『イオンモール松本 グランドオープン』tan^2さんの日記

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今日も今日とて野菜を食べに(ときどき野菜以外)

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日記詳細

1981年にオープン。2015年3月に現在地での営業を終えたカタクラモール(核テナント:ジャスコ→イオン東松本店)。
初めて松本に来たときに、現スマイルホテル松本(当時はサンルートだった)に泊まり、カタクラモール3階のゲーセンで時間をつぶした思い出。
現地+隣接地での再開発が行われ、2017年9月21日にイオンモール松本としてグランドオープンとなりました。

8時45分ごろ到着。
先着特典のあるH&Mの入場待ちは女鳥羽川側入口ですでに200人以上並んでました。

開店セレモニーの行われる晴庭南入口へ。ここで待機してるのはまだざっと10人くらい。
モール内外を貫くカフラスの保存建物、湧水を活用したオブジェ。
空調効率や紫外線の影響、建築・保守コストを高めてしまう店舗南向きの大きなガラス張り。
地域とモールの隔絶への懸念に対する応えとして、モール側がこれらを取り入れたことは高く評価したいです。

9時15分に入口が開放されエントランスポーチ(きらめきコート)へ。
スズキ・メソードの演奏で落ち着きつつも華やかな雰囲気。
9時30分からセレモニー開始。
客代表、市長、地域代表、松本市観光大使の秋本奈緒美さん、
片倉工業・イオンリテ・イオンモール社長らが並び、
イオンモール社長・松本市長のあいさつ。
市長からも言及がありましたが、郊外ではなく狭あいな市街地での開発で、
開発にあたってはいろいろとご苦労があったとのこと。
来賓の皆様によるテープカットで、ジャスト10時に開店。

さっそく、ビストロヒカリヤでブランチ。
保存建物とフランス直輸入の調度の組み合わせ。
本店はちょっと敷居の高い価格帯ですが、ハンバーガーやスイーツといった比較的お手頃なメニューが中心。
真上にはスターバックス。いずれの店舗からもガラス張りのエントランスを介して外が眺められて開放感に富む。

公道を挟む関係で、モールは晴庭・風庭・空庭の3棟構成。
晴庭と風庭は空中の連絡通路で接続されています。
風庭と空庭は公道を横断するがもともと交通量の少ない幅の狭い生活道路。
これから行く方には、秀峰学園・あがたの森側の空庭1階からの入店をおすすめ。

空庭1階は。県内にゆかりのあるテナントが中心。
眉毛とひげが特徴の松本だるまのオブジェを中心に松本の有名ラーメン店の支店豚さんグループのからあげ店
木曽福島から始まり地域スーパーのたこ焼き・たい焼きテナントを多く展開されているお店安曇野の菓子店塩尻ホテルのスイーツ部門などを集めたミニフードコート(だるま茶屋)。
ショッピングモール内に展開するJAの直売所は珍しい。青果・ワインや調味料といった2次産品だけでなく、地元野菜を利用したお惣菜まで揃える。
そして蒲田で人気のネパール・インド料理店が出店してます(区画配置を考えるに、地元の某カレー屋さんの方に先に話があったんじゃないかと勝手に想像)。
2階はシネコン。他都市と同様松本でも市街地の中小映画館が相次いて閉館していましたが、久しぶりに中心市街地に映画館が戻ってきました(イオンシネマ)。

多くの郊外型イオンモールで吹き抜け通路の南側に配置される機能が、松本では風庭にあります。
風庭3階は、美ヶ原高原へ向けて大きく開けたフードコート(food forest)。一時は松本駅前から姿を消したケンタッキーフライドチキンが復活。凌駕のフードコート型新店もこちら。ファサードは高宮の凌駕IDEAと同テイスト。一番人気はローストビーフ丼やまと横濱家系ラーメンなどを展開するケンコーの新業態)。
2階にはゲームセンター(楽市楽座)と書店(未来屋)、家電量販(ノジマ)。
ノジマは比較的小規模の店舗ながらメーカー販売員を置かないことを特徴として押し出しており、相談しながら購入したいという旧市街地在住の中高年者のニーズに合致するのでは。
ゲームセンターはこの地域ではかなり筐体が充実しているとのこと。
1階レストラン街(ひかりのレストラン)は、レンガづくりのアーチを基調とした内装でレトロモダンな雰囲気。
暖色調の照明のせいか晴庭とガラリと雰囲気が異なる。各店がショーケースに食品サンプルを設置しており、選ぶ楽しみも演出。
イオンバイクやカーブス、ゆめみらい保育園も同棟内だが、レストラン街とは上手に分離されている。

城下町をイメージした空庭1階・だるま茶屋→近代レンガ造りのひかりのレストラン・カフラス建物 と、江戸から近代へ歴史を追うように並んだモールは、
上層に向かうエスカレーターと大きく開けた吹き抜けを設けた現代的な晴庭で昇華される。

