2回
2021/02 訪問
東京和食most valuable店…進化が止まらない
2021/03/02 更新
2013/06 訪問
トータルバランスに優れた佳店
わがままを言って、少々遅い時間にお邪魔をする。
相変わらずの柔らかい応接。真っ向勝負、衒いのない、本寸法の和食。清々しくいつ伺っても満足度が高い。
鱧、幼鮎、東京で食べたものとして、出色。出汁昆布と塩だけであんなに美味い豆御飯って、驚愕。蕎麦は和食屋さんのコースの締めで出すレベルのものじゃない、キレキレ。炭で軽く炙って供される最中アイス、堪らない。
ビール、冷酒4合程いただいて、お一人様17,000円見当は、昨今の和食屋さん事情を鑑みて穏当。
私にとって東京和食№1店。
今度の若い衆、一本立ちするまで、樋口さんの下で頑張ってほしいな。
【以下は2012/07/22のレビュー】
店内の設えを改められて初めての訪問。入口脇の座敷個室での饗宴。
基本家族経営のお店だから、上げ膳据え膳のお大尽仕様の応対は期待してはいけない。フレンドリーで人懐っこい奥方の気安い応接が心地好い。供される料理、どれも塩梅のよろしさ白眉。庶民の惣菜的メニューもきちんとした料理人が調理すると、ここまで高尚な味わいになるのかと感動。最後に頂くこちらの小豆最中は鮮烈最強のデザート。
某国レストランガイドの★が付いてから、少々お値段もお高くなったのが残念。とはいえ、世間の高額和食店と比較すればかなりリーズナブル。
都内和食店数々あれど、当方にとっては最上位ランク。
【以下はサービス停止となった某サイトにアップしたレビュー2007.03】
どちらの駅からも10分以上かかる地の利のない場所にて、良質な和食を提供中。
前面道路から階段をとんとんとあがると、きちんと盛塩の置かれた木戸。店内は白木のカウンター6席と奥に4人テーブル席。特に調度や設えに凝っている訳ではないが、清潔感に溢れ、寛げる雰囲気を醸し出している。
とりあえず瓶のゑびすビールを頂き、付け出しは子持ち烏賊の煮付けから。主人の仕事の一挙手一投足が見られるのがウレシイ。桃の節句も近いということで、美しい金糸玉子をあしらった蒸し寿司など季節ものを供しつつ、白魚のてんぷら、蛤のしんじょ、平目と鮪の御造り、鰆の照焼、等々供されるもののどれもが比較的やわらかい塩梅で滋味深く、とても美味しい。〆の食事は「手打ち蕎麦と深川飯のどちらにしますか」と聞かれたので、相方ともども「両方」。手打ち蕎麦も深川飯もお代わりしてしまった(食べすぎだ・・・)。最後の最後、甘味の葛きり、蜜の旨さ秀逸。
接客はとてもフレンドリーで寛げる雰囲気。主人の「客を満足させたい」という気概と奥方の気さくで庶民的な応接、そして御母堂の凛とした振る舞いが絶妙のバランス。
以上、二人で浦霞冷酒を7合ほど(呑み過ぎだ・・・)頂いてお勘定33,000円を超えたところ。適正。
東京近郊ではなかなかない優良店。接待利用ではなく、自腹で旨いものを食べる方に来て頂きたい・・・そんな思いにさせてくれるお店。お勧め。
2024/04/16 更新
相方と久しぶりの訪問。何度か電話連絡はさせていただいていたのだけれどなかなか予約が取れず、少々疎遠となっていた。先般相方との街歩き途中に、直接お店にふっと顔を出したら何とか予約を入れることができた。
全くもって馬鹿馬鹿しく忌々しい緊急事態宣言下ということもあり、通常よりも早めの17時スタート。伺っていなかった間に、設えががらりと変わっていて少々驚く。以前は向かって左側にあった厨房が右側に変更されていたり、風除スペースが設けられていたり、かなり吟味されたのだろう、本寸法一流和食店と呼ぶに相応しい落ち着いた意匠と機能を備えた空間を獲得されていた。他のレビュアー諸氏のレビューを拝読すると改装は2016年のようだから、もう4年以上もお邪魔していなかったことになるのか…
供されたお料理、胃の腑を活性化させてくれる粕汁に始まり、旬のもの、走りのもの、名残のもの、王道のもの、創作的なもの、絶妙のバランスと味わいで質量とも大満足の出来栄え。相変わらずお出汁が滋味深い。本日は鰆の炭焼きの火の入れ方が白眉。独活の芽、新玉葱、ホワイトアスパラガス、蕪、海老芋等野菜の使い方もとても上手。食事は蟹ご飯。旨味を出し過ぎない品のよろしさが嬉しい。以前は繋ぎを入れていた〆の蕎麦はこのコロナ禍の間の稽古で繋ぎ無しの十割蕎麦に変更したとのこと。相変わらずキレキレで蕎麦湯も旨く、凄みを感じるほど。水菓子、敷かれたカスタードの自然な甘さに感心。相方は葛切り当方はアイス最中を選択したデザートまで隙無く、二時間半ほどで本日の饗宴終了。
応接。樋口さんのホスピタリティ、お弟子さんの矜持ある立ち居振る舞い、奥様の人懐っこい笑顔三位一体で、適度な緊張感の中、癒されつつ寛げる。
相対的に奇を衒ったところは全く無い。特筆されるべきは、樋口さんの食材ごとの仕入れの吟味が思慮深く丁寧で、食材を極上の料理へ昇華させる技量とセンスのレヴェルが極めて高いことだろう。はらまささんのようなエンターテイメント性は若干希薄かもしれないけれど、ゆっくりと美味しい食事を楽しむという樋口さん本人言うところの「料理屋」としての本分を突き詰めている姿勢に感服する。
瓶ビール一本、お勧め銘柄冷酒3合を頂いて、お勘定おひとり様33,000円ほど。
初めて伺った頃と比較してお値段は二倍になったけれど、店を出た際の満足度は相変わらずで、お値段分の進化をきちんと遂げられているところが素晴らしい。
私にとって、相変わらずの東京和食most valuable店。