リチャード1958さんが投稿したしらいし(福岡/平和通)の口コミ詳細

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移転しらいし旦過、平和通、小倉/そば、うどん、日本料理

1

  • 夜の点数:4.6

    • ¥4,000~¥4,999 / 1人
      • 料理・味 4.0
      • |サービス 4.7
      • |雰囲気 4.8
      • |CP 3.8
      • |酒・ドリンク 4.8
1回目

2014/07 訪問

  • 夜の点数:4.6

    • [ 料理・味4.0
    • | サービス4.7
    • | 雰囲気4.8
    • | CP3.8
    • | 酒・ドリンク4.8
    ¥4,000~¥4,999
    / 1人

行脚の一徳、存命の悦び、羇旅の労をわすれて泪も落るばかり也・・・【蕎麦 しらいし】


九州の日没は遅い。大阪とは30分は違う気がする。

夕方の5時半には仕事が片付いてしまってクソ暑い街中を「晩飯喰い行くか」と彷徨っていた。

仕事関係の婦女子とは今回の出張では会うことがなく、したがって食事の誘いも出来ようがなく。

先だって一緒にステーキを喰った女子大生は連絡先を消してしまっていたし、

だからと言って前々回出張で中華料理を共にした超美人や激美人は恐ろしくて誘う気がしなかった。


打ち合わせが終わって、大好きな旦過市場を目指す。今日は一人で気楽だし旦過うどんへでも行こう。

しかし通い慣れた小倉の街を歩くというのに、私の「宇宙的方向音痴」は旦過市場へさえスッと行けない。

「たぶんこっちの方向やな」と検討を付けて広い道を歩いていてふと横道を見ると蕎麦屋の看板が見える。

今日は気楽な一人旅だ。「もう面倒臭いしな、今日は蕎麦でエエか!ビールくらいあるやろし」

外観は特別高級そうな雰囲気はない。十割だの二八などむつかしい講釈も書いたりしていない。

大衆的な「街の蕎麦屋」と言う感じで入り易い。「蕎麦前とかあるかなぁ~」とか思いつつ引き戸を開ける。

「いらっしゃ~い!」大将と思しきオヤジが一人、若い男子が二人、厨房にはエエ感じの女子も一人居る。

厨房前にカウンター、テーブル席三卓。壁面にはお品書きがペタペタ貼ってある。

「お!そばがきとかあるがな!」これは有難いなぁ~!しかしよく見るとちょっと割高やな・・・。

冊子になっているメニューを開いてみると日本酒も結構揃えているではないか。「よっしゃ!」である。


大将がお茶を持って来て呉れる。「なにしましょうか~?」

「スビバセン!とにかく乾坤一下さい!」

宮城県は大沼酒造店の銘酒。東日本大震災で県下の酒蔵では最もダメージが大きかったと言われる。

しかしこの店の酒の注ぎ方は豪快だ。溢れまくってグラスを乗せている小さなお盆からも溢れそうになる。

乾坤一を呑みながらメニューを精読。それぞれがとにかく割高なのだが品数は豊富で楽しい。

そして何より嬉しかったのは東北の酒がズラリとラインアップされている処だ。

壁面には「東北応援酒」と称して岩手・宮城・福島はもとより青森・山形・秋田の酒がPOPに書かれる。

「こらエエわい!小倉で復興サポートが出来るがな!」

日没の遅い九州・小倉で明るいうちから呑む罪悪感がこれでガラリと軽減されるのである。

付き出しにさり気無く蕎麦味噌が出る。これが先ず美味い。蕎麦の実が入り香ばしく甘辛い。


「そばがき」にまた驚かされる。1240円とは高い「そばがき」やなぁ~と思いつつ注文。

出て来た「そばがき」は小鍋の中でグツグツ煮られているのと、揚げてあるものの二種類ある。

そして山葵醤油と、そしてきな粉も添えられているではないか!

「そばがき」その物の味は希薄かも知れないが、こんなバリエーションが用意されていれば文句はない。

次は福島県の酒を呑もう!大七が売り切れていたので「飛露喜」で行こう。有名な酒だ。

「大将、なんで奥の細道が飾ってありますのん?」壁のメニューの下にケースに入った「奥の細道」。

話好きの気さくな大将、その「奥の細道」をわざわざ外して見せてくれる。珍しい「和綴じ」の冊子である。

「お客さんがね、私の為にわざわざ作ってくれたんですよ。イイでしょお~」

オリジナルの「奥の細道」を現代訳にして挿絵もある。すべて毛筆で書かれた所謂「写本」に驚いた。

北陸と、そして東北を旅した松尾芭蕉。「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」で冊子は締め括られている。

芭蕉最後の句に、大将は御自分の心境を被らせているのだろうか?


