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夜の点数:5.0
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¥30,000~¥39,999 / 1人
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料理・味 5.0
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|サービス 5.0
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|雰囲気 5.0
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|CP 4.6
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|酒・ドリンク 4.8
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[ 料理・味5.0
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| サービス5.0
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| 雰囲気5.0
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| CP4.6
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| 酒・ドリンク4.8 ]
ただ一言、美味しい。
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2025/10/15 更新
誰かが言った。
細部にこそ神は宿る、と。
ならば私は今日、神を見た。
すし宮川で。
どんな仕事でもそうだ。
狂ったようにディテールにこだわる人間がいると、常識では考えられない成果が生まれる。
料理もきっと同じなのだろう。
できうる限り旨いものを提供しようという執念が、その一皿に神を宿らせる。
ああ、料理とは真心であり、同時に技と知恵と経験の結晶なのだ。
素材の声に耳を澄ませ、味を極限まで研ぎ澄ますその営みは、祈りに近い。
カウンターに座り、大将の所作を見つめる。
イクラと三種のキノコを使った先付に始まり、サバ、甘鯛、ホッキガイの一品料理は、これまで何度も食べてきたはずの素材なのに、まるで別物のように旨さが際立ち、あらためて素材の魅力を思い知らされた。
この店のスペシャリテである鮑肝ソースは、大きな鮑に濃厚な肝ソースが絡み、食べ終えた後にはシャリを器に入れて、まるでリゾットのようにソースとシャリの甘みを堪能できる逸品だ。
握りはイカから始まった。
温もりを帯びたシャリが、まるで導火線のように口の中でほどけていく。
イカの甘みと香りが舌から脳へ抜け、記憶に焼きついた。
味の説明など不要だ。
ただ一言、「美味しい」。
その他に提供されたメイチダイも雲丹も車エビもマグロも。
どれも"一番美味しい瞬間"だけを差し出されているのだと、食べながら気づいた。
最後に提供された卵焼きは、寿司屋ならではのデザート。
赤出汁に寄り添うことで、その甘みは静かに広がり、幕を閉じるにふさわしい余韻となった。
気づけば二時間はあっという間。
圧倒的な美味しさへの満足感と、質の高い映画を見終えたあとのような余韻――そして「もう終わってしまったのか」という寂しさだけが残る。
思えば一度行ってみようという気持ちで訪れたはずなのに、気づけば「また行きたい」という感情が湧き上がっていた。
すし宮川。
この店は、その日の最も美味しいネタを、一流の仕事で最高の瞬間へと導き、客に小さな奇跡を見せる――そんな舞台だった。