロ)」も似たような空気感なので、やはりオーナーの哲学に筋が通っていることの証明でしょう。オススメです。
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