「穴子の天ぷら」 1080円が来る。デカイなぁ~。これ喰ったら肝心の蕎麦が喰えないかもしれぬ。

プリプリの穴子の身は嚙みつくと反発してくる。身に張りがあるのだ。正に未婚の若き婦女子のそれだ。

それを少々薄味の天つゆに浸けて喰う。美味い!酒の肴としては最高峰の一つと思った。

最早エンジン全開だ。他にも東北の酒が欲しかったけど売り切れだったので富山の立山を所望。

この店の息子が「品書きには酒の名前を書いてるだけです。今日ある酒は冷蔵庫を見て下さい」と言う。

こいつはもう少し物の言い方を修行した方が良い。メニューに書いてあるのだから有ると思うではないか!

それを冷蔵庫まで見に行けと言うのだから驚くまいことか!日本の国には「物の言い方」という文化があるのだ。

大将が気さくでイイ人だったし、店を挙げて東北を応援しておられなかったら厳重に抗議していた処である。


「大将!花まきってどんなんですか??」

「熱々のかけそばに海苔をのせたものでネ。江戸時代にはまだ浅草海苔がたくさん取れてネ、海の中でユラユラと

揺れている様子が磯の花と呼ばれていてネ、その磯の花をまき入れたことから花まきって言うんですよ」

メニュー冊子に写真もある。薬味がワサビだけでネギはつけないそうだ。

「これやったら〆にピッタリですな!」

生まれて初めて喰う「花まきそば」910円。香りがフワ~っと広がるように蓋をして出て来る。

これはイイ!要するに出汁茶漬けの御飯の代わりに蕎麦が入っている感じ。

ちゃんと今すり下ろしたばかりの山葵と海苔の香りが心地良く広がる。蕎麦出汁は上品な薄味でこれ又美味い!

その山葵と海苔が溶け出した出汁は問題なく全部飲めてしまったのは言うまでもない。


「酒をこぼす事が東北応援と思ってやってます!本当は一升瓶で13杯とるのを10杯にしてネ!」

「うわっははは!なるほど!素晴らしい復興サポートですがな!」

「これ位しか出来ないんですがね!まだまだ復興は時間かかると思うけどネ、ウチもズッと続けます!」

その心意気やよし!遠く離れた小倉の街に、東北を決して忘れていない蕎麦屋のオヤジが居た!

還暦を5年過ぎている常雪(ツネユキ)裕二大将。なんと43歳までは北九州屈指の某大手企業の社員だった。

この店を経営していた親戚が亡くなり、急遽継ぐことになり、安定を捨てて未経験の世界に飛び込んだ。

店には息子さんと、明るくて可愛い娘さんも手伝っておられる。繁盛の御様子である。

美味い蕎麦と美味い酒。抜群の蕎麦前と「東北復興サポート」の熱き心。

総ての条件が勢ぞろいした希有な店がなんと北九州・小倉にあったのだ!!

九州男児の心意気に旅の徳を知り、我と我が身の元気横溢を謝し、疲れも忘れて喜悦の涙を流したことだった。

こんなに気持ちのイイ夜はなかった。


  • この看板が大通りから見えまして♪

  • 入口です

  • 東北応援酒!

  • 庶民的メニュー。真ん中のガラスケースに「奥の細道」が入っている。

  • 先ずは宮城の乾坤一から。700円

  • 蕎麦味噌 1240円

  • そばがき 山葵醤油にきな粉。

  • 揚げたそばがきには塩が。

  • きな粉は婦女子が喜びそう♪

  • 冷蔵庫には日本酒が。

  • 富山県・立山

  • 穴子天ぷら 1080円

  • 分厚い♪

  • 花まき

  • 蓋を取って

  • 美味かったぁ~♪

  • 蕎麦前メニュー

  • 蕎麦メニューの一部

  • 日本酒メニュー

  • 日本酒メニュー

  • 店主・常雪裕二大将と。

  • 和綴じが懐かしい「奥の細道」

2014/08/02 更新

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