1回
2013/04 訪問
出汁魔神 ・・・ 【なな治(ななはる)】
(付出し)ムカゴ、くさ河豚、卯の花
生麩の旨煮くるみ味噌添え¥650
お造り盛合わせ¥1450
流れ子¥750
小芋のたいたん¥550
具たくさんのヌタ¥800
焚き合せ¥600
串揚げのメニュー
串揚げ七串¥1350
筍の上は海老
自家製胡麻豆腐¥600
胡麻豆腐の揚げ出し¥650
和風ローストビーフ¥1000
筍の子木の芽あえ¥600
春野菜掻き揚げ¥700
モロコの南蛮漬け¥700
出し巻き¥600
ちりめんさんしょうの焼きめし¥700
ちりめんさんしょう焼きめしアップ
お酒のメニュー
不老泉濁り(燗)¥900
不老泉中汲み(燗)¥900
不老泉濁り¥800
モンスーン¥800
荻乃露¥800
かっぱ¥800
大治郎¥800
藤兵衛¥800
杣の天狗¥800
七本鑓と竹生島、各¥800
角ハイボール¥650
アサヒスーパードライ¥550
2013/04/26 更新
最初に申し上げておきますが、このお店は全面喫煙可なのであります。
客席11席の小さなお店で「喫煙可」は辛いなぁ、とは思ったのですが、
gropop氏http://u.tabelog.com/000092091/のレビューを拝見し、どうしても行きたかったのです。
私は煙草をやめてもうそろそろ10年になります。
最初の3年くらいは平気だったのですが最近は副流煙がイヤでイヤで仕方なくなりました。
しかしながら飲食店さんが喫煙可であるからと言って評価を下げるとゆうような事は致しません。
喫煙は法の許に認められた権利でありますし、そのお店の方針が喫煙可ならば仕方なしと思うのです。
どうしてもイヤならば行かなければイイのであり、分かってて行っては喫煙可を批判し低評価するのは
それはもう営業妨害であると思うのであります。
今の時代、特に料理を供するお店が喫煙可というのも考え物とは思うのでありますが、
創業当時から応援してくれる常連の多くが愛煙家だったりして、禁煙に踏み切れないお店もありますね。
もちろん、「分煙」を謳っていながら禁煙席に容赦なく紫煙が侵攻して来るようなお店は駄目でありますが。。。
この日のなな治さん、カウンターに2名喫煙される方が居られました。
当然、少々煙かったのは言うまでもありません。非常に残念ではありました、残念ではありましたが。。。
その残念さを補って余りある美味さ、驚き、楽しさ、そして弾ける笑顔がこの店にはあったのです。
だからと言って、煙草の紫煙がどうしてもダメな皆様は行かないで下さいませ。お願いしておきます。
元はこの店、女将さんのお母様が「なな」という飲み屋さんを営んでおられたそうなのです。
お母様が引退される事になり、和食修行をしていた娘婿の大将がこの店を今の形態にして開店するとき、
元の屋号に大将の名前の一文字「治」を付けて【なな治】とされたそうです。
4月1日で、この地で開店し10年を迎えられました。隠れた名店と言ってもイイお店であります。
「3月にはぎっくり腰で来れなくなってしまい、申し訳ありませんでした」
「とんでもありません!もうスッカリよろしいんですか?」とは愛想が抜群にイイ女将さん。
大将は寡黙な感じ。一見取っつきにくいキャラではありますね。お顔も厳ついしねぇ~(笑)
他所に行ってた仲間も合流して4人揃いました。最初はスーパードライ¥550で乾杯です。
※突出し、ムカゴ・くさ河豚・卯の花
基本的に頼みもせん付き出しは要らないと思う事が多いのですが、この店のは違います!
卯の花なんて胡麻油で炒めててメッチャ美味いし、くさ河豚なんて落涙です。
ムカゴも嬉しかったなぁ~。この付き出しで感激!即、ビールから日本酒へ!
※生麩の旨煮くるみ味噌添え¥650
「麩」まして「生麩」なんて滅多にお目に掛かれませんし、好んで喰う程の執着もありませんでした。
そやけど京都へ来たことやし注文してみてビックリですがな!!
この「自家製くるみ味噌」がホンマに「ミソ」やったのです。少し甘めで御座いましてね、美味かった!
※お造り盛合わせ¥1450
桜鯛・・・旬ですもんねぇ!鮪・・・赤身が好きなので嬉しい。
針イカ・・・甲イカの事、モチモチ感もコリコリ感も両方備えてるイカ。私はこのイカが一番好きなのです。
※流れ子¥750
「とこぶし」の事ですね。しかしこの炊き方と言うのか味付け?メッチャ気に入ってしまいました。
獲り合いになってしまって喧嘩寸前でしたよ(苦笑)
※小芋のたいたん¥550
素材もモチロンなのでありますが、このお店は「出汁」ですわ!もう完璧と言っていいと思います。
こんな美味い「小芋のたいたん」喰ったことありません!掛け値なしの感動です。
※具たくさんのヌタ¥800
上品です。エグ味またくナシ!最高の酒のアテでありましょう。
※焚き合せ¥600
高級料亭の味にも勝るでしょう。高級料亭。。。行ったことないけど。。。
※串揚げ七串¥1350
これにも驚かされます。七種は色々と変わるようです。御参考までに写真のメニュー見て下さい。
日本酒に合う串揚げです。こんなの初めてです。私は塩だけでいただきましたが、過去最高です。
※自家製胡麻豆腐¥600
胡麻を煎ってないので胡麻の強烈な主張はありません。口に入れてジワリ沁み出す胡麻の味なのです。
※胡麻豆腐の揚げ出し¥650
その胡麻豆腐の揚げ出しです。美味くないわけがありません。そしてやはりこの店は「出汁」です!