晴庭東端のイオンスタイルと西端の大型専門店(H&M,無印,スポーツオーソリティ)、
それらを結ぶ通路の両脇に立ち並ぶ一般テナント。
これら3つの区画間それぞれにエスカレーターが配置され、イオンスタイル側は吹き抜けになっていて層間を見渡せる構造。
両端を結ぶ一般テナント部が吹き抜け通路になっているのが多くの郊外型イオンモールの特徴ですが、
松本は吹き抜け通路とはなっておらず、狭あい土地の準市街地型モールとしてテナント密度が確保されている。

晴庭1階東側、イオンスタイル(食品)へ。カタクラモール時代には食品売場から直接平面駐車場に出られ「車で来れる食品スーパー」という位置づけもあったが、
駐車場とのアクセスがやや遠くなったことはモール自体が「ハレ」寄りに変わったことを示唆している。
カタクラモール時代は正面入口であった南東入口そばには、果物・生花売り場が配置され生鮮・フレッシュ感の強調されたエントランスとなっている。

鮮魚コーナーの”マグロのすべて”と称した売場、マグロのカマや目玉まで揃える。
鮮魚コーナー内の寿司売場・魚惣菜からデリカコーナーへと徐々に移行。
オリジン弁当スタイルの量り売り惣菜、従来の揚げ物、そして新機軸の店内焼きピッツァ・グリル(さすがに岡山のように店内調理のH広島風お好み焼は無い)や温かいスープ・カレー。
店内調理のおむすび・サンドイッチ、生搾りジュースのあるドリンクスタンド、インストアベーカリーと続く。
通路をはさんでHare cafeと称したイートイン。人通りも多く自習高校生に占領されることもなさそう。
そばに各地のランチパックが並んだ専売コーナーあり。
ビアードパパAOKIのフルーツジュース、久世福商店の和ジェラートまで合わせて、ミニフードコートを形成している。

Harecafeを挟んだ反対側は酒売場(イオンリカー)。
ちょい呑みできるコーナーがあって、地酒や地元ブルワリーの地ビールの提供あり。グラス1杯300円から。
空庭1階のファーマーズテラスやサンクゼールでもちょい呑みが可能。結果として駐車場利用者の抑制にもなっている(たぶん違

晴庭2階東側はイオンスタイル(衣料・生活)。PBの生活雑貨が充実しており、手頃価格のインテリアチェーンのイメージ。
3階はイオンスタイル(子ども衣料・文具・玩具、モーリーファンタジー<子ども向けゲーセン>)と、子ども服専門店、スタジオアリスと子ども関連店舗が集積。
北側には形成外科・耳鼻いんこう科・歯科がミニクリニックモールを形成。
西側にスポーツオーソリティとペット。北西角にドトールコーヒー・イオンラウンジがあり、松本城・北アルプスを見渡せるテラス(アルプテラス)へ出ることができる。

ざっと全体を見回した所、4-5カ所の空き区画が見て取れました。
新規モールやリニューアルモールに空き区画(簡素な内装の期間限定店舗で埋める)があること自体はそれほど珍しいことではないが、
ここが埋まってくるかどうかが、このモールの勢いの一つの指標にはなるでしょう。

松本城や開智学校といった定番観光エリアとは若干距離があるが、
ナワテ通り・中町通りといった通り抜け型観光地のターミナルとはなり得るかもしれない。
その機能を担うのは食事のできる風庭と、地域産品・地元食品を集めた空庭1階だろう。

岡山や旭川といった駅前型と、イオンモールが得意な郊外型を折衷させたような構成。
平米数的には関東近郊都市に多くある中型イオンモールと同程度で、
テナント構成的にもそういったイオンモールを経験している層からは特に驚きをもたれることもなく無難にまとまっている印象。
一方でモールの規模からすると、飲食店は目をみはる充実ぶり。
ランチ帯だけじゃなく、ディナー帯までモール内で完結させられそう。
近隣飲食店さんには個性豊かなところも多くあまり競合しないのでは。

ただ単に自治体広報コーナーを置くだけではない、地域重視のテナントや地域の歴史を尊重した内装・外装テーマで(松本てまり、なまこ壁)、
「どこにでもある紋切り型モール」ではない、地域に溶け込むモールというコンセプトがよく伝わりました。
幕張のような常設の体験型施設は無いものの、イベント向けのホールやオープンスペース(やまびこ広場)が確保されてます。
芸人さんの営業は、オープニングセレモニーのようにきらめきコートの吹き抜けを利用するんでしょうか。

飲食店の充実もさることながら、イオンスタイルのデリカコーナーやファーマーズテラスの持ち帰り惣菜が充実したことが嬉しい。
事実上スーパーの天ぷら・コロッケ以外に選択肢が限られていたこのジャンルが大幅に充実した。
久世福商店やカルディの存在も、食材・調味料のレパートリーを大きく広げる。
衣料雑貨も含め、都市近郊では当たり前に揃うお店がようやく松本でも整った感じで、「今度東京行った時買おう」の多くは地元で事足りるようになるだろう。
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