タケマシュランさんが投稿しただい(富山/丸の内)の口コミ詳細

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タケマシュラン

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だい国際会議場前、大手モール、丸の内/日本料理

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  • 昼の点数:4.5

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.5
      • |サービス 4.5
      • |雰囲気 4.5
      • |CP 4.5
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2025/09 訪問

  • 昼の点数:4.5

    • [ 料理・味4.5
    • | サービス4.5
    • | 雰囲気4.5
    • | CP4.5
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人

体温が残っている

かつてアラカルト方式の居酒屋として成功を収めた「酒菜工房だい」が、装いも新たに「だい」としてリブランドオープン。ANAクラウンプラザホテル富山や国際会議場近くに移転し、一軒家の日本料理専門店へと変貌を遂げました。英語圏の方をお連れする際にはドキドキする店名です。

和の装いながらモダンでスタイリッシュな印象を与える店内。シェフの妙技を間近に望むことができるカウンター席が基本ですが、個室も用意されているようです。お手洗いへ向かう通路には美術館さながらに器などが飾られており超クールです。

ドリンクは富山の地酒に強い焦点を当てており、富山の日本酒ばかりを集めた特別ページまで用意されています。写真のクラフトビールは富山産ではないものの、飲食店限定販売のため勢いで注文すると大当たり。コクがあって余韻が長く、まるでビールじゃないみたい。

さっそくこの日の食材をプレゼンテーション。目玉は神通川で獲れたばかりの鮎であり、この直後に目の前で串をぶっ刺して火あぶりに回るので、ついつい背筋が伸びます。

まずはすり流し。「深層水トマト」という海洋深層水を与えることで水の吸収を抑えて栽培し糖度を上げたフルーツトマトを用いており、凝縮された甘みと旨味、そして爽やかな酸味が見事に調和します。つるりとした喉ごしのじゅんさいも添えられており、食感に楽しいリズムと清涼感をプラスします。

お椀はスッポンのしんじょうと冬瓜。主役のしんじょうは驚くほどふわっと軽やか。口に運べば上品な出汁と共にスッポンの滋味が優しく溶け込みます。

ノドグロの飯蒸し。ノドグロの脂の乗った濃厚な旨味が、蒸されたもち米に染み込み、しっとりとした食感と深い味わいを堪能します。枝豆の食感と鼻に抜ける木の芽の鮮烈で爽やかな香りが、夏っぽい余韻を残していく。

カニのコロッケ。カニクリームコロッケでなくカニのコロッケであり、もはや中身はセメント色に近く、四捨五入するとカニです。濃厚な旨味と大人の苦みが酒を呼ぶ。

おや、ハモだ。ハモとは関西の食材だと信じ込んでいたのですが、こちらは富山の魚津港で揚がったそうです。骨切りによりふわっとした食感に梅肉とワサビが良く合う。夏の訪れを告げる、日本料理ならではの逸品です。

お造りはミンククジラにノドグロの炙り、トヤマエビとキジエビを食べ比べ。ミンククジラはさっき獲れたばかりで未だ体温が残っておりぞっとするのですが、これがクジラかと唸るほど旨く、ゲンキンなものです。ノドグロの炙りやトヤマエビの味わいは想像がつきましたが、クジラの美味しさは衝撃的でした。

魚津産のアワビ。蒸したアワビは柔らかく弾力ある食感で、黒モズクと金時草と共に頂きます。お出汁(?)のジュレで全体を取りまとめ、涼やかな後味を演出。シャキシャキとした黒モズクの歯触りと、金時草特有のぬめりが加わり、口の中で食感のアンサンブルを奏でます。

冒頭の神通川の鮎。塩焼きにより皮はパリッと香ばしく、身はふっくら、香り高い。内臓のほろ苦さがアクセントとなり酒が進む。まさに日本の夏の原風景を映すひと品です。

富山の珍味「ゲンゲ」を富山産の蕎麦のガレットでたっぷりの薬味と一緒に巻いて頂きます。「ゲンゲ」とは富山湾に生息する深海魚で、コラーゲン豊富なプルプルとした食感に好みが分かれるところなのですが、カラっと揚げると淡泊で潔い味わいに変身します。

お造りで用いたエビたちの頭の部分を炭でじっくりと炙りました。殻はパリッと香ばしく、まさに大人のかっぱえびせん。肉厚な吉川ナス。揚げ焼きにしているのか、表面は香ばしく、中はとろりとジューシー。夏の旬を感じさせる素朴で奥深いひと品です。

香ばしく揚げたオコゼ、出汁を吸ってジューシーな万願寺とうがらし、そして濃厚でなめらかな自家製胡麻豆腐。それら個性豊かな食材をひとつにまとめるのが、優しい味わいのみぞれあん。熱々、ひんやり、サクサク、とろり。仄かに酸味を感じるのがお洒落です。

富山県山田村産の蕎麦を用いた蕎麦。野趣あふれる力強い蕎麦の香り。ざらりとした舌触りと、噛み締めた時の小気味よい歯切れが十割ならではの心地よさ。ただ、つゆではなく滑川の海洋深層水で食べるのですが、正直この試みは微妙だったので、蕎麦だけプレーンに頂きました。

朝どれのトウモロコシを用いたゴハン。瑞々しいフルーツのような甘味を湛えるトウモロコシ。一粒一粒がシャキッと弾ける心地よい歯ざわりが食欲を刺激する。旬の恵みをシンプルに味わう、この上ない贅沢です。

お椀は本日用いた全ての魚介類のエキスを地元の赤味噌で調えたもので、さしずめ和風のブイヤベース。自家製のお漬物も上質で、私は毎朝このような朝食を摂るような丁寧な生活をおくりたい。甘味は丁寧に蜜煮された青梅と葛切り。きゅっと心に残る青梅の酸味と、それを支える上品な甘さのバランスが絶妙。

葛切りはつるんとした滑らかな食感で、ほのかな甘みと弾力がアクセント。夏の暑さを癒す清涼感あふれるデザートです。きちんとお抹茶を点てて頂けます。泡立ちはきめ細かく、口当たりは滑らかで、ほのかな苦みで締めくくり。ごちそうさまでした。

以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり2万円強。上質な食材と丁寧な仕事を考えれば驚異的な費用対効果と言えるでしょう。東京の何回転も一斉スタートする給食みたいな店とは段違いの風格がある。次回は冬に訪れ、また違った魚を楽しみたいと思います。

■写真付きのブログはコチラ→ https://www.takemachelin.com/2025/07/die.html

2025/09/01 更新

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