※和風ローストビーフ¥1000
洋食のローストビーフしか喰ったことのない私は、このローストビーフを噛んだ瞬間失望します。
その瞬間だけ味がないように感じたのです。しかし、スグにそれは納得と感心に変わります。
あくまでも上品な薄味は噛めば噛むほど本当のローストビーフの味を教えて呉れるのです。
※筍の子木の芽あえ¥600
旬真っ盛りの筍の子を木の芽と和えます。タッパに入れて母親に持って帰ってやりたかった・・・。
※春野菜掻き揚げ¥700
このお店の揚げ物にはいったい、どんな秘伝があるのでしょう?
どうしてこんなにカリッと、そしてアッサリと素材を活かして揚げることが出来るのでしょう?
※モロコの南蛮漬け¥700
いや!モチロン!モロコに文句はないのです。しかし添えられている炙ったネギまで美味いのです!
※出し巻き¥600
そうなのです!出汁なのです!55年の人生で最強の出汁巻きでした。マジで感動なのです。
※ちりめんさんしょうの焼きめし¥700
総仕上げにはこれ。二ツお願いして4人で分けます。やはり薄味のちりめんさんしょうを使用。
どう言うたらイイのかな?要するに後で決して喉が乾かない焼きめしなのであります。
「串揚げ七串」と「ちりめんさんしょうの焼きめし」は二ツづつお願いしましたが、他の料理は一ツづつです。
これだけの料理に日本酒をグイグイ呑みましたので思い切りカロリーオーバーの夜ですね。
※不老泉濁り(燗)¥900、不老泉中汲み(燗)¥900、近江の酒です。
燗を点けて頂きますと¥100増しです、ご注意を(笑)
※モンスーン¥800、近江の貴醸酒。甘口です。
※荻乃露¥800、近江の辛口。
※かっぱ¥800、山形+10の超辛口。
※大治郎¥800、近江の辛口。
※藤兵衛¥800、近江の辛口。
※杣の天狗¥800、近江のヤヤ辛。うすにごり。
※七本鑓¥800 、近江湖北の辛口。
※竹生島¥800、近江の辛口。
※酔っ払って喉が乾いたので角ハイボール¥650、この店で唯一濃厚な商品(笑)
4人がかりで、誰がどの酒を、どれだけ呑んだかは正直覚えておりません。
しかし、全員が5~6種類の日本酒を呑んだと思っております。
例えば私が呑まなかったのは「モンスーン」と「かっぱ」と「竹生島」と「七本鑓」、みたいな感じ。
この内容でもう、完璧に満腹致しまして一人当たり¥7800でありました。
「そんなに安くてエエの?計算間違えてない??」4人、顔を見合わせてしまいます。
「大将!そやけど顔があの大魔神ソックリですな!!」
「もうねぇ~。よう言われるんですよぉ~!わははは!!」
確かに厳ついお顔は大魔神なのだけど、笑った顔が底抜けに可愛らしい大将なのです。
中学生の子供さんがおられる様子。女将さんが電話で子供さんに明日の指示をしてました(笑)
私達が長居している間に何人も何組も来られたお客さんにお断りです。
こりゃぁ、土・日だけではなく、平日も念のために予約した方が良さそうですよ。
看板には「お食事処」と書いてあるのですが、それはちょいと謙虚すぎやしませんか?
小料理かな?割烹かな?居酒屋さんにしたらお値段が少し高いかな?
とにかく料理のレベルは想像以上でありました。本当に驚きました。
糖尿星人、「ワシの居酒屋やってる友達一回連れて来てもよろしいでっか?」と大将に聞いてます。
「なな治さんの味をスパイさせたって下さいな、勉強させたって下さいな!」ですって(爆笑)
兎に角、このお店の総ての基本は「出汁」です。本当に素晴らしい「出汁味」でした。
壱万円を遙かに超える支払いが必要なお店も知っておりますが、なな治さんの勝ちなのです。
旬を活かし切り、その素材に絶妙の「出汁」を寄り添わせる。。。佐藤さんに迫るレベルなのです。
戦国時代、貧しい庶民を圧政の苦しみから救い出した大魔神。
そして平成の世、長い眠りから覚めた彼は横浜を日本一に押し上げたかと思うと米国はシアトルにも現れました。
滅多に我々の前に現れてくれない大魔神。もう会えないんだと思っていた大魔神。
実は京都三条の一隅に「出汁魔神」となって降臨してくれていたのです。