『 ありがとう石巻 壱』リチャード1958さんの日記

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石巻に着いたのは午後2時頃だった。

仙台までは飛行機。メアドを聞こうかなとかゆう気にさせるCAもおらず、

ムチャクチャ健全な遠征である。仙台空港からJR仙台駅までは電車で移動。

そして仙台駅前からは高速バスで一路、石巻を目指す。

本来であれば石巻まで通っているJR仙石線は途中が未だに復旧していない。


大阪や京都、果ては横浜でブイブイ言わしていたシティ・ボーイだったはずの

我々二人だったのだが、不覚にも道に迷った。高速バスの乗り場が分らない。

こうなったら誰かに聞かねばならん。当然私は好みの女子を物色し始める。

4月22日の日曜日。通る女子の年齢層が若過ぎる。。。高校生とか要らんし!

重症の糖尿病と心臓疾患で4月初旬まで入院していた糖尿星人。

57歳にして女子に興味を失っている。なんと男子を捕まえてしまった(汗)

「あんな、石巻に行きたいねん!バス乗り場何処かな??」

「それだったら僕も石巻に帰るところですから一緒に行きましょう」

なんとゆう偶然!いやっ!神の計らい!

石巻西高校3年生の佐藤君の登場で無事にバスに乗る事が出来たのである。


「大阪からなんですね。今回はなんで石巻に?仕事ですか?」

「ううん!石巻に酒呑みに来てん!」

「マジですか!?嬉しいっす!ありがとう御座います!!」

あまりにも爽やか!あまりにも晴れやか!あまりにも恐縮!!

店の人間以外に、酒を呑んで礼を言われたのは生まれて初めてだった。。。


高速バスは約70分。三陸自動車道をひた走る。

石巻の郊外、高速道路を降りたら巨大なショッピングセンター。シネコンも。

あの大災害の欠片も感じることは出来ない。

10分も走っただろうか、JR石巻駅に到着する。

佐藤君と固い握手。

「頑張って下さいね!」逆に激励されてしまった。。。

駅舎前では昔オカズ、じゃなくて、大好きだった「サイボーグ003」がお出迎え。


佐藤君に日和山公園までの道順を聞く。

石巻市街が一望に見渡すことが出来るとゆう「日和山公園」

石巻に着いたら、何はともあれ行こうと決めていた。

「15分くらい道なりに歩いたらイイですから!」

「どうもありがとう!佐藤君元気でな!」

「僕は家族も友達も親戚も誰も亡くなってませんから!大丈夫ですから!」

こんな会話が当り前に、自然に交わされてしまうのだ。。。被災地は。


街は静かだった。

「日曜日の喧騒」などは全く見られない。

少し緊張しながら歩き出していた。

(あのオッサン達、曲がる道を間違わねぇかな?)

佐藤君がズッと見送って呉れていた。

(そこ!そこ!を曲がるんですよ!)ジェスチャーで教えてくれる。


「ありがとーーっ!!」

こんなに大きな声で「ありがとう」を叫んだのは初めてだったかもしれない。





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